電力

地中送電線路|許容電流・充電電流・雷サージ透過・故障点測定の計算【電験三種】

地中送電線路は「架空送電線をそのまま地面に埋めたもの」ではありません。埋めた瞬間に、たるみも風圧も着氷雪も直撃雷も消えます。そのかわり、架空では気にしなくてよかった2つのものが前に出てきます。捨てられない熱と、大きすぎる静電容量です。試験に出てくる数字は、ほとんどがこの2つから出てきます。

この記事では、ケーブルの許容電流を「1 mあたり何ワットの熱を捨てられるか」から計算し、CVケーブルの静電容量を寸法から導いて充電電流と充電容量まで求め、架空送電線からケーブルへ雷サージが入るときの透過係数を出し、最後に掘らずに事故点を探すマーレーループ法の式を導きます。式には単位を付けたまま置き、途中で出た数字も丸めずに残します。使う条件はその場で箱に書き出してあるので、電卓を1つ用意すれば同じ値まで自分の手で追えます。

地中にすると、消える問題と現れる問題

ひとつ前のテーマ架空送電線路では、1本の電線が電気を通し、自分の重さと風雪を支え、空気で絶縁し、雷まで逃がしていました。地面に埋めると、この分担が組み替わります。支える役目はほぼ消え、絶縁は空気から固体(絶縁体)に替わり、代わりに熱の逃げ道と静電容量が設計を縛るようになります。

架空で効いていたもの 地中ではどうなるか
たるみ・張力 径間という考え方がなくなるので、弛度の計算そのものが出てこない
風圧・着氷雪 地中なのでかからない。ただし埋設した場所を通る車両の荷重は受ける
直撃雷 直撃は受けない。ただしつながっている架空送電線から入ってくる
絶縁 空気と離隔距離ではなく、絶縁体そのものが受け持つ。だから経年劣化が問題になる
放熱 ここが新しい制約。土やコンクリートに囲まれて熱が逃げにくく、許容電流を決める
静電容量 ここも新しい制約。導体と遮蔽層が数mmの距離にあるので大きく、充電電流が無視できない
事故点の発見 目で見えない。電気的な測定で位置を割り出し、そこを掘る

景観を損なわない、台風や雷で切れにくい、といった長所は確かにあります。ただし試験でそこだけを問われることはまれです。問われるのは右の列、つまり「埋めたせいで新しく出てきた問題」のほうだと考えて読み進めてください。

地中電線に「裸電線」という選択肢はない

出発点は法令です。e-Gov法令検索で読める「電気設備に関する技術基準を定める省令」の第21条は、第1項で架空電線を扱っています。適用されるのは低圧と高圧だけで、使えるものとして挙がっているのは「絶縁電線又はケーブル」。特別高圧の架空送電線が裸電線で張れるのは、この項の対象から外れているからです。

同じ第21条の第2項が、地中電線についてこう定めます。

地中電線(地中電線路の電線をいう。以下同じ。)には、感電のおそれがないよう、使用電圧に応じた絶縁性能を有するケーブルを使用しなければならない。

電圧による限定がなく、しかも「絶縁電線又は」が付いていません。地中電線はどの電圧でもケーブルでなければならない、と読めます。空気と離隔距離で絶縁するという手が土の中では使えない以上、当然といえば当然ですが、架空との条文の違いはそのまま出題の種になります。地中電線路に関係する条文はほかにもあります。

求めていること 現場での姿
第21条第2項 地中電線にはケーブルを使う OFケーブル、CVケーブル、CVTケーブル
第23条第2項 地中箱は取扱者以外が容易に立ち入らないように施設する マンホールの施錠、重い鉄蓋
第30条 他の電線・弱電流電線・管と接近交差するとき、故障時のアーク放電で相手を傷めないように施設する 離隔をとる、堅ろうな隔壁を設ける
第47条第1項 重量物の圧力に耐え、埋設している旨の表示等により掘削工事の影響を受けないように施設する トラフ・防護板、埋設標識シート
第47条第2項 内部で作業ができる地中電線路には防火措置を講じる 洞道内のケーブルを難燃性のものにする

