ボイラーの構造

【二級ボイラー技士・構造】附属品と附属装置①安全弁・逃がし弁・圧力計・水面測定装置・温度計

結論:ボイラーの「5つの見張り番」を押さえよう

ボイラーは高温・高圧の蒸気や温水を作る装置です。もし圧力や水位の異常に気づけなければ、爆発や空だきといった大事故につながります。

そこで、ボイラーには「異常をいち早く検知し、自動で守る」ための附属品(ふぞくひん)が取り付けられています。今回はそのうち5つの見張り番を紹介します。

安全弁

圧力が上がりすぎたら
蒸気を逃がす

逃がし弁

温水ボイラー専用の
圧力リリーフ

圧力計

ボイラー内部の
圧力を表示する

水面測定装置

ボイラーの水位を
確認する

温度計

温水・蒸気の
温度を見張る

この5つは、二級ボイラー技士の試験でも非常に出題頻度が高いテーマです。それぞれの役割・しくみ・取付けルールを、イメージしやすい例とともに解説していきます。

安全弁(あんぜんべん)― 圧力が上がりすぎたら蒸気を逃がす「命綱」

安全弁の役割

安全弁は、ボイラー内部の蒸気圧力が設定値を超えたとき、自動的に弁が開いて蒸気を外に逃がす装置です。

身近なもので例えると、圧力鍋のフタについている「おもり」と同じ原理です。圧力鍋は中の圧力が上がりすぎると、おもりが持ち上がって蒸気が「シュー」と出ますよね。ボイラーの安全弁も同じように、圧力が高くなりすぎると自動的に蒸気を放出して、爆発を防ぐ役割を果たしています。

なぜ安全弁が必要?
ボイラーの蒸気圧力は一般的に0.1~1.6MPa程度。自動車のタイヤが約0.2MPaですから、タイヤの圧力の数倍もの力がボイラー内部にかかっています。もし安全弁がなく圧力が上がり続けると、ボイラーが破裂する危険があるのです。

ばね安全弁のしくみ

現在のボイラーで最も多く使われているのがばね安全弁です。

しくみはシンプルです。

  1. ばねの力で、弁体(べんたい)弁座(べんざ)に押し付けて、蒸気の出口をふさいでいる
  2. ボイラー内の蒸気圧力が上昇し、ばねの力を上回ると、弁体が持ち上がる
  3. 弁体と弁座の隙間から蒸気が噴き出して、圧力が下がる
  4. 圧力が十分下がると、ばねの力で弁体が押し戻されて弁が閉じる

現場イメージ:ボイラー室に入ると、ボイラー本体の上部に金属の筒状の装置が1~2個付いているのが見えます。これが安全弁です。排気管が屋外に向かって伸びていて、安全弁が作動すると「ゴー」という大きな音とともに蒸気が噴き出します。ベテランのビルメンは「安全弁が吹いた」と言いますが、実際に吹くと相当な音と蒸気なので初めて見ると驚きます。

揚程式と全量式の違い

ばね安全弁は、弁体がどれだけ持ち上がるか(揚程=リフトの大きさ)によって2種類に分けられます。

種類 揚程(リフト) 特徴
揚程式安全弁 弁座口径の1/40以上
1/4未満
リフトが小さく、少しだけ開く。放出量は少なめ
全量式安全弁 弁座口径の1/4以上 リフトが大きく、ガバッと開く。大量の蒸気を一気に放出できる

イメージとしては、揚程式は「窓を少しだけ開けて換気する」感じで、全量式は「窓を全開にして一気に空気を入れ替える」感じです。大型のボイラーでは大量の蒸気を素早く逃がす必要があるため、全量式が使われることが多くなります。

