この5問で身につくこと
- 安全弁が2個以上ある場合の「3%増以下」を数値で計算する
- 2個の水面計が食い違うとき、蒸気側・水側の閉塞を切り分ける
- 直列の急開弁・漸開弁を、弁座を傷めにくい順序で操作する
- 吹出し中に禁止される同時操作と別作業を判定する
- 安全弁の漏れを調整ねじだけで直そうとしない
結論:安全弁・水面計・吹出し装置は、どれも「弁を開閉できる」だけでは不十分です。保護機能を失わせないこと、表示を信頼できること、操作中の水位と排出経路を監視できることまで含めて正しい取扱いになります。
基本構造を先に確認する場合は「安全弁・水面計・吹出し操作の基本」を参照してください。本記事は、設備データと操作状況から次の一手を選ぶ実戦編です。
3つの附属品は防いでいる危険が異なる
| 附属品 | 防ぐ危険 | 判断の要点 |
|---|---|---|
| 安全弁 | 過圧 | 設定圧力と吹出し能力 |
| 水面計 | 低水位・高水位 | 連絡管を含む表示の信頼性 |
| 吹出し装置 | 濃縮・沈殿物 | 水位、排出先、弁の順序 |
安全弁があるから圧力監視を省けるわけではなく、水面計が2個あるから表示差を放置できるわけでもありません。吹出しも、固定秒数だけで行う操作ではありません。圧力・水位・水質・設備の状態を合わせて判断します。
安全弁2個の設定は「3%増以下」を計算する
原則として、安全弁は最高使用圧力以下で作動するように調整します。ただし、安全弁が2個以上あり、1個を最高使用圧力以下に調整した場合、他の安全弁は最高使用圧力の3%増以下にできます。
最高使用圧力0.90MPaの場合
0.90 × 1.03 = 0.927MPa
これは他の安全弁を必ず3%高くする規定ではありません。「0.927MPa以下まで許される」という上限です。実機の設定・試験は定められた手順と体制で行い、運転中の圧力上昇や漏れへ対処するために調整ねじを任意に回しません。
水面計は表示値より先に表示の信頼性を確認する
ガラス水面計は、通常の蒸気ボイラーでは2個以上が基本です。また、ボイラー取扱作業主任者の職務には1日1回以上の機能点検が含まれます。認定された自動制御ボイラーには3日に1回以上とできる例外があります。
2個の表示が食い違うとき、都合のよい方を採用してはいけません。燃焼を安全側へ動かし、各水面計について蒸気側・水側の通路と吹出しを確認し、使用状態へ戻した後に水位が速やかに復帰するかを見ます。
| 機能点検で見た状態 | 疑う箇所 |
|---|---|
| 蒸気側を確認したときだけ流れが著しく弱い | 蒸気側連絡部の閉塞 |
| 水側を確認したときだけ流れが著しく弱い | 水側連絡部の閉塞 |
| 使用状態へ戻しても水位復帰が遅い | コック開度、通路閉塞、汚れ |
コック配置や遠隔操作器は機種で異なるため、ここで一律のレバー位置を暗記するのではなく、メーカー取扱説明書と事業場手順に従います。高温水・蒸気の噴出方向へ立たず、保護具と遠隔操作器を使用します。
直列2弁は漸開弁で流量を調整する
直列に急開弁と漸開弁がある設備では、急開弁を絞って流量調整するのではなく、漸開弁を徐々に操作します。一般的な操作順は次のとおりです。
開くとき
急開弁を全開
→ 漸開弁を徐々に開く
閉じるとき
漸開弁を先に閉じる
→ 急開弁を閉じる
閉止時に急開弁を先に閉じると、高速流を急開弁の弁座で止めることになり、弁座を損傷させるおそれがあります。実操作では弁の形式と配置を現物・系統図で確認し、その設備の手順を優先します。
吹出し中は1人1缶・操作専念が原則
ボイラー及び圧力容器安全規則第31条は、1人で同時に2以上のボイラーの吹出しを行わないこと、吹出し中に他の作業を行わないことを定めています。共有の吹出し槽・配管では、排出先の圧力や容量、他号機からの逆流防止も確認します。
操作前は水位を確認し、必要に応じて燃焼を低くして負荷を安定させます。操作中は水位と排出状態から目を離さず、終了後は弁の閉止、漏れ、水位の回復を確認します。吹出し量・時間は水質管理値と事業場基準に従い、「いつも同じ秒数」で済ませません。
公式資料の確認先
- 厚生労働省:ボイラー及び圧力容器安全規則 第25・28・31条
