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【電験三種・法規】電気使用場所|幹線の許容電流・過電流遮断器・漏電遮断器

幹線の計算は、電動機等の合計電流と、その他の負荷の合計電流を比べるところから始めます。電動機が1台でもあれば必ず1.25倍、という計算ではありません。

電線の太さを選ぶ計算と、遮断器の上限を求める計算は別です。さらに漏電保護は、機器の電圧・外箱・設置場所・例外を組み合わせて判断します。

1.電気使用場所では「配線」と「保護」を組にして考える

電気使用場所は、建物などで電気を実際に使う場所です。例えばビルのポンプ、照明、電熱器へ電気を送るときは、電線が流れる電流に耐えられることと、異常時に適切に止められることの両方が必要です。

幹線は複数の回路へ電気を配る共通の配線です。そこから分かれて個々の機器へ向かう回路とは、適用する規定を分けます。本記事の幹線計算は、経済産業省「電気設備の技術基準の解釈」第148条の低圧幹線を対象とします。分岐回路については第149条などを別に確認します。

屋内配線は、金属管工事、合成樹脂管工事、ケーブル工事などから、電圧・水気・損傷のおそれ・点検のしやすさに適した方法を選びます。「金属管ならどこでもよい」という意味ではなく、電線の種類、接続方法、支持、金属部分の接地など、各工事方法の条件も満たす必要があります。

省令第56条・第57条は、場所と電圧に応じた感電・火災の防止、電線の強度と絶縁性能を求めています。裸電線は原則として使用しませんが、同第57条第2項には安全に施設する場合のただし書があります。通常の屋内配線を学ぶときは絶縁電線・ケーブルを基本にし、裸電線があらゆる設備で一切禁止、とまでは広げないようにしましょう。

2.低圧幹線の許容電流:大小比較をしてから50Aを見る

許容電流は、決められた施設条件の下で電線を過熱させずに流せる電流の限度です。実際に選ぶ値は、導体の太さだけでなく、絶縁物、周囲温度、同じ管に入れる電線の本数などにも左右されます。

ここでは、ある幹線部分を通じて供給する負荷について、次の記号を使います。すべて単位はA(アンペア)です。

  • IM:電動機等の定格電流の合計。電動機と、これに類する起動電流の大きい電気機械器具をまとめた値。
  • IH:それ以外の電気使用機械器具の定格電流の合計。電熱器だけに限定した記号ではありません。
  • IW:選ぶ電線の、その施設条件での許容電流。

解釈第148条第1項第2号を、需要率・力率等による第3号の修正を行わない条件で整理すると、次の3通りです。

負荷の条件 必要な許容電流
IM ≦ IH IW ≧ IM + IH
IM > IH、かつ IM ≦ 50A IW ≧ 1.25IM + IH
IM > IH、かつ IM > 50A IW ≧ 1.1IM + IH

同じ大きさなら1行目、50Aちょうどなら2行目です。ただし50Aを見るのは、先に「電動機等の合計がその他より大きい」と判断した後です。例えば電動機等50A・その他70Aなら、1行目の合計120Aを使います。

電動機等が主体の場合に余裕を持たせるのは、始動、電圧変動、過負荷などを考えるためです。1.25と1.1は幹線の電線選定に使う係数であり、個々の電動機の始動電流が定格の1.25倍又は1.1倍になるという意味ではありません。

第3号は、需要率・力率等が明らかな場合に、それらを用いた電流値の修正を認めています。根拠なく「全部同時には使わないだろう」と合計を減らす扱いではありません。以下の例題・確認問題では、この修正を使いません。

練習:3つの負荷表から最低値を求める

同じビル内の別々の幹線A・B・Cについて、下表の負荷が接続されています。第148条第1項第2号による、電線に必要な許容電流の最低値をそれぞれ求めてください。電流の合計は、その幹線部分を通じて供給される機器について計算済みです。

幹線 電動機等 IM その他 IH
A 24A 36A
B 50A 18A
C 68A 22A

3.過電流遮断器:3倍の負荷計算と2.5倍の電線側上限

過電流は、過負荷や短絡などによって流れる過大な電流です。過電流遮断器はこれを遮断し、電線・機器の過熱や焼損を防ぎます。省令第14条・第63条が保護を求め、解釈第148条第1項第4号・第5号が幹線の施設・定格を具体化しています。

遮断器の定格電流をIBとすると、原則は IB ≦ IWです。電動機等が接続される場合は、始動時の電流等を考慮した第5号ただし書の扱いを使えます。これは電線の計算と異なり、電動機等の合計がその他より大きい場合だけに限定されていません。

