衛生行政は、似た言葉の「主語」と「根拠」を入れ替える問題が中心です。憲法25条第1項は国民の権利、第2項は国の努力。WHO憲章は健康の理念、日本の届出・管理基準は国内法令。保健所と市町村保健センターも役割が違います。
この第1回は、単純な語句暗記ではなく、制度を現場へつなぐ5択5問です。各問は正解が1つ。先に選んでから解答ボタンを開き、誤りの選択肢まで説明できるか確認してください。
制度・資料確認日:2026年8月8日。日本国憲法、WHO憲章、建築物衛生法、地域保健法、国土交通省の現行案内を一次資料で確認しました。詳しい制度解説は「ビル管理士の衛生行政入門」に分け、このページは演習と誤答分析に特化しています。
解く前の3分整理|理念・法律・行政窓口を混ぜない
| 確認対象 | 役割 | 試験で見る語 |
|---|---|---|
| 憲法25条 | 生存権と国の努力 | 1項/2項、主語 |
| WHO憲章 | 健康を捉える国際的理念 | 身体的・精神的・社会的 |
| 建築物衛生法 | 建物の維持管理・届出等 | 権原者、知事・市長・区長 |
| 地域保健法 | 地域保健の行政体制 | 保健所/市町村保健センター |
WHOがCO₂基準や届出期限を直接決めるわけではありません。理念はWHO憲章、権利と国の努力は憲法、数値・頻度・届出先は国内法令、実際の提出方法は所在地の自治体案内で確認します。
第1問|憲法25条の1項・2項
日本国憲法第25条に関する記述として、正しいものはどれか。
- 第1項は、国が公衆衛生の向上に努めることを定める。
- 第2項は、すべて国民の勤労・納税・教育の義務を定める。
- 第2項は、国が社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上・増進に努めることを定める。
- 「環境衛生」は第2項に明記される3語の1つである。
- 第1項は、建築物の空気環境基準値を定める。
第2問|WHOの健康定義
WHO憲章前文にある健康の定義について、正しいものはどれか。
- 健康とは、疾病または病弱がないことだけをいう。
- 健康とは、身体的に良好な状態だけをいう。
- 健康とは、身体的・精神的・経済的に良好な状態をいう。
- 健康とは、身体的・精神的・社会的に完全に良好な状態であり、単に疾病または病弱がないことではない。
- この定義が、日本の特定建築物のCO₂基準を直接定める。
第3問|特定建築物の法定届出先
保健所を設置する市の区域内で、建築物が新たに特定建築物として使用され始めた。建築物衛生法第5条の届出に関する記述として、最も適当なものはどれか。
- 使用開始前に、必ず厚生労働大臣へ届け出る。
- 使用開始から1月以内に、市長へ届け出る。
- 使用開始から6月以内に、市町村保健センターへ届け出る。
- 建築物環境衛生管理技術者本人が、都道府県知事と市長の両方へ届け出る。
- WHOの承認を受けた後に、最寄りの保健所へ届け出る。
第4問|保健所と市町村保健センター
地域保健法上の保健所と市町村保健センターに関する記述として、正しいものはどれか。
- 保健所は、すべての市町村が必ず設置する。
- 保健所は住民健診だけを行い、環境衛生には関与しない。
- 市町村保健センターは、建築物環境衛生管理基準を制定する国の機関である。
- 保健所は都道府県・指定都市・中核市等が設置し、市町村保健センターは住民に身近な健康相談・保健指導・健康診査等を目的とする。
- 特定建築物の届出は、所在地に関係なく市町村保健センターへ出す。
第5問|省庁の所管は現在形で確認する
衛生行政の所管に関する記述として、2026年8月現在、最も適当なものはどれか。
- 水道整備・管理行政は、2024年4月に厚生労働省から国土交通省・環境省へ移管された。
- 建築物衛生法は、2024年4月にすべて国土交通省へ移管された。
- 地域保健法は、市町村保健センターだけが所管する。
- 公衆衛生に関する制度は、すべて1つの省庁が所管する。
- 省庁の所管は一度決まると変更されないため、過去問の表現だけを覚えればよい。
採点|正解数より、誤答の理由を言えるか
| 正解数 | 判定 | 次の行動 |
|---|---|---|
| 5問 | 基礎は安定 | 各誤答を1文で否定する |
| 4問 | 区別を1つ再確認 | 該当する根拠条文へ戻る |
| 2〜3問 | 理念と法令が混在 | 4層表を作り直す |
| 0〜1問 | 本記事から復習 | 主語・行政主体へ線を引く |
正解番号だけを覚えると、選択肢の順番を変えられたときに崩れます。「第1項と第2項」「国際的理念と国内法」「法定届出先と実務窓口」「保健所と市町村保健センター」の4組を、自分の言葉で対比してください。
間違えた分野の戻り先
- 第1・2問:ビル管理士の衛生行政入門|憲法25条・WHO・保健所
- 第3問:建築物衛生法と特定建築物|用途・面積・届出
- 第4問:保健所と市町村保健センターの役割
- 第5問:ビル管理に関係する法令の使い分け
- 管理技術者の立場:建築物環境衛生管理技術者の職務と選任
追加演習
同じテーマを別の角度から解く場合は「衛生行政ミニテスト第2回」「衛生行政ミニテスト第3回」へ進めます。最初にこの第1回で根拠の位置を確認し、その後に追加問題で定着させる順序がおすすめです。科目全体の配分は「ビル管理士 科目4・5・6・7の出題傾向と攻略法」で整理しています。
公式の確認先
- 衆議院「日本国憲法」(第25条)
- World Health Organization「Constitution」
- 厚生労働省「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」
- 厚生労働省「地域保健法」
- 国土交通省「水道整備・管理行政の移管」
まとめ|5問を4つの対比で覚える
憲法25条は、第1項の国民の権利と、第2項の国による社会福祉・社会保障・公衆衛生の向上・増進を分けます。WHOの健康定義は身体的・精神的・社会的の3側面で、国内の管理値を直接定めるものではありません。
特定建築物の届出先は原則として都道府県知事、保健所設置市・特別区では市長・区長です。受付窓口は自治体案内で確認します。保健所と市町村保健センターは設置主体と目的が違い、水道行政のように所管が変わる分野もあります。
理念/法律、権利/国の努力、法定主体/実務窓口、保健所/市町村保健センター。この4つの対比を説明できれば、第1回の目的は達成です。
制度・資料確認日/最終更新日:2026年8月8日
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