この記事で分かること
- 高圧ガス保安法第1条の目的
- 高圧ガスに該当する4つの定義
- 現在圧力と温度換算による二つの判定方法
- 冷凍設備で適用区分を確認する正しい順序
結論:高圧ガスは物質名ではなく「状態」で判定する
高圧ガス保安法第2条は、高圧ガスを圧縮ガス、圧縮アセチレンガス、液化ガス、政令指定の液化ガスの4区分で定義しています。原則として、同じ酸素でも気体で圧縮されていれば圧縮ガス、冷却され液体なら液化ガスです。物質名だけでなく、その時の状態と圧力・温度で判定します。
冷凍設備では、次に法第3条と高圧ガス保安法施行令の適用除外を確認し、さらに法定の1日の冷凍能力と冷媒区分から許可・届出などを判断します。「冷媒が高圧ガスに当たる」ことと「その設備にすべての規制が同じようにかかる」ことは同じではありません。
旧稿の重要な訂正:高圧ガスの定義は「圧縮ガス1MPa、液化ガス0.2MPa」の2行だけでは不十分です。圧縮アセチレンの15℃基準、現在の実圧力を含む条件、3種類の政令指定液化ガスも法第2条の定義に含まれます。
公式資料の確認先
法令確認日:2026年7月28日。この記事の圧力は、特記がない限りゲージ圧力です。
法第1条は「規制」と「自主保安」の両方を定める
高圧ガス保安法第1条の目的は、高圧ガスによる災害を防止し、公共の安全を確保することです。その手段は一つではありません。
製造、貯蔵、販売、移動、その他の取扱い・消費、容器の製造・取扱いを規制
事業者と高圧ガス保安協会による自主的な保安活動を促進
許可や検査を受ければ事故防止が完成するわけではありません。日々の運転・点検・教育・異常時対応を現場で継続する必要があります。この考え方は「危害予防規程と保安教育」につながります。
高圧ガスの定義は4区分
| 区分 | 常用状態等の基準 | 温度換算の基準 |
|---|---|---|
| 圧縮ガス | 常用温度で1MPa以上となり、現に1MPa以上 | 35℃で1MPa以上 |
| 圧縮アセチレン | 常用温度で0.2MPa以上となり、現に0.2MPa以上 | 15℃で0.2MPa以上 |
| 液化ガス | 常用温度で0.2MPa以上となり、現に0.2MPa以上 | 0.2MPaとなる温度が35℃以下 |
| 指定液化ガス | 前の液化ガスを除き35℃で0Pa超 | 指定された3種類 |
表の「または」で結ばれる二つの判定は独立しています。現在の圧力が基準未満でも、35℃または15℃へ換算した圧力・温度の条件に該当すれば高圧ガスです。停止中に圧力が下がったから、法の対象外になるわけではありません。
圧縮ガスは1MPa、アセチレンは0.2MPa
圧縮ガスには、常用の温度で1MPa以上となり、現在も1MPa以上のものが該当します。もう一つは、35℃で1MPa以上となるものです。後者なら、測定時の温度が低く、現在圧力が1MPa未満でも該当します。
独自判定例
冬の測定時に圧縮窒素が0.92MPaでも、35℃へ換算すると1.05MPaになるなら、高圧ガスです。「今の圧力が1MPa未満」という一点だけでは除外できません。
圧縮アセチレンガスは別枠です。基準は0.2MPaで、温度換算は35℃ではなく15℃を使います。反応性などの性質を踏まえ、一般の圧縮ガスより低い圧力で区分されています。
液化ガスは0.2MPaとなる温度も見る
液化ガスは、常用の温度で0.2MPa以上となり、現在も0.2MPa以上のものが該当します。また、飽和蒸気圧が0.2MPaとなる温度が35℃以下なら、現在圧力が0.2MPa未満でも高圧ガスです。
冷凍装置では同じ冷媒が、凝縮器・受液器では主に液体、圧縮機吸込み側では気体として存在します。ただし、冷凍設備内の個々の場所を見て「ここは低圧だから法と無関係」と切り分けるのではなく、冷媒設備という範囲と適用除外を含めて判断します。
ゲージ圧力と絶対圧力:ゲージ圧力は大気圧を0とします。絶対圧力は完全真空を0とするため、標準大気圧付近では、おおよそ「絶対圧力=ゲージ圧力+0.101MPa」です。法の数値へ圧力表を当てるときは、単位と基準を確認します。
政令指定の液化ガスは3種類
法第2条第4号と施行令第1条により、35℃で圧力が0Paを超える液化シアン化水素、液化ブロムメチル、液化酸化エチレンも高圧ガスに指定されています。一般の液化ガスの0.2MPa基準に届かなくても対象になる区分です。
