ボイラーの構造

【二級ボイラー技士・構造】附属品と附属装置②給水装置・吹出し装置・蒸気トラップ・送気系統装置

結論:ボイラーを動かし続けるための「4つの裏方」を覚えよう

前回の記事(「附属品①安全弁・逃がし弁・圧力計・水面測定装置・温度計」)では、ボイラーの異常を監視する「見張り番」たちを学びました。

今回は、ボイラーを安全かつ効率よく運転し続けるための4つの裏方装置を紹介します。

給水装置

ボイラーに水を
送り込む

吹出し装置

ボイラー内の不純物を
排出する

蒸気トラップ

蒸気配管中の
ドレン(水滴)を排出

送気系統装置

蒸気を各設備に
安全に届ける

どれも「地味だけど、これがなければボイラーはまともに動かない」という重要な装置です。試験でも頻出なのでしっかり押さえましょう。

給水装置 ― ボイラーに水を送り込む「ポンプ係」

なぜ給水装置が必要?

蒸気ボイラーは、水を加熱して蒸気を作ります。蒸気はどんどん外に送り出されるので、その分だけ新しい水を補充し続けなければ水位が下がってしまいます。

しかも、ボイラーの内部は高圧です。普通に水を入れようとしても、内部の圧力に押し返されてしまいます。そこで、高い圧力に打ち勝ってボイラーに水を押し込むための装置が給水装置です。

給水ポンプ(主力選手)

現在のボイラーで最も一般的なのが給水ポンプです。電動モーターで駆動するポンプで、水に高い圧力をかけてボイラーに送り込みます。

給水ポンプには主に2種類あります。

種類 しくみ 特徴
遠心ポンプ
(渦巻ポンプ)
羽根車(インペラ)を高速回転させ、遠心力で水に圧力をかける 大量の水を連続的に送れる。最も多く使われる
ディフューザポンプ
(タービンポンプ)
羽根車の周りに案内羽根(ディフューザ)がある 高い圧力を出せる。多段式にしてさらに高圧にできる

現場イメージ:ボイラー室の床にモーターとポンプが一体になった機械が置いてあります。配管がボイラーに向かって伸びていて、運転中は「ウーン」という低い振動音がしています。これが給水ポンプです。ボイラーが運転している間はずっと回り続けて、水を補給し続けています。

インジェクタ(蒸気の力で水を送る)

インジェクタは、ボイラー自身が作った蒸気の勢いを利用して水をボイラーに送り込む装置です。

しくみはこうです。

  1. ボイラーから蒸気を取り出す
  2. 蒸気をノズルから高速で噴き出す
  3. その蒸気の勢いで給水を巻き込んで加速させる
  4. 加速した水がボイラーの圧力に打ち勝って内部に入る

インジェクタは電気がなくても動くのがメリットですが、給水量が少なく効率も低いので、現在では予備の給水手段や小型ボイラーで使われることが多いです。

試験のポイント:給水装置は2系統設置するのが原則です。1台が故障しても、もう1台で給水を継続できるようにするためです。たとえば、給水ポンプ2台、または給水ポンプ1台+インジェクタ1台という組み合わせです。

給水弁と給水逆止め弁

給水装置とボイラーの間には、給水弁給水逆止め弁(ぎゃくどめべん)が取り付けられます。

  • 給水弁:給水の量を調整したり、給水を止めたりするための弁
  • 給水逆止め弁:ボイラーの中の水や蒸気が逆流してこないようにする弁(一方通行にする)

取り付け順序は、ボイラーに近い側から「給水弁 → 給水逆止め弁」の順です。逆止め弁が先にあるおかげで、給水弁を開閉するときにボイラーの圧力が直接かからず、安全に操作できます。

取付け順序を覚えるコツ

ボイラー ←(近い)← 給水弁 ←← 給水逆止め弁 ←(遠い)← 給水ポンプ

「ボイラーの門番(給水弁)は玄関(ボイラー)に近い場所に立っている」とイメージすると覚えやすいです。

吹出し装置(ブロー装置)― ボイラー内の不純物を追い出す「掃除係」

なぜ吹出し(ブロー)が必要?

