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洗剤と床維持剤の選定|10倍希釈でpH12・被膜33μm

「油汚れは酸性だから、アルカリ性洗剤で中和して落とす」——この説明は科学的に誤りです。油脂(トリアシルグリセロール)は酸ではありません。強アルカリが油脂に効くのは中和ではなくけん化(加水分解)という別の反応です。水垢も「アルカリ性の汚れ」ではありません。

この記事では、日本家政学会誌に掲載された洗浄科学の論文を根拠にこの誤りを正したうえで、フロアポリッシュの乾燥被膜を1層6.7μm・5層で33μmと計算し、pH13の剥離剤は水で10倍に薄めてもpH12にしかならないことを示します。液性の5区分も、表示規程の原文で境界を確認します。

制度・資料確認日:2026年8月5日。消費者庁「雑貨工業品品質表示規程」、日本フロアーポリッシュ工業会、JIS K 3920、厚生労働省「建築物における維持管理マニュアル 第5章」、政府向けGHS分類ガイダンス、国民生活センター2026年3月18日公表資料、e-Gov法令検索の毒物及び劇物指定令を照合しています。製品ごとの成分・pH・希釈率は必ずラベルとSDSで確認してください。

結論|液性の暗記より「何を分解・分散させるか」で選ぶ

落としたいもの 使う薬剤 実際に起きている反応
油脂・脂肪(有機物) 強アルカリ性洗浄剤 けん化(加水分解)で石けんに変える
皮脂中の脂肪酸 弱アルカリでも可 中和して水溶性の石けんにする
一般の有機物汚れ 弱アルカリ性洗浄剤 表面の負電位を高めて分散させる
水垢・さび(無機物) 酸性洗浄剤 イオン結晶を酸で崩して溶かす
床維持剤の被膜 専用の剥離剤 アルカリ・アミン・溶剤で膨潤させる

この表のうち「中和」で説明できるのは脂肪酸の1行だけです。残りはすべて別の反応です。液性のラベルだけを見て選ぶと、落ちない汚れに強い薬剤を重ねることになり、床材を傷めます。

「油汚れは酸性」は誤り。中和説の何が問題か

駒津順子・大矢勝「洗浄における酸・アルカリ中和説の問題点」(日本家政学会誌 第72巻第4号、2021年)は、汚れを酸性汚れ・アルカリ性汚れに二分して中和で落とすという説明を、洗浄科学の立場から検証しています。問題点は次のとおりです。

よくある説明 どこが誤りか
油脂は酸性の汚れ 油脂は水にほとんど溶けず、H⁺も放出しない。酸ではない
水垢はアルカリ性の汚れ 主成分の炭酸カルシウムは水に溶けない。液性で語れない
中和すると汚れが落ちる 物質は中和状態が最も安定=最も溶けにくい

3行目が特に重要です。同論文は「中和ではなく中和状態からの逸脱が洗浄の基本」と整理しています。洗浄液を中性に近づけるほど汚れは落ちにくくなり、酸性側かアルカリ性側に十分振り切ってはじめて汚れが電気的な安定性を失って水へ移りやすくなる、という考え方です。

では、なぜ「油=酸性」という説明が広まったのか。同論文は、ある重曹の広告記事にあった「空気に触れて酸化したしつこい油汚れに効果的」という表現をたどり、「酸化」を「酸になること」と取り違えたことが発端だと推定しています。酸化は電子を奪われる反応で、H⁺を与える酸とは次元が違います。

試験対策としても実務としても、覚え方を差し替えたほうが安全です。同論文が代替案として挙げているのは「有機物汚れにはアルカリ性洗浄剤、無機物汚れには酸性洗浄剤」という整理です。汚れの分類そのものは「汚れの分類と清掃用具・機械」で扱った水溶性・油溶性・固体の3分類を使います。

