結論:電気材料は「4つのカテゴリ」で整理できる
電力設備には様々な材料が使われています。電験三種では、それぞれの材料の性質と用途を問う問題がよく出ます。暗記テーマですが、「なぜその材料が使われるのか」を理解すれば自然に覚えられます。
💡 導電材料
電気をよく通す材料
銅・アルミ・銀など
🛡️ 絶縁材料
電気を通さない材料
磁器・ガラス・油など
🧲 磁性材料
磁力に関わる材料
けい素鋼・フェライトなど
💻 半導体材料
導体と絶縁体の中間
シリコン・ゲルマニウム
導電材料
導電材料とは
電気をよく通す材料です。抵抗率が小さいほど導電性能が高くなります。電力設備では、電線・ケーブル・接点・ブラシなどに使われます。
主な導電材料と特性
| 材料 | 導電率 (銀=100%) |
主な用途 |
|---|---|---|
| 銀(Ag) | 100% | 接点材料(導電率最大だが高価) |
| 銅(Cu) | 97% | 電線の主流。導電率が高く加工しやすい |
| 金(Au) | 76% | 接点材料(酸化しにくい) |
| アルミニウム(Al) | 61% | 架空送電線。銅より軽いので長距離送電に有利 |
| タングステン(W) | 31% | 電球のフィラメント。融点が非常に高い(3,380°C) |
試験のコツ:導電率の順番は「銀>銅>金>アルミ」。銅ではなく銀が1位なのがひっかけポイント。また、架空送電線にアルミが使われる理由は「銅より軽い」からです(導電率は銅の方が上)。
抵抗材料
抵抗率が高く、温度による抵抗変化が小さい材料です。抵抗器やヒーターに使われます。
| 材料 | 特徴と用途 |
|---|---|
| ニクロム | 電気ヒーター・電熱器。耐熱性が高い |
| マンガニン | 精密抵抗器。温度係数が極めて小さい |
| コンスタンタン | 熱電対。温度係数が小さく、熱起電力が大きい |
絶縁材料
絶縁材料とは
電気を通さない材料で、電気機器の感電防止や漏電防止に不可欠です。絶縁材料は耐熱クラスによって分類されます。
耐熱クラスと最高許容温度
| 耐熱クラス | 最高許容温度 | 代表的な材料 |
|---|---|---|
| Y種 | 90°C | 木綿、絹、紙(無処理) |
| A種 | 105°C | ワニスを塗った木綿・紙 |
| E種 | 120°C | ポリエステルフィルム |
| B種 | 130°C | マイカ(雲母)、ガラス繊維 |
| F種 | 155°C | シリコーン樹脂+マイカ |
| H種 | 180°C | シリコーン樹脂+ガラス |
| C種 | 180°C超 | マイカ、セラミック、テフロン |
暗記のコツ:「Y-A-E-B-F-H-C」の順番と「90-105-120-130-155-180-180超」の温度をセットで覚えましょう。アルファベット順ではないので注意!
絶縁油
変圧器やOFケーブルに使われる絶縁油(鉱油系)は、絶縁と冷却の両方の役割を果たします。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 役割 | 絶縁 + 冷却(対流で熱を運ぶ) |
| 劣化の原因 | 水分混入・酸化・過熱 |
| 劣化の判定 | 酸価・絶縁破壊電圧・体積抵抗率の測定 |
| 注意点 | PCB(ポリ塩化ビフェニル)は使用禁止 |
磁性材料
磁性材料の分類
磁性材料は軟磁性材料と硬磁性材料に大きく分かれます。
| 分類 | 保磁力 | 透磁率 | 用途 |
|---|---|---|---|
| 軟磁性材料 | 小さい | 大きい | 変圧器・電動機の鉄心。磁化・消磁が容易 |
| 硬磁性材料 | 大きい | 小さい | 永久磁石。一度磁化すると磁力が持続 |
主な磁性材料
| 材料 | 分類 | 特徴と用途 |
|---|---|---|
| けい素鋼板 | 軟磁性 | 変圧器・電動機の鉄心に最も多い。けい素を加えて鉄損を低減 |
| パーマロイ | 軟磁性 | ニッケル-鉄合金。透磁率が非常に高い。計測器の鉄心 |
| フェライト | 軟磁性 | 酸化物系磁性材料。高周波用コアに使用(電気抵抗が高く渦電流損が小さい) |
| アルニコ磁石 | 硬磁性 | アルミ・ニッケル・コバルト合金の永久磁石 |
| ネオジム磁石 | 硬磁性 | 最強の永久磁石。モーター・スピーカーに使用 |
試験のコツ:「鉄心=けい素鋼板=軟磁性」が最重要。けい素(シリコン)を加える理由はヒステリシス損の低減と電気抵抗の増大(=渦電流損の低減)です。
鉄損について
変圧器や電動機の鉄心で発生する損失(鉄損)は、2種類あります。
半導体材料
半導体とは
導体と絶縁体の中間の電気抵抗率を持つ材料です。温度が上がると抵抗が下がる(負の温度特性)のが大きな特徴です(金属は逆に上がる)。
| 材料 | 特徴と用途 |
|---|---|
| シリコン(Si) | 最も広く使われる半導体。ダイオード、トランジスタ、太陽電池 |
| ゲルマニウム(Ge) | 初期の半導体材料。現在は光検出器など特殊用途 |
| ガリウムヒ素(GaAs) | 高周波・高速IC、LED、レーザーダイオード |
| 炭化ケイ素(SiC) | パワー半導体。高温・高電圧に強い。近年注目 |
n型とp型
| 種類 | 添加元素 | 多数キャリア | 覚え方 |
|---|---|---|---|
| n型半導体 | リン(P) ヒ素(As) |
電子(−) | negative の n = 電子がキャリア |
| p型半導体 | ホウ素(B) インジウム(In) |
正孔(+) | positive の p = 正孔がキャリア |
理解度チェック
【第1問】
導電率が最も高い金属はどれか。
(1) 金 (2) 銅 (3) 銀 (4) アルミニウム (5) 鉄
【第2問】
変圧器の鉄心材料として最も多く使われるものはどれか。
(1) パーマロイ (2) フェライト (3) けい素鋼板 (4) アルニコ (5) 純鉄
【第3問】
絶縁材料の耐熱クラスで、最高許容温度 130°C のものはどれか。
(1) A種 (2) E種 (3) B種 (4) F種 (5) H種
【第4問】
架空送電線にアルミニウム導体が広く使われる主な理由として、最も適切なものはどれか。
(1) 銅より導電率が高い
(2) 銅より軽い
(3) 銅より強度が高い
(4) 銅より耐食性が高い
(5) 銅より安定な酸化被膜を形成する
まとめ
- 導電材料:導電率は 銀>銅>金>アルミ。電線は銅、架空送電線はアルミ
- 絶縁材料:耐熱クラス Y-A-E-B-F-H-C(90〜180°C超)
- 絶縁油:変圧器の絶縁+冷却。劣化は酸価・絶縁破壊電圧で判定
- 磁性材料:軟磁性(鉄心用)と硬磁性(永久磁石用)。鉄心はけい素鋼板
- 鉄損:ヒステリシス損(周波数に比例)+渦電流損(周波数²に比例)
- 半導体:シリコンが主流。温度↑で抵抗↓。n型(電子)とp型(正孔)
これで電力科目の全11テーマが完了です。次は「機械科目」に入り、「直流機の構造と原理」から学んでいきます。
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