ただし書イ・ロでは、次の2つを計算して小さい方を上限にします。後述の標準定格の例外は、ここでは使わないものとします。

負荷から求める値:3IM + IH

電線から求める値:2.5I′W

IBは、この小さい方以下にします。

I′Wは、この2.5倍の判定に用いる電線の許容電流です。公式解説では、絶縁電線を管等に収める場合も、ここでは解釈第146条第2項の電流減少係数を乗じなくてよいとしています。負荷に対する電線選定で用いるIWとは区別してください。本記事の遮断器の数値例は、この係数の適用を要しない施設条件とし、I′W=IWとします。

例えば電動機等36A・その他12A、幹線の許容電流64Aなら、負荷側は3×36A+12A=120A、電線側は2.5×64A=160Aです。上限は120Aであり、160Aまでは選べません。電線自体も1.25×36A+12A=57A以上という条件を満たしています。

逆に電動機等82A・その他4A、幹線の許容電流95Aなら、負荷側は250A、電線側は237.5Aです。上限は237.5Aで、電線側の制約が効きます。必要許容電流は1.1×82A+4A=94.2Aなので、95Aはこれを満たします。

これらは定格電流の上限を学ぶ計算です。実際の選定では、用意されている定格、電動機の始動中に不要動作しないか、短絡電流を遮断できるか、下流の保護装置との動作の関係も確認します。「上限以内ならどんなに小さい遮断器でも運転できる」という意味ではありません。

100Aを超える幹線にある標準定格の例外

第5号ただし書ハは、幹線の許容電流が100Aを超え、イ又はロによる値が遮断器の標準定格にない場合に、直近上位の標準定格を認めています。100Aちょうどは「超える」に含みません。単に計算値が端数になったから切り上げられるわけでもありません。

したがって「電動機があれば常に2.5倍」「どんな場合も2.5倍を絶対に超えてはならない」という暗記は不十分です。原則→電動機等のただし書→標準定格の例外の順に確認します。上の64A・95Aの例には、100A超の例外は使えません。

また、幹線の電源側に遮断器を施設する第4号にも、上位の遮断器との許容電流比や長さ等による省略条件があります。第5号の定格の計算と、第4号の施設省略の判定は混ぜずに読みます。

4.漏電遮断器:外箱・電圧・場所・例外を確認する

地絡は、絶縁の不良などで電路から大地へ電流が流れることです。漏電遮断器は地絡を検出し、感電や漏電火災を防ぐために電路を遮断する装置の一つです。過電流保護を兼ねる製品もあるため、装置の名前だけで兼用機能の有無を決めないようにします。

解釈第36条第1項の基本対象は、金属製外箱があり、使用電圧が60Vを超える低圧の機械器具に接続する電路です。ここに地絡時に自動遮断する装置を施設します。まず対象を確認し、その後、同項ただし書の例外に当たるかを調べます。

主な例外の条件 確認する点
乾燥した場所に施設する 第1項第2号ロ。部屋の名前だけでなく、機器の設置場所がこの条件に当たるか
対地電圧150V以下で、水気のある場所以外に施設する 同号ハ。使用電圧ではなく対地電圧を確認する
電気用品安全法の適用を受ける二重絶縁構造の機器 第3号イ。単に外側が樹脂という説明とは区別する
機器のC種又はD種接地工事の接地抵抗値が3Ω以下 第4号。接地したという事実だけでは足りない

この表は主な例外の抜粋です。同項には所定の簡易接触防護措置、絶縁変圧器を用いる場合などの条件もあります。逆に「金属製外箱だから必ず必要」「湿気があるから必ず必要」と外観や場所だけで結論を出すと、電圧条件や例外を見落とします。

使用電圧と対地電圧も別です。例えば線間200Vでも、接地方式によって各線の大地に対する電圧は変わります。60V超の対象判定には使用電圧、150V以下の例外判定には対地電圧を使います。

「乾燥した事務室なら全部不要」にはしない

第36条第2項は、第3項の電路や所定の住宅屋内電路・特殊設備等を、第1項だけでは判断せず各規定で確認する対象にしています。例えば、高圧又は特別高圧の電路と変圧器によって結合される、使用電圧300V超の低圧電路は第3項の対象です。

通常のビルで6,600Vから400Vへ変圧し、電気室の外にある乾燥した作業室の機器へ給電する場合を考えます。第3項ただし書等の例外がなければ、乾燥していることだけを理由に地絡遮断装置を省略できません。400Vも低圧ですが、第1項の場所の例外をそのまま使う電路ではないからです。