アルカリ剤と酸剤が実際にしていること

同論文が示す本来のメカニズムを、現場の判断に落とすとこうなります。

強アルカリは、油脂・脂肪のエステル結合を加水分解して石けんに変えます(けん化)。タンパク質も分解します。これは「強い」ことが条件で、弱いアルカリでは油脂のけん化は進みません。厨房の固まった油に重曹をふりかけても落ちないのは、力加減の問題ではなく反応が起きていないためです。

弱アルカリは、汚れと床材の表面の負電位を大きくして電気二重層による反発力を高め、汚れを分散させます。有機物・無機物を問わず広く効く、いわば洗浄液の底上げです。日常清掃の弱アルカリ性洗剤はこの働きを使っています。

酸剤は、水垢(炭酸カルシウム)やさび(鉄の酸化物)というイオン結晶を、過剰なH⁺で崩して溶かします。ここで大事なのは酸なら何でもよいわけではないことです。

酸の種類 水垢(カルシウム系) さび(鉄系)
塩酸・硝酸 有効 有効
硫酸・シュウ酸 不適 有効
クエン酸・酢酸 有効だが注意 弱い

硫酸やシュウ酸がカルシウム系に不適なのは、カルシウムイオンと水に溶けない結晶をつくり、水垢の表面が固まって反応が止まるためです。クエン酸もカルシウムに対して不溶性の沈着物を生じやすいため、使うなら十分に洗い流します。この使い分けは中和では説明できません。中和なら酸の種類は関係ないはずだからです。

液性の5区分は表示規程の用語。境界は「以上・超える」で決まる

洗剤のラベルにある「中性」「弱アルカリ性」は、感覚的な呼び方ではなく家庭用品品質表示法に基づく雑貨工業品品質表示規程で数値が決められた表示です。住宅用又は家具用の洗浄剤の区分は次のとおりです。

表示 pHの範囲(原文の表現)
アルカリ性 11.0を超えるもの
弱アルカリ性 11.0以下 8.0を超えるもの
中性 8.0以下 6.0以上のもの
弱酸性 6.0未満 3.0以上のもの
酸性 3.0未満のもの

境界の扱いを取り違えやすいので押さえてください。pH6.0ちょうどとpH8.0ちょうどは、どちらも「中性」です。弱アルカリ性は8.0を「超える」ものなので、8.0は含みません。

測定条件も規定されています。液状のものは原液について、粉末のものは1リットルの水に50グラムを溶かした溶液について、JIS Z 8802の方法で25℃で測定します。つまりラベルのpHは「使用時の希釈液のpH」ではありません。20倍に薄めて使う濃縮タイプなら、実際に床へ触れる液のpHはラベルの数字より穏やかです。

もう一つ。この規程が対象にしているのは住宅用・家具用の製品です。業務用の清掃資材がこの表示区分で統一されているとは限らないため、現場で使う製品はラベルとSDSでpHと用途を個別に確認してください。

洗浄の主役は界面活性剤の4つの作用

酸やアルカリばかりに目が行きますが、実際に汚れを水中へ運び出しているのは界面活性剤です。横浜国立大学の解説資料は、次の4作用を挙げています。

作用 何が起きるか 現場での意味
乳化 油滴を取り囲んで水中に保つ 油膜を液へ移す
分散 固体粒子を取り囲んで水中に保つ 砂・すすを液へ移す
可溶化 ミセル内部に油性物質を溶かす 脂肪酸などに効く
再汚染防止 汚れ同士・汚れと床材の再付着を防ぐ すすぎ前に戻らせない

4番目の再汚染防止作用があるから、洗浄液が汚れても床に戻りにくくなっています。裏を返せば、汚水を回収せずに放置すれば水が蒸発して汚れは床に残ります。洗浄と回収は必ずセットです。

