ボイラ・冷却塔・蓄熱槽は、設備名の暗記だけでは運転を判断できません。ボイラは仕様と圧力、冷却塔は水温と湿球温度、蓄熱槽は容積だけでなく利用温度差と有効率まで確認します。
この第1回は、冷却塔のレンジ・アプローチ各5.4K、有効蓄熱量1.26MWh、4時間放熱時の追掛け熱源105kWを扱う独自5択5問です。法定管理と熱量計算を、一つの熱源プラントとしてつなげてください。
資料確認日:2026年8月8日。厚生労働省のボイラー資料・冷却塔の衛生措置、ヒートポンプ・蓄熱センターの蓄熱槽用語集を照合しました。設備の原理と管理全体は「ボイラ・冷却塔・蓄熱槽の管理」で解説し、このページは別の数値と現場判断による演習に特化しています。
解く前の3分整理|熱を作る・捨てる・時間をずらす
| 設備 | 見る値 | 判断を誤る例 |
|---|---|---|
| ボイラ・温水機 | 圧力、構造、仕様 | 名称だけで法区分 |
| 冷却塔 | 入口・出口・湿球 | 出口水温だけで性能判定 |
| 蓄熱槽 | 容積、温度差、有効率 | 全水量を使えると仮定 |
冷却塔のレンジは入口水温-出口水温、アプローチは出口水温-外気湿球温度です。水蓄熱の名目熱量は「1.163×水量m3×温度差K」で概算できますが、混合、熱損失、送水限界温度などにより全量を利用できるとは限りません。
第1問|「真空式」という名称だけで法区分を決めない
更新工事後の熱源台帳に「真空式温水発生機」とだけ記録され、最高使用圧力、缶体の構造、利用温水の経路が空欄だった。法定検査・取扱資格と保守範囲を確認する最初の対応として、最も適切なものはどれか。
- 名称に「真空式」とあるので、無条件にすべての法令・保守対象外とする。
- 温水を作る設備は、すべて同じ規模のボイラーとして扱う。
- ボイラー技士がいれば、銘板や仕様書を確認する必要はない。
- 銘板・仕様書で缶体圧力、構造、熱の供給方法を確認し、メーカー資料と法令区分を照合する。資格対象外でも燃焼・安全装置の保守を続ける。
- 利用側の温水温度だけを測り、法区分を決める。
第2問|冷却塔のレンジとアプローチは各5.4K
同時刻の実測値が、冷却塔入口水温37.2℃、出口水温31.8℃、外気湿球温度26.4℃だった。レンジとアプローチの組合せはどれか。
- レンジ5.4K、アプローチ5.4K
- レンジ10.8K、アプローチ5.4K
- レンジ5.4K、アプローチ10.8K
- レンジ31.8K、アプローチ26.4K
- 外気乾球温度がないため、両方とも計算できない。
第3問|月次点検と年次清掃・完全換水は別管理
特定建築物の空調用冷却塔を季節運転する。衛生管理計画として最も適切なものはどれか。
- 使用開始時に一度見れば、運転終了まで点検しなくてよい。
- 使用開始時と使用期間中1か月以内ごとに汚れを点検し、必要に応じ清掃・換水する。これと別に1年に1回以上、清掃・完全換水を行う。
- 毎月の外観点検をすれば、年次の清掃・完全換水を省略できる。
- 密閉式冷却塔なら、外側の散布水槽やエリミネータは管理しなくてよい。
- 白いプルームが見えなければ、汚れや微生物の確認は不要である。
第4問|240m3・5.5K・有効率82%で約1.26MWh
水蓄熱槽の有効水量240m3、基準利用温度差5.5Kとする。名目蓄熱量をH=1.163×水量×温度差で求め、混合・熱損失・残量をまとめた説明用の有効率82%を掛ける。有効蓄熱量に最も近いものはどれか。
- 0.28MWh
- 1.03MWh
- 1.26MWh
- 1.54MWh
- 6.14MWh
第5問|4時間負荷には追掛け熱源が平均105kW必要
第4問の有効蓄熱量を1,259kWhとする。昼間の冷房負荷420kWが4時間続き、蓄熱を4時間へ均等に配分する。放熱損失をすでに有効率へ含めたとき、同時運転する追掛け熱源の平均冷凍能力に最も近いものはどれか。
- 0kW
- 105kW
- 315kW
- 420kW
- 1,680kW
採点|設備名から実測値と熱量へ進めたか
| 正解数 | 判定 | 復習の焦点 |
|---|---|---|
| 5問 | 熱源管理は安定 | 時刻別運転へ拡張 |
| 4問 | 1分野を再確認 | 法区分か有効率 |
| 2~3問 | 指標が混在 | レンジと熱量式 |
| 0~1問 | 親記事から復習 | 3設備の役割 |
計算値が合っても、測定時刻や評価境界が違えば比較できません。設備台帳、同時刻の水温・湿球温度、蓄熱槽の温度プロフィール、法定作業記録を一組にして判断してください。
間違えた分野の戻り先
- ボイラ区分・冷却塔・蓄熱槽の全体:ボイラ・冷却塔・蓄熱槽の管理
- 冷却塔につながる冷凍機熱収支:冷凍機・ヒートポンプの運転診断
- レジオネラ疑い時の初動:ビルの感染症対策|レジオネラ・結核・カビの初動と法定管理
- 鋳鉄製・温水ボイラーの構造:鋳鉄製ボイラー・特殊ボイラー
追加演習
レジオネラ、エリミネータ、鋳鉄製・貫流ボイラは「ボイラ・冷却塔・蓄熱槽ミニテスト第2回」、融解潜熱、ブロー、ピークシフトは「ボイラ・冷却塔・蓄熱槽ミニテスト第3回」で確認できます。
公式の確認先
- 厚生労働省「ボイラー等に関する規制の現状」
- 厚生労働省「レジオネラ症を予防するために必要な措置に関する技術上の指針」
- 厚生労働省「空気調和設備等の維持管理及び清掃等に係る技術上の基準」
- ヒートポンプ・蓄熱センター「蓄熱槽」
- ヒートポンプ・蓄熱センター「ピークカット・ピークシフト」
まとめ|5.4Kと1.26MWhを運転判断へつなぐ
真空式温水発生機は名称だけで法区分を決めず、缶体圧力・構造・仕様を確認します。冷却塔入口37.2℃、出口31.8℃、湿球26.4℃なら、レンジもアプローチも5.4Kです。衛生管理では、使用中1か月以内ごとの点検と年1回以上の清掃・完全換水を分けます。
水量240m3、温度差5.5K、有効率82%なら使える冷熱は約1.26MWhです。420kWが4時間続くときは、蓄熱だけでは421kWh不足し、平均約105kWの追掛け熱源が必要です。名目値ではなく、実際に使える熱量と時間軸で運転を組み立ててください。
資料確認日/最終更新日:2026年8月8日
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