ミニテスト 建築物環境衛生管理技術者

感染症対策ミニテスト第1回|レジオネラ・結核・カビの5問

感染症対策は、消毒剤を選ぶ前に「感染源・感染経路・感受性のある人」を分けます。レジオネラは人工水系から生じるエアロゾル、結核は感染性患者からの空気感染、カビは湿潤材と胞子等の拡散が建物側の主な着眼点です。

この第1回は、設備異常の記録から初動を選ぶ独自5択5問です。停止、連絡、現状保存、配管滞留量の計算、再開条件まで順番を説明できるか確認しましょう。

制度・資料確認日:2026年8月8日。国立健康危機管理研究機構(JIHS)の疾患情報、厚生労働省の建築物環境衛生管理基準・レジオネラ予防指針・真菌症情報を確認しました。感染経路と設備管理は「ビルの感染症対策|レジオネラ・結核・カビの初動と法定管理」で解説し、このページは現場判断の演習に特化しています。

解く前の3分整理|感染経路から設備を見る

主な経路 代表例 設備側の記録
水エアロゾル レジオネラ症 水温・薬注・清掃・飛散
空気中粒子 結核 滞在・換気・空気経路
胞子等の吸入・接触 真菌による健康影響 漏水・結露・湿潤範囲

感染の疑いがあるとき、設備担当者が患者を診断したり接触者を決めたりしません。曝露を止め、運転・清掃・故障・利用の記録と現状を保全し、保健所・医療・施設責任者の判断につなぎます。

第1問|冷却塔が疑われるレジオネラ症の初動

施設利用者2人のレジオネラ症について保健所から連絡があり、屋上冷却塔との関連が疑われた。設備担当者の初動として、最も適当なものはどれか。

  1. 感染者同士の飛沫感染と決め、冷却塔を通常運転する。
  2. 冷却塔を安全に停止し、独断で洗浄・消毒する前に保健所へ連絡し、設備状態と運転記録を保全する。
  3. 原因を消すため、採水前に高濃度薬剤を投入して記録を廃棄する。
  4. 施設内の患者だけを調べ、周辺への飛散は考えない。
  5. 通常は人から人へ広がらないため、患者発生の連絡自体を無視する。
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正解:2

レジオネラ属菌を含む水のエアロゾルが疑われるため、まず飛散を安全に止めます。その後、保健所の指示前に独断で洗浄・消毒せず、採水や患者由来菌との比較に必要な状態を保ちます。水温、水処理、薬注、補給・排水、清掃、故障、運転時刻も保存します。

1は主な感染経路が違い、3は原因調査を妨げます。冷却塔の飛散は敷地外へ及ぶ可能性があるため4も不十分です。通常は人から人へ感染しないことと、人工水系の感染源調査が不要であることは別なので5も誤りです。

第2問|月次点検と年次清掃を分ける

特定建築物の冷却塔を5月から9月まで使用する。建築物環境衛生管理基準上の管理として、最も適当なものはどれか。

  1. 冷却塔と冷却水の汚れは、使用期間中1年以内ごとに点検すればよい。
  2. 汚れの点検・必要時の清掃等は使用開始時と使用中1か月以内ごと、冷却塔・冷却水管の清掃は1年以内ごとに1回行う。
  3. 月次点検をすれば、年次清掃は不要である。
  4. 年次清掃をすれば、使用開始時の点検は不要である。
  5. 補給水は、水道法の水質基準に適合しない再生水でも常に使える。
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正解:2

使用開始時と使用期間中1か月以内ごとに、冷却塔・冷却水の汚れを点検し、必要に応じて清掃・換水等を行います。これとは別に、冷却塔と冷却水管を1年以内ごとに1回清掃します。補給水は水道法の水質基準に適合する水です。

1は点検間隔が長すぎ、3・4は点検と定期清掃を代替関係にしています。5も補給水の条件を満たしません。長期停止後は、汚れた状態でファンを先に回さず、水抜き、清掃、消毒、部品確認を含む再開手順を行います。

第3問|30mの枝管に残る水量を計算する

内径20mm、長さ30mの使用頻度が低い給湯枝管がある。円周率3.14、流量6L/minとして、配管内の水1回分を押し出す理論時間に最も近いものはどれか。

  1. 約0.16分
  2. 約0.79分
  3. 約1.57分
  4. 約4.71分
  5. 約9.42分
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正解:3(約1.57分)

