二級ボイラー技士 燃料及び燃焼

【二級ボイラー技士・燃焼】気体燃料の燃焼方式とガスバーナの種類(拡散燃焼・予混合燃焼)

ガスバーナとは?油バーナとの違い

前回の記事(液体燃料の燃焼方式と油バーナの種類)では、重油などの液体燃料を霧化して燃やす「油バーナ」を学びました。今回は気体燃料(都市ガス・LPG)を燃やすためのガスバーナを解説します。

油バーナでは燃料を「霧にする(霧化)」必要がありましたが、ガスバーナでは燃料がすでに気体なので霧化は不要です(燃焼の基礎理論で学んだ理論空気量の考え方はガス燃焼でも同じです)。そのかわり、ガスバーナで重要になるのが「ガスと空気をどうやって混ぜるか」です。

油バーナとガスバーナの違い

油バーナ → 液体を霧にする(霧化)のがメインの仕事
ガスバーナ → ガスと空気をどう混合するかがメインの仕事

この「混合のしかた」によって、ガスバーナは大きく2つの燃焼方式に分かれます。試験でもこの2つの違いを問う問題が頻出なので、しっかり押さえましょう!

2つの燃焼方式 ─ 拡散燃焼と予混合燃焼

気体燃料の燃焼方式は、拡散燃焼(かくさんねんしょう)予混合燃焼(よこんごうねんしょう)の2つに大別されます。

項目 拡散燃焼 予混合燃焼
混合のタイミング 燃焼と同時に混合 燃焼前に混合
火炎の長さ 長い 短い
逆火の危険 ない ある
代表例 マルチスパッドバーナ ブンゼンバーナ(ガスコンロ)

拡散燃焼とは?

拡散燃焼は、ガスと空気を混ぜずにそれぞれ別々にバーナから噴出させ、その境界面で自然に混合しながら燃焼する方式です。

身近なイメージ
ライターの炎を思い浮かべてください。ガスが噴出口から出て、周囲の空気と接触しながらゆらゆら燃えていますよね。あれが拡散燃焼のイメージです。ガスと空気が「出会ったところ」で燃えるので、炎が長くなります。

拡散燃焼の特徴

  • 火炎が長い:ガスが徐々に空気と混合しながら燃えるため、火炎が細長くなる
  • 逆火(ぎゃくび)の危険がない:バーナ内部にガスと空気の混合気がないため、炎がバーナの中に戻る「逆火(フラッシュバック)」が起こらない
  • 燃焼が安定している:急激な燃焼変動が起きにくい
  • ボイラー用ガスバーナの主流:安全性が高く、大型ボイラーに広く使われている

試験のポイント
「拡散燃焼方式では逆火の危険がない」は超頻出!
理由は「バーナの内部にガスと空気の混合気がない」から。混合気がなければ、炎が逆流しようがないわけです。

予混合燃焼とは?

予混合燃焼は、ガスと空気をあらかじめバーナの内部で混合してから、バーナ口(ポート)で燃焼させる方式です。

身近なイメージ
家庭のガスコンロを思い浮かべてください。バーナの根元にある小さな穴(空気調整口)から空気を吸い込み、ガスと混ぜてから炎が出ます。青くて短い炎が出ていますよね?あれが予混合燃焼です。空気と十分混ざっているので、効率よくきれいに燃えます。

予混合燃焼の特徴

  • 火炎が短い:あらかじめ混合されているので、一気に燃焼して炎が短くなる
  • 燃焼効率が高い:ガスと空気がよく混ざった状態で燃えるため、未燃ガスが少ない
  • 逆火(フラッシュバック)の危険がある:バーナ内部に混合気(ガス+空気)が存在するため、火炎の伝播速度がガスの噴出速度を上回ると、炎がバーナ内部に逆流する

逆火(フラッシュバック)とは?
バーナ内部にすでにガスと空気の混合気があるため、ガスの噴出速度が遅くなると火炎がバーナの中に逆戻りしてしまいます。これが「逆火」です。
たとえば、ガスコンロで火を極端に小さくすると「ボン!」と音がして炎がバーナの中に入ってしまうことがあります。あれが逆火です。ボイラーで起きると機器の損傷につながるため、予混合燃焼方式では逆火防止の対策が欠かせません。

逆火を防ぐには?

