燃料及び燃焼

【二級ボイラー技士・燃焼】油バーナの種類|圧力噴霧・蒸気噴霧・回転式

この記事で分かること

  • 油バーナを「霧化に使うエネルギー」で分類する方法
  • 単純圧力噴霧式と戻り油式の油量調節の違い
  • 蒸気・空気噴霧式、回転式、ガンタイプの特徴
  • すす・脈動・カーボン付着を原因から切り分ける手順

結論:油バーナは、燃料油を細かな油滴にし、加熱・蒸発した燃料蒸気を空気と混ぜて燃やす装置です。見分け方は名称の丸暗記ではなく、油圧、蒸気・空気、回転カップのどれで油膜を壊すかに注目します。

旧本文にあった「圧力は必ず1〜3MPa」「C重油は必ず80〜105℃」「蒸気を2〜5%消費」「空気噴霧式は温水ボイラー向け」といった一律値・用途断定は外しました。必要圧力、油温、ターンダウン比はバーナと燃料の仕様で変わるため、実機では取扱説明書と燃料油の粘度を確認します。

公式・一次資料の確認先

資料確認日:2026年7月28日。公表問題の本文・メーカー図は転載せず、図解と確認問題は独自作成しています。

霧化すると燃えやすくなる理由

燃料油は液体の塊のままでは、空気と接する面が小さく、蒸発にも時間がかかります。同じ量の油を多数の小滴へ分けると総表面積が増え、熱を受けて蒸発しやすくなります。

油が燃えるまでの流れ

油を供給
ろ過・必要時加熱

霧化
油膜を小滴へ

蒸発・混合
燃料蒸気+空気

着火・燃焼
火炎を保持

小滴は細かいほど有利ですが、燃焼は粒径だけでは決まりません。噴霧の分布、油温・粘度、空気との混合、火炎の安定、炉内で燃え切る時間がそろって初めて良好な燃焼になります。

油バーナ4方式を霧化エネルギーで比較

方式 油膜を壊すもの 主な特徴
圧力噴霧式 燃料油自身の圧力 霧化媒体を混ぜない。単純形と戻り油形がある
蒸気噴霧式 比較的高圧の蒸気 蒸気を霧化媒体に使い、油量調節範囲を広く取りやすい
空気噴霧式 圧縮空気・低圧気流 蒸気源は不要だが、霧化用空気の設備が必要
回転式 回転カップの遠心力と周囲の空気流 油膜を放射状に飛散。回転部の点検が必要

「霧化媒体」とは、油へ運動エネルギーを与える蒸気や空気です。圧力噴霧式は油自身の圧力を利用するため、霧化媒体を混合する方式ではありません。これは最新の二級公表問題でも区別されています。

圧力噴霧式:単純形と戻り油形

単純圧力噴霧式は、加圧した油をノズル内で旋回させ、小孔から円すい状に噴出して微粒化します。構造は比較的単純ですが、油圧を大きく下げて流量を絞ると噴霧が粗くなりやすいのが弱点です。

同じノズルの概算:流量 Q ∝ √圧力 P

油圧を基準の25%にすると、流量は √0.25=約50%

圧力を4分の1にしても流量は4分の1にならず、しかも噴霧状態が変化します。実際の値はノズル、油の密度・粘度、差圧で異なるため、この式は関係をつかむ概算です。

戻り油式の流れ

ポンプ
油をバーナへ送る

ノズル内部
旋回力を維持

噴射油
炉内で燃焼

ノズル内部 ↘ 戻り油調節弁 ↘ 戻り配管

戻り油式は、ノズルへ十分な油を送りつつ一部を戻し、戻り量で実際の噴射量を調節します。戻り側の調節弁は、開くほど戻り量が増えて噴射量が減り、閉じるほど噴射量が増えるという向きです。単純形より低負荷でも旋回力を保ちやすく、油量調節範囲が広くなります。

ターンダウン比は「最大安定燃焼量÷最小安定燃焼量」です。最大900L/h、最小180L/hなら900÷180=5:1です。数値は方式名だけで決めず、個別機種の仕様で確認します。

蒸気・空気噴霧式:霧化媒体を使う

蒸気噴霧式は蒸気、空気噴霧式は空気の高速流で油膜を引き裂きます。油圧だけに頼らないため油量調節範囲を広く設計できますが、霧化媒体の圧力・流量が不足すると油滴が粗くなります。

確認点 蒸気噴霧式 空気噴霧式
供給源 所定圧力の蒸気 圧縮機・ブロワ等
起動時 蒸気源の確保方法を確認 空気圧・風量を確認
注意 ドレンを除き乾いた蒸気を供給 油量と霧化空気量の比を保つ

「蒸気噴霧式なら高粘度油を無条件で燃やせる」わけではありません。油の移送・ろ過・加熱、バーナ入口粘度、蒸気条件を設計値に合わせます。重油の加熱目的は「重油の種類と性質」で整理しています。

