全熱交換器の効率が高くても、新鮮外気の割合や空気浄化性能まで高いとは限りません。熱回収、漏れ、粒子捕集、ガス吸着、微生物の不活化は、別々の指標で確認します。
この第1回は、温度交換効率65%、回収顕熱11.8kW、有効外気成分92.5%、活性炭の除去率80%から30%への低下、ダクト内GUVの照射量0.10mJ/cm2を扱う独自5択5問です。方式名ではなく、入口と出口を測って判断してください。
資料確認日:2026年8月8日。日本冷凍空調工業会のJIS B 8628解説、厚生労働省の空気清浄装置維持管理基準、米国EPA・CDC/NIOSHの空気清浄資料を照合しました。原理と選定全体は「全熱交換器と空気浄化の診断」で解説し、このページは新しい実測値の演習に特化しています。
解く前の3分整理|回収・換気・浄化を混ぜない
| 目的 | 主な指標 | 見落とし |
|---|---|---|
| 熱を回収 | 温度・全熱交換効率 | 風量、ファン動力 |
| 外気を届ける | 有効換気量率 | 内部・外部漏れ |
| 粒子を捕集 | 粒径別効率、差圧 | バイパス、風量 |
| ガスを吸着 | 入口・出口濃度 | 破過、対象ガス |
| 微生物を不活化 | 照射量、配置 | 影、汚れ、安全 |
温度交換効率は、給気が外気から還気へどれだけ近づいたかを表します。有効換気量率は、室内へ送る空気に外気成分がどれだけ含まれるかです。空気清浄装置は、対象が粒子、ガス、微生物のどれかを先に決めます。
第1問|外気4℃・給気15.7℃で温度交換効率65%
暖房時の外気OA=4.0℃、室内からの還気RA=22.0℃、熱交換後の給気SA=15.7℃だった。給気側の温度交換効率を(SA-OA)÷(RA-OA)で求めると、最も近いものはどれか。
- 35%
- 53%
- 65%
- 71%
- 87%
第2問|風量3,000m3/hの回収顕熱は約11.8kW
第1問の回収温度差11.7K、給気風量3,000m3/hとする。空気密度1.2kg/m3、定圧比熱1.005kJ/(kg・K)として、Q=密度×比熱×風量÷3,600×温度差で求める回収顕熱に最も近いものはどれか。
- 3.3kW
- 7.8kW
- 11.8kW
- 19.6kW
- 35.3kW
第3問|給気2,400m3/h中の外気成分は92.5%
理解用の単純化として、室内へ供給される空気2,400m3/hのうち、排気側やケーシング周囲からの漏れ込みに相当する外気以外の成分が180m3/hだった。外気成分量とその割合の組合せはどれか。
- 180m3/h、7.5%
- 2,220m3/h、92.5%
- 2,400m3/h、100%
- 2,580m3/h、107.5%
- 温度交換効率65%を掛け、1,443m3/h、60.1%
第4問|活性炭の対象ガス除去率が80%から30%へ低下
対象ガスの入口濃度は800µg/m3で一定だった。活性炭交換直後の出口は160µg/m3、3か月後は560µg/m3だった。除去率を(入口-出口)÷入口で求めた評価として、最も適切なものはどれか。
- 直後20%、3か月後70%。性能は向上した。
- 直後80%、3か月後30%。破過・負荷増大等を疑い、交換時期と運転条件を確認する。
- 直後80%、3か月後70%。ほぼ変化していない。
- 出口濃度がゼロでないため、直後から除去率0%である。
- 粒子用フィルタの差圧だけを測れば、ガス除去性能も確定できる。
第5問|ダクト内GUVの照射量は0.10mJ/cm2
ダクト内GUV(殺菌用紫外線)の理解用計算とする。空気速度2.0m/s、流れ方向の有効照射長さ0.50m、平均放射照度0.40mW/cm2だった。滞留時間と照射量の組合せ、運用上の説明として適切なものはどれか。
- 0.25秒、0.10mJ/cm2。実際の不活化は微生物、湿度、影、ランプ汚れ等でも変わり、換気・ろ過を置き換えない。
- 0.25秒、1.60mJ/cm2。照射すれば粒子もダクトから消える。
- 1.0秒、0.40mJ/cm2。すべての微生物に同じ効果がある。
- 4.0秒、1.60mJ/cm2。居室へ直接照射するほど安全性が高い。
- 照射量は放射照度÷時間なので、0.80mJ/cm2である。
採点|一つの「効率」で全部を説明していないか
| 正解数 | 判定 | 復習の焦点 |
|---|---|---|
| 5問 | 評価境界は明確 | 年間実績へ拡張 |
| 4問 | 1指標を再確認 | 換気か浄化 |
| 2~3問 | 方式名が先行 | 入口・出口の差 |
| 0~1問 | 親記事から復習 | 対象物別の役割 |
厚生労働省の技術上の基準は、空気清浄装置のろ材・集じん部の汚れと、ろ材前後の気圧差等を定期に点検し、必要に応じて性能検査・取替え等を行うよう示しています。交換日だけでなく、差圧、風量、入口・出口濃度、清掃・交換後の回復を記録してください。
間違えた分野の戻り先
- 全熱交換・漏れ・浄化方式の全体:全熱交換器と空気浄化の診断
- 必要外気量とCO2収支:換気量の計算と第1〜3種換気
- AHUのフィルタ・加湿・コイル:空気調和機(AHU)とFCUの構造
- 室内ガス状汚染物質:室内空気汚染物質とシックハウス対策
追加演習
回転型・プレート式・UV-C・装置の組合せは「熱交換器と空気浄化装置ミニテスト第2回」、省エネ・活性炭・光触媒・用途判断は「熱交換器と空気浄化装置ミニテスト第3回」で確認できます。
公式の確認先
- 日本冷凍空調工業会「全熱交換器のJISの概要」
- 厚生労働省「空気調和設備等の維持管理及び清掃等に係る技術上の基準」
- 米国EPA「Guide to Air Cleaners in the Home」
- 米国EPA「Will air cleaners reduce health risks?」
- 米国CDC/NIOSH「About Germicidal Ultraviolet」
まとめ|65%、92.5%、30%は別の性能値
外気4℃、還気22℃、給気15.7℃なら温度交換効率は65%です。風量3,000m3/hでは回収顕熱が約11.8kWになります。一方、2,400m3/hの給気へ180m3/hの非外気成分が混じれば、外気成分は92.5%です。熱交換効率と有効換気の割合は同じ指標ではありません。
対象ガス800µg/m3に対する活性炭の除去率が80%から30%へ落ちれば、破過や運転条件を確認します。ダクト内GUVの照射量は照度×時間で、この例は0.10mJ/cm2です。粒子、ガス、微生物を一台ですべて解決しようとせず、対象ごとの装置と実測値を組み合わせてください。
資料確認日/最終更新日:2026年8月8日
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