外装清掃では、清掃技術より先に「その作業を始めてよいか」を判断します。ロープ、支持物、悪天候、下方立入禁止、材質、排水のどれか一つでも条件が欠ければ、きれいに仕上げても安全な作業とはいえません。
この第1回は、落下物のエネルギー58.8J、ロープ2系統、10分間平均風速、窓面積207.36m²、試し洗浄を扱う独自5択5問です。旧稿の頻度暗記をやめ、作業停止・計算・記録まで判断します。
法令・資料確認日:2026年8月14日。労働安全衛生規則、ゴンドラ安全規則、厚生労働省の墜落制止用器具資料を確認しました。風速の数値を下回れば必ず実施できる、という意味ではありません。現場では作業計画、製品仕様、建物管理者の手順、当日の危険予測を優先してください。
解く前の整理|清掃開始までに確認する3層
| 層 | 確認事項 | 開始できない例 |
|---|---|---|
| 人・設備 | 教育、ロープ、支持物、器具、点検 | ライフライン未設置 |
| 周辺環境 | 風雨、下方規制、第三者、落下物 | 立入禁止区画なし |
| 清掃条件 | 材質、汚れ、薬剤、水圧、排水 | 試し洗浄未実施 |
各問は正答を一つにしています。「たぶん大丈夫」ではなく、どの条件を確認し、何を記録し、誰へ引き継ぐかまで考えてください。
第1問|0.4kgの工具が15m落下すると58.8J
質量0.40kgのスクレーパーが高さ15mから落下した。空気抵抗を無視し、重力加速度を9.8m/s²とする。位置エネルギーと対策の組合せで最も適切なのはどれか。
- 5.9J。落下後に合図すればよい
- 58.8J。工具の落下防止と下方立入禁止を作業前に行う
- 147J。作業者が大声を出せば区画は不要
- 588J。工具を軽く持てば落下防止は不要
- 5,880J。ヘルメットがあれば真下を通行できる
第2問|メインロープとライフラインの役割
高さ2m以上で作業床を設けることが困難な外壁を、身体をロープで保持して清掃する。労働安全衛生規則に沿う計画はどれか。
- メインロープだけを1本の手すりへ結ぶ
- メインロープとライフラインを同じ弱い支持物へまとめる
- 作業主任者という名称の者だけを置けばロープは不要
- 清掃経験があればロープ高所作業の特別教育は不要
- 両ロープを異なる堅固な支持物へ確実に緊結し、墜落制止用器具をライフラインへ取り付ける
第3問|10分間平均11m/sを記録したとき
屋外のロープ高所作業中、現場の風速計で10分間平均11m/sを記録し、資材もあおられ始めた。最も適切な対応はどれか。
- 作業を中止し、安全な手順で退避・資機材処置を行い、再開条件を確認する
- 瞬間風速30m/s未満なので必ず継続する
- 平均15m/sまでは法令上安全なので継続する
- 風速計を外せば測定値はなくなるので継続する
- 作業者の体重が重ければ継続する
第4問|窓48枚・両面207.36m²の作業時間
幅1.2m、高さ1.8mの窓48枚を両面清掃する。理論作業量80m²/h、移動・養生を含む実効率75%とする。必要時間に最も近い値はどれか。
- 1.30時間
- 2.16時間
- 2.59時間
- 3.46時間
- 4.32時間
第5問|全面施工の前に試し洗浄を行う
材質台帳に「アルミパネル、塗膜仕様不明」とある外壁へ、洗剤併用の高圧洗浄を計画している。最も適切な着手方法はどれか。
- 最高圧力と強アルカリ洗剤で全面を一度に洗う
- 変色しても目立たない夜間なら確認不要
- 仕様・SDS・排水先を確認し、低い負荷から目立たない範囲で試して結果を記録する
- 洗浄廃水は雨水ますへ必ず流す
- 清掃会社の経験だけで薬剤を混合する
採点|正解数より、止める順序を確認する
| 正解数 | 判定 | 次に確認 |
|---|---|---|
| 5問 | 開始判断は安定 | 自施設の計画書 |
| 4問 | 1条件を再確認 | 条文か単位計算 |
| 2〜3問 | 一般論に寄りやすい | 支持物・風・排水 |
| 0〜1問 | 親記事から復習 | 安全条件の順序 |
間違えた分野の戻り先
- ロープ高所作業、ゴンドラ、悪天候、外壁材:外装清掃・窓ガラス清掃
- 清掃工程と品質記録:清掃作業計画と品質評価
- 洗剤とSDSの読み方:洗剤と床維持剤の選定
- 別問題で復習:外装清掃・窓ガラス清掃 ミニテスト第2回/第3回
作業前10分の確認|開始・中止・救出を同じ表にする
作業前打合せでは、現場責任者が予定範囲と役割を読み上げ、作業者が自分の言葉で復唱します。天候は予報だけでなく現場測定値を記録し、どの状態で中止するか、退避先はどこかを共有します。メインロープ、ライフライン、支持物、端部保護、墜落制止用器具は、使用者と確認者を分けて点検します。
下方の立入禁止範囲、工具の落下防止、合図・無線、第三者対応も開始前に成立させます。材質、試験施工位置、薬剤名、希釈、SDS、洗浄廃水の回収先を作業票へ記入し、異常時の連絡先と救出手順を確認します。「危険なら止める」だけでなく、誰が止め、どの状態なら再開できるかまで決めることが重要です。
公式資料
まとめ|58.8Jを計算したら、落下前の対策へ戻す
0.4kgの工具でも15mから落ちれば58.8Jです。合図で避けるのではなく、落下防止と下方立入禁止を先に行います。ロープ高所作業は、メインロープとライフラインを異なる堅固な支持物へ取り、器具はライフラインへ接続します。
10分間平均11m/sなら中止し、数値未満でも危険があれば止めます。窓48枚の両面は207.36m²、実効率75%なら約3.46時間です。材質不明の外壁は、仕様・SDS・排水先を確認し、試し洗浄の乾燥後評価を終えてから全面へ広げてください。
法令・資料確認日/最終更新日:2026年8月14日
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