この記事で分かること
- p-h線図の縦軸・横軸と、冷凍サイクル4工程の向き
- 比エンタルピー差から冷凍効果、圧縮機仕事、凝縮負荷を読む手順
- 冷凍能力と成績係数(COP)の計算方法
- 第三種冷凍機械責任者試験で狙われやすいひっかけ
結論:p-h線図は「横方向の差」を読むグラフ
p-h線図は、縦軸に圧力、横軸に比エンタルピーを取ったグラフです。冷凍サイクルでは、横軸の比エンタルピー差を読むことで、冷凍効果、圧縮機の仕事、凝縮器で捨てる熱量を計算できます。
第三種冷凍機械責任者の保安管理技術では、細かい作図よりも「どの工程が水平線・垂直線・右上がりになるか」「どの比エンタルピー差を使うか」が重要です。まずは次の3つだけ押さえましょう。
| 見る場所 | 意味 |
|---|---|
| 縦方向 | 圧力の高低。上が高圧側、下が低圧側 |
| 横方向 | 比エンタルピーの大小。右へ行くほど冷媒1kgあたりの熱量が大きい |
| 横方向の差 | 冷凍効果、放熱量、圧縮機仕事の計算に使う |
公式情報の確認先
試験制度、科目、受験手数料、過去問題の公開期間は変更されることがあります。申込前や過去問演習時は、高圧ガス保安協会の公式ページも確認してください。
確認日:2026年6月30日
p-h線図の基本:3つの領域を先に覚える
p-h線図には、釣り鐘のような飽和曲線があります。この曲線の左・内側・右で、冷媒の状態が変わります。
| 領域 | 冷媒の状態 | 試験での見方 |
|---|---|---|
| 左側 | 過冷却液 | 凝縮器出口、膨張弁入口の状態として出やすい |
| 内側 | 湿り蒸気 | 膨張弁出口、蒸発器入口の状態として出やすい |
| 右側 | 過熱蒸気 | 圧縮機吸込み・吐出しの状態として出やすい |
図解:冷凍サイクルはA→B→C→D→Aで読む
冷凍サイクルの4工程をp-h線図に置くと、次のような形になります。実際の線図は冷媒ごとに細かく異なりますが、試験対策では「向き」と「比エンタルピー差」を優先して覚えます。
| 工程 | p-h線図での動き | 覚えること |
|---|---|---|
| A→B 圧縮 | 右上がり | 圧力も比エンタルピーも上がる |
| B→C 凝縮 | 高圧側の水平線 | 圧力一定で比エンタルピーが下がる |
| C→D 膨張 | 垂直線 | 等エンタルピー変化。hC = hD |
| D→A 蒸発 | 低圧側の水平線 | 圧力一定で比エンタルピーが上がる |
最重要:膨張弁では圧力と温度は下がりますが、比エンタルピーはほぼ変わりません。p-h線図ではC→Dが垂直線になります。
計算で使う4つの比エンタルピー
計算問題では、p-h線図から4点の比エンタルピーを読み取ります。記号は教材によって1〜4、A〜Dなど差がありますが、考え方は同じです。
| 点 | 場所 | よく使う記号 |
|---|---|---|
| A | 蒸発器出口・圧縮機入口 | hA または h1 |
| B | 圧縮機出口・凝縮器入口 | hB または h2 |
| C | 凝縮器出口・膨張弁入口 | hC または h3 |
| D | 膨張弁出口・蒸発器入口 | hD または h4 |
膨張弁では等エンタルピー変化なので、hC = hD と見て計算します。問題文でD点の値が直接与えられていなくても、C点の値を使えることがあります。
公式まとめ:冷凍能力・凝縮負荷・COP
p-h線図の計算は、基本的に「冷媒循環量 × 比エンタルピー差」です。単位は、kg/s × kJ/kg = kJ/s = kW になります。
| 求める量 | 公式 | 意味 |
|---|---|---|
| 冷凍効果 | hA - hD | 冷媒1kgが蒸発器で奪う熱 |
| 冷凍能力 Φ0 | qmr × (hA - hD) | 蒸発器で単位時間あたりに奪う熱 |
| 圧縮機仕事 P | qmr × (hB - hA) | 圧縮機に必要な動力 |
| 凝縮負荷 Φk | qmr × (hB - hC) | 凝縮器で単位時間あたりに捨てる熱 |
