ボイラーの構造

【二級ボイラー技士・構造】丸ボイラーの種類と特徴(炉筒煙管・煙管・立てボイラー)

丸ボイラーとは? 一言でいうと「大きな円筒形のやかん」

丸ボイラーは、太い円筒形の胴(どう)=シェルの中に水を入れて加熱し、蒸気を作るボイラーです。

イメージとしては、巨大なやかんを横に寝かせたような形です。
家庭のやかんと同じで、水をたっぷり入れて下から火で温めます。構造がシンプルなので、昔から世界中で使われてきました。

丸ボイラーの共通する特徴を整理すると、次のとおりです。

特徴 内容
形状 胴(シェル)が円筒形
保有水量 多い(やかんにたっぷり水を入れるイメージ)
構造 比較的シンプル
蒸気使用量の変動 強い(水がたくさんあるので急な変動を吸収できる)
高圧・大容量 不向き(胴が太いほど厚い板が必要になるため)

保有水量が多いことは、メリットでもありデメリットでもあります。
水がたくさんあるぶん蒸気の使用量が急に増えても安定して供給できますが、起動してから蒸気が出るまでの立ち上がりに時間がかかるのが弱点です。

ここから先は、丸ボイラーの代表的な4種類を順番に見ていきましょう。

丸ボイラーの種類と仕組みを図解で整理

丸ボイラー4種の「管の中を何が通るか」早見表

炉筒ボイラー

炉筒の中で
燃料を燃焼

煙管ボイラー

管の中を
燃焼ガスが通る

炉筒煙管

炉筒+煙管の
いいとこどり

立てボイラー

縦置き
小容量向き

※ いずれも管の外側に水がある(水管ボイラーとの最大の違い)

1. 炉筒(ろとう)ボイラー ― 胴の中に「燃焼室の筒」がある

炉筒ボイラーは、円筒形の胴の内部に炉筒(ろとう)と呼ばれる太い筒を入れた構造です。
この炉筒の中で燃料を燃やし、その熱で周りの水を温めて蒸気を作ります。

家庭の例で言えば、お風呂の浴槽の中に、火のついたストーブを沈めたようなものです。筒の中で火が燃え、周りの水がどんどん温まるわけです。

コルニッシュボイラー

炉筒が1本のタイプ。
最もシンプルな構造です。

ランカシャボイラー

炉筒が2本のタイプ。
コルニッシュより加熱面積が大きく、蒸気をたくさん作れます。

試験のポイント:「コルニッシュ=1本」「ランカシャ=2本」はよく出題されます。
覚え方は、「ラン(2=に)カシャ」で炉筒2本と語呂合わせしましょう。

2. 煙管(えんかん)ボイラー ― 細い管がたくさん通っている

煙管ボイラーは、胴の内部に多数の細い管(煙管)を通した構造です。
燃焼ガス(煙)が管のを通り、管の外側にある水を温めます。

イメージとしては、お湯を張った大きな箱の中にストローをたくさん突き刺して、そのストローの中に熱い空気を通す感じです。
管が多いぶん水と触れる面積(伝熱面積)が大きく、効率よく熱を伝えられます。

代表例は機関車型ボイラーです。
蒸気機関車の前方に見える太い円筒部分が、まさに煙管ボイラーです。映画やテーマパークで見たことがある人も多いでしょう。

3. 炉筒煙管(ろとうえんかん)ボイラー ― 炉筒+煙管の「いいとこどり」

炉筒煙管ボイラーは、名前のとおり炉筒と煙管を組み合わせた構造です。
胴の中に炉筒(燃焼室)があり、そこから出た燃焼ガスが煙管を通って排出されます。

現在、丸ボイラーの中で最も広く普及しているタイプです。
ビルの地下機械室や工場で見かけるボイラーの多くがこれです。

ドライバック式とウェットバック式の違い

方式 後部の構造 特徴
ドライバック式 燃焼ガスの折り返し部分がボイラー外部にある(乾いた=水に触れていない) 構造はシンプルだが、外部に耐火材が必要
ウェットバック式 燃焼ガスの折り返し部分がボイラー内部(水中)にある(濡れた=水に浸かっている) 折り返し部も水で冷却されるため効率が良い。現在の主流