第47条第1項がわざわざ「埋設している旨の表示」を求めている理由は、事故の統計を見ると腑に落ちます。日本電気技術者協会「地中電線路(電力ケーブル)保守管理の要点」は、ケーブル事故の過半が掘削工事などによる損傷と、ケーブルヘッドからの浸水・トラッキングで占められると述べています。ケーブルにとっていちばん怖いのは電気的な過負荷ではなく、他人のショベルだということです。

埋設の深さも決まっています。日本電気技術者協会「地中電線路の布設方式」によれば、直接埋設式では車道など重量物の圧力を受ける場所で1.2 m以上、その他の場所で0.6 m以上とされています。この値は省令そのものではなく、経済産業省が示す「電気設備の技術基準の解釈」に書かれているものです。省令が状態だけを定め、具体的な寸法は解釈が受け持つ、という関係は電気設備技術基準・接地工事で見た構造と同じです。

ケーブルの中身:絶縁体が性格を決める

電力ケーブルは、中心から外へ向かって導体 → 内部半導電層 → 絶縁体 → 外部半導電層 → 金属遮蔽層 → シース(外被)という順に重なっています。半導電層は、導体表面のわずかな凹凸で電界が集中しないよう、電気的になめらかな面をつくるためのものです。金属遮蔽層は電界を外に出さず、地絡電流の帰り道にもなります。シースは水と機械的な損傷からケーブルを守ります。

種類 絶縁体 性格
OFケーブル 絶縁油を含ませたクラフト紙 油圧をかけて絶縁体の中に空隙(ボイド)をつくらせない。高電圧に強く、超高圧で長く使われてきた。ただし給油設備と油圧の監視が要る
CVケーブル 架橋ポリエチレン 誘電率も誘電損も小さく、油が要らないので保守が軽い。日本では昭和40年ごろに3 kVで使われ始め、いまは500 kV級まで使われる
CVTケーブル 架橋ポリエチレン 単心のCVケーブル3本をより合わせたもの。曲げやすく端末処理がしやすいので、ビルの高圧受電などで最もよく見かける

「いまの主流はCV」で止めず、なぜOFが置き換えられたのかまで言えるようにしておくと、選択肢の見え方が変わります。OFは絶縁性能そのものが劣るのではなく、油を張るための設備と、油圧が下がっていないかを見張る手間が要る点が重いのです。

そのCVにも弱点があります。水トリーです。日本電気技術者協会「電力用CVケーブルの絶縁劣化原因と絶縁性能評価方法」によれば、水トリーは絶縁体の中に浸み込んだ0.1〜1 µmの無数の水滴の集まりで、電界と水が同時にある場所で樹枝状に伸びていきます。導体側から伸びる内導水トリー、絶縁体の中の異物を起点に蝶ネクタイの形に広がるボウタイ状水トリー、遮蔽層側から伸びる外導水トリーがあります。

やっかいなのは、劣化しても測定値がはっきり動かないことです。同じ資料は、正常なCVケーブルの誘電正接(tanδ)が0.02〜0.05 %程度で、劣化しても1 %を超えるほどの大きな変化は期待できないと述べています。だから診断は、直流漏れ電流の値そのものより時間に対する動き方を見ます。健全なら電流は時間とともに減って一定値に落ち着き、異常があると増えていったり、途中で跳ね上がる「キック現象」が現れたりします。絶縁の良し悪しを1つの数字で判定しようとすると外す、という分野です。

布設方式:値段の順に並べても、選ぶ理由は出てこない

布設方式は3つです。教科書はたいてい「直接埋設が安く、暗きょが高い」と並べますが、実際に選ぶときに効くのは値段ではなく、回線数・将来の増設・掘り返しやすさ・熱の逃げやすさです。

