保安管理技術 第三種冷凍機械責任者

【第三種冷凍機械責任者・保安管理】自動制御機器の種類と役割(温度自動膨張弁・キャピラリチューブ・電磁弁・圧力スイッチ)

自動制御機器って何? — 冷凍装置を「おまかせ運転」にする部品たち

冷凍装置は、ただ冷媒をぐるぐる回しているだけでは上手に冷やせません。「冷媒をどれだけ流すか」「温度が上がりすぎていないか」「圧力は安全な範囲か」を自動でチェックして調整してくれる部品が必要です。

それが自動制御機器です。エアコンのリモコンで温度を設定したら、あとは勝手に快適な温度を保ってくれますよね。あれは裏側でこれらの機器が働いているからなんです。

試験のポイント
第三種冷凍機械責任者の試験では、温度自動膨張弁の感温筒の取付位置内部均圧式と外部均圧式の違いキャピラリチューブの特徴が繰り返し出題されます。この3つは確実に押さえましょう!

膨張弁の種類と仕組み — 冷媒の「流量調整バルブ」

膨張装置の比較

温度自動膨張弁

感温筒で自動調整

負荷変動に対応可

業務用・大型装置向き

キャピラリチューブ

細い管の抵抗で減圧

流量調整不可

家庭用・小型装置向き

温度自動膨張弁(おんどじどうぼうちょうべん)とは?

温度自動膨張弁は、蒸発器出口の冷媒の温度を感知して、冷媒の流量を自動で調整する弁です。英語では「サーモスタティック・エキスパンション・バルブ(TEV)」と呼ばれます。

身近な例で言えば、お風呂のサーモスタット混合栓をイメージしてください。設定温度を決めると、お湯と水の量を自動で調節して一定温度を保ちますよね。温度自動膨張弁も同じように、蒸発器の出口温度をちょうど良い状態に保つ「自動蛇口」なのです。

感温筒(かんおんとう)の仕組み

温度自動膨張弁には感温筒というセンサー部品が付いています。この筒の中には冷媒と同じガスが封入されていて、温度が変わると中のガスの圧力が変化します。

  • 蒸発器出口の温度が高い過熱度が大きい)→ 感温筒の圧力が上がる → 弁が開く → 冷媒がたくさん流れる
  • 蒸発器出口の温度が低い(過熱度が小さい)→ 感温筒の圧力が下がる → 弁が閉じる → 冷媒の量が減る
超重要!感温筒の取付位置
感温筒は蒸発器の出口側の配管に取り付けます。配管の水平部分に密着させ、上部に取り付けるのが基本です。液だまりのある場所や、他の熱源の近くに付けると正確な温度が測れません。試験で頻出のポイントです!

内部均圧式と外部均圧式の違い

温度自動膨張弁には内部均圧式外部均圧式の2種類があります。

項目 内部均圧式 外部均圧式
均圧の取り方 弁の内部から蒸発圧力を取る 蒸発器出口の配管から外部配管で取る
向いている蒸発器 圧力降下が小さい蒸発器 圧力降下が大きい蒸発器
ディストリビュータ 使わない場合が多い 使う場合に適する
現場イメージ
蒸発器の中で冷媒が流れると、摩擦で圧力がだんだん下がります(圧力降下)。内部均圧式は「入口の圧力」を基準にするので、圧力降下が大きい蒸発器だと実際より過熱度を大きく見積もってしまい、冷媒を流しすぎてしまいます。そこで、圧力降下が大きい蒸発器には外部均圧式を使って「出口の圧力」で正確に判断するのです。

キャピラリチューブ(毛細管)

キャピラリチューブは、内径がとても細い(0.5〜2mm程度)長い銅管のことです。この細い管を冷媒が通ることで、管の抵抗によって圧力が下がります。

ストローを思い浮かべてみてください。太いストローだとスムーズに飲めますが、細いストローだと吸うのに力が要りますよね。キャピラリチューブはこの「細さ」を利用して冷媒の圧力を落とす、とてもシンプルな膨張装置です。

