この5問では、伝導・対流・放射を用語で選ぶのではなく、熱抵抗、総括熱伝達率、絶対温度、表面温度から伝熱量を計算します。
ボイラーの熱は、火炎・ガス側から管壁を通り、水側へ届きます。途中に一つでも大きな熱抵抗が入ると、全体の伝熱量が下がります。
先に押さえる四つの式
| 対象 | 基本式 | 注意点 |
|---|---|---|
| 伝導抵抗 | R=厚さL÷熱伝導率λ | 直列の抵抗は足す |
| 総合伝熱 | Q=UAΔT | U・A・温度差を確認 |
| 放射 | Q∝T₁⁴-T₂⁴ | 温度はKを使う |
| 表面放熱 | Q=hA(Ts-Ta) | 同じhという条件を確認 |
伝導は管壁・付着層の内部、対流は燃焼ガスと管外面、水と管内面の間、放射は火炎・高温ガスと受熱面の間で働きます。実機では三方式が一つの経路で重なります。
直列熱抵抗:R全体=Rガス側+R管壁+R付着物+R水側
同じ温度差なら、熱流束qは熱抵抗Rに反比例する
計算値は、問題中の仮定が成り立つ場合の近似です。実機の総括熱伝達率や表面熱伝達率は、流速、物性、沸騰、汚れ、形状、運転条件で変わります。
以下はすべて当サイト作成の独自問題です。物性値・伝熱係数は問題演習用に与えた値を使ってください。
問1 スケール追加後の熱流束低下率を求める
清浄時の単位面積当たり熱抵抗を、ガス側0.00200、管壁0.00015、水側0.00050m²K/Wとする。ここへ熱抵抗0.00100m²K/Wのスケールが追加された。温度差が同じなら、熱流束は清浄時の約何%になるか。
- 27.4%
- 50.0%
- 72.6%
- 100%
- 137.7%
問2 総括熱伝達率から伝熱量を求める
ある伝熱部の総括熱伝達率U=150W/(m²・K)、有効伝熱面積A=42m²、代表温度差ΔT=260Kとする。Q=UAΔTで求めた伝熱量として最も近いものはどれか。
- 16.4kW
- 163.8kW
- 1.638MW
- 16.38MW
- 163.8MW
問3 受熱面温度を含めて放射熱を比較する
放射する側を900℃から1100℃へ上げ、受熱面は300℃で一定とする。放射率・面積・形状係数は同じで、正味放射熱がT₁⁴-T₂⁴に比例するとき、1100℃時の正味放射熱は900℃時の約何倍か。
- 1.22倍
- 1.49倍
- 1.93倍
- 2.44倍
- 3.73倍
問4 保温後の表面放熱削減量を求める
配管表面積18m²、周囲温度25℃、表面熱伝達率h=10W/(m²・K)とする。保温前の表面温度は140℃、保温後は55℃になった。hと面積は同じと仮定すると、表面から周囲への放熱は何kW減ったか。
- 5.4kW
- 11.5kW
- 15.3kW
- 20.7kW
- 26.1kW
問5 面積だけで伝熱能力を決めない
同じ代表温度差300Kで、伝熱部AはU=90W/(m²・K)、面積40m²、伝熱部BはU=140W/(m²・K)、面積30m²である。Q=UAΔTによる比較として正しいものはどれか。
- Aは1.08MW、Bは1.26MWで、面積が小さいBの方が大きい
- Aは1.20MW、Bは0.90MWで、必ずAが大きい
- AとBはともに1.08MWである
- 面積だけで計算し、Uは無視してよい
- 伝熱面積が大きい設備は効率も必ず高い
採点結果の見方
| 正解数 | 復習ポイント |
|---|---|
| 5問 | 熱抵抗から放射まで単位をそろえて計算できています。 |
| 3~4問 | 直列抵抗と絶対温度への換算を見直しましょう。 |
| 0~2問 | R=L/λとQ=UAΔTから整理しましょう。 |
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公式・一次資料
- 安全衛生技術試験協会「公表試験問題」
- 安全衛生技術試験協会「令和8年4月掲載 二級ボイラー技士 公表問題」
- 米国エネルギー省「Thermodynamics, Heat Transfer, and Fluid Flow, Volume 2」
- 米国国立標準技術研究所「Heat Transfer Analysis」(放射熱伝達式)
一次資料の確認日:2026年7月31日。各問題の係数・温度は指定条件の近似値です。実機の設計・保温・清掃判断には設備図書と専門技術者の評価を優先してください。
まとめ
伝熱量は、温度差や面積だけでは決まりません。直列の熱抵抗を足し、総括熱伝達率Uを含めてQ=UAΔTで考えます。放射温度はKへ直し、熱源と受熱面の4乗差を使います。スケールや保温の効果も、同じ熱経路に抵抗が加わる現象として整理しましょう。
最終更新日:2026年7月31日
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