| COP | Φ0 ÷ P | 投入した仕事に対する冷却効果 |
計算例:比エンタルピーからCOPまで求める
次の条件で、冷凍能力、圧縮機仕事、凝縮負荷、COPを計算してみます。
条件
- 冷媒循環量 qmr = 0.06 kg/s
- hA = 400 kJ/kg
- hB = 440 kJ/kg
- hC = 250 kJ/kg
- 膨張弁は等エンタルピー変化なので hD = 250 kJ/kg
- 冷凍効果 = hA - hD = 400 - 250 = 150 kJ/kg
- 冷凍能力 Φ0 = 0.06 × 150 = 9.0 kW
- 圧縮機仕事 P = 0.06 × (440 - 400) = 2.4 kW
- 凝縮負荷 Φk = 0.06 × (440 - 250) = 11.4 kW
- COP = 9.0 ÷ 2.4 = 3.75
検算:凝縮負荷 11.4 kW = 冷凍能力 9.0 kW + 圧縮機仕事 2.4 kW です。p-h線図の計算では、このエネルギー収支で答えを確認できます。
COPが変わる条件:蒸発温度と凝縮温度
COPは、冷凍能力が大きく、圧縮機仕事が小さいほど良くなります。試験では、蒸発温度・凝縮温度・過冷却・過熱がCOPにどう効くかを問われます。
| 条件 | 変化 | 理由 |
|---|---|---|
| 蒸発温度が上がる | COPは上がりやすい | 圧縮比が小さくなり、圧縮機仕事が減る |
| 凝縮温度が上がる | COPは下がりやすい | 高圧側圧力が上がり、圧縮機仕事が増える |
| 過冷却を大きくする | COPは上がりやすい | 冷凍効果が増える |
| 過熱を大きくする | 主目的は液圧縮防止 | COP改善だけを目的にするものではない |
試験で狙われやすいひっかけ
- 膨張弁で温度が下がるから、比エンタルピーも下がる:誤り。絞り膨張では比エンタルピーはほぼ一定です。
- 冷凍能力は凝縮器の入口と出口の差で求める:誤り。冷凍能力は蒸発器で奪う熱なので、蒸発器出口と入口の差を使います。
- COPは圧縮機仕事 ÷ 冷凍能力:誤り。冷凍サイクルのCOPは冷凍能力 ÷ 圧縮機仕事です。
- 凝縮温度を上げれば冷凍機は効率よくなる:誤り。一般に圧縮機仕事が増え、COPは低下しやすくなります。
理解度チェック
【問1】p-h線図の縦軸と横軸の組み合わせとして正しいものはどれですか。
(1) 縦軸:温度、横軸:圧力
(2) 縦軸:圧力、横軸:温度
(3) 縦軸:圧力、横軸:比エンタルピー
(4) 縦軸:比エンタルピー、横軸:圧力
(5) 縦軸:温度、横軸:比エンタルピー
【問2】膨張弁での状態変化として正しいものはどれですか。
(1) 等圧変化で比エンタルピーが増える
(2) 等エントロピー変化で圧力が上がる
(3) 等エンタルピー変化で圧力が下がる
(4) 等温変化で比エンタルピーが増える
(5) 等圧変化で温度が上がる
【問3】hA = 400 kJ/kg、hD = 250 kJ/kg、冷媒循環量が0.04 kg/sのとき、冷凍能力はどれですか。
(1) 4 kW
(2) 6 kW
(3) 10 kW
(4) 150 kW
(5) 650 kW
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まとめ
p-h線図は、冷媒の状態変化を圧力と比エンタルピーで整理するための図です。難しく見えますが、試験対策では「圧縮は右上がり」「凝縮と蒸発は水平」「膨張は垂直」「計算は横方向の比エンタルピー差」と覚えれば、冷凍能力やCOPの問題に対応できます。
計算問題では、まず4点の比エンタルピーを読み、冷凍効果、圧縮機仕事、凝縮負荷を順番に求めましょう。最後に、凝縮負荷 = 冷凍能力 + 圧縮機仕事で検算すると、計算ミスを見つけやすくなります。
最終更新日:2026年6月30日
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