回転式とガンタイプを混同しない

回転式バーナは、高速回転するカップ内面へ油を供給し、薄い油膜を縁から放射状に飛ばします。実機では周囲の噴霧空気も微粒化と混合に働きます。油圧を高くしなくても霧化しやすい一方、カップの汚れ、偏摩耗、回転数、軸受、振動、空気ノズルを点検します。

ガンタイプは別の霧化原理名ではなく、ファンと圧力噴霧式バーナを組み合わせた一体型の呼び方です。小容量ボイラーに多く使われます。「回転式・蒸気噴霧式・ガンタイプ」を同じ分類軸で並べないことがポイントです。

火炎形状とスタビライザ

噴霧角は油滴が広がる角度で、ノズル特性、圧力、粘度、空気流によって火炎の幅と長さに影響します。炉が短いのに火炎が長すぎれば後壁へ当たり、局部過熱やカーボン付着を招きます。反対に広がりすぎても側壁へ接触します。

スタビライザは空気へ旋回・渦を与え、燃料との初期混合と火炎根元の再循環を助けます。安定燃焼は炎色だけでは判定せず、火炎形状、O₂・CO、煙色、炉内圧、燃料・空気条件を一緒に見ます。「オレンジ色なら必ず正常」という判断は避けます。

不調を「霧化・空気・着火」に分ける

症状 主な確認先 考え方
黒煙・すす 油粘度、油圧、ノズル、霧化媒体、空気量 粗い油滴か局所空気不足かを分ける
火炎の脈動 油圧変動、ストレーナ、空気流、炉内圧 供給の周期変動と燃焼不安定を確認
ノズル先端のカーボン 後だれ、噴霧角、点火位置、停止時遮断 未蒸発油が先端で炭化していないか
失火・着火遅れ 点火装置、燃料遮断弁、火炎検出器、パージ 再点火を繰り返さず原因を除く

ノズル清掃は停止・燃料遮断・冷却後に指定手順で行い、硬い針やドリルで孔を広げません。噴霧部品の摩耗や傷は噴霧量・角度を変えるため、清掃だけで戻らなければ交換基準を確認します。

理解度チェック

【問1】圧力噴霧式バーナの説明として最も適切なものはどれですか。

(1) 必ず蒸気を油へ混ぜる
(2) 油自身の圧力で噴霧し、霧化媒体を混ぜない
(3) 回転カップだけで油量を測る
(4) 燃料を固体のまま供給する
(5) 圧縮空気でのみ油圧を作る

解答を見る

正解:(2)
圧力噴霧式は油自身の圧力とノズルの旋回で微粒化します。蒸気や空気を霧化媒体とする方式と区別します。

【問2】戻り油式で戻り側調節弁を開いたときの基本的な変化はどれですか。

(1) 戻り量が減り噴射量が増える
(2) 戻り量も噴射量も必ずゼロになる
(3) 戻り量が増え噴射量が減る
(4) 回転カップの速度だけが上がる
(5) 蒸気消費量だけが増える

解答を見る

正解:(3)
戻り側を開くほど戻す油が増え、炉内へ噴射する量は減ります。弁の向きを逆に覚えないことが重要です。

【問3】最大燃焼量720L/h、最小安定燃焼量120L/hのバーナのターンダウン比はいくらですか。

(1) 1:6
(2) 3:1
(3) 5:1
(4) 6:1
(5) 12:1

解答を見る

正解:(4)
720÷120=6なので6:1です。最大値を最小値で割ります。

【問4】排ガスO₂が残っているのに黒煙が出る場合、最初の切り分けとして適切なものはどれですか。

(1) O₂があるので正常と決める
(2) 油量を無条件で増やす
(3) 空気を最大まで絞る
(4) ノズルをドリルで広げる
(5) 噴霧不良や局所混合不良も確認する

解答を見る

正解:(5)
炉全体に酸素が残っていても、粗い油滴や混合の偏りがあれば局所的にすすが生じます。

関連学習とまとめ

油バーナは、圧力・霧化媒体・回転というエネルギー源で分類します。調節範囲は方式の傾向を覚えつつ、実機の数値は機種仕様で確認します。不調時は、燃料を増減する前に霧化・空気・着火のどこが崩れたかを切り分けます。

最終更新日:2026年7月28日

※当サイトの画像にはAI生成のものが含まれており、実際の機器・器具とは外観が異なる場合があります。問題・解答の内容には細心の注意を払っておりますが、誤りが含まれる可能性があります。学習の参考としてご活用いただき、最終的な確認は公式テキスト・法令等で行ってください。当サイトの情報に基づく判断によって生じた損害について、一切の責任を負いかねます。

内容の誤りやお気づきの点がございましたら、お問い合わせフォームよりご連絡いただけますと幸いです。正確な情報をお届けできるよう、随時修正してまいります。

-燃料及び燃焼