内径20mm=0.020m、半径0.010mです。配管容積は3.14×0.010²×30=0.00942m3=9.42L。流量6L/minなら9.42÷6=1.57分です。5は水量9.42Lを時間と取り違えています。

1回分を押し出す理論時間は、フラッシング計画の最低限の目安にすぎません。生物膜の除去や消毒完了を保証せず、実際は混合、枝分かれ、流量変動があります。中央式給湯では、往き・返り・末端の温度、到達時間、循環状態も測り、貯湯槽60℃以上・末端55℃以上を設備全体で確認します。

第4問|結核発生時は空気と滞在の記録を渡す

オフィス利用者の結核発生について保健所から調査協力を求められた。ビル管理側の対応として、最も適当なものはどれか。

  1. 感染者の氏名を全館放送し、管理者が接触者を確定する。
  2. 机を表面清拭すれば、空気感染対策と接触者調査は不要になる。
  3. CO2が900ppmだったので、結核菌が存在しないと判定する。
  4. 在席・会議室予約・滞在時間、空調運転、外気量、故障、還気・共用部の空気経路を保全し、保健所へ提供する。
  5. 設備担当者が全利用者へ予防薬を配る。
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正解:4

結核は結核菌による空気感染です。接触者の範囲、健診、就業・利用制限、周知範囲は保健所等が判断できるよう、ビル管理側は滞在と空気経路に関する事実を渡します。個人情報は必要な範囲で扱います。

1は個人情報を不必要に広げ、管理者が医学的判断まで行っています。2は表面対策だけで空気経路を扱っていません。CO2は人に対する換気状態の手掛かりであり、結核菌の濃度や感染を直接測らないため3も誤りです。5の投薬は医療行為です。

第5問|漏水後のカビは湿気源から止める

天井配管の漏水後、石こうボード裏まで湿り、カビ臭と黒い斑点が出た。利用者から目・鼻の違和感の訴えもある。最も適当な対応はどれか。

  1. 漏水を残したまま、見える表面へ芳香剤を吹き付ける。
  2. 乾いたブラシでこすり、胞子を執務室へ飛散させる。
  3. カビを見つけたので、利用者の病名と原因を設備担当者が確定する。
  4. 漏水を止め、天井内・保温材・壁内の湿潤範囲を確認し、範囲に応じて隔離・多孔質材の撤去・清掃・乾燥・再発監視を計画する。
  5. 表面が乾けば、原因と隠れた湿潤材の確認は不要である。
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正解:4

最初に漏水・結露など水分供給を止め、湿潤範囲を見える面だけでなく内部まで追います。多孔質材は表面清拭だけで処理できないことがあり、規模と利用者の感受性に応じて作業区域の隔離、撤去、粉じん管理、清掃、乾燥、再発確認を組み合わせます。

1・5は湿気源と隠れた材料を残し、2は胞子や粉じんを拡散させます。カビ検出と症状の時間的な関連は調査材料ですが、単独で個人の病名・原因を断定できないため3も誤りです。症状は医療者へつなぎ、場所・時刻・離室後の変化を記録します。

採点|曝露を止めて調査へつなげられるか

正解数 判定 復習ポイント
5問 初動は安定 再開条件まで記録する
4問 1経路を再確認 水・空気・湿潤材を分ける
2~3問 対策が混在 感染源と経路から整理
0~1問 親記事から復習 停止・連絡・保存の順

有事の合言葉は、曝露停止→連絡→現状・記録の保全→指示下の採取・是正→再検査→再開判断です。人命に関わる症状があれば、設備調査より救急対応を優先します。

間違えた分野の戻り先

追加演習

給湯温度・クリプトスポリジウム・病型は「感染症と微生物 ミニテスト第2回」、微生物分類・感染症法・感染経路の横断問題は「感染症と微生物 ミニテスト第3回」で確認できます。第1回の現場判断を固めてから進んでください。

公式の確認先

まとめ|病原体名より、発生源と経路を先に分ける

冷却塔が疑われるレジオネラ症ではエアロゾルを止め、現状と記録を保ったまま保健所へつなぎます。結核では表面清拭だけにせず、滞在と空気経路の記録を渡します。漏水後のカビは、湿気源と湿潤材を残したまま表面だけ処理しません。

平時の月次点検・年次清掃、給湯系統の温度と滞留量、空調運転、漏水履歴が、有事の原因調査を支えます。設備を止めることと証拠を消すことを混同せず、専門機関が判断できる材料を残しましょう。

制度・資料確認日/最終更新日:2026年8月8日

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