ボイラーの構造

【二級ボイラー技士・構造】エコノマイザ・空気予熱器・過熱器

結論:排熱を活かす「3つの熱回収装置」で効率アップ

ボイラーで燃料を燃やすと、大量の排ガス(燃焼ガス)が煙突から出ていきます。この排ガスにはまだたくさんの熱エネルギーが残っています。

そのまま捨ててしまうのは、もったいないですよね。そこで、排ガスの余った熱を回収して再利用するために取り付けるのが、今回紹介する3つの装置です。

エコノマイザ(節炭器)

排ガスの熱で
給水を予熱する

空気予熱器

排ガスの熱で
燃焼用空気を予熱する

過熱器

蒸気をさらに加熱して
過熱蒸気を作る

エコノマイザと空気予熱器は「排ガスの熱を回収して再利用する=ボイラー効率を上げる」ための装置、過熱器は「蒸気の温度をさらに高める」ための装置です。3つとも試験に出やすいので、それぞれの役割と設置位置をしっかり押さえましょう。

エコノマイザ(節炭器)― 排ガスで給水を温める「予熱係」

エコノマイザとは?

エコノマイザ(日本語では節炭器=せったんき)は、ボイラーの排ガスの熱を利用して、ボイラーに送り込む給水をあらかじめ温めておく装置です。

「エコノマイザ」という名前は「economy(経済的)」から来ています。まさに燃料を節約するための装置です。

身近な例:お風呂にお湯をためるとき、最初から冷たい水道水を沸かすよりも、ぬるま湯をためてから沸かしたほうが早くて経済的ですよね。エコノマイザもまったく同じ考え方です。ボイラーに入る前に給水を温めておけば、ボイラー内で沸騰させるまでのエネルギーが少なくて済みます。

エコノマイザのしくみと設置位置

エコノマイザは、煙道(えんどう:排ガスの通り道)の中に設置されます。

構造はシンプルで、多数の鋳鉄製や鋼管製の管が並んでいて、管の中を給水が流れます。管の外側を高温の排ガスが通過するときに、排ガスの熱が管を通して給水に伝わり、給水が温められます。

ボイラーの排ガス経路と設置位置

燃焼室 → ボイラー本体(水管・煙管) → 過熱器エコノマイザ空気予熱器 → 煙突

排ガスは燃焼室を出て順番に通過し、各装置で熱を回収されて、煙突に到達するころには温度がかなり下がっています。

エコノマイザは過熱器より後ろ(煙突側)に設置されます。これは、過熱器は蒸気を数百℃まで加熱する必要があるため高温の排ガスが必要なのに対し、エコノマイザは給水を数十℃温めるだけなので、過熱器を通った後の「まだ温かい」排ガスで十分だからです。

エコノマイザの効果

エコノマイザを設置すると、排ガス温度を40〜50℃程度下げることができ、ボイラー効率は2〜5%程度向上します(「ボイラーの容量・効率・伝熱面積」で学んだボイラー効率の考え方を思い出してください)。

わずかな数字に見えますが、大型ボイラーが24時間365日運転している工場では、燃料代に換算すると年間で数百万円以上の節約になることもあります。

エコノマイザの注意点

  • 低温腐食に注意:排ガスの温度を下げすぎると、排ガス中の硫黄酸化物(SOx)が結露して硫酸になり、管を腐食させます。排ガス温度をある程度以上に保つ必要があります
  • エコノマイザの入口には給水弁、出口(ボイラーとの接続部)には逆止め弁給水弁を取り付けます

空気予熱器(くうきよねつき)― 排ガスで燃焼用空気を温める「ウォームアップ係」

空気予熱器とは?

