ミニテスト 建築物環境衛生管理技術者

給湯循環・温度診断ミニテスト第1回|熱損失10.5kW・復旧50.2分の5問

給湯設備のレジオネラ対策は、貯湯槽の温度一点では判定できません。往き・返り・各枝・末端を同じ時刻で測り、循環流量、滞留、生物膜、熱傷防止、清掃・水質確認を一つの系統として管理します。

この第1回は、循環熱損失10.5kW、混合湯に必要な高温湯486L/h、2.4m³槽の理論復旧50.2分、流量0.05m³/hで49℃となる低温枝、菌検出時の初動を扱う独自5択5問です。

資料確認日:2026年8月10日。厚生労働省の建築物における維持管理マニュアル・維持管理要領・レジオネラ症防止指針、国土交通省の建築設備設計基準を照合しました。60・55℃管理、滞留、生物膜、清掃の基本は「給湯設備とレジオネラ対策」で解説し、このページは別条件の循環・復旧診断に特化します。

解く前の3分整理|温度差を熱量へ、異常点を枝系統へ

見る値 計算・比較 診断の焦点
往き・返り 流量×比熱×温度差 循環熱損失
高温湯・給水 混合前後の熱収支 混合弁・能力
槽温低下 水量×比熱×温度差 理論復旧時間
枝温・枝流量 正常枝と同時比較 偏流・滞留
水質異常 場所・時刻・利用 曝露防止・全系統

厚生労働省資料では、貯湯式・循環式の中央式給湯を貯湯槽内60℃以上、温度安定後の末端給湯栓55℃以上に維持することが軸です。以下の数値は学習用であり、実設備は用途、利用者リスク、自治体指導、機器仕様、水管理計画に従います。

第1問|0.9m³/h×10Kの循環熱損失は約10.5kW

給湯使用のない安定時に、循環流量0.90m³/h、往き62℃、返り52℃だった。水の密度1,000kg/m³、比熱4.186kJ/(kg・K)とすると、循環系統の概算熱損失に最も近いものはどれか。

  1. 2.6kW
  2. 4.2kW
  3. 9.0kW
  4. 10.5kW
  5. 37.7kW
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正解:4(約10.5kW)

温度差は62-52=10Kです。1,000×0.90×4.186×10÷3,600=10.465kW、約10.5kWとなります。3,600で割り、1時間当たりのkJを1秒当たりのkJ=kWへ直します。

1・2・3は流量、温度差、時間換算の一部を落とし、5は3,600で割る前の値を誤読しています。給湯使用が混じる時間帯は配管熱損失だけを表しません。同じ測定条件の平常値と比べ、保温欠損、流量過大、枝の偏り、外気条件を切り分けます。

第2問|65℃湯の割合は27/50、900×0.54=486L/h

65℃の高温湯と15℃の給水を混合し、42℃の使用湯を900L/h作る。熱損失を無視したとき、65℃湯と15℃水の流量の組合せはどれか。

  1. 高温湯243L/h・給水657L/h
  2. 高温湯414L/h・給水486L/h
  3. 高温湯486L/h・給水414L/h
  4. 高温湯540L/h・給水360L/h
  5. 高温湯900L/h・給水0L/h
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正解:3(高温湯486L/h・給水414L/h)

高温湯の割合は(42-15)÷(65-15)=27÷50=0.54です。900×0.54=486L/h、給水は900-486=414L/hになります。

2は高温湯と給水を逆にしています。混合弁は計算どおりの流量比だけでなく、高温側・低温側の圧力、ストレーナ、逆流防止機能、温度応答を確認します。給水側が失われたとき高温湯がそのまま出ない安全機能も、実機仕様と点検手順で確かめます。

第3問|2.4m³を45℃から60℃へ戻す理論時間は50.2分

使用ピーク後、貯湯槽2.4m³の水が一様に45℃まで低下した。正味加熱能力50kWで60℃まで戻す。水の密度1kg/L、比熱4.186kJ/(kg・K)、加熱中の使用と熱損失を無視した理論最短時間はどれか。

  1. 12.6分
  2. 25.1分
  3. 45.0分
  4. 50.2分
  5. 83.7分
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正解:4(約50.2分)

必要熱量は2,400×4.186×(60-45)=150,696kJです。50kW=50kJ/sなので、150,696÷50=3,013.92秒、3,013.92÷60=50.232分です。

これは完全混合、正味50kW一定、使用・損失なしの理論最短です。実際は槽内温度成層、加熱器出力、循環、給湯使用、配管・槽の熱損失で長くなります。槽の一点が60℃へ戻った時刻ではなく、上下温度と末端55℃以上の復旧を確認します。

