保安管理技術 第三種冷凍機械責任者

【第三種冷凍機械責任者・保安管理】安全装置と圧力試験(安全弁・溶栓・破裂板・耐圧試験・気密試験)

安全装置と圧力試験 — 冷凍装置を「事故から守る」仕組み

冷凍装置は高圧のガスを扱う設備です。もし圧力が異常に高くなって容器が破裂したら、大事故につながります。そこで、万が一のときに冷凍装置を守るための安全装置が必ず取り付けられています。

また、装置を作ったとき・修理したときには「ちゃんと圧力に耐えられるか?」「漏れはないか?」を確認する圧力試験を行います。

家で使っている圧力鍋にも安全弁が付いていますよね。あれと同じ発想で、冷凍装置にもいくつかの安全装置が付いているのです。

試験のポイント
第三種冷凍機械責任者の試験では、安全弁の設置位置溶栓の溶融温度(75℃以下)耐圧試験の圧力(設計圧力の1.5倍)気密試験の圧力(設計圧力以上)が繰り返し出題されます。数値は確実に暗記しましょう!

安全装置の種類 — 3つの「圧力逃がし装置」

冷凍装置の安全装置は、大きく分けて3種類あります。どれも「圧力が上がりすぎたときに冷媒を逃がして圧力を下げる」という役目ですが、仕組みが違います。

安全装置 仕組み 繰り返し使用
安全弁 ばねの力で弁を押さえ、圧力が勝ったら開く 何度でも使える
溶栓 低融点金属が熱で溶けて穴が開く 一度きり(交換が必要)
破裂板 薄い金属板が圧力で破れる 一度きり(交換が必要)

安全弁(ばね式)

安全弁は、ばねの力で弁を閉じておき、容器内の圧力がばねの力を超えたら弁が開いて冷媒ガスを放出する装置です。圧力が下がればばねの力で自動的に閉じるので、何度でも繰り返し使えます

身近な例は圧力鍋の安全弁です。圧力が高くなりすぎると「シュー!」と蒸気を逃がしますよね。冷凍装置の安全弁も同じ原理で動いています。

超重要!安全弁の設置位置
安全弁は圧縮機の吐出し側に取り付けます。吐出し側は最も圧力が高くなる場所なので、ここに安全弁を設けて異常高圧を防ぎます。

また、圧縮機と安全弁の間には止め弁を設けてはいけません。もし止め弁を閉めた状態で圧力が上がったら、安全弁が作動できず大事故になるからです。

安全弁には吹始め圧力吹出し圧力があります。

  • 吹始め圧力:弁が開き始める圧力
  • 吹出し圧力:弁が完全に開いてガスを放出する圧力

安全弁の吹出し圧力は高圧部では最高使用圧力以下に設定します。

溶栓(ようせん)— ヒューズプラグ

溶栓(フュージブルプラグ)は、低い温度で溶ける金属(低融点合金)を詰めた栓です。火災などで周囲の温度が上がると金属が溶けて穴が開き、冷媒ガスを放出して圧力を下げます。

チョコレートのフタをイメージしてください。普段は固いチョコが蓋の役割をしていますが、暑い日に溶けて中身が出てきます。溶栓も同じで、熱で金属が溶けることで冷媒を逃がします。

試験必出!溶栓の溶融温度
溶栓に使う金属の溶融温度は75℃以下です。これは、冷凍装置が通常運転で達する温度では溶けず、火災などの異常時にだけ溶けるように設計されているためです。この「75℃」は試験に頻出の数値です!

破裂板(はれつばん)— ラプチャーディスク

破裂板は、薄い金属の板(ディスク)が圧力で破れることで冷媒を放出する装置です。安全弁に比べて構造がシンプルで、急激な圧力上昇にも素早く対応できます。

破裂板は安全弁と直列に設置されることがあります。腐食性のある冷媒(アンモニアなど)が直接安全弁に触れるのを防ぐためです。破裂板が先に破れ、次に安全弁が作動するという二段構えです。

高圧遮断装置と液封防止

高圧遮断装置(こうあつしゃだんそうち)

高圧遮断装置は圧力スイッチの一種で、高圧側の圧力が設定値に達すると圧縮機の電源を自動的に切る装置です(自動制御機器の記事でも解説)。安全弁が「圧力を逃がす」装置なのに対して、高圧遮断装置は「圧力の元(圧縮機)を止める」装置です。

