保安管理技術 第三種冷凍機械責任者

【第三種冷凍機械責任者・保安管理】附属機器の役割(受液器・油分離器・液分離器・フィルタドライヤ等)

附属機器ってなに? ─ 冷凍サイクルの「サポート役」

冷凍サイクルの主要4機器(圧縮機凝縮器・膨張弁・蒸発器)だけでは、実際の冷凍装置は安全・効率的に運転できません。冷媒をきれいに保ったり、油を回収したり、液体が圧縮機に入るのを防いだり ─ そうした「裏方の仕事」を担うのが附属機器です。

この記事で学ぶ附属機器

受液器(じゅえきき):冷媒液を一時貯蔵
油分離器(ゆぶんりき):冷媒ガスから油を分離
液分離器(えきぶんりき):液体の冷媒が圧縮機に入るのを防ぐ
フィルタドライヤ:水分やゴミを除去
サイトグラス:冷媒の状態を目で確認
その他:液ガス熱交換器・中間冷却器

冷凍サイクルと附属機器の設置位置

圧縮機

油分離器

凝縮器

受液器

フィルタドライヤ
サイトグラス


膨張弁

蒸発器

液分離器
→ 圧縮機へ
■ 主要4機器
□ 附属機器

※ 液ガス熱交換器は、受液器〜膨張弁の液管と蒸発器〜圧縮機の吸込管の間に設置

受液器(レシーバ) ─ 冷媒液の「貯水タンク」

受液器(じゅえきき)は、凝縮器で液化した冷媒を一時的に貯めておくタンクです。英語ではレシーバ(Receiver)といいます。

項目 受液器の特徴
設置位置 凝縮器の出口と膨張弁の入口の間
役割① 負荷変動に対して冷媒液を安定供給するバッファ(緩衝材)
役割② 修理時に冷媒を回収して貯蔵する(ポンプダウン時)
液面 常に満液にしない(液面の上にガス空間が必要)

身近なイメージ
水道の配水塔(給水タンク)を想像してください。浄水場(凝縮器)できれいにした水(冷媒液)を配水塔(受液器)に一旦溜めて、各家庭(膨張弁→蒸発器)に安定的に送ります。水の使用量が変動しても、タンクに余裕があるから水圧が安定するのと同じ原理です。

試験のポイント ─ 受液器を満液にしてはいけない理由
液体は温度が上がるとわずかに膨張します。受液器を満液にしてしまうと、温度上昇時に液体が膨張する逃げ場がなく、異常な高圧が発生して危険です。そのため、液面の上には必ずガス空間(蒸気スペース)を確保します。

油分離器(オイルセパレータ) ─ 冷媒から油を「分離」

油分離器(ゆぶんりき)は、圧縮機から吐き出された冷媒ガスに混ざっている潤滑油を分離して、油を圧縮機に戻す装置です。

項目 油分離器の特徴
設置位置 圧縮機の吐出側と凝縮器の入口の間
分離原理 遠心力や急激な流速低下で油滴を分離(バッフル板や金網を使用)
分離した油 圧縮機のクランクケースに戻す

身近なイメージ
台所の換気扇(レンジフード)にはグリスフィルターが付いていますよね。料理の蒸気に混ざった油分を、フィルターでキャッチして分離しています。油分離器も同じ発想で、冷媒ガスに混ざった油を途中でキャッチして圧縮機に戻すのです。

試験のポイント ─ 油が凝縮器・蒸発器に流れるとどうなる?
油が凝縮器や蒸発器の伝熱管に付着すると油膜となり、熱伝達を妨げます。特に蒸発器では冷凍能力の低下につながります。油分離器で油を回収し、凝縮器・蒸発器への油の流出を抑えることが大切です。特にスクリュー圧縮機は大量の油を噴射するため、油分離器が不可欠です。

液分離器(アキュムレータ) ─ 圧縮機を「液圧縮」から守る

液分離器(えきぶんりき)は、蒸発器から戻ってくる冷媒の中に混ざった液体の冷媒を分離して、ガスだけを圧縮機に吸い込ませる装置です。英語ではアキュムレータ(Accumulator)といいます。

項目 液分離器の特徴
設置位置 蒸発器の出口と圧縮機の吸込側の間
役割 液体冷媒が圧縮機に入るのを防ぐ(液圧縮防止
原理 タンク内で液体が下に溜まり、上部からガスだけが出ていく構造

身近なイメージ
洗面所のU字トラップを想像してください。U字の底に水が溜まり、空気だけが上を通り抜けます。液分離器も同じ発想で、液体の冷媒は底に溜まり、ガスだけが上から圧縮機に送られます。底に溜まった液体は、少しずつ蒸発して圧縮機に戻っていきます。