ボイラーに給水する水には、微量ながら不純物が含まれています。水が蒸気になって出ていっても不純物はボイラーの中に残るので、運転を続けるうちに不純物がどんどん濃くなっていきます

不純物が濃くなると、スケール(水あかのようなもの)がボイラーの内壁に付着したり、スラッジ(泥のような沈殿物)がたまったりして、伝熱効率の低下や腐食の原因になります。

そこで、不純物が濃くなったボイラー水を定期的に排出する操作が「吹出し(ブロー)」で、そのための装置が吹出し装置です。

吹出しの種類

種類 目的 排出場所
間欠吹出し
(底部ブロー)
ボイラー底部にたまったスラッジ(沈殿物)を排出 ボイラーの最低部
連続吹出し
(表面ブロー)
水面付近の濃縮されたボイラー水を連続的に排出 水面付近

現場イメージ:ボイラーの底には排出用の配管があり、その先にブロー弁が付いています。運転員が定期的にこの弁を開けると、「シュー」という音とともに高温のボイラー水が吹き出します。この水は不純物をたっぷり含んでいるので、冷却してから排水設備に流します。新人のビルメンは「ブローは短時間で!」と先輩から教わります。長時間開けすぎると水位が下がりすぎて危険だからです。

吹出し装置の構成

吹出し装置は、以下の部品で構成されます。

  • 吹出し管:ボイラーの底部から外部に伸びる配管
  • 吹出しコック又は吹出し弁:吹出しを開閉するための弁

吹出し弁は、スラッジなどが詰まりにくい構造のもの(仕切弁やY形弁など)を使います。玉形弁(グローブ弁)は流路が複雑で詰まりやすいため、吹出しには向いていません。

大型ボイラーでは、吹出し弁を2個直列(急速開閉弁+漸開弁)に取り付けて、安全性を高めることもあります。

蒸気トラップ ― 蒸気は通さず、水滴だけを排出する「選別係」

蒸気トラップとは?

ボイラーから送り出された蒸気は、配管を通って暖房設備や工場の機械に届けられます。しかし、蒸気が配管を流れる途中で温度が下がると、蒸気の一部が水に戻ります。この水滴をドレン(復水)と言います。

ドレンが配管にたまると、蒸気の流れを妨げたり、配管内で水が勢いよくぶつかるウォーターハンマー(水撃作用)を起こしたりして危険です。

蒸気トラップは、蒸気は通さず、ドレン(水)だけを自動的に排出する装置です。

身近な例:ウォーターハンマーは家庭でも起きます。水道の蛇口を急に閉めたとき「ドン!」と配管が鳴ったことはありませんか?あれが水撃作用です。ボイラーの蒸気配管では、もっと激しいウォーターハンマーが起きることがあり、配管を破損させるほどの衝撃になります。蒸気トラップはこれを防ぐ大切な装置です。

蒸気トラップの主な種類

種類 原理 特徴
バケット式 バケット(容器)の浮力を利用。ドレンがたまるとバケットが沈み弁が開く 構造が丈夫。大量のドレンに対応
フロート式 フロート(浮き)がドレンの水位で上下し、弁を開閉 ドレンを連続排出。動作が安定
サーモスタチック式
(温調式)
蒸気とドレンの温度差を利用。ドレン(蒸気より低温)が来ると弁が開く 小型・軽量。低圧配管向き
ディスク式
(サーモダイナミック式)
蒸気とドレンの流速差を利用。ディスクの上下で弁を開閉 構造が非常にシンプル。小型で安価

現場イメージ:蒸気配管のあちこちに、手のひらくらいの大きさの金属製の装置が取り付けられているのを見かけます。これが蒸気トラップです。正常に動いていると、定期的に「パシュッ」とドレンを排出する音がします。蒸気トラップが故障して蒸気が漏れ続けると、エネルギーの大きなロスになるため、定期的な点検が欠かせません。

送気系統装置 ― 蒸気を各設備に安全に届ける「配送係」

送気系統とは?

ボイラーで作った蒸気を、暖房設備や工場の機械など蒸気を必要とする場所に届けるための配管や弁をまとめて送気系統と呼びます。

主な構成要素は以下のとおりです。

主蒸気弁(しゅじょうきべん)

ボイラーの蒸気出口に取り付ける弁で、蒸気の送出を開閉する最も重要な弁です。ボイラーから蒸気を送り始めるときはこの弁を開き、ボイラーを停止するときは閉じます。

蒸気管(じょうきかん)

蒸気を運ぶための配管です。蒸気は高温・高圧なので、配管には以下の工夫がされています。

  • 保温材で覆う:蒸気の温度低下を防ぎ、エネルギーロスを減らす
  • 伸縮継手:配管が熱で伸びたり縮んだりするのを吸収する
  • 勾配:配管にわずかな傾斜をつけて、ドレンが蒸気トラップに向かって自然に流れるようにする

気水分離器(きすいぶんりき)

蒸気の中に混じっている水滴を分離・除去する装置です。蒸気の品質(乾き度)を高め、蒸気を使う設備のトラブルを防ぎます。

減圧弁(げんあつべん)