安全弁と高圧遮断装置は両方設置するのが基本です。二重の安全対策ということです。

液封(えきふう)防止

液封とは、弁と弁の間の配管に液冷媒が閉じ込められた状態のことです。液体は温度が上がると膨張しますが、密閉空間では逃げ場がないため、配管や弁が異常な圧力で壊れてしまう危険があります。

現場イメージ
夏の暑い日に、密閉したペットボトルを車の中に放置するとパンパンに膨らみますよね。液封はあれと同じ原理で起こります。冷凍装置の配管で同じことが起きたら、金属の管や弁が破損してしまいます。そのため、液が閉じ込められる可能性がある区間(受液器周辺など)には溶栓や安全弁を取り付けて液封を防止します。

圧力試験 — 耐圧試験と気密試験

冷凍装置を新しく作ったとき、修理したとき、また定期検査のときには、「圧力に耐えられるか」「漏れがないか」を確認する試験を行います。

耐圧試験(たいあつしけん)

耐圧試験は、設備が設計どおりの強度を持っているか確認する試験です。

試験必出!耐圧試験の圧力
水圧試験の場合:設計圧力の1.5倍の圧力をかける
・水圧試験が困難な場合は、気圧試験(空気や窒素ガスで行う)も認められる
・耐圧試験は基本的に水(液体)で行います。水は圧縮されにくいので、万が一容器が壊れても爆発しにくく安全だからです

たとえば、設計圧力が2MPaの容器なら、耐圧試験では2 × 1.5 = 3MPaの水圧をかけて、変形や漏れがないか確認します。

気密試験(きみつしけん)

気密試験は、冷媒が漏れないことを確認する試験です。耐圧試験に合格した後で行います。

試験必出!気密試験の圧力
設計圧力以上の圧力の気体(乾燥空気や窒素ガス)を使う
耐圧試験の後に行う(順番を間違えないこと!)
・気体を使う理由は、液体では見つけられない微小な漏れも、気体なら泡として確認できるから

圧力試験の流れ

① 耐圧試験(先)

設計圧力の1.5倍

水(液体)で実施

目的:強度の確認

② 気密試験(後)

設計圧力以上

気体(空気・窒素)で実施

目的:漏れの確認

項目 耐圧試験 気密試験
目的 強度の確認 漏れの確認
試験圧力 設計圧力の1.5倍 設計圧力以上
使う媒体 水(液体)が原則 気体(乾燥空気・窒素)
実施順序 先に行う 後で行う

実務・日常での具体例

現場イメージ:安全弁が吹いたとき
ビルの空調室で冷凍機を管理していると、ごくまれに安全弁が「ブシュー!」と吹くことがあります。凝縮器の冷却水が止まったり、不凝縮ガスが溜まったりして高圧になった場合です。安全弁が作動したら、まず原因を調べて、応急処置してから再稼働します。安全弁のおかげで機器の破裂事故を防げるのです。
現場イメージ:気密試験の石けん水チェック
冷凍装置の配管接続部に石けん水を塗って、気密試験の圧力をかけます。もし漏れがあれば、石けん水に泡がプクプクと出てきます。エアコンの取り付け後に「ガス漏れチェック」としてやっている作業は、まさにこの気密試験の簡易版です。
現場イメージ:液封事故の防止
冬場に冷凍装置を長期間停止していると、配管内の液冷媒が弁に挟まれて閉じ込められることがあります。春になって気温が上がると液が膨張して配管が破裂……という事故が実際に起きています。だから、液が閉じ込められる区間には必ず溶栓や安全弁を設けるのです。

よくある疑問・間違い

Q. 安全弁と溶栓、両方必要なの?

場所によって使い分けます。安全弁は圧縮機の吐出し側や圧力容器に設置する「メインの安全装置」です。一方、溶栓は液封防止や火災対策として補助的に使われます。安全弁は繰り返し使えますが、溶栓は一度溶けたら交換が必要です。

Q. 耐圧試験と気密試験、どちらか一方だけでいい?

両方必要です。耐圧試験は「壊れないか」を確認し、気密試験は「漏れないか」を確認します。目的が違うので、両方行う必要があります。そして、必ず耐圧試験を先に行います。

Q. 耐圧試験を水ではなく空気でやるのはダメ?

原則は水(液体)で行います。水は圧縮されにくいので、容器が壊れても爆発の危険が少ないためです。ただし、水を入れることが困難な場合(大型の設備など)は、安全対策を講じたうえで気圧試験で代替することが認められています。

理解度チェック(4問)

五肢択一で実力を確認しましょう!

