ミニテスト 燃料及び燃焼

油圧・戻り油量・回転数から油バーナ異常を判定する問題5問【第1回】

この5問では、油バーナを方式名だけでなく、油圧・戻り油量・粘度・霧化蒸気・回転部の測定値から判定します。

黒煙が出たときに空気量だけを動かすのではなく、燃料が細かな油滴になっているかを順序立てて切り分ける練習です。

先に押さえる診断の軸

方式 霧化に使う力 最初の確認値
圧力噴霧式 燃料油の差圧 油圧・流量・ノズル
戻り油式 油圧+戻り量調節 供給量・戻り量・噴射量
蒸気噴霧式 蒸気の高速流 蒸気圧・ドレン・油粘度
空気噴霧式 霧化用空気 空気圧・流量・油量との比
回転式 回転カップと空気流 回転数・振動・付着物

液体燃料は、小さな油滴にして表面積を増やし、加熱・蒸発した燃料蒸気を空気と混ぜて燃やします。したがって、排ガスO₂が残っていても、粗い油滴や混合の偏りがあれば局所的な不完全燃焼は起こり得ます。

同じノズルの概算:流量Q₂=Q₁×√(差圧P₂÷差圧P₁)

戻り油式の収支:炉内への噴射量=バーナ供給量-戻り量

流量式は、同じノズル・同じ油性状で差圧だけを変える問題用の近似です。実機の流量、油温、油圧、ターンダウン比はバーナと燃料の仕様を優先します。

以下はすべて当サイト作成の独自問題です。設備値は問題演習用に設定しており、実機操作を指示するものではありません。

問1 油圧低下後の噴射量を概算する

同じ圧力噴霧ノズルで、差圧2.0MPaのときの噴射量が800L/hだった。油の性状は変わらないものとし、差圧を0.5MPaまで下げたときの噴射量を上の式で概算すると、最も近いものはどれか。

  1. 100L/h
  2. 200L/h
  3. 400L/h
  4. 566L/h
  5. 800L/h
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正解:3 400L/h

800×√(0.5÷2.0)=800×0.5=400L/hです。差圧を4分の1にしても流量は4分の1ではなく、約2分の1になります。ただし、圧力を下げるほど油滴が粗くなりやすいため、流量計算だけで安定燃焼を保証できません。低負荷域はバーナの許容範囲も確認します。

問2 戻り油量から炉内への噴射量を求める

戻り油式バーナへ720L/hを供給し、戻り配管で270L/hを測定した。配管漏れと計器誤差は無視できる。このとき炉内への噴射量と、戻り側調節弁をさらに開いた場合の基本的な変化の組合せはどれか。

  1. 450L/h・噴射量は減る
  2. 450L/h・噴射量は増える
  3. 720L/h・噴射量は減る
  4. 990L/h・噴射量は増える
  5. 270L/h・噴射量は変わらない
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正解:1 450L/h・噴射量は減る

炉内へ入る量は720-270=450L/hです。戻り側をさらに開くと戻り量が増え、同じ供給条件なら噴射量は減ります。戻り油式はノズル内の旋回を保ちながら戻り量で負荷を調節しやすい方式ですが、弁の開閉方向を逆に覚えないことが重要です。

問3 油温低下と黒煙を切り分ける

重油バーナの負荷と油圧は一定である。バーナ入口油温が低下し、動粘度が取扱説明書の要求範囲を上回った。同時に火炎が長くなり、黒煙が出始めた。最初の対応として最も適切なものはどれか。

  1. 黒煙が消えるまで燃料だけを増やす
  2. ノズル孔をドリルで広げる
  3. 油加熱器・温調・ストレーナを確認し、要求粘度へ戻す
  4. 油温に関係なく燃焼空気を半分にする
  5. 排ガスO₂があれば霧化は正常と判断する
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正解:3 要求粘度へ戻すための設備を確認する

油温が下がって粘度が高くなると、ノズルから出る油滴が粗くなり、蒸発・混合が遅れます。現場では油加熱器の蒸気・電源、温度調節、温度計、ストレーナ差圧を確認します。「C重油なら何℃」と固定せず、納入油の粘度温度曲線とバーナ要求粘度で温度を決めます。

問4 蒸気噴霧式の火炎脈動を診断する

蒸気噴霧式バーナで、霧化蒸気圧力計の指示が周期的に揺れ、配管から打撃音がし、火炎も脈動している。油圧は安定している。最も優先して確認するものはどれか。

  1. 燃料の硫黄分だけ
  2. 霧化蒸気配管のドレンとドレントラップ
  3. 回転カップの回転数
  4. 戻り油調節弁の開度だけ
  5. ボイラー水の硬度だけ
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正解:2 霧化蒸気配管のドレンとドレントラップ

蒸気配管に凝縮水がたまると、乾いた蒸気を安定して供給できず、ウォータハンマと霧化変動の原因になります。燃焼を安全な状態へ移したうえで、所定手順に従いドレン排出、トラップ、配管勾配、蒸気圧を確認します。蒸気噴霧式だから高粘度油を無条件で処理できるわけではなく、油側の粘度管理も必要です。

問5 回転式バーナの振動増加を判断する

回転式バーナで、設定は変えていないのに回転数が7,200min⁻¹から6,300min⁻¹へ低下し、振動値と電動機電流が上昇した。火炎の偏りも見られる。最も適切な判断はどれか。

  1. 油圧噴霧ノズルの圧力だけを上げて運転を続ける
  2. 正常な低負荷特性なので記録しない
  3. カップ付着物・偏摩耗・軸受・駆動部を停止手順に従って点検する
  4. 燃料の発熱量が必ず上昇したと判断する
  5. 排ガスO₂だけを見て回転部の異常を除外する
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正解:3 回転カップと駆動部を点検する

回転数低下に振動・電流上昇が重なっているため、単なる燃焼調整ではなく回転抵抗や不釣合いを疑います。カップへのカーボン付着、変形・偏摩耗、軸受、ベルトや電動機などが確認対象です。高速回転部へ近づかず、燃料遮断・停止・冷却・誤起動防止後に指定手順で点検します。

採点結果の見方

正解数 復習ポイント
5問 方式と測定値を結び付けて判断できています。
3~4問 差圧の平方根と戻り油の収支を見直しましょう。
0~2問 各方式が霧化に使う力から整理しましょう。

関連する解説と次の問題

公式・一次資料

一次資料の確認日:2026年7月31日。実機の燃焼調整・整備は、設備メーカーの取扱説明書と現場の安全手順を優先してください。

まとめ

油バーナの診断は、方式ごとに霧化へ使う力を特定することから始まります。圧力噴霧式は差圧と流量、戻り油式は供給・戻りの収支、蒸気噴霧式は蒸気の乾きと圧力、回転式は回転数・振動・電流を確認します。黒煙を空気量だけの問題と決めず、油粘度と霧化状態まで確認しましょう。

最終更新日:2026年7月31日

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