希釈計算|「20倍」と「1対20」は5%ずれる

濃縮タイプの洗剤は、希釈を間違えると効かないか、床を傷めるかのどちらかになります。18Lのタンクに20倍希釈の洗浄液をつくる場合を計算します。

「20倍希釈」=仕上がり量が原液の20倍

原液 = 18L ÷ 20 = 0.90L/水 = 18 − 0.90 = 17.10L

「原液1に対して水20」と読んだ場合

合計21なので、原液 = 18L ÷ 21 = 0.857L(約857mL)/水 = 17.14L

差は43mLで、濃度にすると約5%です。5%なら小さく見えますが、これが日常清掃で毎日積み上がると、床維持剤の被膜が想定より早く痩せます。作業手順書には「20倍希釈」ではなく「18Lに対し原液900mL」と実数で書くのが確実です。計量カップを現場に置くだけで、この誤差はなくなります。

混ぜるな危険|基準は1.0ppm、酸性の汚れとも反応する

「混ぜるな危険」の表示は雰囲気で付いているのではありません。定められた試験で1.0ppm以上の塩素ガスを発生する製品に表示が義務づけられており、書き方まで規定されています。「まぜるな」の文字は黄色に黒の縁取りで28ポイント以上、「危険」の文字は赤色で42ポイント以上、枠囲いが必要です。

ここで見落とされやすいのが、危ないのは製品同士の混合だけではないという点です。塩素系洗浄剤は、便器にこびりついた尿石のような酸性の汚れそのものとも反応して塩素ガスを出します。「今日は酸性洗剤を使っていないから大丈夫」は成り立ちません。

国民生活センターが2026年3月18日に公表した資料では、スプレータイプの塩素系洗浄剤を用いたテストで16ppm程度の塩素濃度が測定されています。厚生労働省の労働災害事例にも、ホテルの客室清掃で塩素系洗剤と酸性洗剤を混ぜて塩素を吸入し、約30日の休業と診断された例が記録されています。原因は「混ぜると有害ガスが出る知識がなかった」ことでした。

対策は単純です。塩素系と酸性タイプを同じ保管場所に置かない、同じ区画で同時に使わない、作業前に使用薬剤を読み上げる、換気を確保する。この4つを作業手順書に明記してください。

フロアポリッシュはJISで2つの軸に分かれる

床に塗る保護膜は、一般に「ワックス」「樹脂ワックス」と呼ばれますが、日本フロアーポリッシュ工業会はワックス=ろうを意味して紛らわしいため、フロアーポリッシュという呼称を用いています。定義は3つの条件からなります。

  • 床材の保護・美観の維持・向上のために塗布するもの
  • 塗布後、乾燥皮膜を形成するもの
  • 経日後必要な時に、化学的および物理的方法によって容易に除去できるもの

3つ目に注目してください。「剥がせること」が定義に含まれているのがフロアポリッシュです。剥がせない塗膜は塗装であって、床維持剤ではありません。

そして分類は1本の軸ではなく、2本の軸で決まります。JIS K 3920はこう定義しています。

剤形の軸 JISの定義
水性 ろう・油脂・合成樹脂などを水に溶解又は乳化
乳化性 ろう・油脂・合成樹脂などと石油系溶剤とを水に乳化
油性 ろう・油脂・合成樹脂などを石油系溶剤に溶解又は分散

ここでよくある誤解が2つあります。第一に、石油系溶剤を含むのは油性だけではありません。乳化性も定義上、石油系溶剤を含みます。火気と換気の注意は乳化性にも及びます。

第二に、「水性=樹脂」ではありません。不揮発性成分による、もう1本の軸があります。ろう類を主原料にしたワックスタイプと、合成樹脂などのポリマーを主原料にしたポリマータイプで、水性フロアーポリッシュはこの両方に分かれます。

現在の主流は水性フロアーポリッシュ ポリマータイプです。アクリル系やウレタン系樹脂のエマルションに、皮膜の硬さを調節する可塑剤と、造膜性を高める融合剤を加えたもので、工業会は皮膜が強靭で汚れが付きにくく、耐久性に富み耐洗剤性に優れると説明しています。