逆火を防ぐためのポイントは以下の通りです。

  • ガスの噴出速度を、火炎の伝播速度より速く保つ
  • バーナポート(炎孔)の穴の径を小さくする:穴が小さいほど炎が中に入りにくい(消炎距離の原理)
  • 急激にガス量を絞りすぎない

拡散燃焼と予混合燃焼の比較まとめ

拡散燃焼
混合:燃焼と同時
火炎:長い
逆火:なし ✔
用途:大型ボイラー向き
代表:マルチスパッドバーナ
予混合燃焼
混合:燃焼前に実施
火炎:短い
逆火:あり ⚠
用途:小型ボイラー向き
代表:ブンゼンバーナ

ボイラー用ガスバーナの種類

ボイラーに使われるガスバーナには、主に以下の種類があります。

① マルチスパッドバーナ(拡散燃焼方式)

マルチスパッドバーナは、多数のガスノズル(スパッド)をリング状や格子状に配置したバーナです。各ノズルから噴出したガスが周囲の空気と拡散混合しながら燃焼します。

マルチスパッドバーナの仕組み

① 多数のガスノズル(スパッド)がリング状や格子状に配置
② 各ノズルからガスが噴出
③ ノズル周囲の空気と拡散混合しながら燃焼
④ 多数の小さな火炎が均一に広がる

現場イメージ
シャワーヘッドを想像してください。1本の太い流れではなく、たくさんの小さな穴から同時に水が出ますよね?マルチスパッドバーナも同じで、たくさんのノズルからガスが噴出して、それぞれが周囲の空気と混合しながら燃えます。大型ボイラーの炉内を均一に加熱するのに向いています。

マルチスパッドバーナの特徴

メリット デメリット
逆火の危険がない(拡散燃焼) 火炎が長いため、十分な炉の長さが必要
ターンダウン比が大きい ノズル数が多いぶん構造が複雑
炉内を均一に加熱できる

② ガンタイプバーナ

ガンタイプバーナは、送風機(ファン)をバーナ本体に内蔵した一体型バーナです。液体燃料の燃焼方式と油バーナの種類で紹介した油だきガンタイプバーナと同じような外観で、ガス用ノズルに変えたものと考えてOKです。

ガンタイプバーナの特徴

  • 送風機一体型:ファンでガスと空気を強制的に混合して燃焼させる
  • 小型〜中型ボイラーで広く使われている
  • 自動制御との相性がよい:ガス量と空気量を自動で比例制御しやすい
  • 油・ガス兼用にできるタイプもある(デュアルフューエルバーナ)

現場イメージ
ビルの地下ボイラー室にある小型〜中型のガスボイラーでは、ガンタイプバーナがよく使われています。油だきと同じ形状なので、「油→ガス」に燃料を切り替えるときもバーナのノズル部分を交換するだけで対応できるタイプもあります。

試験のポイント
「ガンタイプバーナ」は送風機内蔵・小型〜中型向け・油ガス兼用可能がキーワードです。油バーナの知識とセットで覚えましょう。

③ センタータイプバーナ

センタータイプバーナは、バーナをボイラーの中心に1つだけ配置するシンプルなタイプです。

センタータイプバーナの特徴

  • 構造がシンプル:バーナが1つなので設置・保守が容易
  • 中型〜大型ボイラーで使用
  • 拡散燃焼方式のものが多い

④ リングタイプバーナ

リングタイプバーナは、リング状のバーナ管に多数の炎孔(えんこう)を設けたバーナです。リング状に均一な火炎が広がります。

リングタイプバーナの特徴

  • 火炎が均一に分布:リング状に燃焼するため、炉内の温度分布が均一になりやすい
  • 拡散燃焼方式のものが多い

ガスバーナの種類 比較表

バーナの種類 燃焼方式 主な用途
マルチスパッドバーナ 拡散燃焼 大型ボイラー
ガンタイプバーナ 送風機内蔵 小型〜中型ボイラー
センタータイプバーナ 拡散燃焼 中型〜大型ボイラー
リングタイプバーナ 拡散燃焼 中型〜大型ボイラー

ガスだきボイラーの安全対策

ガスは漏れると目に見えず、爆発の危険があります。なお、気体燃料は液体燃料に比べて大気汚染物質(NOx・SOx・ばいじん)の排出が少ないという利点もあります。ガスだきボイラーでは以下の安全対策が重要です。

点火前のプレパージ

ガスだきボイラーを点火する前に、炉内にたまった未燃ガスを排出するためにプレパージ(炉内換気)を行います。送風機で強制的に空気を入れ替える仕組みについては通風と通風装置の記事で詳しく解説しています。

なぜプレパージが必要?
万が一、炉内に未燃ガスがたまった状態で点火すると、爆発(炉内爆発)を起こす危険があります。プレパージで炉内の空気を十分に入れ替えてから点火するのは、ガスだきボイラーの基本中の基本です。点火前の準備と点火の手順の記事でも詳しく解説しています。

ガス漏れ検知

  • 都市ガス(空気より軽い)→ ガス検知器は天井付近に設置
  • LPG(空気より重い)→ ガス検知器は床面付近に設置

この違いは気体燃料・固体燃料の種類と性質で学んだ内容ですね。実際のボイラー室では、使用するガスの種類に合わせて検知器の設置場所を決めます。

よくある疑問・間違い

Q. 拡散燃焼は燃焼効率が悪い?
拡散燃焼は火炎が長いですが、適切な空気量を供給すれば十分な燃焼効率が得られます。火炎が長い=効率が悪い、ではありません。むしろ安全性(逆火がない)の面でボイラー用として優れています。

Q. 油バーナとガスバーナの使い分けは?
油バーナは重油を燃料とするボイラー、ガスバーナは都市ガスやLPGを燃料とするボイラーで使います。ただし、ガンタイプバーナなら油・ガス兼用(デュアルフューエル)に対応できるものもあり、燃料の切り替えが可能です。

理解度チェック

ここまでの内容を確認してみましょう!