吹出し圧力・吹止り圧力・吹下り

安全弁には、3つの重要な圧力の用語があります。

吹出し圧力

安全弁が開いて蒸気が噴き出し始めるときの圧力。「ここを超えたら開くよ」というライン。

吹止り圧力

蒸気の放出が終わって弁が閉じるときの圧力。吹出し圧力より少し低い。

吹下り

吹出し圧力と吹止り圧力ののこと。この差が大きいほど、安全弁が長く開いている。

たとえば、吹出し圧力が1.0MPa、吹止り圧力が0.95MPaなら、吹下りは0.05MPaです。安全弁は1.0MPaで開き、圧力が0.95MPaまで下がったら閉じるわけです。

安全弁の取付け個数

蒸気ボイラーには、安全弁を原則2個以上取り付けなければなりません。

ただし、以下の場合は1個でOKです。

  • 伝熱面積が50m²以下の蒸気ボイラー
  • ゲージ圧力が0.1MPa以下の蒸気ボイラー

また、過熱器(蒸気をさらに加熱する装置)がある場合は、過熱器の出口付近にも安全弁を設けます。このとき、過熱器の安全弁がボイラー本体の安全弁より先に吹き出すように調整します。先に蒸気を逃がして過熱器内に蒸気の流れを確保し、過熱器が過熱して焼損するのを防ぐためです。

逃がし弁(にがしべん)― 温水ボイラー専用の「圧力リリーフ」

逃がし弁は、温水ボイラーに取り付ける安全装置です。

「安全弁と何が違うの?」と思いますよね。ポイントはボイラーの中身が蒸気か温水かです。

装置 対象 逃がすもの
安全弁 蒸気ボイラー 蒸気(気体)
逃がし弁 温水ボイラー 温水(液体)

温水ボイラーは蒸気を作るのではなく、水を加熱して温水として送り出す装置です(「鋳鉄製ボイラー・特殊ボイラー(温水ボイラー・ハートフォード式連結法)」の記事でも解説しています)。温水ボイラーでも内部の圧力が上がりすぎることがあるので、逃がし弁で温水を逃がして圧力を下げます。

身近な例:マンションや病院の温水暖房に使われるボイラーには逃がし弁が付いています。温水が膨張して圧力が上がると、逃がし弁から少量の温水が排出されて圧力を調整します。もし逃がし弁がなければ、配管が破裂して熱湯が噴き出す危険があります。

ちなみに、温水ボイラーの逃がし弁の逃がし管は凍結しないように保温する必要があります。凍結すると弁が開いても温水が流れ出せず、圧力を逃がせなくなるからです。

圧力計 ― ボイラーの「血圧計」

ブルドン管式圧力計のしくみ

ボイラーに取り付けられる圧力計のほとんどはブルドン管式圧力計です。

「ブルドン管」とは、断面が楕円形(扁平な)の金属管を、円弧状(C字型)に曲げたものです。

しくみはこうです。

  1. ブルドン管の一端をボイラーにつなぎ、内部に蒸気の圧力がかかる
  2. 圧力がかかると、楕円形の断面が真円に近づこうとして、C字型の管が開く方向に動く
  3. この微小な動きを、歯車やリンク機構で拡大して指針(針)に伝える
  4. 指針が目盛板を指して、圧力値が読める

イメージ:誕生日パーティーの「吹き戻し笛」(ピロピロ笛)を思い浮かべてください。息を吹き込むと丸まった紙がピンと伸びますよね。ブルドン管も同じように、圧力が加わると曲がった管が「伸びよう」とします。この動きを歯車で針に伝えているのです。

サイホン管 ― ブルドン管を熱から守るU字管

ボイラーと圧力計の間には、サイホン管と呼ばれるU字型の管が取り付けられています。

なぜU字管が必要かというと、ボイラーの蒸気はとても高温です。もし蒸気が直接ブルドン管に入ると、熱でブルドン管が変形して圧力の表示が狂ってしまいます。

サイホン管のU字部分には水がたまるようになっていて、この水が「壁」となって高温の蒸気がブルドン管に直接触れるのを防いでいます。蒸気の圧力は水を通してブルドン管に伝わるので、圧力の測定には影響しません。