方式 構造と寸法 向いている場面 弱いところ
直接埋設式 有効幅200〜350 mmの鉄筋コンクリート製トラフなどにケーブルを収めて埋める。深さは重量物の圧力を受ける場所で1.2 m以上、その他で0.6 m以上 1〜3回線と少なく、増設の計画がなく、事故復旧や引替えのための掘削が比較的容易なルート 引替えや修理のたびに道路を掘る。増設に弱い
管路式 鉄筋コンクリート管・鋼管・強化プラスチック管を必要な条数だけ並べ、200〜400 mごとにマンホール(地中箱)を設ける。管径は3心ケーブルでφ100〜150 mm、単心3条を1孔に引き入れる場合でφ200〜300 mm 将来の増設を見込むルート。ケーブルの引替えを掘らずにできる 管の中は空気層があり熱が伝わりにくいので、同じケーブルでも許容電流が下がりやすい
暗きょ式 人が入れるトンネル(洞道)や共同溝に布設する。近年はシールド工法による円形断面が主流 多条数でも1条あたりの送電容量の低下が少なく、防護性がよいので超高圧線路にも採用される 建設費が最も高い。火災対策として難燃性の被覆を持つケーブル、または難燃塗装が要る

暗きょ式で難燃性が求められるのは、さきほどの省令第47条第2項「内部で作業が可能なものには防火措置を講じなければならない」に対応する話です。人が入れる空間だからこそ、燃え広がりが人命に直結します。条文と現場の材料がここで結び付きます。

管路式のマンホールについては、防水性に優れることに加えて、爆発性ガスが侵入するおそれがある1 m3以上のものには通風装置を設けるという決めごとがあります。地下の閉じた空間で作業する以上、電気そのものより先に酸欠と可燃性ガスを心配する、という順番です。

許容電流:地中では「捨てられる熱の量」が電流を決める

ここからが地中送電の本題です。架空送電線なら、風が当たり放射で冷えるので、電流の上限は電線の強度や電圧降下のほうで決まることが多い。ところが地中では話が変わります。日本電気技術者協会「地中ケーブルの許容電流(I)」は、地中ケーブルの許容電流について併設ケーブルの影響が大きく、さらに埋設されている土壌の熱特性によって大きく変化すると述べています。同じ型番のケーブルでも、何条まとめて埋めたか、土が乾いているかで許容電流が変わるのです。

熱を電気の言葉で扱う

計算のしかたは、電気回路とまったく同じ形をしています。温度上昇を電圧、発生した熱を電流、熱の伝わりにくさを抵抗と読み替えるだけです。

ΔθW × Rth [K]

Δθ:温度上昇 [K]/W:1 mあたりの発生熱 [W/m]/Rth:1 mあたりの熱抵抗 [K・m/W]

ケーブルの導体で許される温度は、絶縁体の耐熱で決まります。基準になる周囲の温度(基底温度)は、同じ資料で普通土壌25 ℃とされ、夏と冬で値を変えて許容電流を定める運用もあります。導体の最高許容温度から基底温度を引いた差が、使える温度上昇の持ち分です。

発生する熱は3つあります。ここを1つでも落とすと答えが合いません。

発生熱 中身 負荷との関係
導体損 負荷電流によるジュール損 I2R3心ケーブルなら3倍になる 電流の2乗に比例する
誘電体損 充電容量と誘電正接(tanδ)の積 電圧がかかっていれば、負荷の有無に関係なく発生する
シース損 金属シースに流れる渦電流や循環電流による損失。導体損に増加率を掛けて見積もる 導体損の数%程度

