結論:附属品は「取り付けたら終わり」ではない
ボイラーの附属品は、取り付けただけでは十分ではありません。正しく操作し、定期的に点検することで初めて安全が保たれます。
この記事では、「附属品①安全弁・逃がし弁・圧力計・水面測定装置・温度計」と「附属品②給水装置・吹出し装置・蒸気トラップ・送気系統装置」で学んだ附属品のうち、特に運転中に行う3つの重要な操作を詳しく解説します。
安全弁の調整
吹出し圧力を
正しく設定する
水面計の機能試験
水面計が正しく
動作するか確認
吹出し操作
ボイラー水の
不純物を排出する
安全弁の調整
なぜ安全弁の調整が必要?
安全弁は、ボイラーの蒸気圧力が最高使用圧力以下の設定値で確実に作動しなければなりません。ばねの強さを調整して、ちょうどよい圧力で弁が開くようにする作業が「安全弁の調整」です。
安全弁の調整手順
安全弁の調整手順
- ボイラーの圧力を徐々に上昇させる
- 安全弁が吹き出す圧力(吹出し圧力)を圧力計で確認する
- 吹出し圧力が設定値と異なる場合は、調整ボルトでばねの締め付けを調整する
- ボルトを締めると吹出し圧力が上がり、緩めると下がる
- 調整後、再度圧力を上げて吹出し圧力が正しいか確認する
- 確認後、調整ボルトに封印をする(勝手に変更できないようにする)
安全弁が2個以上あるとき
安全弁が2個取り付けられている場合、1個は最高使用圧力以下で、もう1個は最高使用圧力の3%増以下で吹き出すように調整します。
2個同時に吹き出すと圧力が急激に下がりすぎるため、少しずらして設定するのです。
絶対禁止:安全弁の吹出し圧力を最高使用圧力より高く設定することは厳禁です。また、安全弁を針金で縛ったり、レバーを固定して動かなくしたりする行為は重大な法律違反であり、ボイラー爆発の原因になります。
過熱器の安全弁の調整
「エコノマイザ・空気予熱器・過熱器」でも触れたように、過熱器の安全弁はボイラー本体の安全弁より先に吹き出すように調整します。過熱器内の蒸気流れを確保し、管の焼損を防ぐためです。
現場イメージ:安全弁の調整は、ボイラーの性能検査や定期自主検査のときに行います。調整ボルトを少しずつ回しながら、圧力計の針とにらめっこして「今!吹いた!」というタイミングを確認する、繊細な作業です。調整が終わったら封印をして、無断で触れないようにします。
水面計の機能試験
なぜ機能試験が必要?
水面計は、ボイラーの水位を監視する極めて重要な装置です。もし水面計が故障していて実際の水位と表示が違っていたら、水位が低下しているのに気づけず空だき事故につながるおそれがあります。
そのため、水面計が正しく作動しているかを確認する機能試験を1日1回以上行います。
ガラス水面計の機能試験手順
ガラス水面計の機能試験手順
- 蒸気コックを閉じて蒸気側を遮断する
- ドレンコックを開けて、水面計内の水を排出する
- 蒸気コックを開けて蒸気で水面計内を吹き通す(蒸気側の詰まりを確認)
- 蒸気コックを閉じ、水コックを開けて水で水面計内を吹き通す(水側の詰まりを確認)
- ドレンコックを閉じる
- 蒸気コックと水コックを両方開ける
- 水位が速やかに正常位置に戻ることを確認
水位の戻りが遅い場合は、蒸気側または水側の連絡管がスケールなどで詰まっている可能性があります。放置すると正確な水位表示ができなくなるため、清掃・修理が必要です。
試験のポイント:水面計の機能試験の手順は、「蒸気コック→ドレンコック→水コック」の操作順序が試験で問われます。「じょう(蒸気)・ドレン・すい(水)」と語呂で覚えている受験生もいます。
吹出し(ブロー)操作
吹出しの目的の復習
「附属品②」で学んだように、吹出しはボイラー水中の不純物(スラッジや濃縮物)を排出する操作です。ここでは具体的な操作手順と注意点を解説します。
間欠吹出し(底部ブロー)の手順
間欠吹出しの手順
- 水位を常用水位より少し高めにしておく(ブローで水位が下がるため)
- 吹出し弁(ブロー弁)を素早く全開にして、勢いよくスラッジを排出する
- 短時間で弁を閉める(長時間開けすぎない)
- 水位を確認し、下がりすぎていたら給水して適正水位に戻す
吹出し操作の注意点
| 注意点 | 理由 |
|---|---|
| 燃焼量を低くしてから行う | ブロー中は水位が下がるため、高燃焼だと空だきの危険 |
| 1回の吹出し時間は短く | 長時間のブローは水位低下と熱エネルギーの無駄 |
| 2基以上あるときは同時にブローしない | 複数同時にブローすると水位管理が困難になる |
| 弁を開閉する際は水面計を監視 | 水位の急変を見逃さないため |
現場イメージ:ブロー操作は毎日のルーチン作業です。運転員はブロー弁のハンドルを手で握り、水面計を見ながら「パッ」と素早く開けて「パッ」と閉めます。出てくるのは高温のボイラー水なので、排出先のブローダウンタンクに向けて安全に排出します。新人が初めてブロー弁を開けるとき、「シュー」という蒸気音に驚くのはお約束です。
連続吹出しの管理
連続吹出し(表面ブロー)は、弁の開度で吹出し量を調整します。ボイラー水の濃度管理(電気伝導率で監視)に基づいて、適切な量を連続的に排出します。
試験で狙われるポイント
- 安全弁は2個以上設置 — 1個を最高使用圧力以下、他は最高使用圧力の3%増以下に調整
- 水面計の機能試験 — 毎日1回以上実施。蒸気コック→水コックの順で閉じ、逆の順で開く
- 吹出し操作の2種類 — 間欠吹出し(底部のスラッジ排出)と連続吹出し(水面付近の濃縮水排出)
- 吹出し弁は2個直列 — 急開弁を先に開き、漸開弁で調整。閉じるときは逆順
理解度チェック
ここまでの内容を3問でチェックしてみましょう!
Q1. 安全弁の調整ボルトを「締める」と吹出し圧力はどうなるか?
Q2. ガラス水面計の機能試験はどのくらいの頻度で行うべきか?
Q3. 間欠吹出し(底部ブロー)を行う前に、水位をどうしておくべきか?その理由も答えなさい。
まとめ
- 安全弁の調整:調整ボルトで吹出し圧力を設定。締めると圧力UP、緩めるとDOWN。2個ある場合はずらして設定
- 水面計の機能試験:1日1回以上。蒸気コック→ドレンコック→水コックの順序で操作
- 吹出し操作:燃焼量を下げてから短時間で実施。水面計を監視しながら行う
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