非常時の設備管理は、機器名ではなく「負荷・時間・連動・復旧条件」で組み立てます。受変電、UPS、発電機、消防、昇降機は別設備ですが、停電・火災・地震では同じ時刻に動くため、系統図と状態表示を横断して確認します。
この第1回は、三相電流306A、UPS保持34.6分、発電機の使用可能出力230kWと始動時35kW超過、火災連動未完了、エレベーター閉じ込めの初動を扱う独自5択5問です。
資料確認日:2026年8月9日。国土交通省の電気設備・昇降機資料、総務省消防庁の非常電源・消防設備資料、e-Govの電気事業法を照合しました。受変電、変圧器損失、40秒基準、消防点検、昇降機制度は「受変電・非常電源・消防・昇降機」で解説し、このページは別の運転値と異常時判断に特化しています。
解く前の3分整理|電源と負荷を時間軸で結ぶ
| 段階 | 確認するもの | 主な落とし穴 |
|---|---|---|
| 常用 | 電圧・電流・力率・保護 | 銘板だけで余裕判断 |
| 瞬断 | UPS方式・負荷・蓄電池 | 公称kWhを全量利用 |
| 発電 | 出力補正・始動順・燃料 | 定常負荷だけで選定 |
| 防災 | 入力信号・連動・実動作 | 表示だけで復旧 |
| 昇降機 | 閉じ込め・連絡・救出 | 管理者が扉をこじ開ける |
計算値は設備選定・安全判定の一部です。短絡電流、保護協調、高調波、蓄電池特性、発電機の過渡応答、消防負荷の法定条件、昇降機の救出手順は、設計図書、保安規程、消防計画、メーカー資料を優先します。
第1問|400V・180kW・力率0.85なら三相電流306A
三相400V回路が有効電力180kW、力率0.85で平衡運転している。高調波と不平衡を無視し、P=√3VIcosφで求める線電流に最も近いものはどれか。
- 153A
- 265A
- 306A
- 450A
- 529A
第2問|12kWh蓄電池でも使用可能出力は6.912kWh・34.6分
UPS蓄電池の公称エネルギー12kWh、許容放電深度80%、経年容量係数80%、インバータ効率90%、一定負荷12kWとする。温度・放電率の追加補正を無視した理想化例の保持時間に最も近いものはどれか。
- 20.7分
- 30.0分
- 34.6分
- 46.1分
- 60.0分
第3問|発電機250kWを92%補正すると始動時35kW超過
定格250kWの発電機を、現地温度・高度等の条件からメーカー資料に従い92%へディレーティングする。定常の優先負荷175kWへ、ある電動機の始動中だけ等価90kWが加わるとする。判定として最も適切なものはどれか。
- 使用可能250kW、始動時15kW余裕
- 使用可能230kW、定常55kW余裕だが始動時は35kW超過する
- 使用可能230kW、始動時も55kW余裕
- 使用可能175kW、始動時90kW余裕
- 発電機は瞬時過負荷の影響を受けない
第4問|火災信号が出ても連動未完了なら安易に復旧しない
14階の煙感知器が発報し、受信機にはエレベーター火災時管制「未完了」、防火設備1系統「異常」と表示された。流水検知信号はない。防災センターの初動として最も適切なものはどれか。
- 流水信号がないので誤報と決め、直ちに全表示を復旧する
- エレベーターを通常運転へ戻し、利用者に現場確認を任せる
- 受信履歴を消して同じ感知器が再発報するか待つ
- 消防計画どおり通報・現場確認・避難対応を進め、履歴を保存し、未完了の連動先と設備状態を個別確認する
- すべての設備は同じ信号で必ず同時に動くため追加確認しない
第5問|閉じ込め時は連絡・専門救出を優先し、扉をこじ開けない
停電後、エレベーターが階間停止し、インターホンで2人の閉じ込めを確認した。煙・負傷の申告はない。建物管理者の初動として最も適切なものはどれか。
- 乗場扉を工具でこじ開け、乗客に飛び降りてもらう
- 主電源を何度も入切し、かごが動くまで試す
- 通話を保ち、かご位置・人数・体調を確認し、保守業者へ救出要請して緊急時は消防等と連携する
- 呼出しが止まるまで放置する
- 停電復旧と同時に無確認で通常運転へ戻す
採点|電気計算を非常時の判断へつなげたか
| 正解数 | 判定 | 復習の焦点 |
|---|---|---|
| 5問 | 非常時対応は安定 | 建物別手順へ |
| 4問 | 1条件を再確認 | 効率か始動負荷 |
| 2~3問 | 定格値中心の判断 | 時間・連動・復旧 |
| 0~1問 | 親記事から復習 | 受電→UPS→発電 |
消防庁告示の自家発電設備は、消防用設備等の非常電源として、常用停電から電圧確立・投入まで原則40秒以内とします。ただし、負荷ごとの許容停止時間、保持時間、出力算定は別に確認します。UPS、発電機、消防設備を「40秒」の一語で一括管理しません。
復旧前チェック|現在状態と操作履歴を残す
- 受変電:停電範囲、保護継電器、遮断器、地絡・短絡、復電条件
- UPS:給電・バイパス・蓄電池残量、警報、負荷、温度
- 発電機:始動、電圧・周波数、負荷率、燃料、冷却、排気、漏れ
- 消防:発報区域、連動・連動停止、未完了、手動操作、現場状態
- 昇降機:閉じ込め、管制、停止位置、保守業者の復旧許可
全負荷を同時に戻さず、計画された優先順位と段階投入に従います。電圧、周波数、電流、温度、振動、警報を監視し、異常があれば復帰条件どおり一段戻します。
間違えた分野の戻り先
- 受変電・変圧器・非常電源・消防・昇降機:受変電・非常電源・消防・昇降機
- 地震時の設備慣性力と復旧判断:耐震・免震・材料診断ミニテスト第1回
- 消火設備・配管・水源の基礎:配管材料・衛生器具・消火設備
追加演習
進相コンデンサ、蓄電池、屋内消火栓、自動火災報知、非常用エレベーターは「建築設備ミニテスト第2回」、原動機、開放型スプリンクラー、消防設備分類、エスカレーターは「建築設備ミニテスト第3回」で確認できます。
公式資料の確認先
- e-Gov法令検索「電気事業法」
- 国土交通省「公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)令和7年版」
- 総務省消防庁「自家発電設備の基準」
- 総務省消防庁「消防用設備等の点検基準・点検要領・点検票」
- 総務省消防庁「総合操作盤の基準」
- 国土交通省「昇降機について」
まとめ|306Aから閉じ込め救出まで一枚につなぐ
400V・180kW・力率0.85の三相負荷は306Aです。12kWh蓄電池も放電深度、劣化、効率を反映すると負荷へ渡せるのは6.912kWh、12kW負荷の保持は34.6分でした。250kW発電機を92%補正すると230kWで、始動時265kWなら35kW超過します。
火災表示は煙・流水・連動完了を分け、人命対応と現場確認を止めずに履歴を残します。エレベーター閉じ込めでは扉をこじ開けず、通話を保って専門救出へつなぎます。設備ごとの定格値を、負荷、時間、信号、操作権限、復旧許可へ接続してください。
資料確認日/最終更新日:2026年8月9日
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