空気予熱器は、排ガスの熱を利用してボイラーの燃焼に使う空気をあらかじめ温めておく装置です。

「エコノマイザは水を温める、空気予熱器は空気を温める」と覚えると簡単です。

なぜ燃焼用空気を温めるの?
冬の寒い日、冷たい空気の中でバーベキューの炭に火をつけるのは大変ですよね。温かい空気なら火がつきやすく、よく燃えます。ボイラーも同じで、温められた空気を送り込むと燃焼効率が上がり、燃料の節約につながります。

空気予熱器の種類

種類 しくみ 特徴
管形
(チューブラ式)
多数の管の中を排ガスが通り、管の外側を空気が流れる(またはその逆) 構造がシンプルで信頼性が高い
再生式
(回転形)
蓄熱体が回転し、排ガス側で熱を吸収→空気側で熱を放出、を繰り返す 大容量の予熱が可能。大型ボイラー向き

空気予熱器の設置位置

空気予熱器は、排ガス経路の最も下流(煙突に近い側)に設置されます。エコノマイザのさらに後ろです。

これは、空気は水に比べて温まりやすいので、温度が最も低くなった排ガスでも十分に空気を温められるからです。逆に言えば、最後まで残っている熱も無駄なく回収する「最後の砦」のような存在です。

空気予熱器の注意点

  • エコノマイザと同様に低温腐食のリスクがあります。排ガス温度が露点(つゆてん:結露する温度)以下になると硫酸が発生するため、入口空気温度の管理が重要です
  • 再生式の場合、排ガスと空気が混ざる漏れが発生しやすいので、定期的な点検が必要です

過熱器(かねつき)― 蒸気をさらに加熱して「過熱蒸気」を作る

過熱器とは?

過熱器は、ボイラーで作った飽和蒸気をさらに加熱して、過熱蒸気にする装置です。

「熱と蒸気の基礎(熱量・比熱・顕熱・潜熱・飽和蒸気・過熱蒸気)」で学んだように、飽和蒸気は「水と蒸気が共存する温度の蒸気」で、過熱蒸気は「飽和温度を超えてさらに温度を上げた蒸気」です。

過熱蒸気のメリット:
①高い温度:飽和蒸気より温度が高いため、蒸気タービンなどでより多くのエネルギーを取り出せる
②水滴を含まない:温度に余裕があるため、配管の途中で水滴に戻りにくい。蒸気タービンの羽根が水滴で傷つくのを防げる

過熱器のしくみと設置位置

過熱器は、排ガス経路の中で最も温度の高い場所(燃焼ガスがボイラー本体を通過した直後あたり)に設置されます。

蒸気を飽和温度よりさらに高い温度まで加熱するには、非常に高温の排ガスが必要だからです。エコノマイザや空気予熱器とは違い、過熱器は排ガス経路の上流(燃焼室に近い側)にあります。

構造は、多数の鋼管を蛇行させたもので、管の中を蒸気が流れ、管の外を高温の排ガスが通過して蒸気を加熱します。

過熱器の安全弁

「附属品①安全弁・逃がし弁・圧力計・水面測定装置・温度計」でも触れましたが、過熱器には出口付近に安全弁を設けます。

そして重要なポイントは、過熱器の安全弁はボイラー本体の安全弁より先に吹き出すように調整することです。こうすることで、過熱器内に常に蒸気の流れを確保し、過熱器の管が空焼き状態になって焼損するのを防ぎます。

現場イメージ:発電所のボイラーでは、過熱器が煙道の最も高温の部分に設置されていて、排ガス温度は800〜1000℃にもなります。過熱器を出た蒸気の温度は400〜500℃以上。この高温の過熱蒸気が蒸気タービンを回して電気を作ります。ビルのボイラーでは過熱器がないことも多いですが、大型の蒸気ボイラーには装備されています。

過熱器に取り付ける温度計

過熱蒸気の温度を監視するため、過熱器の出口付近に温度計を取り付けます。過熱蒸気の温度が高すぎると過熱器の管が損傷し、低すぎると過熱蒸気として送り出す意味がなくなるからです。