誘電体損だけは負荷に関係なく出続けます。夜中に電流がほとんど流れていなくても、電圧をかけているかぎりケーブルは温まっている。これが架空送電線にはない感覚です。

計算例1|1 mあたり何ワット捨てられるかから、許容電流を出す

条件:3心ケーブル1条を単独で埋設。導体の最高許容温度90 ℃、基底温度25 ℃。ケーブル内部から大地までを合わせた熱抵抗 Rth=1.2 K・m/W。誘電体損は1.2 W/m。シース損は導体損の5%。導体1条あたりの交流実効抵抗は0.10 Ω/km。

許される温度上昇:90-25=65 K

まず、この温度差で捨てられる熱の総量を出します。熱抵抗で割るだけです。

W = ΔθRth = 65 / 1.2 = 約54.2 W/m

このうち1.2 W/mは、電流に関係なく出ている誘電体損に取られます。残りが導体損とシース損の取り分です。

54.2 - 1.2 = 53.0 W/m → 導体損 = 53.0 / 1.05 = 約50.5 W/m

導体損は3心分あるので、1条あたりに直してから電流を求めます。0.10 Ω/kmは1 mあたり 1.0×10−4 Ωです。

50.5 = 3 × I2 × 1.0×10−4 → I2 = 168,333 → I約410 A

この計算のいいところは、どこを変えれば許容電流が動くかがそのまま見えることです。土が乾いて熱抵抗が上がれば、いちばん最初の割り算の答えが小さくなり、以降すべてが縮みます。隣に別のケーブルを並べて埋めれば、互いの熱で温度が上がるので同じことが起きます。逆に、暗きょに強制換気を入れて周囲温度を下げれば、Δθ が増えて許容電流は伸びます。「電流の上限を決めているのはケーブルではなく、その周りの土と空気だ」という見方が身に付けば、この分野の問題はだいたい読めます。熱抵抗が1.2から1.5 K・m/Wに増えたときにどれだけ下がるかは、記事の後半の確認1で数字を出します。

なお、短絡のような一瞬の話は別枠です。短時間なら熱を捨てるひまがなく、導体そのものの熱容量で温度が決まるので、はるかに高い温度まで許されます。日本電気技術者協会「電線・ケーブルの瞬時許容電流」は、CVケーブルの瞬時(短絡時)の最高許容温度を230 ℃としています。このとき効くのは「電流の2乗×時間」が導体断面積の2乗に見合っているか、という関係です。常時の許容電流と短絡時の許容電流は、決まり方からして別物だと分けて覚えてください。

静電容量と充電電流:送電距離を縛っているもの

もうひとつの制約が静電容量です。架空送電線では電線どうしが数m離れていますが、ケーブルでは導体と金属遮蔽層が絶縁体をはさんで数mmしか離れていません。近い相手とのあいだにこそ静電容量ができるので、値は桁で変わります。

単心ケーブルの静電容量は、同軸のコンデンサとして計算できます。

C = 2πε0εr / ln(Dd) [F/m]

ε0:真空の誘電率 8.854×10−12 F/m/εr:絶縁体の比誘電率/D:絶縁体の外径/d:導体の外径

ここで大事なのが、いまの高圧・特別高圧ケーブルは各相がそれぞれ遮蔽されているという点です。日本電気技術者協会「電力ケーブルの静電容量と諸計算」が説明するとおり、遮蔽されていれば線間静電容量は存在せず、対地静電容量がそのまま作用静電容量になります。三相の作用静電容量を求めるのにΔ-Y変換が要るのは、線間容量がある古いベルトケーブルや架空送電線の話です。ケーブルだから難しい、のではなく、ケーブルのほうがむしろ単純だと押さえてください。

計算例2|寸法から静電容量を出し、充電電流までつなげる

条件:導体の外径 d=30 mm、絶縁体の厚さ7 mm、架橋ポリエチレンの比誘電率 εr=2.3。これを22 kVの線路にこう長5 km布設する。周波数は50 Hz。

絶縁体の外径は、導体の外径に厚さを両側ぶん足して D=30+7×2=44 mmです。

C = 2π×8.854×10−12×2.3 / ln(44/30) = 1.280×10−10 / 0.383 = 3.34×10−10 F/m = 約0.33 µF/km