注意 ─ 液圧縮は圧縮機の大敵!
液体はほとんど圧縮できないため、液冷媒が圧縮機に入ると弁やピストンに衝撃的な力がかかり、破損事故につながります。液分離器は圧縮機を守る最後の砦。特に起動時や負荷急変時に液戻りが起きやすいため、液分離器の役割は重要です。

フィルタドライヤ ─ 水分とゴミの「門番」

フィルタドライヤは、冷凍装置内を循環する冷媒から水分(ドライヤの機能)ゴミ(フィルタの機能)を取り除く装置です。

項目 フィルタドライヤの特徴
設置位置 受液器と膨張弁の間(液管に設置)
乾燥剤 シリカゲルやゼオライトなどの吸湿剤を充填
フィルタ 金網やストレーナで微細なゴミ・金属くずを除去

試験のポイント ─ なぜ水分を除去するのか?
フルオロカーボン冷凍装置に水分が混入すると、①膨張弁で氷結して冷媒が流れなくなる(氷詰まり)、②フルオロカーボンと水が反応してフッ化水素酸(腐食性の酸)が生じ、金属を腐食する ─ の2つの問題が起きます。フィルタドライヤはこれらを防ぐ重要な機器です。

サイトグラス ─ 冷媒を「目で見る」窓

サイトグラス(のぞき窓)は、液管の途中に設置されたガラス窓で、流れている冷媒の状態を目で確認できる装置です。

冷媒の状態 サイトグラスの見え方 判断
液体がスムーズに流れている 透明で気泡がない 正常(冷媒量が適正)
気泡が混じっている 泡や白濁が見える 冷媒不足の可能性

現場イメージ
冷凍機の配管を見ると、小さな丸い窓がついていることがあります。それがサイトグラス。のぞき込むと液体の冷媒が流れているのが見えます。ここに泡がプクプクと見えたら「冷媒が足りないかも?」と判断する手がかりになります。日常の点検ではサイトグラスを確認するのが基本です。

液ガス熱交換器 ─ 効率アップの工夫

液ガス熱交換器は、凝縮器を出た高温の液冷媒と、蒸発器を出た低温のガス冷媒の間で熱交換する装置です。

効果 内容
液冷媒側 液冷媒がさらに冷える(過冷却度が増加)→ 冷凍効果が増える
ガス冷媒側 吸込ガスが温まる(過熱度が増加)→ 液圧縮を防止

試験のポイント
液ガス熱交換器は「一石二鳥」の装置です。液冷媒の過冷却で冷凍効果が増加し、同時にガス冷媒の過熱で液圧縮を防止できます。ただし、吸込ガスの過熱度が上がりすぎると吐出ガスの温度も上がるため、バランスが大切です。

附属機器の設置位置まとめ

各附属機器がサイクルのどこに設置されるかを整理しましょう。

附属機器 設置位置 目的
油分離器 圧縮機 → ここ → 凝縮器 冷媒ガスから油を分離
受液器 凝縮器 → ここ → 膨張弁 冷媒液の一時貯蔵
フィルタドライヤ 受液器 → ここ → 膨張弁 水分・ゴミの除去
サイトグラス 受液器 → ここ → 膨張弁(液管上) 冷媒の状態確認
液分離器 蒸発器 → ここ → 圧縮機 液圧縮の防止

覚え方のコツ
「何から何を守っているか?」で設置位置を覚えましょう。油分離器は「凝縮器・蒸発器を油から守る」→ 圧縮機の吐出側。液分離器は「圧縮機を液体から守る」→ 圧縮機の吸込側。フィルタドライヤは「膨張弁を氷から守る」→ 膨張弁の手前。

よくある疑問・間違い

Q. 受液器と液分離器の違いは?

受液器は高圧側(凝縮器の後)に設置し、冷媒液を一時貯蔵するタンク。液分離器は低圧側(蒸発器の後)に設置し、液冷媒が圧縮機に入るのを防ぐ装置。名前が似ていますが、設置位置と役割がまったく違います。

Q. 油分離器は必ず必要?

小型のフルオロカーボン冷凍装置では、冷媒と油が混ざったまま循環して自然に戻ることもあるため、油分離器を省略する場合もあります。ただし、スクリュー圧縮機のように大量の油を噴射する装置やアンモニア冷凍装置アンモニアと油は混ざりにくい)では必須です。

Q. サイトグラスで泡が見えたら必ず冷媒不足?

冷媒不足が最も一般的な原因ですが、フィルタドライヤの目詰まりで流れが悪くなっている場合や、凝縮器の冷却不良で液体になりきっていない場合にも泡が見えることがあります。他の計器(圧力計など)も合わせて総合的に判断します。

