貯水槽は、外寸や呼び容量ではなく「高水位と低水位の間で実際に使える量」を起点に診断します。水位が動いたときは、流入・使用・漏水を同じ時間幅で収支計算し、排水口空間や満減水警報を含む構造条件と照合します。
この第1回は、有効容量15.75m³、回転率1.2回/日、100mm管の排水口空間30mm不足、夜間減水75.6L/h、満水警報まで1時間を扱う独自5択5問です。
資料確認日:2026年8月10日。国土交通省の建築設備設計基準、厚生労働省の建築物環境衛生維持管理要領と清掃作業基準を照合しました。材質、6面点検、清掃・消毒の基本は「貯水槽の構造・容量・清掃」で解説し、このページは別条件の水量収支と異常診断に特化します。
解く前の3分整理|高さを体積へ、体積を流量へ直す
| 見る値 | 計算 | 判断 |
|---|---|---|
| 運転水位幅 | 平面積×水位差 | 有効な運転容量 |
| 日使用量 | 使用量÷有効容量 | 回転率・入替時間 |
| 夜間減水 | 平面積×水位低下 | 漏水・未計測使用 |
| 流入超過 | 流入-流出 | 満水までの時間 |
| 排水口 | 管径×2と150mm | 大きい方以上 |
以下は学習用の単純化した条件です。実設備は水槽の実形状、内部補強材、連通管、死水量、水位計誤差、波立ち、ポンプ停止水位、自治体指導、設計図書を確認します。
第1問|4.2×3.0×(1.65-0.40)=15.75m³
直方体とみなせる受水槽の内法平面が4.2m×3.0mである。高水位は槽底から1.65m、低水位は0.40mに設定されている。内部補強材の体積を無視したとき、高水位から低水位までに使用できる運転容量はどれか。
- 5.04m³
- 12.60m³
- 15.75m³
- 20.79m³
- 25.20m³
第2問|18.9÷15.75=1.2回/日、24÷1.2=20時間
第1問の運転容量15.75m³に対し、流量計で確認した実使用量が18.9m³/日だった。完全混合を仮定する単純指標として、回転率と理論入替時間の組合せはどれか。
- 0.83回/日・28.8時間
- 1.00回/日・24時間
- 1.20回/日・20時間
- 1.50回/日・16時間
- 18.9回/日・1.27時間
第3問|100mm管なら200mm必要、実測170mmは30mm不足
学習条件として、オーバーフロー管の管径を100mmと扱う。管端と排水受けのあふれ縁との排水口空間を170mmと実測した。建築物環境衛生維持管理要領の「管径の2倍以上、ただし最小150mm」による判定はどれか。
- 150mm以上なので適合する
- 必要200mmに対し30mm不足する
- 必要250mmに対し80mm不足する
- 管径と同じ100mmあればよい
- 防虫網があれば排水口空間は不要である
第4問|水位18mm低下は226.8L、3時間なら75.6L/h
内法平面4.2m×3.0mの受水槽で、0時から3時まで流入弁を閉止し、下流流量計の使用量は0Lだった。補正後の水位が18mm低下したとき、減少量を時間当たりへ換算した値と初動の組合せとして最も適切なものはどれか。
- 7.56L/hであり、記録だけ残して終える
- 75.6L/hであり、直ちに水槽本体の漏水と断定する
- 75.6L/hであり、計器・弁・未計測使用を確認してから水槽・配管を区間分けする
- 226.8L/hであり、給水圧を上げる
- 756L/hであり、満水警報を解除する
第5問|流入超過3.15m³/h、満水まで3.15m³なので1時間
10時の水位は1.50m、満水警報は1.75mで作動する。水槽平面積は12.6m²、流入6.00m³/h、流出2.85m³/hが一定で、流入弁が閉じないとする。警報水位へ達するまでの時間と最優先の対応はどれか。
- 0.5時間。満水警報を無効化する
- 1.0時間。流入を安全に止め、弁・水位制御・警報を点検する
- 1.5時間。ポンプ吐出圧だけを上げる
- 2.0時間。防虫網を外して越流させる
- 3.15時間。異常ではないため放置する
採点|水位を「高さの記録」で終わらせなかったか
| 正解数 | 判定 | 復習の焦点 |
|---|---|---|
| 5問 | 水槽診断は安定 | 実トレンドへ |
| 4問 | 1条件を再確認 | 容量か空間 |
| 2~3問 | 単位で迷いあり | m・m³・m³/h |
| 0~1問 | 親記事から復習 | 構造と水量収支 |
現場診断チェック|水位変化の前後を同じ時刻でそろえる
- 形状:内法寸法、内部材、二槽構成、高・低・満減水設定を確認する
- 流入:引込流量、弁開度、流入圧、補給開始・停止時刻を記録する
- 流出:系統別流量、ポンプ運転、未計測枝管、逆流を確認する
- 外周:6面、ドレン、越流、排水口空間、防虫網、マンホールを点検する
- 制御:水位計、電極、フロート、満減水警報、遠方監視を実動確認する
水位グラフだけでは原因を決められません。同じ時刻軸に流入量、使用量、ポンプ状態、弁指令、警報、残留塩素を並べると、漏水、計器ずれ、流入弁不良、未計測使用を切り分けやすくなります。
間違えた分野の戻り先
- 6面点検・容量・清掃・消毒:貯水槽の構造・容量・清掃
- 簡易専用水道と水質基準:水道の分類と52項目の水質基準
- 漏水・逆流・赤水の系統診断:クロスコネクション・逆流・水撃の診断
- 残留塩素と水質異常の初動:飲料水・水質診断ミニテスト第1回
追加演習
ステンレス・鋼板・滞留・簡易専用水道は「貯水槽の構造と管理ミニテスト第2回」、材質比較・清掃頻度・有効容量の基礎は「貯水槽の構造と管理ミニテスト第3回」で確認できます。
公式資料の確認先
まとめ|15.75m³・30mm不足・75.6L/hを一つの水位表へ
4.2m×3.0mの水槽で高水位1.65m、低水位0.40mなら、運転容量は15.75m³です。日使用量18.9m³では回転率1.2回/日、理論入替時間20時間になります。100mmのオーバーフロー管に対する排水口空間170mmは、必要200mmに30mm足りません。
水位18mmの低下は226.8L、3時間なら75.6L/hでした。一方、正味流入3.15m³/hで満水までの空きも3.15m³なら、警報水位まで1時間です。高さを体積へ変換し、流入・流出・時間・構造・警報を同じ記録で閉じることが、貯水槽診断の基本です。
資料確認日/最終更新日:2026年8月10日
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