ボイラーの構造

【二級ボイラー技士・構造】給水・吹出し・蒸気トラップ・送気系統

この記事で分かること

  • 給水装置を2個備える条件と、給水弁・逆止め弁の法定要件
  • 吹出し装置が沈殿物を排出する仕組みと、連続吹出しとの違い
  • 蒸気トラップを作動原理から3分類する方法
  • 蒸気止め弁、ドレン抜き、気水分離器、減圧弁の役割

結論:給水装置は水位を保ち、吹出し装置は濃縮水や沈殿物を外へ出し、蒸気トラップはドレンと空気を排出しながら生蒸気の漏れを抑えます。送気系統は、蒸気を止める・ドレンを抜く・必要圧力へ調整するための配管と機器です。名称だけでなく、水・蒸気・ドレンがどちらへ流れるかで整理すると混同しません。

公式・技術情報の確認先

現行規格・公開資料確認日:2026年7月26日。実設備の操作は、製造者の取扱説明書と事業場の手順を優先してください。

4系統を「入口・ボイラー・出口」で配置する

給水側

受水・給水処理
→ ポンプ → ボイラー

ボイラー水側

濃縮水・沈殿物
→ 吹出し

蒸気出口側

蒸気止め弁
→ 使用設備

ドレン側

分離・集合
→ トラップ → 回収

給水はボイラーへ入る流れ、吹出しはボイラー水が外へ出る流れです。送気された蒸気の一部は放熱してドレンになり、蒸気トラップから排出・回収されます。この一周を先に描くと、各弁の役割がつながります。

給水装置:最大蒸発量と法定個数を分ける

蒸気を外へ送れば、ボイラー内の水は減ります。給水装置はボイラー圧力に打ち勝つ圧力で給水し、水位を保つ装置です。現行のボイラー構造規格第73条では、蒸気ボイラーに最大蒸発量以上を給水できる給水装置を備えることが基本です。

条件 給水装置の考え方
一般の蒸気ボイラー 最大蒸発量以上を給水できる装置を備える
燃料遮断後も熱供給が続く、または所定の低水位燃料遮断装置がない 原則として、各々が単独で最大蒸発量以上を給水できる装置を2個備える
燃料遮断後も熱供給が続くもの 2装置をそれぞれ別の動力で運転できるようにする

「すべてのボイラーは必ず給水装置2個」ではありません。試験では、最大蒸発量、熱供給が残るか、低水位燃料遮断装置があるかを読んで判断します。複数ポンプを結合した給水装置には能力の特例もあるため、実設備は検査証・系統図・仕様書で確認します。

ディフューザポンプとインジェクタ

遠心式の給水ポンプは、羽根車で水に速度を与え、ケーシングや案内羽根で圧力へ変換します。ディフューザポンプは案内羽根を持ち、多段化して高い吐出圧力を得る形式があります。

令和8年4月掲載の公表問題では、ディフューザポンプは運転前にポンプ・配管内の空気を抜き、吸込み弁を全開、吐出し弁を全閉として起動し、運転停止時は吐出し弁を徐々に閉じてから電動機を止める点が確認されています。実機では製造者手順を優先します。

インジェクタは、ボイラー蒸気をノズルから噴出し、給水を吸引・混合して圧力を高める装置です。電動機を使わない利点がありますが、作動できる蒸気圧力や給水温度に範囲があるため、形式・仕様を確認します。

給水弁と逆止め弁

第75条では、給水管の蒸気ボイラーに近接した位置へ給水弁と逆止め弁を取り付けます。逆止め弁はボイラー水の逆流を防ぎ、給水弁は給水を止める役割です。ただし、貫流ボイラーと最高使用圧力0.1MPa未満の蒸気ボイラーは給水弁だけとすることができます。

確認のコツ:試験で一般的な配置を問われたら「ボイラーに近い側が給水弁、その外側が逆止め弁」と整理します。ただし、法令条文は両者の設置を定めるため、現場では承認図・配管図と弁の流れ方向を確認してください。

吹出し装置:沈殿物と濃縮水を外へ出す

給水が蒸発すると、水に含まれる溶解成分や懸濁物はボイラー水側へ残り、濃縮します。吹出しはボイラー水の一部を排出し、水質を管理してスケール、スラッジ、キャリオーバのリスクを抑える操作です。

底部・間欠吹出し

低部のスラッジなど、沈殿物の排出を主目的に必要時に行う。

連続吹出し

溶解成分が濃くなったボイラー水を一定量抜き、水質を連続的に調整する。

構造規格第78条では、多管式以外の貫流ボイラーを除く蒸気ボイラーに、沈殿物を排出できる吹出し管と吹出し弁または吹出しコックを備えます。吹出し弁は沈殿物がたまらず、安全上必要な強度を持つ構造とします。