ボイラーが作る蒸気の圧力は高いですが、使う側ではもっと低い圧力で十分なことが多いです。減圧弁は、高圧の蒸気を一定の低い圧力に下げて供給するための弁です。

身近な例:ホテルの場合、地下のボイラー室で高圧の蒸気を作り、それを各階の配管を通して届けます。しかし、客室の暖房には高圧蒸気は必要ありません。途中で減圧弁を通して圧力を下げてから各階に送ります。家庭のガス管にも減圧弁(ガバナ)が付いていて、高圧のガスを安全な低圧にしてから家の中に供給しているのと同じ考え方です。

4つの裏方装置を一覧で整理

装置 役割 ポイント
給水装置 ボイラーに水を供給 遠心ポンプが主流。2系統設置が原則
吹出し装置 不純物を排出 間欠ブロー(底部)と連続ブロー(表面)
蒸気トラップ ドレンだけを排出 蒸気は通さず水だけ通す選別装置
送気系統装置 蒸気を各所に配送 主蒸気弁・減圧弁・気水分離器など

🎯 試験で狙われるポイント

  • 給水ポンプ vs インジェクタ — ポンプは電動で主力、インジェクタは蒸気の力で補助用。停電時でもインジェクタは使えない(蒸気が必要)
  • 給水弁と給水逆止め弁の取付け順 — ボイラーに近い側が逆止め弁、遠い側が給水弁
  • 連続ブロー vs 間欠ブロー — 連続は缶水濃度を一定に、間欠はスラッジ排出。ボイラー用水の処理もセットで確認
  • 蒸気トラップの原理 — 蒸気は通さず凝縮水(ドレン)だけを排出する。バケット式・サーモスタット式の違い
  • 減圧弁の役割 — 高圧蒸気を使用先に合った低圧に下げる。1次側圧力の変動に関わらず2次側を一定に保つ

理解度チェック

ここまでの内容を3問でチェックしてみましょう!

Q1. ボイラーの給水管には、ボイラーに近い側から順に何と何が取り付けられるか?

解答を見る

正解:給水弁、給水逆止め弁
ボイラーに近い側から「給水弁 → 給水逆止め弁」の順で取り付けます。逆止め弁がボイラーの圧力を遮断し、給水弁を安全に操作できるようにしています。

Q2. 蒸気トラップの役割を簡潔に説明しなさい。

解答を見る

正解:蒸気は通さず、ドレン(復水・水滴)だけを自動的に排出する装置
蒸気配管中で蒸気が冷えて水に戻ったもの(ドレン)がたまると、ウォーターハンマーなどのトラブルの原因になります。蒸気トラップはドレンだけを排出して蒸気のロスを防ぎます。

Q3. ボイラー水の不純物を排出する操作を何というか?また、底部から行うものと水面付近から行うものの名称は?

解答を見る

正解:吹出し(ブロー)
底部から行うものは間欠吹出し(底部ブロー)でスラッジを排出します。水面付近から行うものは連続吹出し(表面ブロー)で濃縮されたボイラー水を連続的に排出します。

もっと問題を解きたい方へ

「附属品と附属装置②」のミニテスト(各5問×3回)で出題パターンに慣れよう!

ミニテスト【第1回】に挑戦 →

まとめ

今回は、ボイラーを運転し続けるための「4つの裏方装置」を学びました。

  • 給水装置:遠心ポンプやインジェクタでボイラーに水を送り込む。2系統設置が原則。給水弁と逆止め弁の取付け順序も重要
  • 吹出し装置:間欠ブロー(底部のスラッジ排出)と連続ブロー(水面の濃縮水排出)がある
  • 蒸気トラップ:蒸気は通さず、ドレンだけを排出する。バケット式・フロート式・サーモスタチック式・ディスク式がある
  • 送気系統装置:主蒸気弁・減圧弁・気水分離器・伸縮継手などで蒸気を安全に配送する

前回の「附属品①安全弁・逃がし弁・圧力計・水面測定装置・温度計」とあわせて読むと、ボイラーの附属品の全体像がつかめます。

📚 関連記事

ボイラーの構造を体系的に学ぶなら

附属品の基礎から送気系統まで、試験に出るポイントを順番に解説しています。

附属品①安全弁・圧力計・水面計を学ぶ »

※当サイトの画像にはAI生成のものが含まれており、実際の機器・器具とは外観が異なる場合があります。問題・解答の内容には細心の注意を払っておりますが、誤りが含まれる可能性があります。学習の参考としてご活用いただき、最終的な確認は公式テキスト・法令等で行ってください。当サイトの情報に基づく判断によって生じた損害について、一切の責任を負いかねます。

内容の誤りやお気づきの点がございましたら、お問い合わせフォームよりご連絡いただけますと幸いです。正確な情報をお届けできるよう、随時修正してまいります。

-ボイラーの構造