建築物環境衛生管理技術者 空気環境の調整

空気環境測定の基準と実務|CO 6ppm・18〜28℃・粉じん計

空気環境測定は、基準値だけでなく「いつ・どこで・何を平均するか」までそろえて初めて評価できます。一酸化炭素は現在6ppm以下、温度は18〜28℃です。古い教材の10ppm・17℃をそのまま使わないでください。

この記事では、現行7項目、2か月以内ごとの測定、床上75〜150cm、粉じん計の質量濃度換算を整理し、午前・午後の実測例から設備側の原因を切り分けます。

制度確認日:2026年8月2日。厚生労働省の現行基準、施行通知、粉じん計較正登録機関手引きを照合しています。

空気調和設備の管理基準は7項目

項目 現行の基準 評価の要点
浮遊粉じん 0.15mg/m³以下 使用時間中の平均
一酸化炭素(CO) 6ppm以下 使用時間中の平均
二酸化炭素(CO₂) 1,000ppm以下 使用時間中の平均
温度 18〜28℃ 使用時間中は常に適合
相対湿度 40〜70% 使用時間中は常に適合
気流 0.5m/s以下 使用時間中は常に適合
ホルムアルデヒド 0.1mg/m³以下(0.08ppm以下) 所定時期に1回

これは「空気調和設備」を設けた居室の管理基準です。浄化と流量調節を行う機械換気設備では、温度・相対湿度を除く5項目が対象です。外気導入のない家庭用ルームエアコン単体は、ここでいう空気調和設備・機械換気設備には該当しません。

CO₂ 1,000ppmは在室人数と外気導入を調べる手掛かりですが、ほかの汚染物質が安全だと保証する万能値ではありません。CO、粉じん、ホルムアルデヒドは別々に測ります。

CO 10ppmと17℃は2022年3月までの旧値

2022年4月1日から、COは10ppm以下から6ppm以下へ、温度の下限は17℃から18℃へ改正されました。外気COが高い場合の20ppm特例も廃止されています。古い過去問を解くときは「出題時点の値」と「現在の管理値」を分けます。

温度には、居室を外気より低くする場合、その差を著しくしないという規定も残っています。したがって、18〜28℃へ収まった一点だけで冷やし過ぎの運用まで適切とは限りません。

測定は通常使用中・各階・床上75〜150cm

  1. 頻度:6項目は2か月以内ごとに1回、定期に測る
  2. 時間:特定建築物が通常どおり使用されている時間中に測る
  3. 階:各階で1か所以上、適当な居室を選ぶ
  4. 位置:居室中央部の床上75cm以上150cm以下で測る
  5. 評価:粉じん・CO・CO₂は1日の使用時間中の平均、温度・湿度・気流は常時適合で見る

人のいない早朝、窓際、吹出口の直下だけで測れば、実際の呼吸域を代表しません。法定測定点を満たしたうえで、苦情席、会議室、外気取入口、給排気口付近を追加測定すると原因を追いやすくなります。法定値と追加診断値は記録上も分けます。

浮遊粉じんはPM10と同じ言葉ではない

建築物衛生法の浮遊粉じんは、測定方法上、相対沈降径がおおむね10µm以下のものです。単に「粒径10µm以下」と言い換えたり、環境基準で使うPM10と同一の定義だと扱ったりしません。粒子の密度や形状も沈降挙動へ影響するためです。

標準となる方法は、所定性能のグラスファイバーろ紙を装着した重量法です。現場でよく使う光散乱式等の粉じん計は、その標準を基に較正された機器を使います。光の散乱量から得た相対濃度を、機器ごとの質量濃度変換係数でmg/m³へ換算して評価します。

粉じん計の表示値を質量濃度へ換算する

計算例として、機器の取扱方法に従った相対濃度Rが280cpm、ゼロ点R0が10cpm、質量濃度変換係数Kが0.00045mg/m³ per cpmだったとします。

質量濃度への換算例

C=K(R-R0)=0.00045×270=0.1215mg/m³

この例では0.15mg/m³以下。ただし式・単位・ゼロ補正は使用機器の仕様に従います。

表示値を「粒子の個数」と決めつけたり、別の機器の係数を流用したりしません。粉じんの性状が標準粒子と大きく違えば換算関係も変わり得ます。測定器の型式、較正日、有効期限、係数、ゼロ確認、測定時間を結果と一緒に残します。

粉じん計は1年以内ごとに登録較正を確認する

浮遊粉じん量の測定に使う較正機器は、1年以内ごとに1回、厚生労働大臣の登録を受けた者の較正を受ける扱いです。現場へ出る前に、有効な較正票、電池・流量、吸引口、ゼロ点を確認します。

「前回と同じcpmだから濃度も同じ」とは限りません。機器交換や較正で換算係数が変わった場合は、最終的なmg/m³と測定条件で比較します。基準直下の値は、丸め方や不確かさも踏まえて再測定・原因確認へ進めます。

午前・午後の値は平均項目と常時項目を分けて読む

ある事務室で、通常使用中の適切な2時点を測った例です。

時点 CO₂・粉じん 温度・湿度・気流
午前 720ppm・0.11mg/m³ 21.0℃・43%・0.08m/s
午後 1,080ppm・0.14mg/m³ 24.5℃・48%・0.12m/s
算術平均 900ppm・0.125mg/m³ 平均だけで判定しない