1相あたりの静電容量は 0.33×5=1.65 µF。充電電流を求めるときは、相電圧(線間電圧を√3で割った値)を使います。ここを線間電圧のまま計算すると√3倍ずれます。

E = 22,000 / √3 = 12,702 V

Ic = 2πfCE = 2π×50×1.65×10−6×12,702 = 約6.6 A

三相ぶんの充電容量は、線間電圧と充電電流から求めます。

Qc = √3VIc = √3×22,000×6.6 = 約250 kVA

この250 kVAは、負荷が何もつながっていなくても線路が飲み込む無効電力です。では、同じ22 kV・5 kmを架空送電線でつくったらどうなるか。架空送電線の作用静電容量は電線と大地・他相の距離で決まり、等価線間距離1.5 m、電線半径5 mm程度で0.0097 µF/kmほど。ケーブルの約34分の1です。しかもこの値は距離の対数でしか効かないので、配置を多少変えても0.01 µF/km前後から大きくは動きません。

架空の場合:C=0.0097×5=0.0485 µF → Ic=2π×50×4.85×10−8×12,702=約0.19 A

同じ電圧、同じ距離で、6.6 Aと0.19 A。これが「地中は充電電流が大きい」の中身です。しかも充電電流はこう長に比例して増えます。同じケーブルを50 km引けば約66 Aになります。許容電流が計算例1と同じ410 Aのケーブルだとすれば、その16%を、荷物を運ばない電流が先に占めてしまう。100 kmなら約3割です。送電距離に制限がある、というのはこういう意味です。

正確にいえば、充電電流は線路全体に分布して流れるので、送電端でいちばん大きく、受電端でゼロに近づきます。それでも導体を通る電流は送電端で最大になるので、上の見積もりは効きます。対策としては、進み分を打ち消す分路リアクトルを線路の途中や末端に入れます。軽負荷時に受電端電圧が送電端より高くなるフェランチ効果が、ケーブル系統でとくに問題になるのも同じ理由です。この先は送電の電気的計算電力系統の保護と安定で扱います。

そして充電容量の話は、前の節の熱の話とつながっています。誘電体損は「充電容量×tanδ」で決まるのでした。静電容量が大きいということは、無負荷でも出続ける発熱が大きいということでもあります。地中送電の2つの制約は、別々のものではなく同じ構造から出ています。

雷は上から入ってくる:サージインピーダンスと透過係数

地中ケーブルに雷が直撃することはありません。しかし地中線は必ずどこかで架空送電線とつながっており、そこから雷サージが入ってきます。異なる線路がつながる点では、進行波の一部が進み、一部が跳ね返ります。

そのときに使う値を、日本電気技術者協会「送電線の雷異常電圧とその対策」が示しています。電力ケーブルのサージインピーダンスは30 Ω程度、架空電線は約400 Ω。導体と遮蔽層が近く静電容量が大きいことが、ここでも効いています。

計算例3|架空線から入った雷サージは、ケーブルで何分の1になるか

条件:架空送電線のサージインピーダンス Z1=400 Ω、ケーブルの Z2=30 Ω。架空線を800 kVの進行波が伝わってきて、接続点に達した。

透過係数 = 2Z2/(Z1Z2) = 2×30/430 = 60/430 = 約0.14

ケーブルへ進む電圧 = 800×0.14 = 約112 kV

架空線を伝わってきた電圧の7分の1程度しか入りません。確かめ算として、跳ね返る側も見ておきます。

反射係数 = (Z2Z1)/(Z2Z1) = (30-400)/430 = -0.86

接続点の電圧(架空線側)= 800+(-0.86×800) = 800-688 = 112 kV

両側から計算しても同じ112 kVになりました。接続点で電圧が2つの値を持つことはないので、これは当たり前でなければおかしい。式を覚えているかどうかを、この一致で自分で検算できます。