「ドライ=乾いた」「ウェット=濡れた」と英語の意味で覚えるとイメージしやすいです。

4. 立て(たて)ボイラー ― 縦置きでコンパクト

立てボイラーは、その名のとおり胴を縦に立てたボイラーです。
横置きの丸ボイラーに比べて設置面積が小さいのが最大のメリットです。

ただし容量は小さいため、小規模な暖房や給湯に使われることが多く、大きなビルや工場には向きません。
一言で言えば、「場所を取らないけど、パワーは控えめ」なボイラーです。

現場で見る丸ボイラー ― ビルの地下はこうなっている

実際のビルのボイラー室に行くと、どんな光景が広がっているでしょうか?

ビルの地下機械室に入ると、横長の大きな円筒が鎮座しています。
これが炉筒煙管ボイラーです。高さは大人の背丈ほど、長さは2〜3メートルくらいのものが一般的です。

ボイラー室の特徴をいくつか挙げてみましょう。

  • 室温が高い:ボイラー室は冬でも暑いくらいです。ボイラーから放射される熱でTシャツ1枚でも汗をかきます
  • 「ゴーッ」という燃焼音:バーナーが燃焼している間、独特の低い音が響きます
  • 水面計・圧力計が並ぶ:ボイラー前面には水位や圧力を確認する計器がずらりと並んでいます。ビルメンはこれを毎日チェックします
  • 安全弁がある:万が一圧力が上がりすぎたときに蒸気を逃がす装置です。定期的にテストします

ボイラーで作られた蒸気は、配管を通ってビル全体に送られます。
「熱と蒸気の基礎(熱量・比熱・顕熱・潜熱・飽和蒸気・過熱蒸気)」で学んだように、水が加熱されて飽和蒸気になり、それが暖房や給湯に利用されるわけです。

ちなみに、最近のビルでは温水ボイラー(蒸気ではなく温水を作るタイプ)も増えていますが、二級ボイラー技士の試験では蒸気ボイラーが中心に出題されます。

丸ボイラーと水管ボイラーの比較

丸ボイラーと対になるのが水管(すいかん)ボイラーです。
水管ボイラーは管の中に水を通し、管の外側から燃焼ガスで加熱する構造で、丸ボイラーとは水と燃焼ガスの位置関係が逆になっています。

試験でもよく比較されるので、違いを表で整理しておきましょう。

比較項目 丸ボイラー 水管ボイラー
構造 太い胴(シェル)の中に水 細い管の中に水
保有水量 多い 少ない
起動時間 遅い(水が多いので温まるまで時間がかかる) 速い
高圧・大容量 不向き 得意
負荷変動への対応 強い(水が多いので安定) やや弱い
水管理 比較的楽 厳密に必要
破裂時の被害 大きい(大量の水が一気に蒸気化する) 比較的小さい

試験のポイント:丸ボイラーは「保有水量が多い」「負荷変動に強い」「高圧には不向き」、水管ボイラーはその逆、と覚えるのが鉄則です。
水管ボイラーの詳細は水管ボイラーの種類と特徴で解説しています。

よくある疑問・間違い

Q1. 「煙管ボイラー」と「水管ボイラー」は名前が似ているけど何が違うの?

これは初学者が混乱しやすいポイントです。
管の中を通るものが違います。

  • 煙管ボイラー:管の中を燃焼ガス(煙)が通る → 丸ボイラーの一種
  • 水管ボイラー:管の中をが通る → 丸ボイラーとは別の分類

「管の中を通るのは煙?水?」と聞かれたら即答できるようにしましょう。

Q2. 炉筒煙管ボイラーが一番普及しているのはなぜ?

