法令 第三種冷凍機械責任者

【第三種冷凍機械責任者・法令】高圧ガス保安法の目的と用語の定義(高圧ガス・液化ガスの定義)

高圧ガス保安法とは? — 冷凍機も「高圧ガス」を扱う設備

「高圧ガス保安法」と聞くと、ガスボンベや化学工場をイメージするかもしれません。でも実は、冷凍装置も高圧ガスを扱う設備です。冷凍機の中では冷媒が高い圧力で圧縮・液化されているため、この法律の対象になります。

高圧ガス保安法は、高圧ガスによる災害を防ぐための法律で、冷凍装置の設置や運転に関するルールも定めています。第三種冷凍機械責任者の「法令」の試験は、この法律の内容から出題されます。

試験のポイント
第三種冷凍機械責任者の法令では、高圧ガスの定義(圧縮ガス1MPa以上・液化ガス0.2MPa以上)冷凍に関する用語(冷凍トン・1日の冷凍能力)が最初の関門です。数値を正確に覚えることが合格の第一歩!

高圧ガス保安法の目的

高圧ガス保安法の目的は、法律の第1条に書かれています。

高圧ガス保安法 第1条(目的)のポイント

この法律は、高圧ガスによる災害を防止するため、高圧ガスの製造・貯蔵・販売・移動その他の取扱いおよび消費、ならびに容器の製造・取扱いを規制するとともに、民間事業者および高圧ガス保安協会による高圧ガスの保安に関する自主的な活動を促進し、もって公共の安全を確保することを目的とする。

かみ砕くと、こういうことです。

  • 目的:高圧ガスによる災害(爆発・漏えいなど)を防止すること
  • 手段1:高圧ガスの製造・貯蔵・販売・移動・消費を「規制」する
  • 手段2:事業者による「自主的な保安活動」を促進する
  • 最終目標:公共の安全を確保する
現場イメージ
高圧ガスは目に見えない危険です。もしガスボンベが破裂したら、近くにいる人が大けがをします。冷凍装置でも、アンモニアが大量に漏れたら毒性で人命に関わります。だから法律で厳しいルールを定めて「事故を起こさない仕組み」を作っているのです。

高圧ガスの定義 — 何が「高圧ガス」に該当する?

「高圧ガス」は、単に「圧力が高いガス」というだけではなく、法律で細かく定義されています。大きく分けると圧縮ガス液化ガスの2種類です。

圧縮ガス(あっしゅくガス)

圧縮ガスとは、常温で気体のまま圧縮されたガスのことです。酸素ボンベや窒素ボンベが典型的な例です。

試験必出!圧縮ガスの定義
常用の温度において、ゲージ圧力が1MPa以上となる圧縮ガス

または

温度35℃において、ゲージ圧力が1MPa以上となる圧縮ガス

ここで「ゲージ圧力」とは、大気圧を0(ゼロ)としたときの圧力のことです。普段使っている圧力計の数値がそのままゲージ圧力です。大気圧は約0.1MPa(メガパスカル)なので、ゲージ圧力1MPaは絶対圧力では約1.1MPaに相当します。

「常用の温度」とは、通常の使用状態での温度のことです。また、ガスは温度が上がると圧力も上がるため、35℃という基準温度でも定義されています。

液化ガス(えきかガス)

液化ガスとは、圧力をかけたり冷やしたりして液体にしたガスのことです。冷凍装置の冷媒は、凝縮器で液化されるので「液化ガス」に該当します。LPガス(プロパンガス)のボンベも液化ガスです。

試験必出!液化ガスの定義
常用の温度において、ゲージ圧力が0.2MPa以上となる液化ガス

または

ゲージ圧力が0.2MPaとなる場合の温度が35℃以下の液化ガス

圧縮ガスが「1MPa以上」なのに対して、液化ガスは「0.2MPa以上」と、だいぶ低い数値で高圧ガスに該当します。これは、液化ガスは液体の状態で大量のガスが詰まっているため、少しの圧力でも危険だからです。

現場イメージ
家庭で使うカセットコンロのガスボンベを想像してください。あのボンベの中にはブタンガスが液体の状態で入っています。ボンベの圧力は大気圧よりわずかに高い程度ですが、温度が上がると圧力も上がり、破裂の危険があります。だから缶に「火気厳禁」「高温の場所に放置しない」と書いてあるのです。

圧縮ガスと液化ガスの数値比較

区分 ゲージ圧力の基準
圧縮ガス 1MPa以上
液化ガス 0.2MPa以上

覚え方のコツ:「圧縮は1(イチ)、液化は0.2(レイテンニ)」とセットで覚えましょう。液化ガスのほうが低い圧力で規制対象になることがポイントです。

冷凍に関する用語の定義

冷凍トン(れいとうトン)

