この記事で分かること
- 安全弁の設定圧力と「最高使用圧力の3%増」の正しい関係
- ガラス水面計で蒸気側・水側の通路を別々に確かめる理由
- 間欠吹出しと連続吹出しの違い、2個の吹出し弁の操作順
- 試験で覚える原則と、実機で取扱説明書を優先する範囲
結論:附属品の取扱いは、単に弁を開閉する暗記ではありません。安全弁は過圧を逃がせるか、水面計は蒸気側と水側の両方が通じているか、吹出し装置は水位を失わずに濃縮水や沈殿物を排出できるかを確認する操作です。
高温・高圧の蒸気やボイラー水を放出するため、この記事は試験原則の整理に使い、実機では必ず製造者の取扱説明書、事業場の作業手順、ボイラー取扱作業主任者の指示を優先してください。
公式資料の確認先
- 厚生労働省:ボイラー及び圧力容器安全規則 第25・28条
- 厚生労働省:ボイラー構造規格 第62・69〜72・78・79条
- 安全衛生技術試験協会:令和8年4月掲載 二級ボイラー技士公表問題(PDF)
- 安全衛生技術試験協会:水面測定装置・安全弁・吹出しの公表問題(PDF)
法令・公表問題確認日:2026年7月28日。法令が示す管理原則と、機種ごとの具体的な操作手順を分けて確認しましょう。
3つの操作は「確かめるもの」が違う
| 対象 | 確かめること | 異常を放置した結果 |
|---|---|---|
| 安全弁 | 所定圧力で開き、圧力低下後に閉じる | 過圧、蒸気漏れ |
| 水面計 | 蒸気側・水側通路と水位復帰 | 偽水位、低水位事故 |
| 吹出し装置 | 濃縮水・スラッジを安全に排出 | キャリオーバ、腐食、過熱 |
ボイラー及び圧力容器安全規則第25条は、作業主任者の職務として、安全弁の機能保持、水面測定装置の機能点検、適宜の吹出しを並べて定めています。頻度も方法も同じではなく、それぞれの失敗モードに合わせて管理するということですね。
安全弁は設定圧力と吹止まりを確認する
安全弁は通常の圧力調節に使う弁ではなく、圧力制御が失敗したときにボイラーを守る最後の保護装置です。ボイラー則第28条では、安全弁を原則として最高使用圧力以下で作動するよう調整することを求めています。
安全弁が1個
最高使用圧力以下で作動
安全弁が2個以上
1個を最高使用圧力以下にすれば、他は3%増以下まで設定可能
「2個ある安全弁は、必ず1個を3%高く設定する」という意味ではありません。3%増は許容される上限です。また、伝熱面積50m²以下の蒸気ボイラーは安全弁を1個とできるため、「蒸気ボイラーは必ず2個」も誤りです。
調整試験で見る4つの値
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 設定圧力 | 安全弁に定める作動圧力 |
| 吹出し圧力 | 安全弁が作動して蒸気を放出し始める圧力 |
| 吹止まり圧力 | 圧力低下後、安全弁が閉じる圧力 |
| 吹下がり | 吹出し圧力と吹止まり圧力の差 |
試験では、調整ボルトを所定位置に設定し、圧力をゆっくり上げて吹出し圧力と吹止まり圧力を確認します。設定圧力で作動しない場合や調整が必要な場合は、いったん圧力を設定圧力の約80%まで下げてから扱います。高い圧力のまま調整部へ近づかないためです。
調整ボルトを締めれば、ばねが弁体を押す力が増えて吹出し圧力は上がり、緩めれば下がります。ただし、これは試験知識です。実機の安全弁を運転者が自己判断で回す手順ではありません。調整後の封印、整備、検査は法定検査や製造者の手順に沿って行います。
過熱器用安全弁:胴の安全弁より先に作動させます。過熱器の出口付近で蒸気流れを確保し、蒸気が流れない状態で過熱器管が高温になるのを防ぐためです。エコノマイザの逃がし弁は反対に、必要がある場合はボイラー本体の安全弁より高い圧力で作動するよう調整します。
水面計の機能試験は2本の通路を別々に調べる
ガラス管に水が見えていても、それだけで正しい水位とは限りません。蒸気側または水側の連絡管が閉塞すると、ガラス内だけに水が残る「偽水位」が起こり得ます。機能試験では、水だけが出るか、蒸気だけが出るか、水位が速やかに戻るかを分けて確かめます。
法定頻度
原則は1日1回以上です。所定の技術指針への適合について認定を受けた自動制御ボイラーに限り、3日に1回以上とできる例外があります。単に「自動運転だから3日に1回」でよいわけではありません。
蒸気圧力があるときの基本フロー
1 気水を排出
蒸気・水コックを閉じ、ドレンを開いてガラス内を空にする
