防火管理者

【防火管理者】消防計画の作成と届出(記載事項・作成手順・届出方法)

結論:消防計画は防火管理者の「最も重要な仕事」

防火管理者が行う業務はたくさんありますが、その中で最も重要なのが消防計画の作成です。消防計画とは、建物の防火管理に関するルールを文書にまとめたもの。「いざというとき何をするか」を事前に決めておく建物の防火マニュアルです。

消防計画 = 建物の防火マニュアル

「誰が」「いつ」「何をするか」を
あらかじめ決めておく文書

未届は法律違反

消防計画を作成・届出しないと
30万円以下の罰金

消防計画とは? ― なぜ必要なのか

消防計画の法的根拠

消防計画の作成は消防法第8条で定められた防火管理者の義務です。

消防法第8条(要約)
管理権原者は防火管理者を選任し、防火管理者に消防計画を作成させ、消防計画に基づいて消火・通報・避難の訓練の実施、消防用設備等の点検整備、その他防火管理上必要な業務を行わせなければならない。

消防計画がないとどうなる?

法的リスク

  • 消防署の査察で是正指導
  • 改善されない場合は命令・罰則
  • 30万円以下の罰金 または 拘留

実務上のリスク

  • 火災時に誰が何をすべきかわからない
  • 訓練が実施できず初動が遅れる
  • 被害が拡大し損害賠償責任

消防計画に定める事項

必須の記載事項

消防計画に盛り込むべき内容は、消防法施行規則第3条に定められています。大きく分けて「平常時の管理」と「火災時の対応」の2つです。

区分 記載事項 具体的な内容
平常時 自衛消防組織の編成 組織図、班編成、各班の役割と担当者名
火気使用設備の管理 火気使用場所、管理方法、点検頻度
消防用設備等の点検・整備 点検計画、点検業者、報告スケジュール
避難施設の維持管理 避難経路図、避難口の管理、障害物の排除
訓練の計画 訓練の種類、実施時期、参加対象者
防火教育 従業員への防火意識の啓発方法
火災時 通報・連絡体制 119番通報の手順、館内連絡網、緊急連絡先
初期消火の方法 消火器・屋内消火栓の使用手順
避難誘導の方法 避難経路、集合場所、要援護者への対応
消防隊への情報提供 建物図面、危険物の位置、逃げ遅れ情報

かみ砕くと:消防計画は「普段はこう管理する」「火事が起きたらこう動く」という2つのパートで構成されます。普段の管理が火災予防に、火災時の対応が被害軽減につながるのです。

消防計画の作成手順

ステップ1:建物の現状を把握する

消防計画を作る前に、まず建物の現状を正確に把握します。

確認すべき項目

  • 建物の用途・構造・面積・階数
  • 収容人員の算定
  • 設置されている消防用設備等の種類と場所
  • 避難経路と避難口の位置
  • 火気使用設備の場所と種類
  • 危険物の保管場所と量
  • テナントの入居状況

ステップ2:作成例(ひな形)を活用する

消防計画はゼロから作る必要はありません。消防署や日本防火・防災協会が作成例(ひな形)を公開しています。

ひな形の入手先 特徴
管轄の消防署 地域の条例に対応した作成例をもらえる。直接相談も可能
各自治体のウェブサイト PDF・Word形式でダウンロードできることが多い
日本防火・防災協会 講習テキストに記載例が掲載されている

実務のポイント:消防計画を初めて作るときは、管轄の消防署の予防課に相談するのが一番の近道です。ひな形をもらえるだけでなく、自分の建物に必要な項目についてアドバイスがもらえます。消防署は「指導」だけでなく「相談」にも乗ってくれる心強い味方です。

ステップ3:建物の実態に合わせて記入する

ひな形を入手したら、自分の建物の実態に合わせて内容を記入します。特に注意すべきポイントは以下のとおりです。

  • 自衛消防組織の担当者名は実名で記入(「○○班長」だけでなく「山田太郎」)
  • 避難経路図は建物の図面に合わせて作成(各階ごとに)
  • テナントごとの防火管理体制を明記(複合ビルの場合)
  • 夜間・休日の体制も忘れずに記載

ステップ4:消防署へ届出

項目 内容
届出書類 消防計画作成(変更)届出書 + 消防計画本体
届出先 管轄の消防署(消防長または消防署長宛て)
届出者 管理権原者(実務上は防火管理者が作成し、管理権原者名で届出)
届出のタイミング 消防計画を新規作成したとき、または変更したとき

