この記事で分かること
- 高圧遮断装置・安全弁・破裂板・溶栓の役割と取付け
- 安全弁に付帯する止め弁の正しい扱い
- 耐圧試験と気密試験の目的・対象・試験圧力
- 「設計圧力」と「許容圧力」を混同しない読み方
結論:止める装置・逃がす装置・試験を分ける
安全装置はすべて同じ働きではありません。高圧遮断装置は圧縮機を止め、安全弁・破裂板・溶栓・圧力逃がし装置は設備に応じた方法で圧力を下げます。
耐圧試験は配管以外の部分の強度を、気密試験は組み立てた冷媒設備の漏れを確認します。現行の冷凍保安規則第7条は「許容圧力」、機器の基準を定める第64条は「設計圧力」を使うため、対象条文を確認せず一つの用語に置き換えないことが重要です。
公式情報の確認先
法令・基準確認日:2026年7月26日
安全装置を一覧で比較
| 装置 | 検知・作動 | 圧力を下げる方法 | 作動後 |
|---|---|---|---|
| 高圧遮断装置 | 高圧側の圧力 | 圧縮機の運転を停止 | 原因確認後に復帰。原則手動復帰 |
| 安全弁 | 圧力 | 弁を開いて冷媒を放出 | 圧力低下で閉止する形式が一般的 |
| 破裂板 | 圧力 | 板が破れて流路を開放 | 交換が必要 |
| 溶栓 | 温度 | 低融点合金が溶けて流路を開放 | 交換が必要 |
冷凍保安規則第7条第1項第8号は、冷媒圧力が許容圧力を超えたときに、直ちに許容圧力以下へ戻せる安全装置を求めています。具体的な種類と取付けは設備、冷媒、能力、容積などによって変わります。
圧縮機の安全装置:吐出し圧力を正しく検知する
例示基準では、遠心式を除く圧縮機について、吐出し圧力を正しく検知できる位置に高圧遮断装置と安全弁を取り付けます。ただし、冷凍能力20トン未満の圧縮機は安全弁を省略できる扱いがあります。
異常高圧
凝縮器の冷却不良、不凝縮ガスなど
高圧遮断
まず圧縮機を停止して上昇源を止める
圧力逃がし
安全弁などが設備を過圧から守る
高圧遮断装置は安全弁より先に作動するよう調整されます。作動は異常の結果なので、単に復帰させず、凝縮器の冷却、送風機・冷却水、不凝縮ガスなどの原因を確認します。
安全弁と止め弁:「設置禁止」ではなく通常全開
安全弁までの保護経路が運転中に遮断されると、異常圧力を逃がせません。一方、冷凍保安規則第9条第1号は、安全弁に付帯して設けた止め弁を常に全開とし、安全弁の修理・清掃のため特に必要な場合を例外としています。
試験ポイント:「安全弁の手前に止め弁を設けること自体が一律禁止」と覚えるのは不正確です。通常運転中に閉止して安全機能を失わせないことが要点です。
破裂板・溶栓・液封部分の注意
破裂板は圧力で破れ、溶栓は温度で溶けます。例示基準では、高圧部の溶栓は原則75℃以下ですが、所定の耐圧試験を行った設備には75℃を超え100℃以下を認める例外があり、低圧部には別基準があります。
- シェル形凝縮器・受液器は安全弁が基本。内容積500L未満では溶栓で代替できる場合がある
- 可燃性または毒性の冷媒を使う非吸収式設備では、破裂板・溶栓以外の安全装置を用いる
- 液封で著しい圧力上昇のおそれがある部分には、安全弁・破裂板・圧力逃がし装置を設ける。ただし例示基準に配管径等の除外がある
アンモニアを例に「破裂板を安全弁と直列に使う」と一律説明するのは誤りです。冷媒の可燃性・毒性と、対象設備の基準を先に確認します。
耐圧試験と気密試験を比較
| 試験 | 主目的 | 主な対象 | 例示基準の圧力 |
|---|---|---|---|
| 液体による耐圧試験 | 強度 | 冷媒設備の配管以外の部分 | 設計圧力または許容圧力の低い方の1.5倍以上 |
| 気体による耐圧試験 | 強度 | 液体の除去が困難で、条件を満たす部分 | 同じ基準圧力の1.25倍以上 |
| 気密試験 | 漏えい | 耐圧性能確認後の組立状態・冷媒配管を含む設備 | 設計圧力または許容圧力の低い方以上 |
「設計圧力1.5倍」とだけ覚えない
現行の冷凍保安規則第7条第1項第6号は、定置式製造設備について次のように定めています。
- 冷媒設備の気密試験:許容圧力以上
- 配管以外の部分の液体耐圧試験:許容圧力の1.5倍以上
- 液体が困難な場合の気体耐圧試験:許容圧力の1.25倍以上
これに対し、冷凍保安規則第64条の機器基準では設計圧力を使用します。例示基準の詳細手順は、設計圧力または許容圧力のいずれか低い圧力を基準にします。問題文がどの条文・設備を対象にしているかを先に読みましょう。
試験の順序と媒体
1 耐圧性能を確認
原則は水など安全な液体。気体は条件付き
2 組立状態で気密
ガスを保持し、発泡液や検知器で漏れを確認
液体耐圧試験は蓄積エネルギーを小さくできるため基本です。気体耐圧試験は破壊時の危険が大きく、例示基準が定める防護、非破壊検査などの条件を満たして行います。
気密試験には空気、窒素、ヘリウムなど基準で認められたガスを使用します。アンモニア設備に二酸化炭素を使用しないなど、冷媒との反応・適合性にも注意します。
定期自主検査との違い
耐圧試験は設備の製作・設置時などに強度を確認する試験です。定期自主検査では、技術上の基準のうち耐圧試験に係るものを除いて適合を確認します。「毎年、設備全体へ1.5倍の圧力をかける」という意味ではありません。
また、修理後に必要な確認は作業内容で変わります。すべての修理で耐圧試験と気密試験を必ず一式実施すると断定せず、法令、作業計画、メーカー手順に従います。
理解度チェック
【問1】液体を使うことが困難で、条件を満たして気体耐圧試験をする場合、例示基準の試験圧力はどれですか。
(1) 基準圧力の1.0倍以上
(2) 基準圧力の1.25倍以上
(3) 基準圧力の1.5倍以上
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正解:(2)
液体耐圧試験は1.5倍以上、条件付きの気体耐圧試験は1.25倍以上です。
【問2】安全弁に付帯する止め弁の扱いとして正しいものはどれですか。
(1) 通常は全閉
(2) 設置自体が必ず禁止
(3) 通常は全開で、修理・清掃に特に必要な場合に例外がある
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正解:(3)
冷凍保安規則第9条第1号は、付帯する止め弁を常に全開とし、修理・清掃時の例外を置いています。
【問3】溶栓が直接検知するものはどれですか。
(1) 温度
(2) 圧縮機電流
(3) 冷却水量
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正解:(1)
低融点合金が所定温度で溶けて開口します。圧力で破れる破裂板と区別します。
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まとめ
高圧遮断装置は圧縮機を止め、安全弁・破裂板・溶栓などは設備に応じて圧力を逃がします。取付けには冷凍能力、容積、冷媒の可燃性・毒性などによる条件と例外があります。
耐圧試験は配管以外の部分の強度、気密試験は組立状態の漏れを確認します。液体1.5倍、条件付き気体1.25倍、気密1.0倍以上という関係に加え、設計圧力と許容圧力のどちらを使う条文かまで確認しましょう。
最終更新日:2026年7月26日
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