通気設備と排水槽は、方式名や清掃周期の暗記だけでは診断できません。通気管の接続高さ、起動・停止水位間の体積、運転中の流入、警報から越流までの時間、入槽前の酸素・硫化水素を数値でつなぎます。
この第1回は、通気接続高さ80mm不足、有効水量2.38m³と充水約3.3時間、実揚水量9.6m³/h、越流まで25.7分、酸素17.6%の入槽判断を扱う独自5択5問です。
資料確認日:2026年8月11日。厚生労働省の建築物環境衛生管理基準・維持管理マニュアル、国土交通省の建築設備設計基準・標準図、東京都のビルピット資料、厚生労働省系の酸素欠乏症等防止資料を照合しました。設備の原理と全国・地域基準の区別は「通気設備と排水槽の管理」で解説し、このページは別条件の運転診断に特化します。
解く前の3分整理|高さ・体積・流量・時間・安全値をそろえる
| 確認対象 | 計算・比較 | 見落とすリスク |
|---|---|---|
| 通気接続 | あふれ縁との差 | 汚水流入・閉塞 |
| 起動・停止水位 | 面積×水位差 | 過大な滞留 |
| ポンプ運転 | 水位低下+流入 | 能力低下 |
| 高水位警報 | 空き容量÷流入 | 越流・浸水 |
| 槽内作業 | 酸素・硫化水素 | 酸欠・中毒 |
排水槽の「容量」は一つではありません。槽全体の幾何学容量、停止水位以下の残留量、停止から起動までの有効水量、高水位警報から越流までの空き容量を分けます。水位計の1本のトレンドを、制御点と槽平面積へ置き換えて読むのが第一歩です。
第1問|あふれ縁より70mm上なら、150mm条件に80mm不足
最高位器具のあふれ縁は床上780mm、通気横走り管の接続中心は床上850mmだった。採用する設計条件を「あふれ縁より150mm以上高い位置」とした場合の判定はどれか。
- 70mm高いので、80mmの余裕がある
- 150mm高いので、ちょうど適合する
- 850mm高いので、700mmの余裕がある
- 70mmしか高くなく、80mm不足する
- 通気管は高さを確認しなくてよい
第2問|4.32m²×0.55m=2.38m³、充水は約3.3時間
矩形排水槽の内法は2.4m×1.8m。ポンプ停止水位0.30m、起動水位0.85mで、平均流入量は0.72m³/hだった。槽内障害物を無視した有効水量と、停止から起動までの時間はどれか。
- 0.40m³・0.55時間
- 2.38m³・約3.3時間
- 3.67m³・約5.1時間
- 4.32m³・6.0時間
- 6.53m³・約9.1時間
第3問|21分で2.8m³低下・流入1.6m³/hなら実揚水9.6m³/h
排水ポンプ運転中の21分間に槽水量が2.8m³減った。同じ時間帯の流入は1.6m³/hで一定とする。この運転点での実揚水量はどれか。
- 6.4m³/h
- 8.0m³/h
- 9.6m³/h
- 11.2m³/h
- 13.6m³/h
第4問|空き1.8m³・流入4.2m³/hなら越流まで25.7分
ポンプ停止中、高水位警報から越流開始までの空き容量は1.8m³。通常流入2.7m³/hに加え、厨房から1.5m³/hが継続して流入している。流入が一定なら、理論上の越流までの時間と初動はどれか。
- 約17分。警報を解除して様子を見る
- 約25.7分。流入抑制・予備排水・現地確認を直ちに進める
- 約40分。通常流入だけで計算する
- 約66.7分。厨房流入だけで計算する
- 約108分。空き容量を通常流入へ加える
第5問|酸素17.6%なら、硫化水素8ppmでも入槽しない
排水槽清掃前、開口部付近の測定値は酸素17.6%、硫化水素8ppmだった。作業前の管理目安を酸素18%以上・硫化水素10ppm以下としたとき、最も適切な判断はどれか。
- 硫化水素が10ppm以下なので、そのまま一人で入槽する
- 酸素と硫化水素を平均すると安全なので入槽する
- 臭いが弱ければ測定値を無視してよい
- 上部だけ安全なら槽底の測定は不要である
- 酸素が18%未満なので入槽せず、換気・再測定・監視救出体制を整える
採点|排水槽を「水位と時間」で読めたか
| 正解数 | 判定 | 復習の焦点 |
|---|---|---|
| 5問 | 運転判断は安定 | 実設備の訓練へ |
| 4問 | 1条件を再確認 | 体積か安全値 |
| 2〜3問 | 名称暗記に偏る | 水位・流量 |
| 0〜1問 | 親記事から復習 | 通気・排水槽 |
運転診断チェック|一度動いた、で終わらせない
- 通気:終端、接続高さ、逆勾配、結露水、閉塞、改修履歴を確認する
- 水位:停止・起動・高水位・越流の各設定と実水位を照合する
- ポンプ:交互・並列・手動運転、実揚水量、電流、振動、逆流を記録する
- 共通部:水位センサー、制御盤、電源、吐出管など2台に共通する故障点を洗い出す
- 警報:発報、遠隔転送、現地到着、流入停止、仮設排水まで実時間で訓練する
- 安全:日常点検で顔を槽へ近づけず、入槽は酸欠・硫化水素対策を備えた作業とする
ポンプA・Bが交互設定でも、20サイクル中Aが19回、Bが1回なら偏りがあります。履歴を消さず、起動水位、交互リレー、Bの手動・自動運転、逆止弁、共通制御を順に試験します。台数ではなく、故障時に機能が残る範囲で冗長性を評価します。
間違えた分野の戻り先
- 通気方式、接続高さ、排水槽計算:通気設備と排水槽の管理
- 封水変動と排水横管:排水設備とトラップの診断
- 排水処理と放流判定:浄化槽と排水処理の判定
- 槽の水位・満水警報の計算:貯水槽・水位診断ミニテスト第1回
追加演習
吸込みピット、交互運転、通気管の配置は「通気設備と排水槽 ミニテスト第2回」、排水槽の構造・臭気・ポンプ異常の追加確認は「通気設備と排水槽 ミニテスト第3回」へ進んでください。
公式資料の確認先
- 厚生労働省「建築物環境衛生管理基準について」
- 厚生労働省「建築物における維持管理マニュアル 第4章」
- 国土交通省「建築設備設計基準 令和6年版」
- 国土交通省「公共建築設備工事標準図」
- 東京都健康安全研究センター「ビルピット対策について」
- 栃木労働局「酸素欠乏症・硫化水素中毒防止チェックリスト」
まとめ|80mm不足・9.6m³/h・25.7分を安全判断へつなぐ
あふれ縁780mmに対して通気接続850mmなら差は70mmで、150mm条件に80mm不足します。2.4m×1.8mの槽で水位差0.55mなら有効水量は2.38m³、流入0.72m³/hでは約3.3時間で起動水位へ達します。
21分で2.8m³下がり、流入1.6m³/hが続くときの実揚水量は9.6m³/hです。高水位から1.8m³の空きへ4.2m³/h流入すれば越流まで約25.7分。酸素17.6%なら、硫化水素が8ppmでも入槽せず、安全条件を整えて再測定します。
資料確認日/最終更新日:2026年8月11日
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