ミニテスト

圧力限界・水圧試験・底部構造から鋳鉄製ボイラーを判定する問題5問【第1回】

この5問で身につくこと

  • 鋳鉄製にできる蒸気・温水ボイラーの限界を判定する
  • ニップルと締付けボルトの役割を区別する
  • 最高使用圧力から水圧試験圧力を計算する
  • 底部構造と熱媒体からボイラーの種類を見分ける

結論:鋳鉄製ボイラーは、複数のセクションを組み合わせる低圧用途のボイラーです。判定では、材質名だけでなく蒸気か温水か、最高使用圧力と温度、底部が水冷されるかを順に確認します。

ハートフォード式連結法や温水設備を含む全体像は「鋳鉄製・特殊ボイラー|ハートフォード式と温水設備」で確認できます。

セクションはニップルと締付けボルトで一体化する

前部
セクション
ニップル
+ボルト
中間
セクション
ニップル
+ボルト
後部
セクション
部品 主な役割
セクション 水側・燃焼ガス側の通路を持つ鋳物の区画
ニップル 隣り合うセクションの水側通路を連結
締付けボルト セクション全体を機械的に締め付けて一体化

「ボルトだけで水路まで接続する」と考えるのは不正確です。ボイラー構造規格第90条は鋳鉄製ボイラーを組合せ式とするよう定めています。容量展開や搬入に向く一方、使用者が現場判断でセクション数を自由に変えてよいという意味ではありません。

現行規格の圧力・温度限界を同時に見る

ボイラー構造規格第88条では、次の範囲を超えるボイラーを鋳鉄製としてはならないとしています。

対象 限界 判定の注意
蒸気 0.1MPa以下 圧力を確認
温水 0.5MPa以下 所定の破壊試験時は1MPaまで
温水温度 120℃以下 圧力条件も満たす

温水ボイラーは、圧力と温度の両方を満たす必要があります。たとえば0.48MPaでも121℃なら温度限界を超えます。逆に118℃でも0.52MPaなら、所定の破壊試験による例外がない通常の判定では圧力限界を超えます。

水圧試験は対象ごとに計算方法が違う

ボイラー構造規格第93条は、組み立てたボイラーだけでなく、組合せ前のセクションにも水圧試験を求めています。

試験対象 試験圧力
蒸気ボイラー 0.2MPa
温水ボイラー 最高使用圧力の1.5倍(0.2MPa未満なら0.2MPa)
セクション 最高使用圧力0.2MPa以下なら0.4MPa、超えるなら2倍

最高使用圧力0.16MPaの温水ボイラーなら、0.16×1.5=0.24MPaです。0.2MPaを上回るので、そのまま0.24MPaを用います。一方、0.10×1.5=0.15MPaでは最低値を下回るため0.2MPaです。

底部は水冷か耐火材かで見分ける

ウェットボトム
底部を水を含むセクションで囲む。底部耐火材を必要としない。
ドライボトム
底部が水冷されない。高温から構造物を守る耐火材を用いる。

「ウェット」は床が濡れているという意味ではなく、底部がボイラー水で冷却される構造を表します。ドライボトムでは、停止・冷却後に耐火材の亀裂、脱落、損耗を確認します。

ハートフォード式と特殊ボイラーを混同しない

ハートフォード式連結法は、主に重力還水式の暖房用鋳鉄製蒸気ボイラーで、返り管破損時の水流出を接続高さ付近で止め、低水位事故を防ぐ配管法です。熱源や材質を表すボイラー形式名ではありません。

種類 見分ける中心
廃熱ボイラー 他設備の高温排ガスを利用
特殊燃料ボイラー 黒液・廃棄物などを燃料に利用
熱媒ボイラー 水・蒸気以外の有機熱媒などを加熱
電気ボイラー 電気を熱源とし、燃焼ガスを生じない

公式資料の確認先

構造規格・試験情報確認日:2026年7月30日。問題文、数値事例、計算例、比較表は独自作成し、公表試験の設問本文や外部図表は転載していません。

鋳鉄製ボイラー・特殊ボイラー ミニテスト

第1回 第2回 第3回

第1問:圧力と温度から鋳鉄製の可否を判定する

【問1】所定の破壊試験による特例を用いないものとして、現行のボイラー構造規格上、鋳鉄製にできる条件はどれですか。

(1) 蒸気ボイラー、使用圧力0.12MPa
(2) 温水ボイラー、使用圧力0.48MPa・温水温度121℃
(3) 温水ボイラー、使用圧力0.48MPa・温水温度118℃
(4) 温水ボイラー、使用圧力0.52MPa・温水温度110℃
(5) 蒸気ボイラー、使用圧力0.30MPa