- 厚生労働省:ボイラー構造規格 第62・69・71・78・79条
- 安全衛生技術試験協会:公表試験問題一覧
- 安全衛生技術試験協会:二級ボイラー技士公表問題(吹出し操作を含む)
現行規則確認日:2026年7月30日。実機のコック位置、試験方法、吹出し時間、安全弁の整備はメーカー取扱説明書と事業場手順を優先します。問題文・数値・設備状況は独自作成です。
第1問:2個目の安全弁設定上限を計算する
【問1】最高使用圧力0.90MPaの蒸気ボイラーに安全弁が2個あり、1個目は0.90MPaで作動するよう調整されています。法令上、2個目に許される作動圧力の上限はどれですか。
(1) 0.873MPa
(2) 0.900MPa以外は認められない
(3) 0.927MPa
(4) 0.990MPa
(5) 1.170MPa
第2問:水面計の表示差から閉塞箇所を診断する
【問2】2個のガラス水面計に40mmの表示差があります。手順に従って機能点検したところ、A水面計は水側の流れは強い一方、蒸気側を確認したときだけ流れが著しく弱く、使用状態へ戻した後の水位復帰も遅い状態です。最も適切な判断はどれですか。
(1) Aの表示を正しいと決めて運転を続ける
(2) 蒸気側連絡部の閉塞を疑い、Aの表示を信頼せず安全側の措置と点検を行う
(3) 水側連絡部だけが閉塞している
(4) ボイラー水が必ず高濃度になっている
(5) 表示差は正常なので点検を終える
第3問:急開弁と漸開弁の操作順を選ぶ
【問3】吹出し管に急開弁と漸開弁が直列に設けられています。両弁が閉じた状態から吹出しを開始し、終了するまでの一般的な操作順として適切なものはどれですか。
(1) 漸開弁を全開→急開弁で流量調整→急開弁を閉→漸開弁を閉
(2) 急開弁を全開→漸開弁を徐々に開→漸開弁を閉→急開弁を閉
(3) 2個を同時に全開→2個を同時に閉鎖
(4) 急開弁を半開→漸開弁を全開→急開弁を先に閉鎖
(5) 漸開弁だけで開始・終了し、急開弁は常時閉鎖
第4問:2缶の吹出し作業を計画する
【問4】1人の担当者がA・Bボイラーの吹出し弁を同時に開き、排出中にその場を離れず運転日誌へ圧力値を記入しようとしています。適切な判断はどれですか。
(1) その場を離れなければ両方とも適切である
(2) 2缶同時はよいが、日誌記入だけ禁止される
(3) 日誌記入はよいが、2缶同時だけ禁止される
(4) 1人で2缶を同時に吹き出さず1缶ずつ行い、吹出し中は監視・操作に専念する
(5) 自動給水なら缶数も別作業も制限されない
第5問:安全弁の漏れへ対応する
【問5】圧力は設定値より低い0.72MPaで安定していますが、安全弁出口から蒸気が連続して漏れています。前回の作動後から発生し、弁座への異物か損傷が疑われます。運転員の対応として最も適切なものはどれですか。
(1) 漏れが止まるまで調整ねじを締め込む
(2) 安全弁出口へ栓を取り付ける
(3) 吹出し圧力を最高使用圧力より高く変更する
(4) 圧力・漏れの状態を監視し手順に従って安全に停止・隔離し、資格と手順を満たす整備・再設定を行う
(5) 圧力計のコックを閉じて漏れを見えにくくする
採点結果と誤答別の復習先
| 正解数 | 次の行動 |
|---|---|
| 5問 | 第2回へ進み、整備・水質管理も追加練習 |
| 3〜4問 | 3%計算と2弁の閉止順を再確認 |
| 0〜2問 | 附属品ごとの目的から復習 |
- 問1・5を誤答:安全弁の設定上限と、運転中に設定を任意変更しない理由を確認
- 問2を誤答:水面の値と、水面計の表示信頼性を分けて考える
- 問3・4を誤答:漸開弁で流れを制御し、吹出し中は1人1缶で専念する
次の練習と学習ルート
まとめ
安全弁が2個以上ある場合、1個を最高使用圧力以下に設定すれば、他は最高使用圧力の3%増以下にできます。水面計は表示差があれば片方を決め打ちせず、蒸気側・水側の通路と水位復帰から信頼性を確認します。
直列2弁は急開弁を全開後に漸開弁で流量を調整し、閉止は漸開弁が先です。吹出しは1人1缶で操作へ専念し、安全弁の漏れを調整ねじの締込みや出口閉止で止めてはいけません。
最終更新日:2026年7月30日
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