3つの装置の設置位置を整理

排ガスの流れに沿って、3つの装置がどの位置にあるかをまとめます。

排ガスの流れと各装置の位置

燃焼室(最も高温)

過熱器(高温の排ガスが必要)

ボイラー本体(水管・煙管)

エコノマイザ(中温の排ガスで給水を予熱)

空気予熱器(低温の排ガスで空気を予熱)

煙突(最も低温)

上流ほど排ガス温度が高く、下流に行くほど低くなります。過熱器は最高温が必要なので上流に、エコノマイザと空気予熱器は余熱の回収なので下流に配置されます。

3つの装置の比較表

装置 何を温める? 設置位置
過熱器 飽和蒸気 → 過熱蒸気 排ガス経路の上流(高温側)
エコノマイザ 給水(ボイラーに入る水) 排ガス経路の中流
空気予熱器 燃焼用空気 排ガス経路の下流(煙突側)

🎯 試験で狙われるポイント

  • エコノマイザの設置位置 — ボイラーと煙突の間(排ガスの通り道)。給水を予熱してボイラー効率を上げる
  • エコノマイザの低温腐食 — 排ガス温度が下がりすぎると硫酸露点以下になり腐食が起こる。大気汚染防止と燃焼障害で詳しく解説
  • 空気予熱器の種類 — 再生式(蓄熱体が回転)と伝熱式(管で仕切る)の2種類
  • 過熱器の安全弁 — 過熱器にも安全弁を取り付ける。ボイラー本体の安全弁より先に吹き出すように設定する
  • 3装置の設置順 — 排ガスの流れ:過熱器→エコノマイザ→空気予熱器→煙突の順(温度が高い順に設置)

理解度チェック

ここまでの内容を3問でチェックしてみましょう!

Q1. エコノマイザ(節炭器)は排ガスの熱を利用して何を温める装置か?

解答を見る

正解:ボイラーの給水
エコノマイザは排ガスの余熱でボイラーに送り込む給水をあらかじめ温め、ボイラー効率を向上させる装置です。名前の由来は「economy(経済的)」で、燃料を節約する意味があります。

Q2. 排ガス経路において、過熱器・エコノマイザ・空気予熱器を、上流(燃焼室側)から順に並べなさい。

解答を見る

正解:過熱器 → エコノマイザ → 空気予熱器
過熱器は蒸気を高温にするため最も高温の排ガスが必要なので上流に、エコノマイザは中流に、空気予熱器は残りの余熱で空気を温めるので最も下流(煙突側)に設置されます。

Q3. 過熱器の安全弁は、ボイラー本体の安全弁より先に吹き出すように調整する。その理由は?

解答を見る

正解:過熱器内に蒸気の流れを確保し、過熱器の管が空焼き状態になって焼損するのを防ぐため
もしボイラー本体の安全弁が先に吹き出すと、蒸気がボイラー側から逃げてしまい、過熱器に蒸気が流れなくなります。高温の排ガスにさらされた過熱器の管が過熱して損傷する恐れがあります。

もっと問題を解きたい方へ

「エコノマイザ・空気予熱器・過熱器」のミニテスト(各5問×3回)で設置位置と特徴を定着!

ミニテスト【第1回】に挑戦 →

まとめ

今回は、ボイラーの排熱を有効活用する3つの装置を学びました。

  • エコノマイザ(節炭器):排ガスの熱で給水を温める。排ガス経路の中流に設置。ボイラー効率を2〜5%向上させる
  • 空気予熱器:排ガスの熱で燃焼用空気を温める。排ガス経路の最下流(煙突側)に設置。管形と再生式がある
  • 過熱器:飽和蒸気をさらに加熱して過熱蒸気を作る。排ガス経路の上流(高温側)に設置。安全弁はボイラー本体より先に吹き出すように調整する

どの装置も「どこに設置されるか(排ガスの上流 or 下流)」が試験での頻出ポイントです。「高温が必要なものほど上流、余熱の回収は下流」という原則を覚えておきましょう。

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