【第1問】冷凍装置の安全装置に関する記述として、正しいものはどれか。

(1)安全弁は一度作動したら交換が必要である。
(2)安全弁は圧縮機の吸込み側に取り付ける。
(3)溶栓に使用する金属の溶融温度は75℃以下である。
(4)破裂板は何度でも繰り返し使用できる。
(5)溶栓は圧力の上昇を直接検知して作動する。

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正解:(3)溶栓に使用する金属の溶融温度は75℃以下である。
(1)安全弁はばね式で繰り返し使えます。交換が必要なのは溶栓と破裂板です。(2)安全弁は吐出し側に取り付けます。(4)破裂板は一度破れたら交換が必要です。(5)溶栓は温度の上昇を検知して溶けます。圧力ではありません。

【第2問】安全弁に関する記述として、誤っているものはどれか。

(1)ばねの力で弁を閉じておき、圧力がばねの力を超えたら開く。
(2)圧力が下がれば自動的に閉じる。
(3)圧縮機と安全弁の間に止め弁を設けてもよい。
(4)安全弁の吹出し圧力は高圧部では最高使用圧力以下とする。
(5)冷凍装置には安全弁と高圧遮断装置の両方を設置するのが基本である。

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正解:(3)圧縮機と安全弁の間に止め弁を設けてもよい。
圧縮機と安全弁の間に止め弁を設けてはいけません。止め弁を閉めた状態で圧力が上昇すると、安全弁が作動できず危険です。(1)(2)(4)(5)はすべて正しい記述です。

【第3問】耐圧試験に関する記述として、正しいものはどれか。

(1)耐圧試験の圧力は設計圧力の2.0倍とする。
(2)耐圧試験は気密試験の後に行う。
(3)耐圧試験は原則として水圧で行い、設計圧力の1.5倍の圧力をかける。
(4)耐圧試験は気体(空気)で行うのが原則である。
(5)耐圧試験は冷媒を使用して行う。

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正解:(3)耐圧試験は原則として水圧で行い、設計圧力の1.5倍の圧力をかける。
(1)1.5倍であり、2.0倍ではありません。(2)耐圧試験は気密試験の前に行います。(4)原則は水圧(液体)です。(5)冷媒ではなくを使います。

【第4問】気密試験に関する記述として、誤っているものはどれか。

(1)気密試験は冷媒の漏れがないことを確認する試験である。
(2)設計圧力以上の圧力の気体を使って行う。
(3)乾燥空気や窒素ガスを使用する。
(4)耐圧試験に合格した後に行う。
(5)気密試験は耐圧試験の前に行う。

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正解:(5)気密試験は耐圧試験の前に行う。
気密試験は耐圧試験の後に行います。まず耐圧試験で強度を確認してから、気密試験で漏れがないかをチェックするのが正しい順番です。(1)〜(4)はすべて正しい記述です。

まとめ

この記事で学んだこと

  • 安全弁(ばね式):圧縮機の吐出し側に設置。繰り返し使える。止め弁で遮断してはダメ
  • 溶栓:溶融温度75℃以下の金属が熱で溶けて冷媒を放出。一度きり
  • 破裂板:圧力で薄い金属板が破れる。一度きり。安全弁と直列に設置することもある
  • 高圧遮断装置:圧力が高くなると圧縮機を自動停止させる
  • 液封防止:弁に挟まれた液冷媒が膨張して破損する事故を防ぐ
  • 耐圧試験:設計圧力の1.5倍の水圧で強度を確認。先に行う
  • 気密試験:設計圧力以上の気体で漏れを確認。後で行う

前の記事 → 冷媒配管と圧力容器

次回は冷凍装置の運転管理と保守(運転操作・不凝縮ガス排除・冷媒充填・水分管理)を解説します。

試験頻出ポイント

  • 安全弁は圧縮機の吐出し側に設置。止め弁で遮断は絶対NG
  • 溶栓の溶融温度:75℃以下。温度を検知(圧力ではない)。一度きり
  • 破裂板:安全弁と直列に設置する場合がある(腐食性冷媒の保護)
  • 耐圧試験:設計圧力の1.5倍水圧で実施。先に行う
  • 気密試験:設計圧力以上気体で実施。後で行う
  • 液封防止:弁に挟まれた液冷媒の膨張による破損を防ぐ → 溶栓・安全弁を設置

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