法令 第三種冷凍機械責任者

【第三種冷凍機械責任者・法令】冷凍能力の算定基準と適用区分(冷凍トン・遠心式・法的区分)

冷凍能力は「1日でどれだけ冷やせるか」の指標

冷凍機がどれくらいの規模かを表す数値、それが「冷凍能力」です。正式には「1日の冷凍能力」と呼ばれ、冷凍機が1日(24時間)で冷やせる熱量を数値化したものです。

この数値が大きいほど大型の冷凍機ということになり、法律上の規制も厳しくなります。前の記事で学んだ「第一種製造者」「第二種製造者」「その他」の区分は、まさにこの冷凍能力をもとに決まるのです。

試験のポイント

第三種冷凍機械責任者の試験では、冷凍能力の計算公式(R=V×C×D/1000)そのものを計算する問題は出ません。大切なのは「冷凍能力とは何か」「冷凍トンとは何か」「能力の大きさで法規制がどう変わるか」を理解することです。

冷凍能力の基本知識

「1日の冷凍能力」とは?

冷凍能力は、冷凍機が1日(24時間)に除去できる熱量のことです。単位は「トン」で表します。ここでいう「トン」は重さの単位ではなく、冷凍トン(日本冷凍トン)という特別な単位です。

冷凍トンの定義

1日本冷凍トン = 1日(24時間)に0℃の水1トン(1,000kg)を0℃の氷にする能力

水が氷に変わるときに奪う熱量(潜熱)をもとに定められた単位です。約3,320kcal/hに相当します。

つまり、「冷凍能力5トン」の冷凍機とは、「1日で0℃の水を5トン分、0℃の氷にできるくらいの冷却能力がある」ということです。

冷凍能力の算定方法

冷凍能力の算定方法は、圧縮機の種類によって異なります。

圧縮機の種類 算定のポイント
遠心式以外
(往復式・スクリュー等)
ピストン押しのけ量をもとに算定
(R = V × C × D / 1000)
遠心式 原動機の定格出力をもとに算定
(1.2kWを1日の冷凍能力1トンに換算)

遠心式はピストンのような押しのけ量が定義しにくいため、原動機(モーター)の出力から能力を換算します。「遠心式は出力ベース」と覚えておきましょう。

冷凍能力による法的区分(まとめ)

前の記事でも学びましたが、冷凍能力の大きさで法的な扱いが変わります。復習を兼ねて確認しましょう。

区分 フルオロカーボン 規制内容
第一種製造者 20トン以上 都道府県知事の許可
第二種製造者 3トン以上20トン未満 都道府県知事への届出
その他製造者 3トン未満 届出不要

冷凍能力が大きい = 高圧ガスの量が多い = 事故時の危険度が高い。だから規制が厳しくなるのです。

身近な例でイメージしよう

現場イメージ

冷凍トンを身近なもので例えてみましょう。

  • 家庭用の冷蔵庫:冷凍能力は0.1〜0.3トン程度。当然「その他」で規制なし
  • コンビニの冷凍ショーケース:冷凍能力は1〜3トン程度。これも「その他」が多い
  • スーパーの大型冷凍設備:冷凍能力5〜15トン程度。第二種製造者に該当する場合がある
  • 大型冷凍倉庫:冷凍能力50トン以上のことも。第一種製造者として許可が必要

「0℃の水1トンを1日で氷にする」のは家庭の冷蔵庫ではとても無理。1冷凍トンでも実はかなり大きな冷却能力なのです。

ビルメンの現場では、建物の空調や冷凍設備がどの区分に該当するかを把握しておくことが大切です。区分によって必要な手続きや選任すべき冷凍保安責任者が変わってくるからです。

よくある疑問・間違いやすいポイント

Q. 冷凍能力の計算式は覚えなくていいの?

第三種冷凍機械責任者の試験では、計算式(R = V × C × D / 1000)の中身を使って数値を計算する問題は出題されません。ただし、「冷凍能力はピストン押しのけ量(遠心式は原動機出力)をもとに算定する」という知識は必要です。「どうやって算定するか」の概念は理解しておきましょう。