ただし「7分の1になるから安心」で終わらせてはいけません。同じ資料は、ケーブルに入った電圧が開放端や変圧器に達すると反射し、それを繰り返すうちに、条件によっては架空送電線を伝わってきた電圧より大きくなることがあると注意しています。そのうえで、伝わるあいだに減衰するのでケーブル長が1 km以上あれば到達波以上にはならないとしています。短いケーブルほど反射の往復が速く重なる、と読めます。実際の対策は、接続点への避雷器の設置と、ケーブルの絶縁レベルを上げることです。

架空側で雷がどう扱われるか——架空地線の遮蔽角、塔脚接地抵抗、逆フラッシオーバ——は架空送電線路で数字を追っています。架空で守りきれなかったぶんが、この接続点からケーブルへ入ってくるという順番でつなげて覚えてください。

掘らずに事故点を探す:マーレーループ法と静電容量法

架空送電線なら、事故点はたいてい見て分かります。地中はそうはいきません。どこを掘るかを電気的に決める必要があります。

マーレーループ法は、なぜ2倍するのか

日本電気技術者協会「電力ケーブルの故障点簡易測定法」は、マーレーループ法をホイートストンブリッジの変形と説明しています。地絡した相と健全な相を相手端で短絡してループをつくり、ループ全体の抵抗と、測定端から故障点までの抵抗の比を読み取ります。

ここで手が止まりやすいのが係数の2です。導いてみると迷いません。こう長 L [m]、測定端から故障点までの距離を x [m]、ケーブル1 mあたりの抵抗を r とします。ループは行って帰ってくるので全長は2L、抵抗は r×2L です。ブリッジが目盛 ab で平衡したとき、

abrx/{r(2Lx)} → a(2Lx) = bx → 2aLx(ab)

x = 2L × a/(ab) [m]

1 mあたりの抵抗 r が両辺で消えるので、ケーブルの太さも材質も答えに出てきません。これがこの方法の強みです。ただし途中で導体断面積が変わっている線路では消えないので、同じ資料が言うとおりどれか1種のケーブルに換算してから計算します。測定精度は1%以下と高く、断線を伴わない地絡・短絡の事故に最もよく使われます。

健全相が使えないときは静電容量法

断線していて地絡抵抗が高い場合は、抵抗の比では測れません。そこで長さに比例する別の量、静電容量を使います。

条件 記号
健全相がある LF = (CFCH) × L CF:故障相の静電容量/CH:健全相の静電容量
健全相がない LFCF/(CFCF0) × L CF0:反対の端から測った静電容量

測定するときは、測定端でも相手端でも、測る相以外をすべて接地しておくのが要点です。余計な静電容量が混ざると答えがずれます。地絡抵抗が100 Ω以上あれば実用上測定できるとされています。このほか、パルスを送って反射が返るまでの時間から距離を出す方法もあります。ケーブル中の伝搬速度は光速を√εr で割った値になるので、εr=2.3の架橋ポリエチレンなら約2.0×108 m/s。1 µsで往復するなら距離は約100 m、という見当です(実際は測定器に設定された値を使います)。

事故を起こさないための日常の管理も、この分野の出題対象です。さきほどの保守管理の資料は、絶縁抵抗の測定に1,000 V以上の絶縁抵抗計を使うこと、端末を清掃してガードを取り付けることを挙げています。ケーブル本体よりも、端末と接続部(ジョイント)が弱点になりやすい——これはビルの高圧受電設備でも同じです。

理解度チェック

ここまでに出した3つの計算を、条件を変えてもう一度回してもらいます。問われているのは公式の丸暗記ではなく、与えられた条件のどれを、どの順で式に入れるかです。単位をそろえてから電卓を持ってください。