第4問|主管返り56℃でも流量0.05m³/hの枝は49℃

同時測定で、貯湯槽62℃、往き主管61℃、返り主管56℃だった。枝Aは0.32m³/h・57℃、枝Bは0.05m³/h・49℃、枝Cは0.28m³/h・56℃である。最初の判断として最も適切なものはどれか。

  1. 主管返りが56℃なので全系統正常とする
  2. 貯湯槽を直ちに80℃へ上げる
  3. 枝Bの測温を削除し、主管だけを監視する
  4. 枝Bの流量調整弁・ストレーナ・逆止弁・保温・短絡・滞留を優先確認する
  5. 枝A・Cをさらに開き、枝Bの流量を下げる
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正解:4(枝Bの循環不足・滞留を優先確認する)

主管返り56℃は、流量の多い正常枝に平均を引き上げられ、流量0.05m³/h・49℃の枝Bを隠します。厚生労働省資料は、施設内のどの給湯栓でも温度安定後55℃以上となる管理を重視しています。

測温方法と計器を確認したうえで、枝Bの流量調整弁、ストレーナ、逆止弁、循環ポンプ揚程、保温、短絡流、低使用末端を調べます。槽温だけを上げると枝の偏流を残したまま、熱損失と熱傷リスクを増やすおそれがあります。

第5問|菌検出時はシャワーだけを洗って即再開しない

長期休止後の低使用シャワーでレジオネラ属菌が検出され、同じ枝の温度は安定後49℃だった。最も適切な初動はどれか。

  1. シャワーヘッドだけを水洗いし、その日に利用再開する
  2. 検出結果を削除し、貯湯槽温度だけを1℃上げる
  3. 利用・エアロゾル曝露を制限し、施設責任者・保健所等と連携して採水計画、循環・滞留・清掃消毒、再検査を組み立てる
  4. 採水前に全館を長時間放流し、発生範囲を分からなくする
  5. 低使用なら利用者が少ないため対策しない
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正解:3(曝露を防ぎ、系統全体の是正と再検査へ進む)

シャワーはエアロゾルを生じるため、通常利用を続けながら様子を見る対応は避けます。発生場所、採水条件、温度、休止期間、清掃履歴を保全し、必要な連絡と追加採水の範囲を決めます。

厚生労働省資料は、循環状況の確認、滞留解消、換水、貯湯槽等の清掃、加熱・薬剤処理、温度是正、検査強化を原因に応じて組み合わせる考え方です。槽やヘッドの一部だけで終わらせず、枝管、弁、循環ポンプ、末端器具を含め、再検査と復旧条件を閉じます。

採点|60・55℃を系統全体の記録へつなげられたか

正解数 判定 復習の焦点
5問 給湯診断は安定 実測分布へ
4問 1条件を再確認 熱量か流量
2~3問 主管値に依存 枝・末端・滞留
0~1問 親記事から復習 温度・清掃・水質

給湯診断チェック|温度と流量を同じ場所・時刻で測る

  1. 槽:上下温度、加熱出力、使用量、撹拌、底部滞留を記録する
  2. 主管:往き・返り温度、循環流量、ポンプ状態を同時測定する
  3. 枝:枝流量、返り温度、弁開度、保温、低使用区画を比較する
  4. 末端:初流水を捨てた後の安定温度、湯待ち時間、混合弁を確認する
  5. 衛生:清掃、休止、採水、検査、是正、再開条件を時系列で残す

省エネを理由に循環停止や温度低下を先に行うと、滞留と低温枝を増やすことがあります。まず保温欠損、過大流量、過大容量、使われない枝を減らし、衛生温度と熱傷防止を両立させたうえで効果を検証します。

間違えた分野の戻り先

追加演習

局所式・循環方式・返湯温度・高温処理は「給湯設備とレジオネラ対策ミニテスト第2回」、中央式・膨張・配管伸縮・60・55℃の基礎は「給湯設備とレジオネラ対策ミニテスト第3回」で確認できます。

公式資料の確認先

まとめ|10.5kW・486L/h・50.2分を枝温度と水質へつなぐ

循環量0.90m³/h、往き62℃、返り52℃なら概算熱損失は10.5kWです。65℃湯と15℃水から42℃・900L/hを作る高温湯量は486L/h。2.4m³を45℃から60℃へ正味50kWで戻す理論最短時間は50.2分でした。

主管返り56℃でも、流量0.05m³/hの枝が49℃なら全館正常ではありません。菌が検出された低使用シャワーは曝露を止め、循環、滞留、清掃・消毒、再検査まで系統全体で閉じます。槽温、主管平均、枝流量、末端温度、水質を同じ管理表へつなぐことが、給湯診断の基本です。

資料確認日/最終更新日:2026年8月10日

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