高圧ガスの製造には「許可」と「届出」がある!
冷凍機を使って仕事をするとき、実は「高圧ガスの製造」をしていることになります。冷凍機の中では冷媒(れいばい)ガスが高い圧力で循環しているからです。
そして、この高圧ガスの製造を行うには、規模に応じて「許可」や「届出」が必要になります。大きな設備ほど厳しいルールがかかるのは、もし事故が起きたときの被害が大きくなるからですね。
試験のポイント
冷凍能力の大きさによって「第一種製造者(許可)」「第二種製造者(届出)」「その他(届出不要)」の3段階に分かれます。冷媒の種類によって基準が変わるのがポイント!
第一種製造者・第二種製造者・その他の区分
3つの区分をざっくり理解しよう
高圧ガスの製造をする人は、冷凍能力(1日あたりの冷凍能力)の大きさで3つのグループに分けられます。
- 第一種製造者:規模が大きい → 都道府県知事の「許可」が必要
- 第二種製造者:中くらいの規模 → 都道府県知事への「届出」が必要
- その他製造者:小さい規模 → 届出も不要
「許可」と「届出」は似ているようで大きく違います。許可は「お役所がOKと言うまで始められない」もの。届出は「書類を出せば始められる」ものです。規模が大きいほど事故の危険性が高いので、より厳しい手続きが求められるのです。
冷媒の種類別の区分基準
区分の基準は冷媒ガスの種類によって異なります。これが試験でよく問われるポイントです。
| 冷媒の種類 | 第一種(許可) | 第二種(届出) |
|---|---|---|
| フルオロカーボン (R410A、R32など) |
20トン以上 | 3トン以上 20トン未満 |
| アンモニア | すべて(トン数に関係なく) | なし |
| その他のガス | 20トン以上 | 3トン以上 20トン未満 |
※ フルオロカーボンで3トン未満の場合は「その他製造者」となり、届出も不要です。
注意!アンモニアは特別
アンモニアは毒性と可燃性を持つ危険な冷媒です。そのため、冷凍能力の大きさに関係なくすべて第一種製造者(許可が必要)として扱われます。「アンモニアに第二種はない」と覚えておきましょう。
フルオロカーボンの区分を数直線でイメージ
製造施設の完成検査
第一種製造者は、許可を受けて製造施設を設置したら、都道府県知事が行う完成検査を受けなければなりません。検査に合格してから、はじめて高圧ガスの製造を開始できます。
一方、第二種製造者は届出だけで製造を開始でき、完成検査は不要です。この違いも試験でよく問われます。
現場ではどんなイメージ?
現場イメージ
ビルの空調で使われている業務用エアコンを思い浮かべてみましょう。オフィスビルの空調に使われる冷凍機の冷凍能力は、ビルの大きさによってさまざまです。
- 小さなテナントビル(冷凍能力3トン未満)→ その他製造者。届出も許可も不要でそのまま使えます
- 中規模オフィスビル(冷凍能力5トン程度)→ 第二種製造者。都道府県知事に届出が必要
- 大規模商業施設(冷凍能力30トン以上)→ 第一種製造者。都道府県知事の許可が必要
「小さい設備はフリーパス、中くらいは届出、大きいものは許可」というイメージで覚えましょう。
ちなみに、スーパーやコンビニの冷凍ショーケースに使われる冷凍機は比較的小型のものが多いですが、大きな食品工場や冷凍倉庫になると冷凍能力が大きくなり、第一種製造者に該当することも珍しくありません。
よくある疑問・間違いやすいポイント
Q. 「許可」と「届出」はどう違うの?
イメージとしては、許可は「運転免許」のようなもの。試験に合格して(=審査を受けて)初めてもらえます。一方、届出は「引っ越しの転入届」のようなもの。書類を出せば手続き完了です。
許可の場合、審査で不合格になれば製造を始められません。届出の場合は、書類に不備がなければそのまま受理されます。
Q. アンモニア冷凍機が3トン未満でも届出不要にならないの?
なりません。アンモニアは毒性が強く、漏れた場合に人体に深刻な影響を与えるため、冷凍能力が小さくても必ず許可が必要です。試験では「アンモニアは冷凍能力に関係なく第一種製造者」というひっかけ問題がよく出ます。
Q. フルオロカーボンの「20トン」という数字はなぜ?
法律で定められた基準値です。フルオロカーボンはアンモニアと比べて毒性が低く、万が一漏れても直接的な健康被害は小さいため、ある程度の規模までは届出や届出不要で済むようになっています。ただし、大規模な設備になると高圧ガスの量も増えるため、20トン以上で許可が必要になります。
理解度チェック
ここまでの内容を確認しましょう。五肢択一で挑戦してみてください。
【問題1】フルオロカーボンを冷媒とする冷凍設備で、1日の冷凍能力が25トンのものを使用して高圧ガスの製造をしようとする者は、次のうちどれに該当するか。
(1)その他製造者
(2)第二種製造者(届出)
(3)第一種製造者(許可)
(4)製造の許可も届出も不要
(5)経済産業大臣の許可が必要
【問題2】アンモニアを冷媒とする冷凍設備で、1日の冷凍能力が5トンのものを使用して高圧ガスの製造をしようとする者は、次のうちどれに該当するか。
(1)その他製造者(届出不要)
(2)第二種製造者(届出)
(3)第一種製造者(許可)
(4)アンモニアは冷媒として使用禁止
(5)市区町村長への届出が必要
【問題3】フルオロカーボンを冷媒とする冷凍設備における高圧ガスの製造に関する記述として、正しいものはどれか。
(1)冷凍能力が5トンの場合は、届出も許可も不要である
(2)冷凍能力が2トンの場合は、都道府県知事への届出が必要である
(3)冷凍能力が10トンの場合は、第一種製造者の許可が必要である
(4)冷凍能力が15トンの場合は、第二種製造者として届出が必要である
(5)冷凍能力が20トンの場合は、第二種製造者として届出が必要である
【問題4】高圧ガスの製造の許可と届出に関する記述として、正しいものはどれか。
(1)第一種製造者の許可は、経済産業大臣が行う
(2)第二種製造者は、製造施設の完成検査を受けなければならない
(3)第一種製造者は、完成検査に合格した後でなければ製造を開始できない
(4)第二種製造者の届出は、市区町村長に行う
(5)アンモニアを冷媒とする場合、冷凍能力が3トン未満であれば届出不要である
まとめ
この記事のポイント
- 高圧ガスの製造は冷凍能力によって3段階に分かれる
- フルオロカーボン:20トン以上→第一種(許可)、3トン以上20トン未満→第二種(届出)、3トン未満→その他(届出不要)
- アンモニアはすべて第一種(冷凍能力に関係なく許可が必要)
- 許可は都道府県知事が行い、第一種製造者は完成検査に合格してから製造開始
- 第二種製造者は届出のみで、完成検査は不要
前の記事 → 冷凍装置の運転管理と保守
次は「冷凍能力の算定基準と適用区分」に進みましょう。冷凍能力がどうやって計算されるのかを理解すると、この記事の区分がさらにしっかり身につきますよ。
試験頻出ポイント
- フルオロカーボン:20トン以上→第一種(許可)、3トン以上20トン未満→第二種(届出)、3トン未満→届出不要
- アンモニアはトン数に関係なくすべて第一種製造者(許可)
- 許可・届出の相手は都道府県知事(経済産業大臣ではない!)
- 第一種製造者のみ完成検査が必要。第二種は届出だけでOK
- 「許可」=審査あり・不合格あり / 「届出」=書類提出で完了
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