浄化槽の放流水は、濃度を一つ見るだけでは判定できません。流入・放流BODを対で測り、除去率、1日負荷、流量変動、実有効容量、ばっ気・汚泥の状態まで同じ期間でそろえます。
この第1回は、BOD除去率90.8%でも放流22mg/Lで不適合になる例、流入負荷14.28kg/日、流量加重平均21mg/L、雨天時の滞留14.0時間、DO0.4mg/Lと送風機異常の初動を扱う独自5択5問です。
資料確認日:2026年8月11日。e-Gov法令検索の浄化槽法・環境省関係浄化槽法施行規則・排水基準省令と、環境省の浄化槽・一律排水基準資料を照合しました。放流先、適用法令、保守点検・清掃・法定検査の区別は「浄化槽と排水処理の判定」で解説し、このページは別条件の負荷・運転診断に特化します。
解く前の3分整理|濃度×水量で「量」に戻す
| 見る値 | 計算 | 診断の焦点 |
|---|---|---|
| 流入・放流BOD | (流入-放流)÷流入 | 除去率 |
| 濃度・日水量 | m³/日×g/m³ | kg/日負荷 |
| 時間帯別濃度 | Σ濃度×流量÷Σ流量 | 流量加重値 |
| 有効容量・流入 | 容量÷日量×24 | 理論滞留 |
| DO・機器履歴 | 指令と実電流を照合 | ばっ気異常 |
1mg/Lは1g/m³です。したがって、m³/日×mg/Lはg/日として扱えます。ただし、日負荷や流量加重平均は施設内の運転診断指標です。法定検査・届出・条例で定める採水場所、採水方法、頻度を置き換えるものではありません。
第1問|除去率90.8%でも、放流22mg/Lなら一方を満たさない
浄化槽の流入BODは240mg/L、同時に採水した放流BODは22mg/Lだった。放流20mg/L以下・除去率90%以上の両方で判定する場合、最も適切な評価はどれか。
- 除去率は約90.8%だが、放流22mg/Lが上限を超えるため不適合
- 放流22mg/Lは20mg/L以下なので適合
- 除去率は約89.2%なので、除去率だけで不適合
- 除去率が90%以上なら放流水質は問わない
- 流入が200mg/Lを超えると両方の基準が適用されない
第2問|68m³/日×210mg/L=14.28kg/日、除去量は13.06kg/日
1日流入量68m³、流入BOD210mg/L、放流BOD18mg/Lだった。同じ水量で単純計算した流入負荷とBOD除去量の組合せはどれか。
- 流入1.43kg/日・除去1.31kg/日
- 流入12.24kg/日・除去1.22kg/日
- 流入14.28kg/日・除去13.06kg/日
- 流入14.28kg/日・除去15.50kg/日
- 流入142.8kg/日・除去130.6kg/日
第3問|流量加重平均は21mg/L、単純な3点平均ではない
施設内診断として、時間帯Aは10m³・12mg/L、Bは30m³・26mg/L、Cは20m³・18mg/Lだった。3区分を流量で加重したBOD平均はどれか。
- 18.0mg/L
- 18.7mg/L
- 20.0mg/L
- 21.0mg/L
- 56.0mg/L
第4問|有効48m³で60→82m³/日なら、理論滞留は19.2→14.0時間
反応槽の実有効容量は48m³。晴天時流入60m³/日が、雨天時に82m³/日へ増えた。完全混合の単純計算による理論滞留時間の変化はどれか。
- 19.2時間から約14.0時間へ短縮
- 19.2時間から約27.3時間へ延長
- 24.0時間から19.2時間へ短縮
- 48.0時間から82.0時間へ延長
- 流量が変わっても滞留時間は変わらない
第5問|DO0.4mg/L・送風機実電流0なら、消毒剤増量で隠さない
放流BODが16mg/Lから31mg/Lへ上昇し、反応槽DOは2.1mg/Lから0.4mg/Lへ低下した。送風機Bは制御画面で運転指令ONだが、実電流0A、風量も0だった。最も適切な初動はどれか。
- 塩素剤だけを増やし、BOD低下を待つ
- 見た目が透明なら31mg/Lを無視して放流する
- 履歴を消去し、警報が再発するかだけを見る
- 送風機Bの実停止・電源・保護装置・弁を確認し、負荷を抑えつつばっ気復旧、採水と関係先連携を進める
- DOが低いので、返送汚泥と流入量を測らず全汚泥を引き抜く
採点|濃度を負荷と時間へ戻せたか
| 正解数 | 判定 | 復習の焦点 |
|---|---|---|
| 5問 | 負荷診断は安定 | 実測収支へ |
| 4問 | 1条件を再確認 | kg換算か流量 |
| 2〜3問 | 濃度だけで判断 | 除去量・滞留 |
| 0〜1問 | 親記事から復習 | 法令・処理原理 |
水質悪化の確認順|放流側だけを追わない
- 放流先:公共用水域、公共下水道、浄化槽のどれかを確定する
- 流入:水量、BOD、pH、油脂、薬品、雨水・地下水、時間変動を確認する
- 処理:DO、送風量、撹拌、返送汚泥、汚泥界面、短絡流、消毒を分けて見る
- 放流:採水時刻と流量を記録し、濃度・負荷・除去率をそろえる
- 機器:制御指令だけでなく、実電流、風量、弁位置、警報、予備機を照合する
- 連携:維持管理業者、指定検査機関、設置者、自治体等へ必要な報告と是正記録を残す
放流BODが悪化しても、原因は微生物だけとは限りません。清水混入による負荷の希釈、雨水侵入による滞留短縮、汚泥堆積による実容量低下、送風・返送停止、採水条件のずれを同じ日付の記録へ重ねます。
間違えた分野の戻り先
- 放流水質、除去率、法定検査:浄化槽と排水処理の判定
- 排水槽の流入・ポンプ・滞留:通気設備と排水槽の管理
- 排水経路とトラップ:排水設備とトラップの診断
- 薬剤濃度と希釈の基礎:消毒法と希釈計算
追加演習
SS・DO・接触ばっ気・水質汚濁防止法は「浄化槽と排水処理 ミニテスト第2回」、保守点検・清掃・法定検査と各処理方式は「浄化槽と排水処理 ミニテスト第3回」で確認できます。
公式資料の確認先
まとめ|90.8%・14.28kg・21mg/Lを一つの収支へ
流入240mg/L、放流22mg/Lの除去率は90.8%ですが、放流20mg/L以下を満たさないため適合とはいえません。68m³/日・流入210mg/Lなら流入負荷14.28kg/日、放流18mg/Lなら除去量は13.06kg/日です。
流量が10・30・20m³で濃度が12・26・18mg/Lなら、流量加重平均は21mg/Lです。有効48m³に対し流入が60から82m³/日へ増えると、理論滞留は19.2から14.0時間へ短縮します。DO0.4mg/L、送風指令ON・実電流0なら、消毒で隠さず、ばっ気復旧と水質・負荷の切り分けを並行します。
資料確認日/最終更新日:2026年8月11日
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