2 水側を確認
水コックだけを開き、水の噴出状態を確認して閉じる
3 蒸気側を確認
蒸気コックだけを開き、蒸気の噴出状態を確認して閉じる
4 水位を復帰
ドレンを閉じ、蒸気側を少しずつ開き、次に水側を開いて戻りを見る
この順序は一般的な丸形ガラス水面計を想定した試験原則です。一つのレバーで操作する水面計や自動閉止球付きなど構造が異なる機種では、ハンドル位置も手順も変わります。保護具を着け、ガラスの正面を避け、蒸気・熱水の排出先を確認してから製造者手順どおりに行います。
「いつ行うか」も試験に出る
- 休止中のボイラーを稼働させるとき
- ガラス管の取替えなど、水面計を補修したとき
- 取扱い担当者が交替し、次の担当者が引き継いだとき
- プライミングやフォーミングが起き、水位表示の信頼性を確認したいとき
水位がかすかに上下しているのは、蒸発に伴う正常な動きとして扱われるため、それだけで異常とは限りません。反対に水位が全く動かない、2個の水面計が一致しない、復帰が遅い場合は閉塞やコック位置を疑います。
吹出しは水質管理と沈殿物排出を分けて考える
給水中の不純物は蒸気と一緒には出にくいため、蒸発が続くほどボイラー水に濃縮します。濃度が高すぎればフォーミングやキャリオーバ、腐食につながり、沈殿物が付着すれば循環不良や局部過熱の原因になります。
| 方式 | 主な目的 | 特徴 |
|---|---|---|
| 間欠吹出し | 底部のスラッジ排出 | 短時間、操作中は水位を監視 |
| 連続吹出し | 溶解成分の濃度管理 | 少量を連続排出し、量を調節 |
2個の吹出し弁は急開弁と漸開弁を使い分ける
ボイラーに近い側:急開弁
全開・全閉で使い、弁座を絞り流れによる摩耗から守る
下流側:漸開弁
徐々に開閉し、吹出し流量を制御する
2個を直列に設けた一般的な構成では、開くときは急開弁を全開にしてから漸開弁を徐々に開く、閉じるときは漸開弁を先に閉じてから急開弁を閉じると整理します。旧本文のように「吹出し弁を素早く全開」と一括りにすると、漸開弁まで急操作するように読めるため危険です。
間欠吹出し前後の確認
- 前:低負荷、やや高めの水位、排出先、弁・配管、連絡方法を確認
- 中:水面計を連続監視し、操作以外の作業をしない
- 後:2個の弁の閉止、水位復帰、漏れ・詰まり、吹出し記録を確認
炉筒煙管ボイラーの吹出しは高負荷時を避け、負荷が低いときに行います。鋳鉄製蒸気ボイラーは燃焼をしばらく停止してから水の一部を入れ替えます。水冷壁の吹出しは運転中に行いません。操作位置から水面計が見えない場合は、監視者と確実に合図しながら行います。
実機で固定時間を使わない:「必ず5秒」「毎日同じ回数」と一律に決めると、容量・圧力・水質・弁口径の違いを無視します。吹出し量と頻度は、缶水の分析値、電気伝導率、製造者の管理基準、事業場の水質管理計画で決めます。
理解度チェック
【問1】安全弁が2個以上ある場合の法令上の調整として適切なものはどれですか。
(1) 全て最高使用圧力の10%増
(2) 1個を最高使用圧力以下にすれば、他は3%増以下まで設定できる
(3) 全て常用圧力の50%
(4) 過熱器用を胴より後に作動
(5) 安全弁は調整不要
【問2】水面計の機能試験で、水側通路の閉塞を確かめる操作はどれですか。
(1) 水コックだけを開いて噴出を確認
(2) 安全弁を固定
(3) 蒸気・水コックを閉じたまま終了
(4) 圧力計を外す
(5) 主蒸気弁を急開
【問3】直列2弁式の吹出し装置を閉じる順序として適切なものはどれですか。
(1) 急開弁を先に閉じ、漸開弁を後に閉じる
(2) 漸開弁を先に閉じ、急開弁を後に閉じる
(3) 両方を半開で止める
(4) 急開弁だけ閉じる
(5) 順序はない
【問4】水面計に水位が見えていても機能試験が必要な本質的理由はどれですか。
(1) ガラスの色を変えるため
(2) 蒸気圧力を上げるため
(3) 連絡管閉塞による偽水位を見抜くため
(4) ボイラー水を全量排出するため
(5) 安全弁を作動させるため
関連学習とまとめ
安全弁は「作動圧力と閉止」、水面計は「2本の通路と水位復帰」、吹出しは「濃度・沈殿物と水位」を確認します。操作順を覚えるときも、何を守るための順番かまで結び付ければ、似た選択肢を見分けやすくなります。
最終更新日:2026年7月28日
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