ミニテスト 燃料及び燃焼

空気比・逆火・火炎検出信号からガスバーナ異常を判定する問題5問【第1回】

この5問では、ガスバーナを「拡散か予混合か」の暗記で終わらせず、空気比・流速・火炎位置・燃焼偏り・火炎検出信号から診断します。

ガスは霧化が不要ですが、混ぜ方と火炎の保持が崩れると、逆火、リフト、吹消え、着火失敗につながります。

先に押さえる火炎診断の軸

観察結果 まず考える関係 確認する値
火炎が上流へ戻る 噴出速度<火炎伝播速度 流量・炎孔・混合比・温度
火炎が浮き上がる 噴出速度>保持できる速度 ガス圧・空気量・保炎器
一部だけ長炎・CO上昇 局所的な分配・混合不良 各ノズル・空気流路
パイロットを検出しない 火炎または検出系が不良 火炎位置・信号・配線

拡散燃焼はガスと空気を別々に供給し、火炎付近で混ぜます。予混合燃焼は上流で可燃混合気を作るため、噴出速度が遅すぎると火炎が上流へ進む逆火、速すぎると火炎が炎孔から離れるリフトが起こり得ます。

理論空気量=ガス流量×ガス1Nm³当たりの理論空気量

空気比=実際空気量÷理論空気量

実機の安定範囲は、ガス組成、バーナ構造、炉圧、負荷で変わります。「予混合は必ず高効率」「拡散燃焼なら事故は起きない」と一律に判断せず、取扱説明書の調整範囲を優先してください。

以下はすべて当サイト作成の独自問題です。ガス流量、信号値、許容範囲は問題演習用の条件です。

問1 ガス流量と空気量から空気比を求める

あるガスを80Nm³/h燃焼させる。ガス1Nm³当たりの理論空気量は9.50Nm³、実際の燃焼用空気量は836Nm³/hである。空気比として正しいものはどれか。

  1. 0.80
  2. 0.91
  3. 1.00
  4. 1.10
  5. 1.21
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正解:4 1.10

理論空気量は80×9.50=760Nm³/hです。空気比は836÷760=1.10。したがって、理論量より10%多い空気を供給しています。ただし、空気比1.10が常に最適という意味ではありません。実機ではO₂・CO、火炎、排ガス温度、メーカー基準を合わせて判断します。

問2 負荷低下時に起きた逆火を判断する

予混合バーナの負荷を下げた直後、炎孔上の火炎が消え、混合器側から短い異常音がした。ガス・空気の総流量は低下し、混合器温度は通常より高かった。最も適切な判断はどれか。

  1. 噴出速度低下と火炎伝播速度増加が重なった逆火を疑う
  2. 噴出速度が高すぎるため、必ず吹消えだけが起きた
  3. 水面計の蒸気側閉塞を疑う
  4. 燃料油の霧化圧力不足を疑う
  5. 異常音が止まれば直ちに再起動してよい
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正解:1 予混合気の逆火を疑う

流量低下で炎孔からの噴出速度が下がり、予熱された混合気の火炎伝播速度が相対的に上回ると、火炎は混合器側へ進みます。燃料遮断を確認し、バーナヘッド・混合器の過熱や損傷、流量制御、炎孔を点検します。自己流でガス量を上げて再点火してはいけません。

問3 高負荷で火炎がリフトする

予混合バーナを高負荷へ移したところ、火炎根元が炎孔から浮き、火炎検出信号が周期的に低下した。ガス圧と空気流量は同時に設定上限を超えていた。最も適切な判断はどれか。

  1. 噴出速度が高すぎ、リフトから吹消えへ進むおそれがある
  2. 噴出速度が遅すぎるので、逆火しか起こり得ない
  3. 検出信号が一度でも出れば運転継続に問題はない
  4. 空気量を固定し、ガスだけを無制限に増やす
  5. 炎孔面積と流量は火炎位置に影響しない
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正解:1 過大流速によるリフトを疑う

火炎が炎孔から浮くリフトは、混合気の噴出速度が火炎を保持できる範囲を超えたときに起こります。さらに離れると吹消えにつながります。安全に停止し、ガス圧・空気量を仕様範囲へ戻したうえで、保炎器の汚れ、炎孔、炉圧、ガス組成も確認します。

問4 マルチスパッドの燃焼偏りを切り分ける

マルチスパッドバーナで、全体の排ガスO₂は通常値だが、のぞき窓から見ると右上だけ火炎が長く、同じ側の炉壁にすすが付着した。停止後の点検で右上の複数ガス噴出口に堆積物が見つかった。最も適切な判断はどれか。

  1. 全体O₂が正常なので局所混合不良はない
  2. 噴出口の閉塞によるガス分配・混合の偏りを疑う
  3. 火炎の偏りは必ず燃料発熱量だけで決まる
  4. 堆積物を残したまま全体の空気量だけを増やす
  5. 燃焼偏りは炉壁への影響を与えない
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正解:2 局所的な分配・混合不良を疑う

マルチスパッドは多数の噴出口へガスを分けます。一部が閉塞すると、ガスと空気の分布が崩れ、全体平均のO₂だけでは見えない局所不完全燃焼が起こり得ます。指定手順で清掃・損傷確認を行い、復旧後は火炎形状、各部温度、O₂・COを再確認します。

問5 パイロット火炎検出信号を判断する

自動点火時、パイロット火炎は見えるが、火炎検出信号は1.1µAで、取扱説明書の最低確認値2.0µAを下回った。制御装置は主燃料弁を開かずにロックアウトした。最も適切な対応はどれか。

  1. 主燃料弁を手動で強制開放する
  2. 火炎検出回路を短絡して信号を作る
  3. 安全装置の正常動作とみなし、検出器・火炎位置・配線を点検する
  4. 目視できるので信号値を記録せず再起動を繰り返す
  5. ロックアウトは燃料供給を続ける機能である
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正解:3 主燃料を入れず、検出系を点検する

主火炎へ点火する前にパイロットを確実に検出できないため、主燃料弁を閉じた動作は安全側です。パイロットのガス圧・空気量・火炎位置、検出器の汚れ・向き、配線・接地、実測方法を取扱説明書どおり点検します。ボイラー構造規格も、点火できない場合や火炎を検出できない場合の燃料自動遮断と手動復帰を求めています。

採点結果の見方

正解数 復習ポイント
5問 混合・流速・検出を一つの安全系として判断できています。
3~4問 逆火とリフトの速度関係を見直しましょう。
0~2問 拡散と予混合の違いから整理しましょう。

関連する解説と次の問題

公式・一次資料

一次資料の確認日:2026年7月31日。実機のガス圧、空燃比、火炎検出信号、点火シーケンスは個別の取扱説明書を優先してください。

まとめ

ガスバーナは、燃料と空気を混ぜる位置に加え、噴出速度と火炎伝播速度の釣り合いで判断します。負荷低下時は逆火、高負荷時はリフト、火炎の片寄りは局所分配、点火時は火炎検出信号を確認します。安全装置が主燃料を遮断したときは、短絡や強制開放をせず原因を取り除きます。

最終更新日:2026年7月31日

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