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地中送電線路 ミニテスト【第3回】

地中送電線路」のミニテスト第3回(全5問)です。この回は架空送電線路との比較・ケーブルの種類と経年劣化・送電距離の制限・層構成をたどります。

地中送電線路 ミニテスト

第1回 第2回 第3回

テストの使い方

まず自分で答えを考えてから「解答を見る」をタップしてください。間違えた問題は解説記事に戻って確認すると効果的です。

第1問

架空送電線路と比べたときの、地中送電線路の長所として正しいものはどれか。

(1)同じ送電容量なら、建設費を安くできる
(2)事故が起きたとき、故障点を見つけて復旧するのが容易
(3)都市の景観を損なわず、風雪や直撃雷といった気象の影響も受けにくい
(4)熱が逃げやすいので、同じ導体断面積でより大きな電流を流せる
(5)静電容量が小さいので、長距離の送電に向く

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正解:(3)都市の景観を損なわず、風雪や直撃雷といった気象の影響も受けにくい
鉄塔も電線も見えなくなり、用地も要りません。台風や着氷雪で切れず、直撃雷も受けません。ただし直撃を受けないことと、雷と無縁であることは違います。つながっている架空送電線に落ちた雷は、接続点からケーブル側へ入ってきます(第1回の第4問)。(1)掘削・トラフ・マンホールや洞道が要るので、建設費は架空より高くつきます。(2)埋まっていて目で追えないので、電気的な測定で位置を絞ってから掘ります(第2回の第2問)。(4)逆です。土やコンクリートに囲まれているぶん熱が逃げにくく、そこが許容電流を決める制約になります(第2回の第1問)。(5)これも逆で、静電容量は大きくなります(第4問)。長所より、埋めたせいで出てきた制約のほうが問われると考えて読み直してください。

第2問

電力ケーブルの主流がOFケーブルからCVケーブルへ移ってきた理由として、最も適切なものはどれか。

(1)CVのほうが絶縁体の最高許容温度が低く、流せる電流が小さいから
(2)CVは絶縁油を使わないので、給油設備も油圧の監視も要らず、保守が軽いから
(3)CVのほうが絶縁抵抗が低いから
(4)CVのほうが製造が難しく、特殊な用途に限って使われるから
(5)CVのほうが重く、曲げにくいから

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正解:(2)CVは絶縁油を使わないので、給油設備も油圧の監視も要らず、保守が軽いから
OFケーブルは、絶縁油をしみ込ませたクラフト紙を絶縁体とし、油圧をかけて中に空隙をつくらせない方式です。高い電圧に強く、超高圧で長く使われてきました。弱点は絶縁性能ではなく、油を送り込む設備と、油圧を見張り続ける手間のほうにあります。CVの絶縁体は架橋ポリエチレンで、誘電率も誘電正接も小さく、油に関する設備がまるごと不要です。これが置き換わった最大の理由です。(1)向きが逆です。架橋ポリエチレン絶縁の最高許容温度は一般に90 ℃として扱われ、CVが低いことはありません。(3)絶縁抵抗が低いのは絶縁が悪いということで、優れている点になりません。(4)つくりやすく扱いやすいからこそ広まりました。(5)CVのほうが軽く、曲げやすいのが特徴です。ただしCVには固有の弱点があります。次の第3問がそれです。

第3問

CVケーブルの経年劣化として現れる水トリーの説明として、正しいものはどれか。

(1)水中に布設するために、専用の防水構造にしたケーブルのこと
(2)絶縁体にしみ込んだ微小な水滴が、電界のかかっている場所で樹の枝の形に広がっていく劣化現象
(3)ケーブルを水で冷やして許容電流を増やす方式のこと
(4)端末や接続部に施す防水処理そのもののこと
(5)水力発電所で使う専用ケーブルの呼び名