【問1】気体燃料の燃焼方式のうち、ガスと空気をあらかじめ混合してから燃焼させる方式を何というか。

(1)蒸発燃焼 (2)拡散燃焼 (3)予混合燃焼 (4)表面燃焼 (5)分解燃焼

解答を見る

正解:(3)予混合燃焼
ガスと空気を燃焼前にあらかじめ混合する方式が予混合燃焼です。拡散燃焼はガスと空気が別々に噴出し、境界面で混合しながら燃焼する方式です。

【問2】拡散燃焼方式のガスバーナの特徴として、正しいものはどれか。

(1)火炎が短く、燃焼効率が高い (2)逆火の危険がある (3)火炎が長く、逆火の危険がない (4)バーナ内部でガスと空気を予混合する (5)小型ボイラー専用である

解答を見る

正解:(3)火炎が長く、逆火の危険がない
拡散燃焼はガスと空気が別々に噴出し混合しながら燃えるため、火炎が長くなります。バーナ内部に混合気がないので逆火の危険がありません。

【問3】予混合燃焼方式で「逆火」が起こる原因として、正しいものはどれか。

(1)空気の供給量が多すぎる (2)ガスの噴出速度が火炎の伝播速度より遅くなる (3)燃料の発熱量が高すぎる (4)バーナの穴の径が小さすぎる (5)炉内の温度が低すぎる

解答を見る

正解:(2)ガスの噴出速度が火炎の伝播速度より遅くなる
予混合燃焼では、バーナ内部にガスと空気の混合気があります。ガスの噴出速度が火炎の伝播速度を下回ると、炎がバーナの内部に逆戻りしてしまいます。これが逆火(フラッシュバック)です。

【問4】多数のガスノズル(スパッド)を配置し、拡散燃焼方式で燃焼させるボイラー用ガスバーナはどれか。

(1)ガンタイプバーナ (2)ブンゼンバーナ (3)マルチスパッドバーナ (4)回転式バーナ (5)蒸気噴霧式バーナ

解答を見る

正解:(3)マルチスパッドバーナ
マルチスパッドバーナは、多数のガスノズル(スパッド)をリング状や格子状に配置し、拡散燃焼方式で燃焼させるバーナです。大型ボイラーに使用されます。回転式バーナと蒸気噴霧式バーナは油バーナの種類です。

ミニテストで腕試し!

「気体燃料の燃焼方式とガスバーナ」のミニテスト(各5問×3回)で理解を定着させましょう!

ミニテスト【第1回】に挑戦 →

試験で狙われる!頻出ポイント5選

  1. 拡散燃焼は逆火の危険がない(理由:バーナ内部に混合気がない)
  2. 予混合燃焼は逆火の危険がある(理由:バーナ内部に混合気が存在)
  3. 逆火の原因 → ガスの噴出速度 < 火炎の伝播速度
  4. マルチスパッドバーナ → 拡散燃焼方式・大型ボイラー向け・多数のノズル(スパッド)配置
  5. ガスだきボイラーのプレパージ(点火前の炉内換気)は必須 → 未燃ガスによる炉内爆発を防止

まとめ

この記事のポイント

  • 拡散燃焼:ガスと空気が別々に噴出し混合しながら燃焼。火炎が長い。逆火の危険がない
  • 予混合燃焼:ガスと空気をあらかじめ混合してから燃焼。火炎が短い。逆火の危険がある
  • 逆火の原因 → ガスの噴出速度が火炎の伝播速度を下回ること
  • マルチスパッドバーナ:多数のノズルで拡散燃焼。大型ボイラー向け
  • ガンタイプバーナ:送風機内蔵。小型〜中型向け。油ガス兼用も可能
  • ガスだきボイラーではプレパージ(炉内換気)が必須

次回は「通風と通風装置(自然通風・強制通風・誘引通風・平衡通風)」について解説します。ボイラーの炉内に空気を送り込み、燃焼ガスを排出する重要な仕組みです!

関連記事

燃料及び燃焼の全テーマを学ぶ

液体燃料 → 気体燃料 → 燃焼理論 → バーナ → 通風 → 伝熱 → 大気汚染…全8テーマ

燃料及び燃焼の記事一覧へ →

※当サイトの画像にはAI生成のものが含まれており、実際の機器・器具とは外観が異なる場合があります。問題・解答の内容には細心の注意を払っておりますが、誤りが含まれる可能性があります。学習の参考としてご活用いただき、最終的な確認は公式テキスト・法令等で行ってください。当サイトの情報に基づく判断によって生じた損害について、一切の責任を負いかねます。

内容の誤りやお気づきの点がございましたら、お問い合わせフォームよりご連絡いただけますと幸いです。正確な情報をお届けできるよう、随時修正してまいります。

-二級ボイラー技士, 燃料及び燃焼