キャピラリチューブのメリット
・構造がシンプルで安価
・可動部分がないので故障しにくい
・停止時に高圧側と低圧側の圧力が均一になるので、電動機の始動トルクが小さくて済む
注意!キャピラリチューブの弱点
負荷変動の少ない小型冷凍装置(家庭用冷蔵庫・ルームエアコンなど)に向いている
・流量を自動調整できないため、負荷変動が大きい装置には不向き
・管が細いのでゴミが詰まりやすい → フィルタドライヤ(附属機器の記事で解説)が必須

電磁弁・圧力スイッチ・その他の制御機器

電磁弁(でんじべん)— 冷媒の「電動シャッター」

電磁弁は、電磁石(ソレノイド)の力で弁を開閉して、冷媒の流れを止めたり通したりする弁です。

自動ドアをイメージしてみてください。センサーが人を感知すると電気でドアが開き、人がいなくなると閉まりますよね。電磁弁も同じで、電気信号でパッと開いたりパッと閉じたりします。

冷凍装置では、主に液管(膨張弁の手前)に設置されます。圧縮機が停止したときに電磁弁を閉じることで、液冷媒が蒸発器に流れ込むのを防ぎます。これはポンプダウン運転の際にも重要な役割を果たします。

圧力スイッチ — 「危険な圧力」を見張る番人

圧力スイッチは、冷凍装置の圧力が設定値に達したときに、電気信号で圧縮機を自動的に止めたり動かしたりするスイッチです。

高圧遮断装置(こうあつしゃだんそうち)

凝縮器側(高圧側)の圧力が異常に高くなったとき、圧縮機を停止させる安全装置です。

  • 圧力が上がりすぎると配管や機器が破損する危険があるため、安全のために自動停止させる
  • 安全装置なので、圧力が下がっても自動復帰しない(手動でリセットが必要)

低圧遮断装置(ていあつしゃだんそうち)

蒸発器側(低圧側)の圧力が異常に低くなったとき、圧縮機を停止させる装置です。

  • 低圧側の圧力が下がりすぎると真空運転になり、空気が漏れ込む危険がある
  • 冷媒が不足しているサインでもある
現場イメージ
高圧遮断装置は「火災報知器」に似ています。火事(異常高圧)を感知したら警報(停止信号)を出し、消防隊員(人間)が確認するまでリセットしません。一方、低圧遮断装置はサーモスタットのように使われることもあり、圧力が回復すれば自動で再始動するタイプもあります。

蒸発圧力調整弁(じょうはつあつりょくちょうせいべん)

蒸発圧力調整弁は、蒸発器の出口に取り付けて、蒸発圧力が設定値以下に下がらないようにする弁です。「エバポレーティングプレッシャーレギュレータ(EPR)」とも呼ばれます。

複数の蒸発器がある冷凍装置で、それぞれの蒸発温度を別々に管理したいときに使います。たとえば、同じ冷凍機で「冷蔵(5℃)」と「冷凍(-20℃)」を同時に使う場合、冷蔵庫の蒸発器にこの弁を付けて、温度が下がりすぎないようにします。

吸入圧力調整弁(きゅうにゅうあつりょくちょうせいべん)

吸入圧力調整弁は、圧縮機の吸込み側に取り付けて、吸込み圧力が設定値以上に上がらないようにする弁です。「クランクケースプレッシャーレギュレータ(CPR)」とも呼ばれます。

起動時や除霜(デフロスト)後に、蒸発器に溜まった冷媒が一気に圧縮機に流れ込むと、電動機が過負荷になります。吸入圧力調整弁はこの「冷媒のラッシュ」を抑える役目をします。

四方切換弁(よんぽうきりかえべん)

四方切換弁は、冷媒の流れる方向を切り換えて、冷房と暖房を切り替える弁です。ヒートポンプ式エアコンには必ず付いています。

家庭のエアコンでリモコンの「冷房⇔暖房」ボタンを押すと、室内機と室外機の役割が入れ替わりますよね。これは四方切換弁が冷媒の流れの向きを反転させているのです。

実務・日常での具体例 — こんなところで自動制御機器が活躍!

