冷凍機は、冷水出口温度や銘板COPだけでは運転を評価できません。同じ時刻の冷水流量・往還温度、冷凍機入力、冷水/冷却水ポンプ、冷却塔ファンをそろえます。さらに、冷房負荷と圧縮機入力の両方が放熱側へ流れることを忘れません。
この第1回は、冷熱586kW、機器COP4.97とシステムCOP4.08、冷却水121m3/h、低ΔT時の水側負荷39.6%、吸収式の放熱1,435kWを扱う独自5択5問です。どこまでを分子・分母へ含めた値か、毎問明確にしてください。
資料確認日:2026年8月8日。日本冷凍空調工業会のターボ冷凍機ハンドブック2025・吸収式冷凍機資料、ヒートポンプ・蓄熱センター、環境省ZEB資料を照合しました。原理と法定管理の全体は「冷凍機・ヒートポンプの運転診断」で解説し、このページは新しいプラント値の計算演習に特化しています。
解く前の3分整理|利用側・機器・放熱側を閉じる
| 境界 | 基本式 | 確認する入力 |
|---|---|---|
| 冷水側 | Q=1.163×流量×ΔT | m3/h・K |
| 機器COP | 冷凍能力÷冷凍機入力 | 圧縮機等 |
| システムCOP | 冷凍能力÷熱源全入力 | ポンプ・塔ファン |
| 放熱側 | 冷房負荷+機器入力 | 冷却水温度差 |
係数1.163は、水の密度と比熱、時間換算をまとめた概算値です。流量計と温度センサーの時刻・位置・校正がずれると、計算上のCOPもずれます。圧縮式の電力COPと、吸収式の熱入力COPも分母が違うため、数字だけを直接比較しません。
第1問|冷水84m3/h・温度差6Kで586kW
冷水流量84m3/h、冷凍機出口7℃、建物からの還水13℃だった。Q=1.163×流量×温度差で求める冷水側の冷凍能力に最も近いものはどれか。
- 84kW
- 293kW
- 504kW
- 586kW
- 1,172kW
第2問|機器COP4.97、補機込み4.08
第1問の冷凍能力を586kWとする。冷凍機入力118kW、冷水ポンプ12kW、冷却水ポンプ9kW、冷却塔ファン4.5kWである。機器COPと熱源システムCOPの組合せはどれか。
- 機器COP 4.97、システムCOP 4.08
- 機器COP 4.08、システムCOP 4.97
- 機器COP 5.97、システムCOP 5.08
- 機器COPもシステムCOPも4.97
- 補機はCOPへ含められないので計算不能
第3問|凝縮器放熱704kWに必要な冷却水121m3/h
冷凍能力586kW、圧縮式冷凍機入力118kWとする。補機熱やその他損失を無視し、凝縮器の放熱を冷凍能力+冷凍機入力とする。冷却水温度差5Kのとき、必要冷却水量に最も近いものはどれか。
- 81m3/h
- 101m3/h
- 121m3/h
- 141m3/h
- 204m3/h
第4問|冷水ΔTが6Kから2.5Kへ低下した
設計は冷水7→13℃(ΔT 6K)、設計流量100%である。実測は7→9.5℃(ΔT 2.5K)、流量95%だった。水側熱量を設計比で単純化すると何%か。また、最初の診断として適切なものはどれか。
- 約39.6%。低負荷、過流量・バイパス、二方弁、コイル熱交換、温度計を切り分ける。
- 約95%。流量が95%なので温度差は無視する。
- 約158%。温度差が小さいほど熱量は増える。
- 約240%。直ちに冷水ポンプを最大へ増速する。
- 0%。還水温度が送水より高いので冷房していない。
第5問|吸収式の熱COP0.75、放熱1,435kW
単効用吸収式の練習として、冷凍能力615kW、発生器への熱入力820kWとする。補機電力・その他損失を無視した熱COPと、吸収器・凝縮器側へ最終的に捨てる熱量の組合せはどれか。
- 熱COP 0.75、放熱1,435kW
- 熱COP 1.33、放熱205kW
- 熱COP 1.75、放熱615kW
- 熱COP 0.75、放熱820kW
- 電力入力が小さいので、冷却水への放熱は0kW
採点|冷水から放熱まで熱を閉じられたか
| 正解数 | 判定 | 復習の焦点 |
|---|---|---|
| 5問 | プラント診断は安定 | 年間性能へ拡張 |
| 4問 | 1境界を再確認 | 補機か放熱側 |
| 2~3問 | 熱収支が途中 | 流量×ΔTと入力 |
| 0~1問 | 親記事から復習 | 利用・機器・放熱の3側 |
瞬時COPだけで更新判断をしません。負荷率、冷却水温度、台数制御、ポンプ・塔ファン、待機電力を同じ期間で集計し、年間の一次エネルギー・料金・排出量・保守性を比較します。
間違えた分野の戻り先
- 冷水ΔT・機器/システムCOP・吸収式:冷凍機・ヒートポンプの運転診断
- 蒸気圧縮サイクルとp-h線図:冷凍の原理と蒸気圧縮冷凍サイクル
- AHU・FCUと冷却コイル:空気調和機(AHU)とFCUの構造
- 冷却塔・水質・蓄熱槽:ボイラ・冷却塔・蓄熱槽の管理
追加演習
COP・デマンド・冷却水・圧縮機の適用は「冷凍機の原理と種類 ミニテスト第2回」、吸収式・遠心式・ヒートポンプ切替は「冷凍機の原理と種類 ミニテスト第3回」で確認できます。
公式の確認先
- 日本冷凍空調工業会「ターボ冷凍機ハンドブック2025」
- 日本冷凍空調工業会「吸収式冷凍機」
- 日本冷凍空調工業会「熱源機器チリングユニットの保守・点検」
- ヒートポンプ・蓄熱センター「最大COP運転制御」
- 環境省 ZEB PORTAL「ZEBを実現するための技術」
まとめ|冷水586kWから放熱側まで一続きにする
冷水84m3/h・ΔT 6Kの冷熱は586kWです。冷凍機入力118kWなら機器COP4.97、補機25.5kWを含めるとシステムCOP4.08です。凝縮器放熱704kWをΔT 5Kで運ぶ冷却水は約121m3/hになります。
実測ΔT 2.5K・流量95%なら、水側熱量は設計比39.6%です。吸収式の615kWに熱入力820kWを加えると放熱は1,435kWです。利用側、入力、放熱側の3つを閉じ、評価境界と時刻をそろえてから効率や異常を判断してください。
資料確認日/最終更新日:2026年8月8日
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