解答を見る

正解:(3)
温水ボイラーは、通常の判定では0.5MPa以下かつ120℃以下の両方を満たす必要があります。(2)は温度、(4)は圧力が上限を超えます。蒸気ボイラーは0.1MPa以下なので、(1)と(5)は鋳鉄製にできません。

第2問:ニップルとボルトの役割を分ける

【問2】鋳鉄製ボイラーの組合せ構造で、ニップルと締付けボルトの役割の組合せとして最も適切なものはどれですか。

(1) ニップルが水側通路を連結し、締付けボルトがセクションを一体化する
(2) ニップルが燃料を噴霧し、締付けボルトが水位を測る
(3) ニップルが蒸気圧力を調整し、締付けボルトが排ガスを浄化する
(4) ニップルが安全弁となり、締付けボルトが温度を制御する
(5) 両方とも燃焼ガスを送る送風装置である

解答を見る

正解:(1)
隣り合うセクションの水側通路はニップルでつなぎ、全体を締付けボルトで一体化します。「セクションをボルトで組む」だけで終わらず、水路を連続させる部品まで区別しましょう。

第3問:温水ボイラーの水圧試験圧力を計算する

【問3】最高使用圧力0.16MPaの鋳鉄製温水ボイラーを、組合せ後に水圧試験します。ボイラー構造規格上の試験圧力はどれですか。

(1) 0.16MPa
(2) 0.20MPa
(3) 0.24MPa
(4) 0.32MPa
(5) 0.40MPa

解答を見る

正解:(3)
温水ボイラーの水圧試験は、最高使用圧力の1.5倍です。0.16×1.5=0.24MPaとなります。計算値が0.2MPa未満なら0.2MPaを用いますが、今回は上回っているため0.24MPaです。組合せ前のセクション試験とは基準が別です。

第4問:底部の構造を判定する

【問4】鋳鉄製ボイラーの炉底が、水を含むセクションで囲まれており、底部耐火材を必要としない構造です。この形式として最も適切なものはどれですか。

(1) ウェットボトム
(2) ドライボトム
(3) ドライバック
(4) ランカシャ
(5) 貫流式

解答を見る

正解:(1)
底部が水を含むセクションで囲まれ、水冷されるのがウェットボトムです。水冷されない底部に耐火材を用いるのがドライボトムです。炉筒煙管ボイラーの後部反転室を表すドライバックとは、対象部位が違います。

第5問:循環する媒体から特殊ボイラーを判定する

【問5】ある加熱設備では、水や蒸気ではなく有機熱媒を加熱し、製造工程へ循環させています。このボイラーの分類として最も適切なものはどれですか。

(1) 熱媒ボイラー
(2) 廃熱ボイラー
(3) 鋳鉄製蒸気ボイラー
(4) 炉筒煙管ボイラー
(5) 電気温水器

解答を見る

正解:(1)
水・蒸気以外の有機熱媒などを加熱するので、熱媒ボイラーです。温水ボイラーとの違いは媒体です。廃熱ボイラーは他設備の高温排ガスなどを熱源として利用する分類で、判定軸が異なります。

採点結果と誤答別の復習先

正解数 次の行動
5問 第2回へ進み、配管と附属品を追加練習
3〜4問 数値表と底部比較を再確認
0〜2問 組合せ構造から順に復習
  • 問1・3を誤答:限界値と水圧試験値を分けて整理
  • 問2を誤答:ニップルは水路、ボルトは締付け
  • 問4・5を誤答:水冷の有無と熱媒体を判定軸にする

次の練習と学習ルート

まとめ

鋳鉄製ボイラーは、セクションの水路をニップルで連結し、締付けボルトで一体化する組合せ式です。現行規格では、蒸気は0.1MPa以下、温水は原則0.5MPa以下かつ120℃以下という限界を確認します。

水圧試験は対象ごとに基準が異なります。外観では、底部が水冷されるウェットボトムと耐火材を使うドライボトムを区別し、特殊ボイラーは熱源や熱媒体から判定しましょう。

最終更新日:2026年7月30日

※当サイトの画像にはAI生成のものが含まれており、実際の機器・器具とは外観が異なる場合があります。問題・解答の内容には細心の注意を払っておりますが、誤りが含まれる可能性があります。学習の参考としてご活用いただき、最終的な確認は公式テキスト・法令等で行ってください。当サイトの情報に基づく判断によって生じた損害について、一切の責任を負いかねます。

内容の誤りやお気づきの点がございましたら、お問い合わせフォームよりご連絡いただけますと幸いです。正確な情報をお届けできるよう、随時修正してまいります。

-ミニテスト