現場イメージ:スーパーの冷蔵ショーケース
スーパーの冷蔵ショーケースでは、1台の圧縮機で複数のショーケースを冷やしていることがあります。お刺身コーナー(低温)と飲み物コーナー(やや高温)で必要な温度が違うので、蒸発圧力調整弁で各ショーケースの温度を個別に管理しています。
現場イメージ:家庭用冷蔵庫のキャピラリチューブ
家庭用冷蔵庫を分解すると、細い銅管がぐるぐる巻かれた部分が見つかります。これがキャピラリチューブです。冷蔵庫は温度変動が少ないので、シンプルなキャピラリチューブで十分に機能するのです。コストも安いので、大量生産される家電製品にぴったりです。
現場イメージ:ビル空調の四方切換弁
ビルの空調設備では、季節ごとに冷房と暖房を切り替えます。このとき活躍するのが四方切換弁。ビルメンの現場では「冷暖切替」と呼ばれるこの作業、昔は手動でやっていましたが、今はヒートポンプ式なら四方切換弁が自動で処理してくれます。

よくある疑問・間違い

Q. 温度自動膨張弁とキャピラリチューブ、どちらが優秀?

「優秀かどうか」ではなく、用途が違うと考えましょう。温度自動膨張弁は負荷変動に対応できる「高機能タイプ」、キャピラリチューブは構造がシンプルで壊れにくい「シンプルタイプ」です。大型の業務用冷凍機には温度自動膨張弁、家庭用冷蔵庫にはキャピラリチューブが使われるのが一般的です。

Q. 内部均圧式と外部均圧式、迷ったらどっち?

迷ったら外部均圧式を選べば安全です。圧力降下が小さい蒸発器でも外部均圧式は問題なく使えます。ただし、外部均圧式は均圧管の配管工事が追加で必要になるため、コストと手間がかかります。

Q. 高圧遮断装置が作動したら、すぐリセットしていい?

絶対にすぐリセットしてはいけません!高圧遮断装置が作動したということは、何か異常が起きている証拠です。まず原因を調べて(冷却水の不足、凝縮器の汚れ、不凝縮ガスの混入など)、原因を取り除いてからリセットしてください。

理解度チェック(4問)

五肢択一で実力を確認しましょう!

【第1問】温度自動膨張弁に関する記述として、正しいものはどれか。

(1)感温筒は蒸発器の入口側配管に取り付ける。
(2)内部均圧式は圧力降下の大きい蒸発器に適する。
(3)感温筒内のガスの圧力変化で弁の開度を調整する。
(4)蒸発器出口の過熱度が大きくなると弁が閉じる。
(5)キャピラリチューブと併用して使用する。

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正解:(3)感温筒内のガスの圧力変化で弁の開度を調整する。
(1)感温筒は蒸発器の出口側に取り付けます。(2)内部均圧式は圧力降下が小さい蒸発器に適します。(4)過熱度が大きくなると弁は開きます。(5)温度自動膨張弁とキャピラリチューブは別々の膨張装置であり、併用はしません。

【第2問】キャピラリチューブに関する記述として、誤っているものはどれか。

(1)内径の細い管の抵抗を利用して冷媒の圧力を降下させる。
(2)主に負荷変動の少ない小型冷凍装置に使用される。
(3)構造がシンプルで可動部分がないため故障しにくい。
(4)停止中に高圧側と低圧側の圧力が均一になる。
(5)負荷変動が大きい大型冷凍装置に最も適している。

