この5問で身につくこと
- 最大蒸発量と残留熱から給水装置の能力・個数を判定する
- 給水弁と逆止め弁の役割、法定例外を区別する
- 吹出しの水質管理と安全な作業条件を理解する
- 蒸気トラップの作動原理と異常症状を結び付ける
結論:給水装置は減った水を補い、吹出し装置は濃縮水や沈殿物を排出し、蒸気トラップはドレンと空気を自動排出しながら生蒸気の損失を抑えます。試験では、流れの向き・最大蒸発量・低水位対策・異常時の症状を読み取ることが重要です。
装置の全体構成は「給水装置・吹出し装置・蒸気トラップ・送気系統」で確認できます。
水と蒸気の流れを一周させる
ポンプ → 給水管
→ ボイラー
ボイラー水
→ 冷却・排出
使用設備 → トラップ
→ 回収系統
給水はボイラーへ入る流れ、吹出しはボイラー水が外へ出る流れです。送られた蒸気は放熱するとドレンへ戻ります。ドレンを回収できれば熱と水を再利用できますが、回収の可否や戻し先は汚染リスク、水質、圧力、設備仕様で判断します。
給水装置は最大蒸発量と安全装置で決まる
ボイラー構造規格第73条の基本は、蒸気ボイラーへ最大蒸発量以上を給水できる装置を備えることです。最大蒸発量4,200kg/hなら、基本能力は4,200kg/h以上です。
| 設備条件 | 原則 |
|---|---|
| 一般の蒸気ボイラー | 最大蒸発量以上の給水能力 |
| 燃料遮断後も熱供給が続く、または所定の低水位燃料遮断装置がない | 原則2装置。各々が単独で最大蒸発量以上 |
| 燃料遮断後も熱供給が続く | 各装置を別の動力で運転可能にする |
「給水ポンプが2台ある」という台数だけでは不十分です。2台をまとめて一つの給水装置とみる構成もあり、規格には能力の特例があります。試験では問題文の条件を読み、現場では系統図、ポンプ性能曲線、非常電源を照合します。
給水弁は止め、逆止め弁は逆流を防ぐ
第75条は、給水管のボイラーに近い位置へ給水弁と逆止め弁を取り付けることを求めています。一般的な配置はボイラーに近い側から給水弁、逆止め弁です。給水弁は系統を隔離し、逆止め弁はポンプ停止時などの逆流を防ぎます。
例外:貫流ボイラーと、最高使用圧力0.1MPa未満の蒸気ボイラーは、給水弁だけとすることができます。「0.1MPa以下」ではなく「0.1MPa未満」です。
逆止め弁は一方向に流れるだけで、給水量を精密に調整する弁ではありません。また、弁が付いていても固着や異物噛みで逆流することがあるため、ポンプ停止時の圧力・流量変化と点検結果を確認します。
吹出しは沈殿物排出と濃度管理を分ける
| 方法 | 主な狙い |
|---|---|
| 底部・間欠吹出し | 低部のスラッジなどを排出 |
| 連続吹出し | 溶解成分の濃度を継続調整 |
給水が蒸発すると、溶解成分や懸濁物は水側へ残って濃縮します。吹出し量が少なすぎれば水質悪化、多すぎれば熱・水・薬品の損失と水位低下につながります。水質測定と設備手順に基づいて量を決めます。
ボイラー及び圧力容器安全規則第31条は、吹出し中に他の作業をせず、1人で同時に2基以上のボイラーを吹き出さないことを求めています。高温高圧水を扱うため、弁の開閉順序や時間を自己流で決めません。
蒸気トラップは三つの作動原理で整理する
| 分類 | 代表 | 利用する差 |
|---|---|---|
| メカニカル | フロート・バケット | 密度差・浮力 |
| サーモスタティック | バイメタルなど | 温度差 |
| サーモダイナミック | ディスク | 運動・熱力学的性質 |
蒸気トラップの役割は「水だけを通す」の一言では足りません。ドレンと空気などの不凝縮ガスを自動排出し、生蒸気漏れを抑えます。用途、差圧、ドレン負荷、空気排出能力、背圧を見て形式と容量を選びます。
生蒸気損失
戻り管の温度・背圧上昇
ドレン滞留
加熱不良・水撃
入口温度だけで正常・異常を断定できません。作動音、超音波、入口・出口温度、差圧、排出状態を機種仕様と比較します。閉塞時はトラップだけでなく、ストレーナ、前後弁、配管勾配、エアバインディングも確認します。