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正解:(2)絶縁体にしみ込んだ微小な水滴が、電界のかかっている場所で樹の枝の形に広がっていく劣化現象
日本電気技術者協会の資料によれば、その正体は0.1〜1 µmほどの水滴が無数に集まったもので、水と電界の両方がそろった場所を選ぶように枝分かれしながら伸びていきます。起点の違いで呼び分け、導体側から出るものを内導水トリー、遮蔽層側から出るものを外導水トリー、絶縁体に混じった異物から左右へ広がって蝶ネクタイの形になるものをボウタイ状水トリーといいます。やっかいなのは、劣化が進んでも測定値が素直に動かない点です。この資料によれば、健全なCVの誘電正接(tanδ)は0.02〜0.05 %ほどにとどまり、劣化が進んでも1 %を上回るような大きな変化は出にくいとされています。そこで診断では、直流漏れ電流の値そのものより時間とともにどう動くかを見ます。健全であれば電流はやがて一定値に落ち着き、異常があると増え続けたり、途中で跳ね上がるキック現象が出たりします。施工の側では、接続部や端末から水と異物を入れないことが最も効きます(第2回の第5問)。(1)(3)(5)はいずれも別のものを指す言葉で、劣化現象ではありません。(4)防水処理は水トリーを防ぐ手立てで、水トリーそのものではありません。

第4問

同じ電圧階級でも、地中ケーブルのほうが架空送電線より送電できる距離が短くなる。その主な理由はどれか。

(1)導体の抵抗が大きく、電圧降下が大きくなるため
(2)絶縁体の絶縁耐力が空気より低く、高い電圧をかけられないため
(3)静電容量が大きく、こう長に比例して充電電流が増えるため
(4)線路のインダクタンスが架空送電線より大きいため
(5)ケーブルが重く、支持する構造物がもたないため

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正解:(3)静電容量が大きく、こう長に比例して充電電流が増えるため
架空送電線では電線と大地が何メートルも離れています。ところがケーブルでは、導体と金属遮蔽層のあいだが絶縁体の厚みしかありません。距離が近いぶん静電容量は桁違いに大きくなり、電圧をかけただけで進み位相の充電電流が流れます。この電流はこう長に比例して増えるので、線路を延ばすほど許容電流に占める充電電流の割合が増え、輸送に使える分が削られます。これが送電距離の実質的な上限です。対策は、進み分を打ち消す分路リアクトルを受電端などに設けることです。実際の値は、解説記事の計算例2と第1回の第2問で追ってください。(1)同じ送電容量なら導体断面積を大きくとるので、抵抗が主な理由にはなりません。(2)逆です。固体の絶縁体は空気より絶縁耐力が高く、数mmの厚みで数万Vを保てます。(4)これも逆で、電流の行きと帰りが近い分、インダクタンスはむしろ小さくなります。(5)地中では、電線が自分の重さを支える役目そのものがありません。

第5問

電力ケーブルのいちばん外側にあるシース(外被)の役割はどれか。

(1)三相の電流を流す4本目の導体として使う
(2)導体と金属遮蔽層のあいだの絶縁を受け持つ
(3)外から入ろうとする水と、掘削などによる機械的な損傷から中身を守る
(4)導体の表面をなめらかにして、電界が一点に集中しないようにする
(5)導体で発生した熱を内側に閉じ込めて、温度を一定に保つ

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正解:(3)外から入ろうとする水と、掘削などによる機械的な損傷から中身を守る
ケーブルの断面は、中心から外へ向かう順に導体・内部半導電層・絶縁体・外部半導電層・金属遮蔽層・シース(外被)という層が重なったものです。シースはその最も外側で、水と外力を止める役です。水を止めることは、そのまま水トリー対策です(第3問)。金属遮蔽層(金属シースと呼ぶこともあります)と、いちばん外側のシース(外被)は別の層です。接地するのは金属遮蔽層のほうで、電界を外へ出さず、地絡電流の帰り道にもなります。そこに渦電流や循環電流が流れればシース損となり、許容電流を下げます(第2回の第1問)。「シース」がどちらの層を指すかを取り違えると、接地の話と防水の話が混ざります。(1)電流を送るのは導体の役です。(2)絶縁を受け持つのは絶縁体です。(4)それは半導電層の役で、導体の表面にあるわずかな凹凸へ電界が集まらないようにするものです。(5)熱は逃がしたいものです。閉じ込めれば温度が上がり、流せる電流はかえって減ります。

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