冷凍トンは、冷凍装置の冷凍能力を表す単位です。1冷凍トンとは、1日(24時間)に1トン(1,000kg)の0℃の水を0℃の氷にするのに必要な冷凍能力のことです。

数値で表すと、1冷凍トン = 3,320 kcal/h(1時間あたり)です。これは、1トンの水が氷になるときに奪う熱量(333.6 kJ/kg × 1,000 kg ÷ 24 h)から計算されます。

1日の冷凍能力(いちにちのれいとうのうりょく)

冷凍保安規則では、冷凍装置の規模を「1日の冷凍能力(冷凍トン)」で表します。この値によって、法律の適用範囲(届出・許可の要否、冷凍保安責任者の選任要否など)が決まります。

試験のポイント:冷凍能力の計算方法
1日の冷凍能力は、冷媒の種類や圧縮機の型式によって計算方法が定められています。
・往復動式(ピストン式)圧縮機の場合、ピストン押しのけ量の合計値から算出
・回転式・スクリュー式なども同様に、標準回転速度での吸込み量から計算

法の適用範囲 — 冷凍保安規則

高圧ガス保安法の中で、冷凍装置に関する具体的なルールは冷凍保安規則という省令に定められています。

冷凍保安規則が適用される冷凍装置

すべての冷凍装置に法律が適用されるわけではありません。小さな冷凍装置(家庭用冷蔵庫やルームエアコンなど)は適用除外です。

適用対象になるかどうかは、冷媒の種類1日の冷凍能力によって決まります。

冷媒の区分 適用除外の条件
フルオロカーボン(不活性のもの) 冷凍能力5トン未満は適用除外
アンモニア等 冷凍能力3トン未満は適用除外
現場イメージ
家庭用のエアコンや冷蔵庫は冷凍能力が小さいので、高圧ガス保安法の適用を受けません。でも、ビルの大型空調やスーパーの冷凍・冷蔵設備、工場の冷凍機などは冷凍能力が大きいので、法律に基づいた管理が必要になります。ビルメンの現場で冷凍機を管理するなら、この法律の知識は必須です。

第三種冷凍機械責任者が必要な冷凍装置

冷凍保安規則に基づいて冷凍保安責任者の選任が必要な場合、冷凍能力に応じた資格が求められます。

  • 第三種冷凍機械責任者:1日の冷凍能力が100トン未満の製造施設
  • 第二種冷凍機械責任者:1日の冷凍能力が300トン未満の製造施設
  • 第一種冷凍機械責任者:すべての製造施設

実務・日常での具体例

現場イメージ:ビルの冷凍機と法律
オフィスビルの地下機械室にある大型冷凍機を想像してください。この冷凍機の冷凍能力が50トン(フルオロカーボン冷媒)だった場合、高圧ガス保安法の適用を受け、冷凍保安責任者の選任が必要です。第三種冷凍機械責任者の資格があれば、100トン未満の装置の冷凍保安責任者になれます。
現場イメージ:LPガスボンベと高圧ガス
飲食店の裏手にあるLPガスボンベ。あれも高圧ガス保安法の対象です。ボンベの中にはプロパンガスが液化された状態で入っており、ゲージ圧力は0.2MPaを超えるため「液化ガス」=「高圧ガス」に該当します。ボンベに「高圧ガス」のステッカーが貼ってあるのはそのためです。
現場イメージ:家庭用冷蔵庫は?
家庭用冷蔵庫の冷凍能力はせいぜい0.1〜0.3冷凍トン程度。5トンには遠く及ばないので、高圧ガス保安法の適用除外です。だから冷蔵庫を買っても役所に届け出る必要はありませんし、資格者の選任も不要です。

よくある疑問・間違い

Q. 圧縮ガスと液化ガスの数値を逆に覚えてしまいそう…

液化ガスは危険度が高いから、低い圧力(0.2MPa)でも規制対象になる」と理解しましょう。液化ガスは液体の中に大量のガスが凝縮されているため、漏れたときの被害が大きくなります。だから圧縮ガス(1MPa)より低い圧力で規制がかかるのです。

Q. 「ゲージ圧力」と「絶対圧力」の違いがわからない

ゲージ圧力は大気圧を「0」とした圧力。絶対圧力は完全な真空を「0」とした圧力です。
絶対圧力 = ゲージ圧力 + 大気圧(約0.1MPa)
法律で「1MPa以上」と言ったら、通常はゲージ圧力のことです。圧力計に表示される数値がそのまま使えます。

Q. 冷凍装置の中は全部「高圧ガス」?

冷凍装置内の冷媒は、高圧部も低圧部も「高圧ガス」に該当します。低圧側でも液化ガスの基準(0.2MPa以上)を超えている場合が多いからです。ただし、冷凍能力が小さい装置は法律の適用除外となります。

理解度チェック(4問)

五肢択一で実力を確認しましょう!

