洗剤は「中性なら素手で安全」「薄めれば無害」ではありません。液性、成分、濃度、用途、混触危険性は別々に確認します。床維持剤も、回数ではなく面積当たり塗布量と乾燥条件を管理し、剥離廃液は水で薄める前に汚濁負荷と排出先を判断します。
この第1回は、30倍希釈の原液0.80L、pH12.6を25倍にした理想値約11.2、3層塗布の予備込み136.7L、酸性・塩素系洗剤の切替え、剥離廃液のCOD負荷3.74kgを扱う独自5択5問です。
資料確認日:2026年8月12日。消費者庁の雑貨工業品品質表示規程、厚生労働省の維持管理マニュアル・ビルメンテナンス業の化学物質対策・労働災害事例、e-Gov法令検索の毒物及び劇物指定令を照合しました。業務用製品の希釈率、pH、塗布面積、保護具、混触禁止、廃棄方法は製品ラベルと最新版SDSを優先してください。
解く前の3分整理|液性だけでなく量と経路を見る
| 判断 | 計算・確認 | 最後に見るもの |
|---|---|---|
| 希釈 | 仕上がり量÷倍率 | ラベルの表現 |
| 液性 | pHと希釈倍率 | 実測・緩衝能・SDS |
| 塗布 | 面積÷塗布能率×層 | 乾燥と予備率 |
| 切替え | 前薬剤と次薬剤 | 残留・用具・換気 |
| 廃液 | 濃度×水量 | 排出先・受入条件 |
「30倍希釈」は、仕上がり量が原液の30倍という意味です。「原液1:水30」は合計31倍なので一致しません。pHは対数表示で、10倍希釈ごとに理想的には1変化しますが、実製品には弱酸・弱塩基、緩衝成分、溶剤、界面活性剤が含まれるため単純計算は安全判定に使えません。
第1問|30倍の仕上がり24Lは、原液0.80L
製品ラベルに「30倍希釈」とある。仕上がり24.0Lをつくるときの原液量と水量の組合せはどれか。
- 原液0.30L・水23.70L
- 原液0.77L・水23.23L
- 原液0.80L・水23.20L
- 原液1.25L・水22.75L
- 原液7.20L・水16.80L
第2問|pH12.6を25倍、理想計算は約11.2
25℃でpH12.6の一価強塩基が完全解離し、緩衝作用がないと仮定する。純水で25倍に希釈したときの理想的なpHと安全判断の組合せはどれか。
- pH0.50。酸性になるので酸用手袋を選ぶ
- pH10.0。25倍なのでpHも25分の1になる
- pH11.2。理想値であり、実製品はラベル・SDS・実測を優先する
- pH12.6。希釈してもpHは変わらない
- pH14.0。水を加えるとアルカリ性が強くなる
第3問|1,350m²を3層、予備8%なら136.7L
フロアポリッシュの標準塗布面積は32m²/L。1,350m²へ3層塗り、容器や用具への残留を見込んで計算量に8%の予備を加える。準備量に最も近いものはどれか。
- 42.2L
- 45.6L
- 126.6L
- 136.7L
- 259.2L
第4問|酸性洗剤の直後に塩素系を追加しない
便所清掃で酸性洗剤を使った直後、別の担当者が同じ便器と用具へ塩素系洗剤を追加しようとしている。最も適切な対応はどれか。
- 両方を混ぜれば洗浄力が上がるので続ける
- 中性洗剤を足せば自動的に安全になる
- 臭いがなければ残留していないので、そのまま塩素系を使う
- 作業を止め、製品を隔離し、ラベル・SDSに従って残留除去・換気・用具分離を確認する
- 塩素系を先に使う順序なら、酸性洗剤との連続使用は常に安全である
第5問|480L・COD 7,800mg/Lは3.74kg
剥離洗浄で廃液480Lが生じ、分析値はCOD 7,800mg/Lだった。この廃液に含まれるCOD負荷量と判断の組合せはどれか。
- 3.74g。水で10倍に薄めれば負荷も10分の1になる
- 37.4g。一般排水口へ一括排出する
- 374g。pHだけ確認すればよい
- 3.74kg。希釈しても総負荷は減らないため、排出先の受入条件と処理方法を確認する
- 37.4kg。固形ごみとして床へ乾燥させる
採点|倍率・対数・物質収支を安全判断へ使えたか
| 正解数 | 判定 | 復習の焦点 |
|---|---|---|
| 5問 | 薬剤判断は安定 | 実製品のSDSへ |
| 4問 | 1条件を再確認 | pHか廃液量 |
| 2〜3問 | 液性暗記に偏る | 倍率・混触・負荷 |
| 0〜1問 | 親記事から復習 | 反応と表示 |
作業前チェック|ラベルから廃液まで一本につなぐ
- 製品:用途、希釈率、液性、成分、使用禁止素材、期限を確認する
- SDS:危険有害性、保護具、換気、応急措置、漏出・廃棄方法を確認する
- 計量:標準タンクごとの原液量をmL・Lで手順書へ記載する
- 区画:酸性・塩素系を同時に持ち込まず、用具と保管場所も分ける
- 塗布:面積、層数、使用量、乾燥時間、床面残留pHを記録する
- 廃液:発生量、分析値、排出先、受入条件、処理記録を残す
間違えた分野の戻り先
- 酸・アルカリ、表示、被膜、剥離剤:洗剤と床維持剤の選定
- 汚れの分類と機械的回収:汚れの分類と清掃用具・機械
- 床材の耐薬品性と復旧:床材別清掃方法
- 排水負荷と放流判断:浄化槽と排水処理の判定
追加演習
酸性洗剤、スプレーバフ、ドライメンテナンス、フロアポリッシュ分類は「洗剤と床維持剤 ミニテスト第2回」、界面活性剤、塩素系、剥離作業の基礎は「同 第3回」で復習できます。この第1回は、別の薬剤量・塗布量・廃液量を使う代表診断です。
公式資料の確認先
- 消費者庁「合成洗剤・住宅用又は家具用の洗浄剤」
- 厚生労働省「建築物における維持管理マニュアル 第5章」PDF
- 厚生労働省「ビルメンテナンス業で使用する洗剤等の化学物質による労働災害防止」PDF
- 厚生労働省「塩素系・酸性洗剤の混触による労働災害事例」
- e-Gov法令検索「毒物及び劇物指定令」
まとめ|原液0.80L・塗布136.7L・COD3.74kgを取り違えない
30倍で仕上がり24Lなら原液0.80L、水23.20Lです。pH12.6の一価強塩基を25倍にする理想計算は約pH11.2ですが、実製品の安全性はラベル・SDS・実測で判断します。1,350m²を32m²/Lで3層塗り、予備8%を加える準備量は約136.7Lです。
酸性洗剤の直後に塩素系を追加せず、残留除去、換気、用具分離を確認します。COD 7,800mg/Lの廃液480Lには約3.74kgのCOD負荷があり、水を足しても総負荷は減りません。洗浄力だけでなく、作る量、塗る量、残す量、排出する量まで追うことが安全な薬剤管理です。
資料確認日/最終更新日:2026年8月12日
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