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正解:(5)負荷変動が大きい大型冷凍装置に最も適している。
キャピラリチューブは流量を自動調整できないため、負荷変動が大きい装置には不向きです。大型冷凍装置には温度自動膨張弁が使われます。(1)〜(4)はすべて正しい記述です。

【第3問】高圧遮断装置に関する記述として、正しいものはどれか。

(1)蒸発器側の圧力を検知して作動する。
(2)設定圧力に達すると圧縮機を自動的に起動する。
(3)圧力が正常に戻れば自動的に復帰して再始動する。
(4)凝縮器側の圧力が異常に高くなったとき圧縮機を停止させる。
(5)温度自動膨張弁に内蔵されている装置である。

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正解:(4)凝縮器側の圧力が異常に高くなったとき圧縮機を停止させる。
(1)高圧遮断装置は凝縮器側(高圧側)の圧力を検知します。蒸発器側を検知するのは低圧遮断装置です。(2)停止させる装置であり、起動する装置ではありません。(3)安全装置なので手動リセットが必要です。(5)圧力スイッチであり、膨張弁とは別の装置です。

【第4問】冷凍装置の自動制御機器に関する記述として、誤っているものはどれか。

(1)電磁弁は電磁石の力で弁を開閉し、冷媒の流れを制御する。
(2)蒸発圧力調整弁は蒸発圧力が設定値以下に下がらないようにする。
(3)吸入圧力調整弁は圧縮機の吸込み圧力が設定値以上に上がらないようにする。
(4)四方切換弁は冷媒の流れる方向を切り換え、冷暖房を切り替える。
(5)蒸発圧力調整弁は圧縮機の吸込み側に取り付ける。

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正解:(5)蒸発圧力調整弁は圧縮機の吸込み側に取り付ける。
蒸発圧力調整弁は蒸発器の出口に取り付けます。圧縮機の吸込み側に取り付けるのは吸入圧力調整弁です。(1)〜(4)はすべて正しい記述です。

まとめ

この記事で学んだこと

  • 温度自動膨張弁:感温筒で蒸発器出口の温度を感知し、冷媒流量を自動調整する。感温筒は蒸発器出口の水平配管に取り付ける
  • 内部均圧式 vs 外部均圧式:圧力降下が大きい蒸発器には外部均圧式を使う
  • キャピラリチューブ:シンプルで安価だが、負荷変動の少ない小型装置向き
  • 電磁弁:電気信号で冷媒の流れをON/OFFする弁
  • 高圧遮断装置:異常高圧で圧縮機を停止させる安全装置(手動リセット)
  • 蒸発圧力調整弁:蒸発器出口に設置、蒸発圧力の下限を制御
  • 吸入圧力調整弁:圧縮機吸込み側に設置、過負荷を防止
  • 四方切換弁:冷媒の方向を反転させて冷暖房を切り替え

前の記事 → 附属機器(受液器・油分離器・液分離器・フィルタドライヤ等)

次回は冷媒配管と圧力容器(配管設計・フラッシュガス防止・材料・設計圧力・腐れしろ)を解説します。

試験頻出ポイント

  • 感温筒の取付位置 → 蒸発器出口側の水平配管に密着。液だまりや熱源の近くはNG
  • 内部均圧式:圧力降下が小さい蒸発器向き / 外部均圧式:圧力降下が大きい蒸発器向き
  • キャピラリチューブ:シンプル・安価・可動部なし。負荷変動の少ない小型装置向き
  • 高圧遮断装置:安全装置 → 圧力復帰しても自動復帰しない(手動リセット必要)
  • 蒸発圧力調整弁は蒸発器出口吸入圧力調整弁は圧縮機吸込み側に設置(混同注意!)
  • 四方切換弁:冷媒の流れ方向を反転 → ヒートポンプ式の冷暖房切替

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-保安管理技術, 第三種冷凍機械責任者