公式・技術資料の確認先
現行規格・技術情報確認日:2026年7月30日。令和8年4月掲載の公表問題は2026年1月以降施行の法令に未対応との注意書きがあるため、法令事項は現行の厚生労働省資料と照合しています。問題文・数値・診断事例・表は独自作成です。
第1問:給水能力と動力を判定する
【問1】最大蒸発量4,200kg/hで、燃料供給を遮断しても炉材からの熱供給が続く蒸気ボイラーです。給水装置の原則として最も適切なものはどれですか。
(1) 1装置だけで、能力は2,100kg/h以上
(2) 1装置だけで、能力は4,200kg/h以上
(3) 2装置を備え、各々が単独で4,200kg/h以上を給水でき、別の動力で運転できる
(4) 2装置の合計が4,200kg/hなら、各装置の能力と動力は問わない
(5) 残留熱があるため給水装置は不要
第2問:逆止め弁の法定例外を判定する
【問2】最高使用圧力0.08MPaの蒸気ボイラーです。給水弁と逆止め弁に関する説明として最も適切なものはどれですか。
(1) 0.1MPa未満なので、給水弁だけとすることができる
(2) 0.1MPa未満なので、給水弁も給水管も不要
(3) 圧力に関係なく逆止め弁だけでよい
(4) 給水弁の代わりに安全弁を使う
(5) 0.08MPaは0.1MPa以上なので例外にならない
第3問:吹出し作業を安全に組み立てる
【問3】1人の担当者がボイラーAの吹出しを開始しました。同じ担当者の行動として最も適切なものはどれですか。
(1) Aの吹出し中にボイラーBの吹出しも同時に行う
(2) Aの吹出し中に別の保守作業を並行する
(3) Aの吹出しに専念し、Bの吹出しや他作業は同時に行わない
(4) 弁を開いたまま現場を離れる
(5) 水位を確認せず、時間だけで終了を決める
第4問:トラップ閉塞の症状を判定する
【問4】蒸気加熱器の能力が低下し、トラップ上流でドレン滞留と打撃音があり、下流は冷たく排出もありません。最初に疑う状態として最も適切なものはどれですか。
(1) トラップの閉じ放し・閉塞
(2) トラップの開き放しによる生蒸気漏れだけ
(3) 安全弁の吹出し圧力不足
(4) 給水ポンプの吐出し過大
(5) ボイラー効率が必ず100%になった
第5問:トラップ形式と作動原理を対応させる
【問5】蒸気トラップの形式と主な作動原理の対応として、最も適切なものはどれですか。
(1) フロート式=浮力、バイメタル式=温度差、ディスク式=熱力学的性質の差
(2) フロート式=温度差、バイメタル式=浮力、ディスク式=水位差だけ
(3) フロート式=燃焼量、バイメタル式=圧力計、ディスク式=水質
(4) 三形式とも手動でだけ開閉する
(5) 三形式とも作動原理は完全に同じ
採点結果と誤答別の復習先
| 正解数 | 次の行動 |
|---|---|
| 5問 | 第2回へ進み、弁形式と送気系統を練習 |
| 3〜4問 | 数値条件と流れの向きを再確認 |
| 0〜2問 | 給水・排水・復水を分けて復習 |
- 問1・2を誤答:最大蒸発量、残留熱、0.1MPa未満を確認
- 問3を誤答:吹出し中は一つの作業へ専念する
- 問4・5を誤答:異常症状と三つの作動原理を対応させる
次の練習と学習ルート
まとめ
給水装置は最大蒸発量以上の能力が基本です。燃料遮断後も熱供給が続く場合などは、原則として各々が単独で最大蒸発量以上を給水できる2装置が必要です。最高使用圧力0.1MPa未満または貫流ボイラーは、給水弁だけとする例外があります。
吹出しは沈殿物排出と濃度管理のために行い、作業中は他作業や別ボイラーの同時吹出しをしません。蒸気トラップはドレンと空気を排出し、生蒸気損失を抑える装置です。閉塞と漏れでは症状が逆になるため、温度・音・差圧・排出状態を組み合わせて判断します。
最終更新日:2026年7月30日
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