ボイラーの構造

【二級ボイラー技士・構造】鋳鉄製ボイラー・特殊ボイラー(温水ボイラー・ハートフォード式連結法)

この記事で分かること

  • 鋳鉄製ボイラーの組合せ構造と現行の圧力・温度制限
  • ハートフォード式連結法が低水位事故を防ぐ仕組み
  • 温水ボイラーの逃がし弁・逃がし管・膨張タンク
  • 廃熱・特殊燃料・熱媒・電気ボイラーの分類

結論:鋳鉄製ボイラーはセクションをニップルと締付けボルトで組み合わせる低圧用途のボイラーです。ハートフォード式連結法は暖房用鋳鉄製蒸気ボイラーの低水位事故防止に用います。一方、温水ボイラーは作る熱媒体による呼び方であり、「特殊ボイラー」という構造分類と同じ意味ではありません。

似た言葉を先に分ける

鋳鉄製ボイラー
材料・組合せ構造
温水ボイラー
温水を供給する用途
特殊ボイラー
熱源・燃料等による分類

鋳鉄製ボイラーは組合せ式

鋳鉄製ボイラーは、前部・中間・後部などのセクションを並べ、ニップルで水側の通路を連結し、締付けボルトで一体化します。現行のボイラー構造規格第90条も組合せ式を求めています。

セクションの組立てイメージ

前部
セクション
ニップル
+締付けボルト
中間
セクション
ニップル
+締付けボルト
後部
セクション

セクション構造は容量展開や搬入・組立てに適します。ただし、設置済みボイラーの容量を利用者が自由に変更できるという意味ではありません。認定された形式、製造者の仕様、必要な検査に従います。

鋳鉄は一般に耐食性を得やすい一方、鋼に比べてもろく、急なたき上げなどによる不同膨張で割れを生じやすい面があります。「腐食に強いから長寿命」と一律にはいえず、水質・燃焼・温度上昇・セクション間の漏れを管理します。

2026年4月施行の現行圧力・温度制限

ボイラー構造規格第88条は、次の範囲を超えるものを鋳鉄製としてはならないと定めています。

対象 鋳鉄製の上限 注意
蒸気ボイラー 0.1MPa以下 超えるものは不可
温水・圧力 0.5MPa以下 所定の破壊試験時は1MPaまで
温水・温度 120℃以下 圧力条件も同時確認

旧本文の「温水は120℃以下」だけでは不十分です。温度に加えて圧力上限があり、所定の破壊試験による例外もあります。法的区分は「ボイラーの定義と適用範囲」も確認してください。

ウェットボトムとドライボトム

鋳鉄製ボイラーは底部の構造でも区別されます。

形式 底部 試験ポイント
ウェットボトム 水を含むセクションで囲む 底部耐火材を必要としない
ドライボトム 水冷されない底部 耐火材を用いる

ハートフォード式連結法

ハートフォード式連結法は、主に重力還水式の暖房用鋳鉄製蒸気ボイラーで使う返り管の接続法です。凝縮水の返り管をボイラー近くで立ち上げ、安全低水面付近で均圧管へ接続します。

ハートフォード式の考え方

蒸気ヘッダ
均圧管が下へ
返り管
凝縮水が戻る
安全低水面付近で合流
水の流出を制限
ボイラー水側へ
低水位事故を防止

返り管がボイラーより低い位置で破損しても、サイホン作用による水の流出は接続高さ付近で止まり、ボイラー水が安全低水面より大きく下がる危険を減らします。目的は熱効率向上ではなく低水位事故の防止です。現行公表問題でもこの目的が正答として示されています。

旧本文の「接続位置より下の水は蒸気圧力で押さえられる」という説明は不正確なため撤去しました。また、ポンプ還水方式の返り管接続は別の構成であり、すべての蒸気ボイラーがハートフォード式になるわけではありません。

温水ボイラーの逃がし弁・逃がし管・膨張タンク

温水ボイラーは水を液体のまま加熱して供給します。鋳鉄製だけでなく鋼製などもあり、材質による分類とは別です。温度上昇による水の膨張を受ける膨張タンクと、過圧を防ぐ逃がし弁または条件に合う逃がし管を区別します。