理解度チェック

【問1】油分離器の設置位置として、正しいものはどれか。

(1)蒸発器の出口と圧縮機の入口の間
(2)圧縮機の吐出側と凝縮器の入口の間
(3)凝縮器の出口と膨張弁の入口の間
(4)膨張弁の出口と蒸発器の入口の間
(5)受液器とフィルタドライヤの間

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正解:(2)圧縮機の吐出側と凝縮器の入口の間
油分離器は圧縮機から吐き出された冷媒ガスに混ざっている潤滑油を分離する装置です。凝縮器や蒸発器に油が流れるのを防ぐため、圧縮機の出口(吐出側)に設置します。

【問2】フィルタドライヤの役割として、正しいものはどれか。

(1)冷媒ガスの油を分離する
(2)液体の冷媒が圧縮機に入るのを防ぐ
(3)冷媒中の水分やゴミを除去する
(4)冷媒液を一時的に貯蔵する
(5)冷凍能力を計測する

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正解:(3)冷媒中の水分やゴミを除去する
フィルタドライヤは、シリカゲルやゼオライトなどの乾燥剤で水分を吸着し、フィルタで微細なゴミや金属くずを除去します。水分が混入すると膨張弁の氷結や腐食性の酸の生成につながるため、特にフルオロカーボン冷凍装置では重要です。

【問3】受液器について、正しいものはどれか。

(1)蒸発器の出口に設置する
(2)冷媒液を常に満液の状態で使用する
(3)凝縮器と膨張弁の間に設置し、冷媒液を一時貯蔵する
(4)冷媒ガスから油を分離する装置である
(5)液冷媒が圧縮機に入るのを防ぐ装置である

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正解:(3)凝縮器と膨張弁の間に設置し、冷媒液を一時貯蔵する
受液器は凝縮器で液化した冷媒を一時的に溜めるタンクです。負荷変動に対する冷媒液の安定供給や、修理時の冷媒回収(ポンプダウン)に使われます。満液にすると温度上昇時に異常高圧になるため、ガス空間を確保します。

【問4】液分離器(アキュムレータ)の目的として、正しいものはどれか。

(1)凝縮器で液化した冷媒を一時貯蔵する
(2)冷媒中の水分を吸着除去する
(3)圧縮機の吐出ガスから油を回収する
(4)蒸発器から戻る液冷媒が圧縮機に入るのを防ぐ
(5)冷媒の流れを目視確認する

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正解:(4)蒸発器から戻る液冷媒が圧縮機に入るのを防ぐ
液分離器は蒸発器と圧縮機の間(圧縮機の吸込側)に設置し、液冷媒を分離してガスだけを圧縮機に送ります。液体の冷媒が圧縮機に入ると液圧縮となり、弁やピストンを破損させる危険があるため、液分離器で防止します。

まとめ

この記事のポイント

  • 受液器:凝縮器の後。冷媒液の一時貯蔵。満液にしない(ガス空間確保)
  • 油分離器:圧縮機の吐出側。冷媒ガスから油を分離して圧縮機に戻す
  • 液分離器:圧縮機の吸込側。液圧縮を防止する最後の砦
  • フィルタドライヤ:液管上(膨張弁の手前)。水分・ゴミを除去
  • サイトグラス:液管上。冷媒の状態(泡の有無)を目視確認
  • 液ガス熱交換器:過冷却度の増加(冷凍効果UP)と液圧縮防止の一石二鳥

前の記事 → 蒸発器の種類と特徴(満液式・乾式・着霜とデフロスト)

次回は自動制御機器の種類と役割(温度自動膨張弁・キャピラリチューブ・電磁弁・圧力スイッチ)を解説します。

試験頻出ポイント

  • 油分離器の設置位置 → 圧縮機の吐出側と凝縮器の間。分離した油は圧縮機のクランクケースに戻す
  • 液分離器の設置位置 → 蒸発器の出口と圧縮機の吸込側の間。液圧縮防止が目的
  • 受液器満液にしない(温度上昇時の液膨張による異常高圧を防ぐためガス空間が必要)
  • フィルタドライヤ:水分除去の理由は①膨張弁の氷結防止 ②フッ化水素酸の生成防止
  • サイトグラスの気泡 → 冷媒不足のサイン(ただし目詰まり等の可能性も)
  • 液ガス熱交換器:液冷媒の過冷却(冷凍効果UP)+ガスの過熱(液圧縮防止)の一石二鳥

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-保安管理技術, 第三種冷凍機械責任者