Q. 冷凍トンと冷却能力(kW)はどう違うの?

冷凍トンは法令上の単位で、法規制の区分を決めるために使います。一方、実際の冷凍機カタログではkW(キロワット)で冷却能力を表すことが多いです。1日本冷凍トンは約3.86kWに相当しますが、この換算を覚える必要はありません。試験では「冷凍トン」で出題されます。

Q. 「1日の冷凍能力」なのに24時間動かさなくてもいいの?

「1日の冷凍能力」は実際の運転時間とは関係ありません。その冷凍機が24時間フル稼働したと仮定した場合の能力を指します。つまり、実際に8時間しか動かさない冷凍機でも、冷凍能力は24時間ベースで計算されます。

理解度チェック

ここまでの内容を確認しましょう。五肢択一で挑戦してみてください。

【問題1】冷凍能力の算定に関する記述として、正しいものはどれか。

(1)冷凍能力は、実際の1日の運転時間をもとに算定する
(2)遠心式圧縮機の冷凍能力は、ピストン押しのけ量をもとに算定する
(3)遠心式以外の圧縮機の冷凍能力は、原動機の定格出力をもとに算定する
(4)遠心式圧縮機の冷凍能力は、原動機の定格出力1.2kWを1日の冷凍能力1トンに換算して算定する
(5)冷凍能力の算定には、冷媒の種類は関係しない

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正解:(4)遠心式圧縮機の冷凍能力は、原動機の定格出力1.2kWを1日の冷凍能力1トンに換算して算定する
遠心式はピストンがないため、原動機の定格出力から冷凍能力を換算します。(1)実際の運転時間ではなく24時間ベース。(2)遠心式はピストン押しのけ量ではなく出力。(3)遠心式以外がピストン押しのけ量。(5)冷媒の種類は算定式の係数に影響します。

【問題2】1日本冷凍トンの定義として、正しいものはどれか。

(1)1時間に0℃の水1トンを0℃の氷にする能力
(2)1日に0℃の水1トンを0℃の氷にする能力
(3)1日に0℃の氷1トンを0℃の水にする能力
(4)1日に20℃の水1トンを0℃の水にする能力
(5)1日に0℃の水1kgを0℃の氷にする能力

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正解:(2)1日に0℃の水1トンを0℃の氷にする能力
1日本冷凍トンは「1日(24時間)に0℃の水1トン(1,000kg)を0℃の氷にする能力」です。温度を下げるのではなく、水→氷の相変化(凝固)に必要な熱量(潜熱)が基準になっています。

【問題3】冷凍能力と法規制に関する記述として、誤っているものはどれか。

(1)冷凍能力が大きいほど、法的な規制は厳しくなる
(2)フルオロカーボンの場合、冷凍能力3トン未満は届出不要である
(3)フルオロカーボンの場合、冷凍能力20トン以上は第一種製造者の許可が必要である
(4)冷凍能力は実際の運転時間に基づいて算定される
(5)アンモニアの場合、冷凍能力に関係なく第一種製造者の許可が必要である

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正解:(4)冷凍能力は実際の運転時間に基づいて算定される【誤り】
冷凍能力は24時間フル稼働した場合の能力を指すもので、実際の運転時間は関係ありません。(1)(2)(3)(5)はいずれも正しい記述です。

まとめ

この記事のポイント

  • 冷凍能力は1日(24時間)に除去できる熱量を表す数値
  • 1日本冷凍トン = 1日に0℃の水1トンを0℃の氷にする能力
  • 遠心式以外はピストン押しのけ量、遠心式は原動機の定格出力で算定
  • 冷凍能力が大きいほど厳しい規制がかかる(その他→第二種→第一種)
  • 冷凍能力は実際の運転時間に関係なく、24時間ベースで計算される

前の記事 → 高圧ガスの製造の許可と届出

次は冷凍保安責任者の選任・届出・職務・代理者に進みましょう。冷凍能力が一定以上の事業所では、資格を持った責任者を選任しなければなりません。

試験頻出ポイント

  • 1日本冷凍トン = 1日に0℃の水1トンを0℃のにする能力(温度変化ではなく相変化)
  • 遠心式 → 原動機の定格出力で算定(1.2kW=1トン)
  • 遠心式以外 → ピストン押しのけ量で算定
  • 冷凍能力は24時間ベース(実際の運転時間は無関係)
  • フルオロカーボン:3トン未満→届出不要、3〜20トン→届出、20トン以上→許可

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