圧力計のルール

  • 圧力計にはコック又は弁を取り付ける(取り外して点検・交換できるようにするため)
  • 目盛板の最大目盛は、常用圧力の1.5倍以上3倍以下の圧力を表示できるものにする
  • 最高使用圧力を示す位置に、見やすい表示をする(赤い線や赤い印を付けることが多い)

目盛板のルール ― 具体例

常用圧力が1.0MPaのボイラーの場合:

目盛板の最大目盛 = 1.0 × 1.5 = 1.5MPa以上

目盛板の最大目盛 = 1.0 × 3 = 3.0MPa以下

つまり、目盛板の最大が1.5~3.0MPaの範囲に収まる圧力計を選びます。小さすぎると針が振り切れるし、大きすぎると目盛が読みにくくなるからです。

現場イメージ:ボイラー室に入ると、ボイラー本体の正面あたりに丸い時計のような圧力計が付いているのが見えます。文字盤には赤い線が引いてあり、それが最高使用圧力のラインです。運転員は「針が赤い線を超えていないか」を日常的にチェックしています。

水面測定装置 ― ボイラーの「水位チェッカー」

蒸気ボイラーの中には水が入っていて、この水を加熱して蒸気を作ります。もし水位が下がりすぎる(水が少なくなる)と、ボイラーの金属部分が蒸気にさらされて過熱し、空だき事故につながります。

逆に水位が高すぎると、蒸気と一緒に水滴が送り出されてしまい(キャリオーバ)、蒸気を使う設備にトラブルが起きます。

だから、ボイラーの水位を正確に知ることは非常に重要で、そのための装置が水面測定装置です。

ガラス水面計 ― ボイラー水位の「窓」

ガラス水面計は、ボイラーの外側に取り付けたガラスを通して、中の水位を目で確認できる装置です。

主に3種類があります。

種類 しくみ 使い分け
丸形ガラス水面計 丸いガラス管の中の水位で確認 低圧ボイラー向け
平形反射式水面計 ガラス板の裏面に溝があり、水がある部分は黒く、蒸気の部分は白く光って見える 中~高圧ボイラー向け
平形透視式水面計 2枚のガラス板で挟んで透かして見る 高圧ボイラー向け

現場でよく見るのは:ビルのボイラー室でよく見かけるのは平形反射式水面計です。水がある部分が黒く見え、蒸気(空間)の部分が銀色に光るので、水位の境目がくっきりわかります。ベテランの運転員は「水面計の黒い部分がこのあたりにあれば正常」と一目で判断しています。

験水コック(けんすいコック)― 小型ボイラー用の水位確認装置

験水コックは、ガラス水面計の代わりに小型のボイラーに取り付ける装置です。ボイラーの側面に上・中・下の3個を取り付けます。

使い方はシンプルです。コックを開いて、何が出てくるかで水位を判断します。

上のコック

蒸気が出る
→ 水位はここより下

中のコック

水と蒸気が出る
→ 水位はこのあたり

下のコック

が出る
→ 水位はここより上

上から蒸気、中から水と蒸気の混合、下から水が出れば、水位は中のコック付近にあることがわかり正常です。

水面測定装置の取付けルール

  • 蒸気ボイラーには、ガラス水面計を2個以上取り付ける
  • ただし、遠隔指示水面計があって、ボイラーの水位を確認できるものは1個でよい
  • ガラス水面計は、ボイラー本体に直接取り付けるか、水柱管(すいちゅうかん)に取り付ける
  • 水面計の最下部の見える位置は、安全低水面以下にならないようにする

温度計 ― 温水・蒸気の温度を見張る

ボイラーの温度を監視するために、温度計が取り付けられます。

対象 取付け場所 理由
温水ボイラー ボイラー出口付近 温水温度が設定値を超えていないか監視するため
過熱器 過熱器出口付近 過熱蒸気の温度を監視するため

温水ボイラーでは、蒸気圧力の代わりに水高計(すいこうけい)と呼ばれる圧力計を使うことがあります。水高計は温水の圧力を水柱の高さ(mH₂O)で表示するもので、開放型の温水ボイラーなど圧力の低いシステムで使われます。

