結論:配管・衛生器具・消火設備は「建物のライフラインを支える基盤設備」
結論から言います。配管材料・衛生器具・消火設備は、給排水・衛生・防火という建物の基本的な安全を支える設備群です。
どんなに立派なビルでも、配管が腐食して漏水したり、トイレが故障したり、消火設備が動作しなければ、安全で快適な建物とは言えません。ビル管理士はこれらの設備すべてに目を配り、日常的に管理する必要があります。
ビル管理士試験では、配管材料の種類と特徴、衛生器具(大便器・洗面器)の種類、消火設備の仕組みが出題されます。幅広い分野ですが、ポイントを押さえれば確実に得点できます。
配管材料の種類と特徴(★頻出★)
配管は建物の血管です。用途(給水・給湯・排水・ガスなど)によって適切な管種を選定します。
金属管
| 管種 | 特徴・用途 |
|---|---|
| 鋼管(SGP) | 安価で強度あり。腐食しやすく赤水の原因に。古い建物に多い |
| ステンレス鋼管 | 耐食性に優れ衛生的。給水・給湯の新設で主流。高価 |
| 銅管 | 加工しやすく殺菌性あり。給湯管に多用。初期に青水が出ることがある |
| 鋳鉄管 | 排水管に使用。遮音性が高い。重量がある |
| 塩ビライニング鋼管(VLP) | 鋼管内面に塩ビをライニング。防錆効果。給水管に使用 |
樹脂管
| 管種 | 特徴・用途 |
|---|---|
| 硬質塩化ビニル管(VP) | 軽量・安価・耐食性あり。排水管・通気管に広く使用。熱に弱い |
| 架橋ポリエチレン管 | 柔軟・耐食性・耐熱性あり。さや管ヘッダー工法に使用 |
| ポリブテン管 | 柔軟で施工しやすい。給水・給湯兼用可能 |
| 耐火二層管 | 塩ビ管の外側に耐火被覆を施した管。防火区画を貫通する排水管に使用 |
耐火二層管は試験でよく問われます。防火区画(火災の延焼を防ぐための壁や床)を配管が貫通する場合、火が配管を通じて隣の区画に燃え広がらないよう、耐火性能が求められます。通常の塩ビ管は熱で溶けてしまいますが、耐火二層管は外側の耐火被覆によってこの問題を解決しています。
衛生器具
大便器の種類(★頻出★)
大便器の洗浄方式は、ビルの用途や設置場所によって使い分けます。
| 方式 | 特徴 |
|---|---|
| 洗い落とし式 | 水の落下力で洗浄。構造が簡単。洗浄音が大きい |
| サイホン式 | サイホン作用で排水。洗浄力が強い。水量がやや多い |
| サイホンゼット式 | ゼット穴からの噴射でサイホン作用を起こす。洗浄力最強。水量が多い |
| サイホンボルテックス式 | 渦巻き状の水流で洗浄。静音。高級な和式・洋式に使用 |
洗浄弁(フラッシュバルブ)と洗浄タンク
| 方式 | 特徴 |
|---|---|
| 洗浄弁(フラッシュバルブ) | 給水管の水圧で直接洗浄。連続使用可能。オフィスビル・商業施設に多い |
| 洗浄タンク(ロータンク) | タンクに貯めた水で洗浄。水圧が低くても使用可能。家庭・集合住宅に多い |
オフィスビルのトイレはフラッシュバルブが主流です。昼休みに多くの人が一斉に使うため、タンクに水が溜まるのを待つ必要がない連続洗浄が可能なフラッシュバルブが適しています。一方、水道の圧力が低いマンションでは洗浄タンクが使われます。
節水型器具
近年は節水型の衛生器具が普及しています。大便器の1回あたりの洗浄水量は、かつて13Lだったものが、現在の節水型では4〜6Lにまで削減されています。ビルの水道使用量の中でトイレの洗浄水が占める割合は大きいため、節水型器具への更新は大きなコスト削減効果があります。
消火設備(★試験頻出★)
消火設備は消防法に基づいて設置される防火設備です。ビル管理士は消火設備の日常点検を担うことがあるため、基本的な知識が求められます。
屋内消火栓設備
建物内に設置された消火栓から水を放出して消火する設備です。
| 種類 | 特徴 |
|---|---|
| 1号消火栓 | 放水量が大きい(130L/min以上)。操作に2人必要 |
| 2号消火栓 | 放水量は小さい(60L/min以上)。1人で操作可能。ホースが短い |