第3項には、発電所・蓄電所・変電所等の場所の電路や、所定の電気炉等の専用電路について別の除外があります。また第5項には、停止が公共の安全を妨げる所定の機器について、技術員駐在所への地絡警報を条件とする扱いがあります。「重要な設備だから止めない」と独自に省略するのではなく、該当する条件を確認します。

漏電保護と接地工事も、それぞれの規定で判定します。地絡遮断装置を省略できる条件を満たしたことだけで、外箱の接地も不要になるわけではありません。接地の基本は接地工事の種類と省略条件で復習できます。

5.理解度チェック:条件を読んで4問

各問は五肢択一です。幹線の計算では、第148条第1項第3号の需要率・力率等による修正を使いません。遮断器の問題では電流減少係数の適用を要しない施設条件とし、I′W=IWです。

第1問:電動機等とその他の負荷が同じ大きさ

ある低圧幹線部分を通じて供給する電動機等の定格電流の合計は42A、その他の機器の定格電流の合計も42Aである。第148条第1項第2号による、電線に必要な許容電流の最低値はどれか。

  1. (1)42A
  2. (2)88.2A
  3. (3)84A
  4. (4)94.5A
  5. (5)105A

第2問:50Aちょうどと50A超

低圧幹線Pでは電動機等50A・その他12A、Qでは電動機等52A・その他12Aが接続される。第148条第1項第2号による、必要許容電流の最低値の組合せとして正しいものはどれか。

  1. (1)P:62A、Q:64A
  2. (2)P:67A、Q:69.2A
  3. (3)P:74.5A、Q:77A
  4. (4)P:77.5A、Q:70.4A
  5. (5)P:74.5A、Q:69.2A

第3問:遮断器を2.5倍だけで決めない

電動機等32A・その他14Aが接続される低圧幹線の許容電流は60Aである。第148条第1項第5号ただし書イ・ロによる遮断器の定格電流の計算上の上限はどれか。標準定格への切上げは行わず、個別製品の選定ではなく上限値を問う。

  1. (1)54A
  2. (2)110A
  3. (3)150A
  4. (4)138A
  5. (5)96A

第4問:場所の例外と400Vの電路

次の金属製外箱を持つ機器A・B・Cへの給電電路を確認する。A・Bは第36条第1項の対象で第2項による別規定の対象ではない。Cは通常のビルの作業室にあり、第3項の対象である。記載した条件以外の省略条件はなく、第5項等の特例も使わない。地絡時の自動遮断装置を施設すべき電路はどれか。

  • A:使用電圧200V、対地電圧100V。湿気はあるが水気のある場所ではない。D種接地の接地抵抗値は10Ω。
  • B:使用電圧200V、対地電圧200V。水気のある場所。D種接地の接地抵抗値は10Ω。
  • C:6,600Vの電路と変圧器で結合された使用電圧400Vの低圧電路。機器は乾燥した作業室にあり、発電所・蓄電所・変電所等の電路、所定の電気炉等の専用電路には該当しない。
  1. (1)Aだけ
  2. (2)Bだけ
  3. (3)AとBだけ
  4. (4)BとCだけ
  5. (5)A・B・Cすべて

6.復習の順番と公式確認先

電線を選ぶときは負荷の大小→50Aの境界→必要許容電流、遮断器は原則→負荷側と電線側の上限→例外、漏電保護は対象電路→機器と場所の条件→適用する例外という順番で考えてください。

根拠となる資料と確認箇所は次のとおりです。試験では試験実施機関の指定する法令の基準日も確認してください。

  • e-Gov「電気設備に関する技術基準を定める省令」:第14・15条(過電流・地絡保護)、第56・57条(配線)、第63・64条(幹線等と地絡保護)。
  • 経済産業省「電気設備の技術基準の解釈」:第36条(地絡遮断装置)、第146条(許容電流)、第148条(低圧幹線)、第149条(分岐回路)。
  • 経済産業省「電気設備の技術基準の解釈の解説」:第36条と第148条。特に第148条第1項第2・3・5号の解説(係数の理由、電流値の修正、遮断器選定)。

補助資料として、日本電気技術者協会の「過電流や地絡時の自動遮断器の性能と施設」も参照できます。掲載時点の解説のため、具体的な適用条件は現行の省令・解釈本文を優先してください。

法令確認日:2026年11月7日。本文・比較表・問題は独自作成です。運営者は資格を独学中の個人です。

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