安全上の注意:吹出し水は高温・高圧です。弁の開閉順序、運転中に行うか停止後に行うか、時間、排出先は設備ごとに異なります。「短時間ならよい」と自己判断せず、取扱説明書・水質基準・作業手順に従います。操作の学習は「附属品の取扱い」で確認してください。

蒸気トラップ:作動原理を3分類する

蒸気配管や蒸気使用設備では、放熱によって蒸気がドレンへ変わります。スチームトラップは、ドレンと空気などの不凝縮ガスを排出し、生蒸気の漏れを抑える自動弁です。「蒸気を絶対に一切通さない」と考えるのではなく、正常作動と漏れ・閉塞を点検します。

分類 代表形式 利用する違い
メカニカル フロート式、バケット式 蒸気とドレンの密度差・浮力
サーモスタティック バイメタル式、ベローズ式 蒸気とドレンの温度差
サーモダイナミック ディスク式 凝縮作用、蒸気とドレンの運動・熱力学的性質の差

公表問題では、温度差を使うものとしてバイメタル式とベローズ式を選ばせています。フロート・バケットは浮力、ディスクはサーモダイナミックと分類すれば見分けられます。

トラップ異常を流れから見分ける

開き放し・蒸気漏れ

生蒸気を失い、回収配管の温度・背圧・エネルギー損失が増える。

閉塞・閉じ放し

ドレンが滞留し、加熱不良やウォーターハンマーの原因になる。

正常確認

温度だけで断定せず、作動音・超音波・温度・排出状態を仕様と照合する。

送気系統:蒸気止め弁とドレン処理

蒸気止め弁はボイラーの蒸気出口で送気を止める弁です。構造規格第77条は、最高使用圧力と最高蒸気温度に耐えること、ドレンがたまる位置に設ける場合はドレン抜きを備えることを求めています。過熱器にもドレン抜きが必要です。

蒸気配管では、保温、熱膨張の吸収、適切な勾配とドレンポケット、気水分離器、トラップを組み合わせます。減圧弁は一次側圧力や負荷が変わっても二次側を設定圧力へ調整する弁ですが、蒸気を完全に遮断する止め弁の代わりではありません。二次側の安全弁・圧力計などを含む実際の構成は、設計図と機器仕様で確認します。

実設備で追う順番

  1. P&ID・配管系統図で給水、蒸気、ドレン、吹出しの流れを色分けする
  2. ポンプ銘板と性能曲線、弁の流れ方向、常用位置を確認する
  3. 吹出し手順と水質管理値、排出先の冷却・減圧方法を確認する
  4. トラップ台帳で形式、用途、差圧、点検結果を確認する

理解度チェック

【問1】現行のボイラー構造規格で、一般の蒸気ボイラーの給水装置にまず求められる能力はどれですか。

(1) 最大蒸発量の10%以上
(2) 最大蒸発量の50%以上
(3) 最大蒸発量以上
(4) 伝熱面積と同じ数値
(5) 能力規定はない

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正解:(3)
最大蒸発量以上を給水できる給水装置が基本です。2装置が必要となる条件は別に読み分けます。

【問2】貫流ボイラーと最高使用圧力0.1MPa未満の蒸気ボイラーで省略できるものはどれですか。

(1) 給水弁
(2) 逆止め弁
(3) 給水管
(4) 水処理
(5) 最大蒸発量の表示

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正解:(2)
この場合は給水弁だけとすることができます。

【問3】蒸気とドレンの温度差を利用するトラップの組合せはどれですか。

(1) フロート式とバケット式
(2) バイメタル式とベローズ式
(3) ディスク式とフロート式
(4) オリフィス式とバケット式
(5) すべて同じ原理

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正解:(2)
両者はサーモスタティック式です。フロート・バケットは浮力を利用します。

【問4】蒸気止め弁をドレンがたまる位置に設ける場合、必要なものはどれですか。

(1) 火格子
(2) 水面計
(3) ドレン抜き
(4) 逃がし管
(5) インジェクタ

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正解:(3)
構造規格第77条はドレン抜きを求めています。

関連学習とまとめ

入口側は給水、ボイラー水側は吹出し、出口側は送気とドレン処理です。給水装置の個数は条件で変わり、トラップは浮力・温度差・熱力学的性質のどれを使うかで分類します。実設備は系統図から流れを追うのが確実です。

最終更新日:2026年7月26日

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