確認1|土が乾いて熱抵抗が上がると、許容電流はどれだけ下がるか

3心ケーブル1条を埋設しています。導体の最高許容温度は90 ℃、基底温度は25 ℃です。併設と土壌の乾燥により、ケーブル内部から大地までの熱抵抗が1.5 K・m/Wになりました。誘電体損は1.2 W/m、シース損は導体損の5%、導体1条あたりの交流実効抵抗は0.10 Ω/kmです。常時の許容電流に最も近いのはどれですか。

(1)約11.6 A
(2)約366 A
(3)約410 A
(4)約432 A
(5)約633 A

確認2|こう長20 kmのケーブルの充電電流

使用電圧33 kV、こう長20 kmのCVケーブル線路があります。1相あたりの作用静電容量は0.30 µF/km、周波数は50 Hzです。1相に流れる充電電流に最も近いのはどれですか。

(1)約1.8 A
(2)約20.7 A
(3)約35.9 A
(4)約43.1 A
(5)約62.2 A

確認3|マーレーループ法で故障点までの距離を出す

こう長800 mのケーブル線路で地絡事故が起きました。故障相と健全相を相手端で短絡し、マーレーループ法で測定したところ、目盛が a=300、b=700(ab=1,000)で平衡しました。測定端から故障点までの距離に最も近いのはどれですか。ケーブルの太さは全長で同じものとします。

(1)約240 m
(2)約480 m
(3)約686 m
(4)約1,120 m
(5)約1,600 m

押さえどころと、次に読むところ

  • 地中にすると、たるみ・風圧・直撃雷は消える。代わりに放熱と静電容量が設計を縛る。出題されるのはこの2つから出てくる数字である。
  • 省令第21条第2項は、地中電線に電圧を問わずケーブルを求めている。架空の第1項が「低圧又は高圧」に限って「絶縁電線又はケーブル」としているのと対になる。
  • 事故原因の過半は掘削工事による損傷と、端末からの浸水・トラッキング。第47条が埋設表示を求める理由がここにある。
  • いまの主流はCVケーブル。OFが置き換えられたのは絶縁が劣るからではなく、給油設備と油圧監視の手間のため。CVの弱点は水トリーで、tanδは劣化してもあまり動かないので、直流漏れ電流の時間変化で見る。
  • 布設方式は値段だけでは選べない。回線数・増設計画・掘削のしやすさ・熱の逃げやすさで決まる。管路式は引替えが楽な代わりに熱が伝わりにくい。
  • 許容電流はΔθW×Rth で決まる。発生熱は導体損(3心なら3倍)・誘電体損(無負荷でも出る)・シース損の3つ。基底温度は普通土壌で25 ℃。
  • ケーブルは各相が遮蔽されているので、対地静電容量がそのまま作用静電容量になる。充電電流は相電圧で計算し、こう長に比例して増える。
  • 雷は接続点から入る。透過係数 2Z2/(Z1Z2) は、架空400 Ω・ケーブル30 Ωなら約0.14。ただし反射の繰り返しで大きくなることがある。
  • マーレーループ法は x=2L×a/(ab)。2はループが往復だから。答えがこう長を超えたら間違い。

手を動かして確かめる

資料にあたり、条文を確かめたのは2026年9月9日です。本文に置いた熱抵抗・誘電体損・導体抵抗・電圧・こう長・比誘電率・サージインピーダンス・ブリッジの目盛は、計算の道すじを見せるために置いた値で、実在の線路やケーブルの仕様ではありません。計算例に置いた導体の最高許容温度90 ℃は架橋ポリエチレン絶縁で一般に使われている値、短絡時の230 ℃・基底温度25 ℃・管径やトラフの寸法・埋設の深さは引用元が示す値で、実際にはケーブルの規格、布設条数、土壌の熱特性、電圧階級、そのとき有効な法令と電力会社の規程で決まります。架空送電線の作用静電容量として挙げた値も、電線の太さと配置から計算した一例です。演習で迷ったときは、その問題文に書かれている条件だけを根拠にしてください。

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