現場イメージ:ホテルやマンションの温水ボイラー室に入ると、ボイラーの配管に温度計がいくつか取り付けられているのが見えます。送り側(出口)と戻り側(入口)に1つずつあり、この2つの温度差で「ちゃんと熱が使われているか」を判断しています。

5つの附属品を一覧で整理

附属品 役割 取付け個数
安全弁 蒸気圧力の異常上昇を防止 原則2個以上(50m²以下は1個OK)
逃がし弁 温水ボイラーの圧力を逃がす 温水ボイラーに取付け
圧力計 蒸気圧力を表示 各ボイラーに取付け
水面測定装置 ボイラー水位を確認 ガラス水面計2個以上
温度計 温水・蒸気の温度を監視 温水ボイラー・過熱器に取付け

🎯 試験で狙われるポイント

  • 安全弁の取付け個数 — 蒸気ボイラーは原則2個以上。伝熱面積50㎡以下なら1個でOK
  • 揚程式 vs 全量式 — 揚程式は弁体の揚がる高さで吹出し量が決まる。全量式は弁座口の面積で決まり吹出し量が大きい
  • 安全弁 vs 逃がし弁 — 蒸気ボイラー=安全弁、温水ボイラー=逃がし弁。鋳鉄製ボイラーの記事もセットで確認
  • ガラス水面計の種類 — 丸形(低圧用)と平形(高圧用)。高圧では丸形ガラスが破損しやすいので平形を使う
  • ブルドン管式圧力計 — 断面が扁平な管が圧力で膨らむ原理。必ずサイホン管をつけて蒸気から保護する

理解度チェック

ここまでの内容を3問でチェックしてみましょう!

Q1. ばね安全弁において、弁体の揚程が弁座口径の1/4以上のものを何というか?

解答を見る

正解:全量式安全弁
弁座口径の1/4以上のリフトがある安全弁を「全量式安全弁」といいます。弁座口径の1/40以上1/4未満のものは「揚程式安全弁」です。

Q2. ブルドン管式圧力計と蒸気ボイラーの間に取り付けるU字型の管を何というか?また、その役割は?

解答を見る

正解:サイホン管
サイホン管はU字部分に水をためて、高温の蒸気がブルドン管に直接触れるのを防ぎます。蒸気の熱でブルドン管が変形し、圧力表示が狂うのを防止する役割があります。

Q3. 蒸気ボイラーには原則としてガラス水面計を何個以上取り付けなければならないか?

解答を見る

正解:2個以上
蒸気ボイラーにはガラス水面計を2個以上取り付けるのが原則です。ただし、遠隔指示水面計でボイラーの水位を確認できるものは1個でもよいとされています。

もっと問題を解きたい方へ

「附属品と附属装置①」のミニテスト(各5問×3回)で出題パターンに慣れよう!

ミニテスト【第1回】に挑戦 →

まとめ

今回は、ボイラーの附属品のうち「5つの見張り番」を学びました。

  • 安全弁:蒸気圧力が上がりすぎたら自動で蒸気を逃がす。ばね安全弁が主流で、揚程式と全量式がある
  • 逃がし弁:温水ボイラー専用の圧力逃がし装置。安全弁は蒸気用、逃がし弁は温水用
  • 圧力計:ブルドン管式が一般的。サイホン管で蒸気の熱からブルドン管を保護する
  • 水面測定装置:ガラス水面計を2個以上取り付ける。小型ボイラーには験水コック3個
  • 温度計:温水ボイラーと過熱器に取り付けて温度を監視する

次の記事では、残りの附属品である給水装置・吹出し装置・蒸気トラップ・送気系統装置について解説します。あわせて読むと、ボイラーの附属品の全体像がつかめますよ。

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