炉筒煙管ボイラーは、炉筒で大きな火を燃やしつつ、煙管で効率よく熱を回収できます。
つまり「燃焼効率が良い」+「構造がそこまで複雑ではない」という、コストパフォーマンスに優れた組み合わせだからです。

中小規模のビルや工場で広く使われており、ビルメンが現場で最も出会いやすいボイラーです。

Q3. 丸ボイラーが高圧に不向きなのはなぜ?

丸ボイラーの胴は直径が大きい円筒形です。
圧力容器は、直径が大きいほど、同じ圧力に耐えるために厚い板(鋼板)が必要になります。

胴を分厚くすると重量もコストも増大するため、高圧で使うなら細い管に水を通す水管ボイラーの方が合理的です。

🎯 試験で狙われるポイント

  • 煙管 vs 水管 — 管の中を通るのが「煙」か「水」か。名前のとおりだが引っかけ頻出
  • コルニッシュ=炉筒1本、ランカシャ=炉筒2本 — 名称と本数のセットで出る
  • ドライバック式 vs ウェットバック式 — 燃焼ガスの折り返し部が「外(乾)」か「水中(濡)」か
  • 丸ボイラーの共通特徴 — 保有水量が多い・負荷変動に強い・高圧には不向き

理解度チェック(4問)

ここまでの内容を確認しましょう。答えは「解答を見る」をクリックすると表示されます。

【第1問】
丸ボイラーの共通する特徴として、誤っているものはどれか。

  1. 保有水量が比較的多い
  2. 構造が比較的簡単である
  3. 高圧・大容量に適している
  4. 蒸気使用量の変動に強い
解答を見る

正解:C
丸ボイラーは胴の直径が大きく、高圧にするには厚い鋼板が必要になるため、高圧・大容量には不向きです。高圧・大容量に適しているのは水管ボイラーです。

【第2問】
炉筒が2本ある丸ボイラーの名称として、正しいものはどれか。

  1. コルニッシュボイラー
  2. ランカシャボイラー
  3. 煙管ボイラー
  4. 立てボイラー
解答を見る

正解:B
ランカシャボイラーは炉筒を2本持つ炉筒ボイラーです。コルニッシュボイラーは炉筒1本です。「ラン(2=に)カシャ」と覚えましょう。

【第3問】
煙管ボイラーにおいて、燃焼ガスが通るのはどこか。

  1. 管の外側
  2. 管の内側
  3. 胴の外側
  4. 炉筒の中
解答を見る

正解:B
煙管ボイラーでは、燃焼ガス(煙)が管の内側を通り、管の外側にある水を加熱します。管の中を水が通るのは「水管ボイラー」です。

【第4問】
炉筒煙管ボイラーの「ウェットバック式」の説明として、正しいものはどれか。

  1. 燃焼ガスの折り返し部分がボイラー外部にある
  2. 燃焼ガスの折り返し部分がボイラー内部(水中)にある
  3. 炉筒を持たず、煙管のみの構造である
  4. 胴を縦に立てた構造である
解答を見る

正解:B
ウェットバック式は、燃焼ガスの折り返し部分がボイラー内部(水中)にあるタイプです。「ウェット=濡れた」で水に浸かっていると覚えましょう。折り返し部がボイラー外部にあるのはドライバック式です。

もっと問題を解きたい方へ

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まとめ

今回は丸ボイラーの種類と特徴を学びました。ポイントを振り返りましょう。

  • 丸ボイラー:円筒形の胴に水を入れて蒸気を作る。保有水量が多く、負荷変動に強いが、高圧・大容量には不向き
  • 炉筒ボイラー:胴の中に炉筒(燃焼室の筒)がある。コルニッシュ(1本)とランカシャ(2本)
  • 煙管ボイラー:胴の中に多数の煙管があり、管内を燃焼ガスが通る
  • 炉筒煙管ボイラー:炉筒+煙管の組み合わせ。現在最も普及。ドライバック式とウェットバック式がある
  • 立てボイラー:縦置きでコンパクト。小容量用

丸ボイラーの基本的な構造がわかると、次に学ぶ水管ボイラーとの違いもスッと理解できるようになります。
引き続き、ボイラーの構造を一つずつ押さえていきましょう!

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