この「耐洗剤性に優れる」が実務上の要点です。日常清掃の中性・弱アルカリ性洗剤で簡単に溶ける被膜なら、主流にはなっていません。だからこそ、剥がすときにはアルカリ剤・アミン類・溶剤・界面活性剤を組み合わせた専用の剥離剤が必要になります。床材ごとの適合は「床材別清掃方法」で扱います。

被膜計算|1層6.7μm、5層でも0.033mm

塗り重ねの回数を感覚で決めていると、薄すぎて摩耗が床材に届くか、厚すぎてビルドアップ(古い層に汚れが閉じ込められた黒ずみ)を招きます。実際の厚さを計算します。

条件:不揮発分20%のポリマータイプを、1Lあたり30m²に塗布

塗布直後(湿膜)= 1L ÷ 30m² = 1×10⁻³m³ ÷ 30m² = 33.3μm

乾燥後(1層)= 33.3μm × 0.20 = 6.7μm

5層塗り重ね = 6.7μm × 5 = 33.3μm=0.033mm

5回も塗り重ねて、ようやく塗布直後の1層分の厚さに届きます。0.033mmという数字を持っておくと、判断が変わります。

まず、この厚さの被膜に対して砂粒は圧倒的に大きい。靴底の砂が歩行のたびに被膜を削るのは当然で、除じんの精度が被膜の寿命をほぼ決めます。入口の除じんマットを見直すほうが、塗り重ねを増やすより効果的な場面は多くあります。

次に、塗布量の管理です。1Lで20m²しか塗れていなければ湿膜50μm・乾燥10μmとなり、5層で0.05mmまで厚くなります。厚い被膜は光沢こそ出ますが、内部に汚れを抱え込みやすく、剥離の手間も増えます。「何回塗ったか」ではなく「何m²に何L使ったか」を記録してください。

剥離剤は10倍に薄めてもpH12|安全側の計算

剥離剤は、アルカリ剤とアミン類、溶剤、界面活性剤を組み合わせて被膜を膨潤・溶解させる薬剤です。ここで「薄めれば安全」という思い込みを、計算で崩しておきます。

条件:原液がpH13の強アルカリ性だとする(pOH=1、水酸化物イオン0.1mol/L)

10倍希釈 → 0.01mol/L → pOH=2 → pH12

100倍希釈 → 0.001mol/L → pOH=3 → pH11

pH11.5まで下げるのに必要な希釈 = 0.1 ÷ 10⁻²·⁵ = 約32倍

pHは対数なので、10倍に薄めても1しか下がりません。この数字が効いてくるのは、政府向けGHS分類ガイダンスが、pHが2以下または11.5以上であることを皮膚腐食性(区分1)の判断根拠の一つとして挙げているためです。pH13の剥離剤は、10倍に薄めてもpH12でこの目安を超えたままです。

しかも実際の剥離剤は、これより条件が悪くなります。同ガイダンスは、pHを一定に保とうとする緩衝能(酸アルカリ予備能)がある場合、新たな解離でpHが維持されるため皮膚腐食性が高くなると述べています。アミン類は弱塩基で緩衝作用を持つため、弱塩基のモデルで計算すると10倍希釈でpHは1ではなく0.5しか下がりません

結論として、「薄めたから素手でよい」は成り立ちません。耐薬品性の手袋と保護眼鏡、換気、そして製品ごとのSDSの確認を、希釈率にかかわらず前提にしてください。

強アルカリ製剤は濃度しだいで劇物になる

もう一段、法令の話をします。剥離剤や強力タイプの洗浄剤には水酸化ナトリウムや水酸化カリウムを含む製品があり、これらは濃度によって毒物及び劇物取締法の「劇物」に該当します。毒物及び劇物指定令の別表第二には、次のように定められています。

成分 劇物から除かれる濃度
水酸化ナトリウム 5%以下を含有するもの
水酸化カリウム 5%以下を含有するもの
アンモニア 10%以下を含有するもの

つまり水酸化ナトリウムを5%を超えて含有する製剤は劇物です。劇物に該当すれば、容器への「医薬用外劇物」の表示、他の物と区別した鍵のかかる場所での保管、譲渡手続きといった義務が発生します。「強い洗剤」で片づけず、ラベルの表示とSDSの成分濃度を確認してください。清掃資材の保管庫は、この観点で一度点検する価値があります。

