ミニテスト 燃料及び燃焼

硫黄量・排ガス値・酸露点から燃焼障害を判定する問題5問【第1回】

この5問では、NOx・SOx・ばいじんの名称を選ぶだけでなく、硫黄量、O₂・CO、酸露点、メタル温度、燃焼能力から対策を判断します。

排ガスの一つの数値だけで正常・異常を決めるのは危険です。燃料、火炎、通風、低温部、法規制の順に原因を切り分けましょう。

先に押さえる四つの判断軸

見る値 分かること 単独判断しない理由
O₂ 余剰空気の目安 漏入空気でも上がる
CO・ばいじん 不完全燃焼の兆候 霧化・混合・温度にも左右される
NOx 燃焼温度・酸素等の影響 燃料中窒素の影響もある
メタル温度 酸凝縮の危険 排ガス温度とは一致しない

硫黄SがすべてSO₂になる学習用計算:SO₂質量=燃料質量×硫黄質量分率×64÷32

低温腐食:硫酸露点と比べるのは、まず低温部の金属表面温度

実機の基準値・調整範囲は、燃料、バーナ、負荷、地域の条例で変わります。メーカーの燃焼曲線と公定法による測定を優先してください。

以下はすべて当サイト作成の独自問題です。数値は判断手順を学ぶために設定した演習条件です。

問1 SO₂管理上限から許容硫黄分を逆算する

1運転周期に重油800Lを燃焼し、密度は0.92kg/Lとする。硫黄がすべてSO₂になると仮定した理論生成量を10.0kg以下に抑えるには、燃料の硫黄分を最大で何質量%以下にすればよいか。

  1. 0.34%
  2. 0.50%
  3. 0.68%
  4. 0.80%
  5. 1.36%
解答を見る

正解:3 約0.68質量%

燃料質量は800×0.92=736kgです。SO₂ 10.0kgに含まれる硫黄は、分子量比32/64から5.0kg。したがって許容硫黄分は5.0÷736×100=0.679…%となり、約0.68質量%です。実排出量は燃料分析、硫黄の残留、脱硫設備などで変わるため、ここでは理論値として扱います。

問2 FGRを増やした後のCO上昇へ対応する

排ガス再循環(FGR)を増やしたところ、NOxは110ppmから70ppmへ低下した。一方、COは15ppmから180ppmへ上昇し、火炎の脈動も現れた。最初の対応として最も適切なものはどれか。

  1. NOxが下がったので、そのまま運転する
  2. FGRをさらに増やしてNOxをゼロに近づける
  3. 安全な直前設定へ戻し、火炎安定と空燃比を確認する
  4. CO計だけを校正せず無効にする
  5. 燃料流量だけを増やして火炎を大きくする
解答を見る

正解:3 安全な直前設定へ戻して確認する

FGRはピーク火炎温度と酸素濃度を下げ、サーマルNOxを抑えます。しかし増やしすぎると火炎が不安定になり、COや未燃分が増える場合があります。NOxだけでなくO₂・CO・火炎・メーカーの安定範囲を同時に見ます。実機では所定の停止・復旧手順と責任者の指示を優先してください。

問3 排ガス温度ではなくメタル温度で低温腐食を判定する

燃料条件から推定した硫酸露点は138℃である。空気予熱器出口の排ガス温度は160℃だが、空気入口側の管メタル温度は122℃だった。判断として最も適切なものはどれか。

  1. 排ガスが160℃なので低温腐食の可能性はない
  2. 管表面が露点より低く、酸凝縮による腐食を疑う
  3. 122℃は水の沸点より高いので腐食しない
  4. 低温腐食は炉内の最高温部だけで起こる
  5. 硫黄分と表面温度は低温腐食に関係しない
解答を見る

正解:2 低温側の管表面で酸凝縮を疑う

硫酸を含む蒸気が接する金属面で露点を下回れば、排ガスの代表温度が露点より高くても局所的に凝縮し得ます。この例では122℃<138℃です。特に空気予熱器の空気入口付近はメタル温度が低くなりやすいため、温度分布、燃料硫黄分、減肉位置を合わせて確認します。

問4 O₂が高いのにCOとばいじんが増えた原因を探す

油だきボイラーで、通常はO₂ 3.5%・CO 20ppm・ばいじん少量だった。現在はO₂ 5.8%・CO 450ppm・黒煙増加となり、送風量はほぼ同じだが霧化油圧が1.5MPaから0.8MPaへ低下している。優先して調べるものはどれか。

  1. 空気不足だけを原因と決め、送風量だけ増やす
  2. 燃料硫黄分だけを下げる
  3. 油バーナの霧化圧・ノズル・燃料系統を点検する
  4. 排ガス温度だけを下げる
  5. 安全弁の設定圧力を上げる
解答を見る

正解:3 霧化不良を優先して確認する

O₂が高くても、燃料と空気が細かく均一に混ざらなければ完全燃焼しません。霧化油圧低下という同時変化があるため、ノズル詰まり、圧力調整、ストレーナ、油温・粘度などを点検します。CO・黒煙を見て「必ず空気不足」と決めず、測定値の組合せから原因へ近づくのがポイントです。

問5 大気汚染防止法上の対象と届出を判定する

大気汚染防止法上の燃焼能力が重油換算60L/hのボイラーを新設する計画がある。環境省が示す全国基準に照らした説明として最も適切なものはどれか。

  1. 50L/h未満なので、ばい煙発生施設ではない
  2. 50L/h以上なので対象となり、原則60日前までの設置届等を確認する
  3. 伝熱面積だけで対象を判定し、燃焼能力は使わない
  4. 届出先は必ず労働基準監督署だけである
  5. 対象なら測定・記録は一切不要になる
解答を見る

正解:2 対象として設置届等を確認する

環境省の一覧では、ボイラーは燃焼能力50L/h以上がばい煙発生施設です。新設・構造等の変更は、原則60日前までに管轄都道府県知事等へ届け出ます。労働安全衛生法令のボイラー手続とは目的・提出先・期限が別です。実務では燃料換算、施設区分、自治体の上乗せ条例、測定頻度まで管轄自治体へ確認してください。

採点結果の見方

正解数 復習ポイント
5問 発生源・測定値・法規制を分けて判断できています。
3~4問 SO₂の質量比と酸露点の比較を見直しましょう。
0~2問 O₂・CO・NOxを一つずつ暗記せず、組合せで整理しましょう。

関連する解説と次の問題

公式・一次資料

一次資料の確認日:2026年7月31日。排出基準・換算方法・届出・測定頻度は施設と地域で異なるため、実務では管轄自治体と設備メーカーの最新資料を優先してください。

まとめ

SOxは燃料中硫黄から理論量を計算でき、NOx対策はCOや火炎安定との両立が必要です。低温腐食は代表排ガス温度だけでなく、最も冷たい金属面を酸露点と比較します。O₂が高くても霧化・混合不良ならCOとばいじんは増えます。最後に、設備の安全法令と大気汚染防止法の手続を分けて確認しましょう。

最終更新日:2026年7月31日

※当サイトの画像にはAI生成のものが含まれており、実際の機器・器具とは外観が異なる場合があります。問題・解答の内容には細心の注意を払っておりますが、誤りが含まれる可能性があります。学習の参考としてご活用いただき、最終的な確認は公式テキスト・法令等で行ってください。当サイトの情報に基づく判断によって生じた損害について、一切の責任を負いかねます。

内容の誤りやお気づきの点がございましたら、お問い合わせフォームよりご連絡いただけますと幸いです。正確な情報をお届けできるよう、随時修正してまいります。

-ミニテスト, 燃料及び燃焼