ただし、液化ブロムメチルは、その製造設備の外にあるものについて施行令第2条で法の適用除外が定められています。「定義上は高圧ガス」でも「特定の状態・場所では適用除外」という二段階を区別します。
冷凍設備は4段階で適用区分を確認する
法第2条の高圧ガスか
法第3条・施行令第2条か
法定冷凍能力とガス区分
許可、届出、責任者等
施行令第2条は、すべての冷媒について冷凍能力3トン未満の冷凍設備内の高圧ガスを適用除外とします。3トン以上5トン未満では、ヘリウム、窒素、二酸化炭素、所定の燃焼性基準に適合するフルオロカーボンなどの第一種ガスが適用除外です。
旧稿の「不活性フルオロカーボンは5トン未満、アンモニア等は3トン未満」という暗記だけでは、現在の第一種ガスの定義を正確に表せません。許可・届出の境界は「第一種・第二種製造者の区分」、算定方法は「1日の冷凍能力の算定」で整理しています。
日本冷凍トンと法定冷凍能力を混同しない
一般に日本冷凍トンは、0℃の水1トンを24時間で0℃の氷にする熱量を基にした能力単位で、約3.86kWです。しかし、高圧ガス保安法上の「1日の冷凍能力」は、実際に氷を作る能力を測った値ではありません。
冷凍保安規則第5条により、圧縮機の標準回転速度におけるピストン押しのけ量、遠心式圧縮機の原動機定格出力、吸収式の加熱源入熱量、自然循環式の蒸発器伝熱面積などから法定値を算定します。名称に「トン」が出ても、実冷却能力や米国冷凍トンへそのまま置き換えないようにします。
第三種免状の範囲と選任義務も分けて考える
第三種冷凍機械責任者免状の職務範囲は、1日の冷凍能力が100トン未満の製造施設です。ただし、100トン未満なら必ず冷凍保安責任者を選任するという意味ではありません。製造者区分や、冷凍保安規則第36条の選任不要施設などを先に確認します。
選任が必要なときは、免状だけでなく所定の製造経験も確認します。免状の範囲、施設の選任義務、本人の経験要件を別々に判断してください。詳しくは「冷凍保安責任者の選任・届出・職務」で解説しています。
理解度チェック
【問1】高圧ガス保安法第1条の目的として適切なものはどれですか。
(1) 高圧ガスの製造を全面禁止する
(2) ガスの販売価格を統一する
(3) 災害を防止し公共の安全を確保する
(4) 冷凍機の効率だけを向上させる
(5) 容器の輸入量を増やす
【問2】一般の圧縮ガスの温度換算基準として正しいものはどれですか。
(1) 15℃で0.2MPa以上
(2) 35℃で1MPa以上
(3) 35℃で0Pa超
(4) 0.2MPaとなる温度が35℃以下
(5) 100℃で1MPa未満
【問3】政令指定液化ガスの組合せとして正しいものはどれですか。
(1) 酸素・窒素・空気
(2) プロパン・ブタン・メタン
(3) アンモニア・二酸化炭素・水素
(4) 液化シアン化水素・液化ブロムメチル・液化酸化エチレン
(5) R32・R410A・R134a
【問4】冷凍設備への法適用を確認する順序として最も適切なものはどれですか。
(1) 免状の種類だけを見る
(2) 現在圧力だけを見る
(3) 実冷却能力だけを測る
(4) 定義、適用除外、法定能力・冷媒区分、手続の順に確認する
(5) 家庭用か業務用かだけで決める
次に読む記事
まとめ
高圧ガス保安法は、規制と自主保安の促進により災害を防止し、公共の安全を確保する法律です。定義は、一般の圧縮ガス、圧縮アセチレン、液化ガス、政令指定液化ガスの4区分で整理します。
冷凍設備では、高圧ガスの定義だけで結論を出しません。適用除外、法定の1日の冷凍能力、冷媒区分を確認し、その後に許可・届出・責任者などを判断しましょう。
最終更新日:2026年7月28日
※当サイトの画像にはAI生成のものが含まれており、実際の機器・器具とは外観が異なる場合があります。問題・解答の内容には細心の注意を払っておりますが、誤りが含まれる可能性があります。学習の参考としてご活用いただき、最終的な確認は公式テキスト・法令等で行ってください。当サイトの情報に基づく判断によって生じた損害について、一切の責任を負いかねます。
内容の誤りやお気づきの点がございましたら、お問い合わせフォームよりご連絡いただけますと幸いです。正確な情報をお届けできるよう、随時修正してまいります。