ドライメンテナンスは「剥離ゼロ」ではない

ドライメンテナンスを「剥離を一切行わない方式」と覚えている人が多いのですが、これは言いすぎです。正確には剥離の頻度を大きく下げる方式で、被膜が痩せたり傷が深くなったりすれば剥離は必要になります。

比較点 ウェットメンテナンス ドライメンテナンス
基本の流れ 剥離→洗浄→再塗布 バフィングで被膜を補修
水と剥離剤 多く使う 大幅に減る
成立条件 特になし 高速機・対応する被膜が必要

成立条件の行が重要です。ドライメンテナンスは、スプレー液やドライバフ材と、それに対応する被膜、そして摩擦熱を出せる高速・超高速の機械がそろって初めて機能します。機械の周速と用途の関係は「汚れの分類と清掃用具・機械」で計算しました。標準型のポリッシャーしかない現場でドライメンテナンスを名乗っても、光沢は回復しません

導入判断の実利は廃液量にも出ます。1,000m²の床で、剥離洗浄1回あたり1m²につき0.5Lの廃液(洗浄液とすすぎ水の合計)が出ると仮定すると、1回で500L。年2回なら1,000Lです。これを2年に1回まで下げられれば年250Lとなり、75%減になります。

廃液が問題になるのは、ここまで見てきた成分がそのまま流れ出るからです。どの成分が、どの排水項目を押し上げるかを対応づけておくと、削減の打ち手が見えます。

廃液に入るもの 効いてくる排水項目
アルカリ剤・アミン類 pH
界面活性剤・溶剤 BOD・COD
剥がれた被膜・土砂 浮遊物質(SS)

厚生労働省の「建築物における維持管理マニュアル」第5章も、これらの影響で排出基準値を超えるおそれがあると指摘しています。対応の順番は、①剥離の回数を減らす、②希釈率を守って原液の投入量を減らす、③汚水を確実に回収して分割排出する、の3段です。排出先の判定手順は「浄化槽と排水処理の判定」に、用具側からの見方は「汚れの分類と清掃用具・機械」にまとめています。

理解度チェック

【問1】洗浄の機構に関する記述のうち、正しいものはどれですか。

  1. 油脂は酸性の汚れであり、アルカリで中和されて除去される
  2. 強アルカリが油脂に作用するのは中和ではなく、けん化(加水分解)である
  3. 水垢の主成分である炭酸カルシウムは水に溶けてアルカリ性を示す
  4. 洗浄液はpH7付近に保つほど汚れが落ちやすくなる
  5. 脂肪酸は強アルカリでのみ石けんに変化し、弱アルカリでは反応しない
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正解:2
油脂は水にほとんど溶けずH⁺も放出しないため酸ではなく、1は誤りです。3も炭酸カルシウムは水にほとんど溶けません。4は逆で、物質は中和状態が最も安定=最も溶けにくく、酸性側かアルカリ性側へ振り切ることが洗浄の基本です。5も誤りで、脂肪酸は弱アルカリでも中和されて石けんに変わります。

【問2】雑貨工業品品質表示規程に基づき、pHがちょうど8.0の住宅用洗浄剤に表示すべき液性はどれですか。

  1. 酸性
  2. 弱酸性
  3. 中性
  4. 弱アルカリ性
  5. アルカリ性
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正解:3
中性は「8.0以下6.0以上のもの」と定められているため、8.0ちょうどは中性です。弱アルカリ性は「11.0以下8.0を超えるもの」で、8.0を含みません。同様にpH6.0ちょうども中性になります。測定は液状なら原液について、JIS Z 8802の方法で25℃で行います。

