ミニテスト 燃料及び燃焼

炉内圧・差圧・回転数から通風装置の異常を判定する問題5問【第1回】

この5問では、通風方式の名称ではなく、炉内圧・差圧・流量・回転数・振動の変化から異常箇所を判定します。

ファンが回っていても、流路抵抗やダンパ異常があれば必要な燃焼空気と排ガス流量は確保できません。測定点を上流から順に追うのがコツです。

先に押さえる圧力の見方

測定結果 疑う場所 一緒に見る値
機器前後の差圧上昇 付着・閉塞・ダンパ 下流流量・上流圧力
炉内圧が正側へ上昇 ID側の能力低下・閉塞 ID回転数・ダンパ・電流
負圧が強くなる ID過大・FD不足・漏入 O₂・排ガス量・炉扉
振動と電流が同時上昇 付着・不釣合い・軸受 回転数・温度・異音

自然通風は煙突内外の密度差、押込み通風は空気入口側のFDファン、誘引通風は排ガス出口側のIDファンを使います。平衡通風は両ファンを協調させ、燃焼空気量と炉内圧を別々に調整します。

自然通風圧Δp=g×煙突高さH×(外気密度-煙突内ガス密度)

風量Q ∝ 回転数n  圧力Δp ∝ n²

軸動力L ∝ n³

相似則は、同じファンで気体密度がほぼ一定、相似運転が成り立つ範囲の近似です。実際の運転点はファン特性曲線と設備抵抗曲線の交点で決まります。

以下はすべて当サイト作成の独自問題です。圧力・流量・振動値は問題演習用に設定しています。

問1 自然通風で利用できる余裕圧を求める

煙突高さ30m、外気密度1.18kg/m³、煙突内ガス密度0.78kg/m³とする。g=9.8m/s²、煙道・伝熱面などの圧力損失合計を82Paとしたとき、損失を差し引いた通風の余裕圧として最も近いものはどれか。

  1. 35.6Pa
  2. 82.0Pa
  3. 117.6Pa
  4. 199.6Pa
  5. 352.8Pa
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正解:1 約35.6Pa

発生する自然通風圧は9.8×30×(1.18-0.78)=117.6Paです。ここから圧力損失82Paを引くと、余裕は35.6Pa。煙突が通風圧を生んでも、そのすべてを流量確保へ使えるわけではありません。すす付着などで損失が35.6Pa増えれば、同じ条件では余裕がなくなります。

問2 回転数低下後の圧力と動力を概算する

同じ送風機の回転数を100%から85%へ下げた。基準時の全圧は2.00kPa、軸動力は40.0kWである。相似則による全圧と軸動力の組合せとして最も近いものはどれか。

  1. 全圧1.45kPa・軸動力24.6kW
  2. 全圧1.70kPa・軸動力34.0kW
  3. 全圧1.45kPa・軸動力34.0kW
  4. 全圧1.70kPa・軸動力24.6kW
  5. 全圧2.00kPa・軸動力40.0kW
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正解:1 約1.45kPa・約24.6kW

全圧は2.00×0.85²=1.445kPa、軸動力は40.0×0.85³=約24.6kWです。回転数制御は低負荷時の動力削減に有効ですが、圧力も二乗で下がります。燃焼空気量、炉内圧、最低回転数を満たす範囲で使います。

問3 空気予熱器の差圧上昇を診断する

同じ負荷で、FDファン出口圧力は上昇したがバーナ前空気流量は低下した。空気予熱器の空気側差圧は0.65kPaから1.30kPaへ増え、ダンパ指令と実開度は一致している。最初に疑うべきものはどれか。

  1. 空気予熱器またはその流路の付着・閉塞
  2. 煙突が突然高くなった
  3. 燃料の発熱量だけが上昇した
  4. 差圧上昇は流路が清浄になった証拠
  5. バーナ前流量計は確認しなくてよい
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正解:1 空気側流路の付着・閉塞を疑う

機器前後の差圧が2倍になり、上流圧力が上がる一方で下流流量が減っているため、その区間の抵抗増加と整合します。停止・隔離・冷却後に、フィルタ、伝熱面、ダクト、ダンパ周辺の付着・変形を指定手順で確認します。ファン回転数だけを上げ続けると動力と設備負荷が増えます。

問4 平衡通風で炉内圧が正側へ動く

平衡通風ボイラーで負荷は一定、FD空気流量も安定している。炉内圧が-20Paから+45Paへ上がり、ID出口ダンパは指令65%に対して実開度28%のまま、IDファン電流も低下した。最も適切な判断はどれか。

  1. ID側の排出能力低下を疑い、燃料を安全側へ移してダンパ系を確認する
  2. FD空気量を直ちに最大へ上げる
  3. 正圧化は平衡通風の正常な目的である
  4. 炉内圧とIDダンパは無関係である
  5. 高温ガスが漏れても運転を継続する
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正解:1 ID側のダンパ・駆動系を疑う

IDダンパが指令に追従せず閉じ側に残り、ファン電流も下がっているため、排ガス流量不足で炉内圧が正側へ動いたと考えられます。高温ガスや火炎が隙間から漏れるおそれがあります。設備手順に従って燃料を減少・遮断し、ダンパ軸、リンク、アクチュエータ、位置発信器を確認します。

問5 誘引ファンの振動と電流上昇を判断する

IDファンの回転数は一定だが、振動値が2.3mm/sから7.6mm/sへ、電動機電流も通常値より12%上昇した。点検窓から羽根車の片側に灰の偏った付着が見える。最も適切な判断はどれか。

  1. 灰付着による不釣合いを疑い、安全停止後に羽根車と軸受を点検する
  2. 振動と電流が上がるほど効率は必ず高い
  3. 回転数が一定なら機械異常は起こらない
  4. 片側の灰だけを運転中に手で落とす
  5. 炉内圧と火炎だけを見て振動記録を無視する
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正解:1 羽根車の不釣合いを疑う

片側に灰が付くと質量の中心が回転軸からずれ、振動が増えます。接触や軸受損傷へ進む前に、安全停止・誤起動防止後、羽根付着、摩耗・亀裂、軸受温度、芯ずれを点検します。清掃後は左右を均等にし、再起動前に回転部とケーシング内の置き忘れも確認します。

採点結果の見方

正解数 復習ポイント
5問 圧力分布と機器状態を結び付けて判断できています。
3~4問 相似則と差圧の読み方を見直しましょう。
0~2問 FD・IDファンの位置と炉内圧から整理しましょう。

関連する解説と次の問題

公式・一次資料

一次資料の確認日:2026年7月31日。実機の炉内圧、ファン運転範囲、振動基準、インタロックは個別設備の取扱説明書と管理基準を優先してください。

まとめ

通風異常は、ファン単体ではなく流路全体の圧力分布で判断します。機器差圧が上がって下流流量が落ちれば閉塞、炉内圧が正側へ動けばID側、振動と電流が上がれば回転部を疑います。回転数制御では動力だけでなく、圧力が回転数の二乗で変わる点も忘れないようにしましょう。

最終更新日:2026年7月31日

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