単純化したこの例では、CO₂と粉じんの平均は基準内です。一方、午後のCO₂ 1,080ppmは、混雑時に外気量が不足する可能性を示します。「平均が合格」で診断を止めず、午後の在室人数、外気ダンパ、VAV最低風量、運転時刻を確認します。

温度・相対湿度・気流は平均だけで適合にしません。測定中に18℃未満、70%超、0.5m/s超があれば、その時点の設備運転・場所・継続時間を記録して是正します。

ホルムアルデヒドは定期6項目と日程が違う

ホルムアルデヒドは、新築・増築・大規模修繕・大規模模様替えを完了し、使用開始後に最初に来る6月1日〜9月30日の期間に1回測定します。基準超過時は外気導入量の増加等で低減し、翌年の同期間にも再測定が必要です。

0.1mg/m³は0.08ppm相当と示されています。ppmとmg/m³の換算は分子量だけでなく温度・圧力にも依存するため、すべての物質へ同じ係数を使いません。測定器も、厚生労働省が定める方法・指定機器を確認します。

異常値は項目の組合せから発生源を絞る

  • CO₂だけ上昇:在室増、外気量低下、運転時刻、外気ダンパ、換気経路を確認
  • COが上昇:燃焼機器、駐車場・車路、非常用発電機、外気取入口への排気回り込みを優先
  • 粉じんが上昇:清掃・工事、フィルタ損傷、外気、加湿器、再飛散と測定器のゼロを確認
  • 湿度と粉じんが同時上昇:加湿運転、結露、機器への水分影響を切り分ける
  • 同一階の一室だけ異常:局所発生源、給排気の短絡、間仕切り変更、センサー位置を確認

CO₂が正常でもCOや粉じんの異常は否定できません。逆にCO₂高値だけで「空気全体が有害」と断定もしません。対象物質、発生源、外気経路、設備状態を一対一でつなぎます。

現場記録は再現できる形で残す

  1. 建物・階・室・測定点高さと、平面図上の位置
  2. 年月日、時刻、天候、外気温湿度、通常使用かどうか
  3. 在室人数、窓・扉、空調・換気・加湿の運転状態
  4. 機器名・製造番号・較正期限・換算係数・ゼロ確認
  5. 生データ、平均値、基準判定、異常時の追加測定
  6. 原因仮説、是正内容、再測定条件と結果

測定点や運転条件を残さなければ、前回との増減が設備変化か測定条件の差か判断できません。是正後は可能な限り、同じ部屋・時間帯・在室条件で比較します。

理解度チェック

【問1】2026年現在の空気調和設備の管理基準として正しい組合せはどれですか。

  1. CO 10ppm以下・温度17〜28℃
  2. CO 6ppm以下・温度18〜28℃
  3. CO 6ppm以下・温度20〜26℃
  4. CO 20ppm以下・温度18〜30℃
  5. CO₂ 6ppm以下・温度18〜28℃
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正解:2
2022年4月1日からCOは6ppm以下、温度は18〜28℃です。10ppm・17℃は旧基準です。

【問2】R=280cpm、R0=10cpm、K=0.00045mg/m³ per cpmのとき、C=K(R-R0)はいくらですか。

  1. 0.01215mg/m³
  2. 0.1215mg/m³
  3. 0.15mg/m³
  4. 1.215mg/m³
  5. 12.15mg/m³
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正解:2
0.00045×(280-10)=0.1215mg/m³です。実測では機器指定の式・単位・係数に従います。

【問3】法定空気環境測定の基本位置として適切なものはどれですか。

  1. 全階を代表して屋上1点
  2. 各階の機械室床面
  3. 各階の適当な居室中央部・床上75〜150cm
  4. 外気取入口の内部だけ
  5. 吹出口直下・天井面
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正解:3
通常の使用時間中、各階ごとに適当な居室を選び、中央部の床上75〜150cmで測定します。

【問4】午後だけCO₂が高く、CO・粉じんは通常でした。最初の確認として最も適切なものはどれですか。

  1. 粉じん計を廃棄する
  2. 在室人数と外気ダンパ・換気風量・運転時刻を確認する
  3. CO₂は毒性基準なので直ちに全館閉鎖する
  4. 温度だけを平均する
  5. 外気取入口を閉じる
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正解:2
午後の人数増または外気量低下を疑い、在室記録と換気設備を対応させます。ほかの物質は別測定で評価します。

公式の確認先

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まとめ|基準・測定条件・設備診断を一続きにする

現行基準は、粉じん0.15mg/m³以下、CO 6ppm以下、CO₂ 1,000ppm以下、温度18〜28℃、相対湿度40〜70%、気流0.5m/s以下、ホルムアルデヒド0.1mg/m³以下です。定期6項目は2か月以内ごと、通常使用中、各階の適当な居室中央部・床上75〜150cmで測ります。

結果は基準内・外だけで終わらせません。測定器の較正と換算、在室人数、外気量、発生源、運転状態を記録し、同等条件の再測定で是正効果まで確認してください。

制度・資料確認日/最終更新日:2026年8月2日

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