装置 役割 注意
膨張タンク 体積膨張を吸収 開放形・密閉形がある
逃がし弁 設定圧力で温水を逃がす 最高使用圧力以下に保持
逃がし管 過圧を開放側へ逃がす 閉止・縮径しない

鋳鉄製の暖房用温水ボイラーは原則として逃がし弁を備えます。ただし、開放形膨張タンクに通じ、圧力を最高使用圧力以下に保てる逃がし管を備える場合は例外です。逃がし管を密閉形膨張タンクへ直結する説明は誤りで、現行公表問題でも問われています。安全弁・逃がし弁は「附属品と附属装置①」で詳しく扱います。

特殊ボイラーの分類

日本ボイラ協会の構造分類では、特殊ボイラーとして廃熱・特殊燃料・熱媒・その他(電気ボイラーなど)が挙げられています。

種類 主な熱源・媒体 確認点
廃熱ボイラー 他設備の高温排ガス 補助燃焼を持つ形式もある
特殊燃料ボイラー 黒液・廃棄物等 燃料特性と腐食・付着
熱媒ボイラー 有機熱媒など 水・蒸気以外の媒体
電気ボイラー 電気 燃焼ガスを生じない

廃熱ボイラーを「必ず燃焼装置がない」と覚えるのも危険です。回収熱だけを使う形式のほか、補助燃焼を組み合わせる設備があります。熱源系統図と仕様書で判断します。

設備で確認するポイント

  1. 銘板:蒸気・温水の別、最高使用圧力、最高温度、形式を確認
  2. セクション:割れ、漏れ、締付け部、不同膨張の兆候を確認
  3. 返り配管:重力還水かポンプ還水か、均圧管と接続高さを図面で確認
  4. 温水系:膨張タンクが開放形か密閉形か、逃がし弁・逃がし管の経路を確認

外観や設置場所だけで形式を決めず、製造者の取扱説明書と配管系統図を優先します。丸ボイラーとの比較は「丸ボイラーの種類と特徴」、水管式との比較は「水管ボイラーの種類と特徴」を参照してください。

理解度チェック

【問1】現行のボイラー構造規格上、鋳鉄製蒸気ボイラーとして使用できる最高圧力の範囲はどれですか。

(1) 0.05MPa以下
(2) 0.1MPa以下
(3) 0.5MPa以下
(4) 1MPa以下
(5) 圧力制限なし

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正解:(2)
0.1MPaを超えて使用する蒸気ボイラーは鋳鉄製としてはなりません。

【問2】鋳鉄製ボイラーのセクション組立てとして適切なものはどれですか。

(1) 全周を現場溶接する
(2) 接着剤だけで固定する
(3) ニップルと締付けボルトで組み合わせる
(4) リベットだけで組み立てる
(5) セクションは使用しない

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正解:(3)
ニップルで水路を連結し、締付けボルトでセクションを一体化します。

【問3】ハートフォード式連結法の主な目的はどれですか。

(1) 蒸気の過熱
(2) 燃焼効率の向上
(3) 低水位事故の防止
(4) 給水硬度の低下
(5) 排ガス温度の上昇

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正解:(3)
返り管が破損した場合のボイラー水流出を接続高さ付近で制限し、低水位事故を防ぎます。

【問4】鋳鉄製の暖房用温水ボイラーで、逃がし弁を省略できる構成はどれですか。

(1) 密閉形膨張タンクへ閉止弁付きで接続
(2) 開放形膨張タンクに通じる適切な逃がし管を設置
(3) 温度計だけを設置
(4) 循環ポンプを2台設置
(5) 蒸気安全弁だけを設置

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正解:(2)
開放形膨張タンクに通じ、内部圧力を最高使用圧力以下に保てる逃がし管を備える場合が例外です。

関連学習とまとめ

鋳鉄製は材料と組合せ構造、温水ボイラーは供給媒体、特殊ボイラーは熱源・燃料等による分類です。ハートフォード式は重力還水式蒸気暖房の低水位事故を防ぐ配管法として切り分けましょう。

最終更新日:2026年7月26日

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