【第1問】高圧ガス保安法の目的に関する記述として、正しいものはどれか。

(1)高圧ガスの製造を禁止することを目的とする。
(2)高圧ガスによる災害を防止し、公共の安全を確保することを目的とする。
(3)高圧ガスの販売を促進することを目的とする。
(4)冷凍装置の普及を促進することを目的とする。
(5)高圧ガスの消費を制限することを目的とする。

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正解:(2)高圧ガスによる災害を防止し、公共の安全を確保することを目的とする。
高圧ガス保安法の目的は「災害の防止」と「公共の安全の確保」です。(1)製造を「禁止」するのではなく「規制」します。(3)販売の「促進」ではなく「規制」です。(4)冷凍装置の普及は法の目的ではありません。(5)消費の「制限」ではなく「規制」(安全に消費するためのルール)です。

【第2問】高圧ガスの定義に関する記述として、正しいものはどれか。

(1)圧縮ガスは常用の温度でゲージ圧力が0.2MPa以上のものをいう。
(2)液化ガスは常用の温度でゲージ圧力が1MPa以上のものをいう。
(3)圧縮ガスは常用の温度でゲージ圧力が1MPa以上のものをいう。
(4)液化ガスは常用の温度でゲージ圧力が0.5MPa以上のものをいう。
(5)圧縮ガスと液化ガスの定義は同じ圧力基準である。

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正解:(3)圧縮ガスは常用の温度でゲージ圧力が1MPa以上のものをいう。
圧縮ガスは1MPa以上、液化ガスは0.2MPa以上です。(1)0.2MPaは液化ガスの基準です。(2)1MPaは圧縮ガスの基準です。(4)液化ガスは0.5MPaではなく0.2MPaです。(5)圧縮ガスは1MPa、液化ガスは0.2MPaで異なります

【第3問】冷凍に関する用語として、誤っているものはどれか。

(1)1冷凍トンとは、1日に1トンの0℃の水を0℃の氷にする冷凍能力のことである。
(2)1日の冷凍能力は冷凍装置の規模を表す指標である。
(3)冷凍保安規則で冷凍能力の計算方法が定められている。
(4)1日の冷凍能力によって法律の適用範囲が決まる。
(5)1冷凍トンとは、1時間に1トンの水を氷にする能力のことである。

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正解:(5)1冷凍トンとは、1時間に1トンの水を氷にする能力のことである。
1冷凍トンは「1日(24時間)に1トンの水を氷にする能力」です。「1時間」ではありません。(1)〜(4)はすべて正しい記述です。

【第4問】冷凍保安規則の適用に関する記述として、正しいものはどれか。

(1)フルオロカーボン(不活性)冷媒の装置で冷凍能力3トン未満は適用除外である。
(2)すべての冷凍装置に冷凍保安規則が適用される。
(3)第三種冷凍機械責任者は冷凍能力300トン未満の装置を管理できる。
(4)家庭用冷蔵庫にも冷凍保安規則が適用される。
(5)フルオロカーボン(不活性)冷媒の装置で冷凍能力5トン未満は適用除外である。

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正解:(5)フルオロカーボン(不活性)冷媒の装置で冷凍能力5トン未満は適用除外である。
不活性のフルオロカーボン冷媒は5トン未満が適用除外です。(1)3トン未満が適用除外なのはアンモニア等の冷媒です。(2)小規模の装置は適用除外です。(3)第三種は100トン未満です。300トン未満は第二種。(4)家庭用冷蔵庫は冷凍能力が小さいため適用除外です。

まとめ

この記事で学んだこと

  • 高圧ガス保安法の目的:高圧ガスによる災害の防止 + 公共の安全の確保
  • 圧縮ガス:常用温度でゲージ圧力1MPa以上
  • 液化ガス:常用温度でゲージ圧力0.2MPa以上
  • 冷凍トン:1日に1トンの0℃の水を0℃の氷にする冷凍能力
  • 適用除外:フルオロカーボン(不活性)は5トン未満、アンモニア等は3トン未満
  • 第三種冷凍機械責任者:100トン未満の装置の冷凍保安責任者になれる

前の記事 → 定期自主検査・保安検査・完成検査

次は冷凍設備の技術上の基準に進みましょう。高圧ガス保安法の基礎を学んだら、次は冷凍装置の製造・設置に関する具体的な技術基準です。

試験頻出ポイント

  • 法の目的 = 高圧ガスによる災害の防止 + 公共の安全の確保
  • 圧縮ガス:常用温度でゲージ圧力1MPa以上
  • 液化ガス:常用温度でゲージ圧力0.2MPa以上
  • 法が規制する対象:製造・貯蔵・販売・移動・消費
  • 適用除外:フルオロカーボン(不活性)5トン未満、アンモニア等3トン未満
  • 第三種冷凍機械責任者100トン未満の保安責任者になれる

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