【問3】不揮発分20%のフロアポリッシュを1Lあたり30m²に塗布し、5層塗り重ねたときの乾燥被膜の合計厚さに最も近いものはどれですか。

  1. 約3.3μm
  2. 約6.7μm
  3. 約16.7μm
  4. 約33μm
  5. 約167μm
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正解:4
湿膜は1×10⁻³m³÷30m²=33.3μm。不揮発分20%なので乾燥後の1層は6.7μm、5層で33.3μm=0.033mmです。5回塗り重ねてようやく塗布直後の1層分に届きます。この薄さのため、靴底の砂による摩耗を防ぐ除じんが被膜の寿命を左右します。

【問4】フロアポリッシュと剥離剤に関する記述のうち、誤っているものはどれですか。

  1. JIS K 3920では、乳化性フロアーポリッシュは石油系溶剤を含むものと定義される
  2. 水性フロアーポリッシュは、ワックスタイプとポリマータイプに分かれる
  3. pH13の強アルカリ性の剥離剤を水で10倍に希釈すると、pHは約12になる
  4. pH13の剥離剤も10倍に薄めれば皮膚腐食性の目安を下回るので、素手で扱ってよい
  5. フロアーポリッシュの定義には「経日後必要な時に容易に除去できる」ことが含まれる
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正解:4
10倍希釈でもpH12にとどまり、政府向けGHS分類ガイダンスが皮膚腐食性の判断根拠に挙げるpH11.5以上を超えたままです。pH11.5まで下げるには約32倍の希釈が要り、さらにアミン類の緩衝能があるため実際にはもっと下がりません。加えて水酸化ナトリウムを5%を超えて含有する製剤は劇物に該当します。1・2・3・5はいずれも正しい記述です。

公式の確認先

まとめ|液性のラベルではなく、反応と数値で決める

「油汚れは酸性だからアルカリで中和」は誤りです。油脂は酸ではなく、強アルカリが効くのはけん化という加水分解です。中和で説明できるのは皮脂中の脂肪酸だけで、水垢も液性で語れる汚れではありません。覚え方は「有機物にはアルカリ性洗浄剤、無機物には酸性洗浄剤」に差し替え、洗浄液は中性に近づけず、酸性側かアルカリ性側へ十分に振り切ることを原則にしてください。

液性の5区分は雑貨工業品品質表示規程の表示です。pH6.0ちょうども8.0ちょうども「中性」で、弱アルカリ性は8.0を超えるものを指します。測定は液状なら原液、25℃、JIS Z 8802。ラベルの数字は希釈後のpHではありません。

希釈は「20倍希釈」と「原液1対水20」で約5%ずれます。作業手順書には「18Lに原液900mL」と実数で書くほうが確実です。塩素系は1.0ppm以上の塩素ガスを出す製品に「混ぜるな危険」の表示義務があり、尿石など酸性の汚れとも反応します。同時使用も同一保管も避けてください。

フロアポリッシュは、剤形(水性・乳化性・油性)と不揮発性成分(ワックスタイプ・ポリマータイプ)の2軸で分かれます。乳化性も石油系溶剤を含み、主流の水性ポリマータイプは耐洗剤性に優れるため、専用の剥離剤が要ります。乾燥被膜は1層6.7μm、5層でも0.033mm。この薄さを守るのは塗り重ねの回数ではなく除じんです。

そして剥離剤。pH13の原液は10倍に薄めてもpH12で、GHSが皮膚腐食性の根拠に挙げるpH11.5以上を超えたままです。アミン類の緩衝能があればさらに下がりません。加えて、水酸化ナトリウムを5%を超えて含有する製剤は劇物に該当し、表示・保管・譲渡の義務が生じます。希釈率にかかわらず保護具と換気を前提にし、保管庫の表示も点検してください。

次は薬剤を受け止める側の「床材別清掃方法」へ、演習は「洗剤と床維持剤 ミニテスト第1回」へ進んでください。清掃全体の計画は「清掃計画と品質評価」、科目全体の攻略は「科目4・5・6・7の出題傾向と攻略法」で確認できます。

制度・資料確認日/最終更新日:2026年8月5日

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