消防計画の変更が必要なタイミング

消防計画は一度作ったら終わりではありません。以下のような変更があったときは、速やかに消防計画を変更し、変更届を提出します。

# 変更事由 具体例
1 自衛消防組織の変更 担当者の異動・退職・新任
2 建物の用途変更 テナントの入替(事務所→飲食店など)
3 消防用設備の変更 設備の増設・撤去・更新
4 建物の増改築 フロアの増設、レイアウト変更
5 法令の改正 消防法や火災予防条例の改正に対応

実務のポイント:テナントの入れ替わりが多いビルでは、消防計画の変更が頻繁に発生します。変更届を出さずに放置していると、消防署の査察で指摘される典型的な違反事項です。テナントの入退去時は消防計画の見直しをルーティンに組み込むことをおすすめします。

防火対象物点検報告制度

消防計画に関連して知っておくべき制度が防火対象物点検報告制度です。

項目 内容
法的根拠 消防法第8条の2の2
対象 特定防火対象物(収容人員300人以上など)
点検者 防火対象物点検資格者(防火管理者とは別の資格)
頻度 年1回
点検内容 防火管理者の選任状況、消防計画の届出状況、訓練の実施状況など

かみ砕くと:消防用設備の点検が「ハード面(設備)」のチェックなのに対し、防火対象物点検は「ソフト面(管理体制)」のチェックです。消防計画がきちんと作られているか、訓練が実施されているか、避難経路が確保されているかなどを、専門の資格者が確認します。

まとめ ― この記事のポイント

この記事で学んだこと

  • 消防計画は消防法第8条で定められた防火管理者の義務
  • 記載事項は「平常時の管理」と「火災時の対応」の2パート
  • 作成手順:現状把握→ひな形活用→実態に合わせて記入→届出
  • 届出先は管轄の消防署(消防長または消防署長宛て)
  • テナント入替や設備変更時は速やかに変更届を提出
  • 防火対象物点検報告は管理体制(ソフト面)のチェック制度

確認問題 ― 理解度をチェック!

【問題1】消防計画について、正しいものはどれか。

(1)消防計画の作成は管理権原者の任意である
(2)消防計画は消防法第17条に基づいて作成する
(3)消防計画は防火管理者が作成し、消防署に届け出る
(4)消防計画は一度作成すれば変更の必要はない
(5)消防計画は消防署が作成して建物に渡すものである

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正解:(3)消防計画は防火管理者が作成し、消防署に届け出る
消防計画の作成は任意ではなく義務です。根拠条文は消防法第8条(第17条は消防用設備等)。建物の状況が変わったら変更届が必要です。消防計画は消防署ではなく、防火管理者が建物の実態に合わせて作成するものです。

【問題2】消防計画に定める事項として、適切でないものはどれか。

(1)自衛消防組織の編成と役割分担
(2)消防用設備等の点検・整備に関する計画
(3)従業員の給与体系と福利厚生
(4)消火・通報・避難訓練の計画
(5)火気使用設備の管理方法

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正解(不適切):(3)従業員の給与体系と福利厚生
消防計画は防火管理に関する事項を定めるものです。給与体系や福利厚生は防火管理とは無関係であり、消防計画に記載する事項ではありません。(1)(2)(4)(5)はいずれも消防計画の必須記載事項です。

【問題3】消防計画の変更届が必要なケースとして、正しいものはどれか。

(1)建物の外壁を塗り替えた場合
(2)テナントが入れ替わった場合
(3)建物周辺の道路が舗装された場合
(4)近隣の建物が建て替えられた場合
(5)建物の名称を変えずにロゴだけ変更した場合

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正解:(2)テナントが入れ替わった場合
テナントの入替は建物の用途が変わる可能性があり、自衛消防組織の変更も伴うため、消防計画の変更届が必要です。外壁塗装・周辺道路・近隣建物・ロゴ変更は防火管理に直接影響しないため、消防計画の変更は不要です。

【問題4】防火対象物点検報告制度について、正しいものはどれか。

(1)防火対象物点検は防火管理者が行う
(2)防火対象物点検は消防用設備のハード面をチェックする
(3)防火対象物点検は防火対象物点検資格者が行う
(4)防火対象物点検の報告頻度は3年に1回である
(5)すべての建物に防火対象物点検の義務がある

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正解:(3)防火対象物点検は防火対象物点検資格者が行う
防火対象物点検は防火管理者ではなく専門の「防火対象物点検資格者」が行います。点検内容はハード面(設備)ではなくソフト面(管理体制)のチェックです。報告は年1回(3年ではない)。対象は特定防火対象物の一定規模以上の建物(すべての建物ではない)です。

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