1号消火栓は太いホースを引き出して2人で操作する本格的なタイプ。2号消火栓は細いホースで1人でも操作できる簡易タイプです。オフィスビルでは、女性や高齢者でも使える2号消火栓の設置が増えています。
スプリンクラー設備
天井に設置されたスプリンクラーヘッドが火災の熱で自動的に作動し、水を散水して消火する設備です。
スプリンクラーヘッドの中には感熱部(ヒュージブルリンクやガラスバルブ)があり、火災の熱で一定温度(通常72℃)に達すると溶けたり割れたりして水が放出されます。火元の直上のヘッドだけが作動するのが特徴で、建物全体に水が撒かれるわけではありません。
| 方式 | 特徴 |
|---|---|
| 湿式(ウェット式) | 配管内に常時水が充填。最も一般的。応答が速い |
| 乾式(ドライ式) | 配管内に圧縮空気。寒冷地で凍結防止のために使用 |
| 予作動式 | 火災感知器と連動。誤作動による水損を防ぐ。コンピューター室等に使用 |
コンピューター室やサーバールームでは、スプリンクラーの誤作動で機器が水損することを防ぐため、予作動式が使われます。火災感知器が火災を感知し、かつスプリンクラーヘッドが作動して初めて水が放出される二重チェックの仕組みです。
連結送水管
高層建物(地上7階建て以上、または地上5階建て以上で延べ面積6,000m²超)に設置が義務付けられる設備です。消防車のポンプから送水口を経由して各階の放水口に水を送り、消防隊が消火活動を行います。ビル管理者は送水口と放水口の位置を把握し、周囲に障害物がないか日常的に確認する必要があります。
理解度チェック
【第1問】配管材料
配管材料に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
(1) ステンレス鋼管は耐食性に優れ、給水管の新設で主流である。
(2) 硬質塩化ビニル管は排水管に広く使用されるが、熱に弱い。
(3) 耐火二層管は防火区画を貫通する排水管に使用される。
(4) 鋳鉄管は排水管に使用され、遮音性が高い。
(5) 架橋ポリエチレン管は金属管であり、腐食しやすい。
【第2問】衛生器具
衛生器具に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1) 洗浄弁(フラッシュバルブ)は水を溜めてから洗浄する方式である。
(2) 洗浄タンクは連続洗浄が可能であるため、オフィスビルに適している。
(3) 洗浄弁は給水管の水圧で直接洗浄するため、連続使用が可能である。
(4) サイホンゼット式便器は洗浄力が最も弱い方式である。
(5) 節水型便器の1回あたりの洗浄水量は約20Lである。
【第3問】消火設備
消火設備に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 1号消火栓は操作に2人必要である。
(2) 2号消火栓は1人で操作可能である。
(3) スプリンクラー設備の湿式は配管内に常時水が充填されている。
(4) 予作動式スプリンクラーはコンピューター室などで使用される。
(5) スプリンクラーが作動すると建物全体に水が散水される。
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まとめ
この記事では、配管材料・衛生器具・消火設備について解説しました。最後に重要ポイントを振り返りましょう。
| テーマ | 暗記ポイント |
|---|---|
| 耐火二層管 | 防火区画の貫通に使用する排水管 |
| フラッシュバルブ | 水圧で直接洗浄、連続使用可能。オフィスに多い |
| 1号消火栓 | 2人操作。放水量130L/min以上 |
| 2号消火栓 | 1人操作。放水量60L/min以上 |
| 予作動式スプリンクラー | コンピューター室向け。二重チェック |
配管材料・衛生器具・消火設備は範囲が広いですが、それぞれの種類と特徴の違いを押さえれば確実に得点できます。
配管の保守管理については給水設備の保守管理を、排水配管については排水設備とトラップをあわせて確認してください。
ビル管理士試験の科目別ロードマップで、効率よく学習を進めましょう。
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