送風機の風量が足りていても、各室へ必要量が届いているとは限りません。ダクト断面で風量を求め、吸込・吐出の全圧差から送風機を評価し、最後に全吹出口の合計と偏りを照合します。
この第1回は、風量6,739m3/h、全圧上昇560Pa、電気入力2.35kW、4吹出口の風量偏り、幹線と末端の差720m3/hを扱う独自5択5問です。単位と測定境界をそろえ、回転数を触る前に原因を切り分けてください。
資料確認日:2026年8月8日。国土交通省「建築設備設計基準 令和6年版」、厚生労働省のダクト維持管理通知、ANSI/AMCA 210-25、米国エネルギー省の送風機資料を照合しました。設計と相似則の全体は「ダクト・吹出口・送風機の診断」で解説し、このページは別の実測系統による演習に特化しています。
解く前の3分整理|断面・送風機・末端の順に追う
| 測定境界 | 基本式 | 確認すること |
|---|---|---|
| ダクト断面 | Q=A×v | m3/sからm3/h |
| 送風機前後 | Pt=Ps+Pv | 吐出Pt-吸込Pt |
| 送風機入力 | Q×ΔPt÷効率 | ファンとモータ |
| 各吹出口 | 合計と個別偏差 | 総量だけで終えない |
| 幹線と末端 | 風量収支 | 未測定分、誤差、漏気 |
静圧(Ps)は壁面へ働く圧力、速度圧(Pv)は速度に対応する圧力、全圧(Pt)は両者の和です。送風機前後の全圧上昇を使う場合は、吸込側の負の静圧を符号付きで扱います。風量測定は、エルボ直後の1点だけでなく、適切な断面の平均値を使います。
第1問|0.80m×0.45m・5.2m/sで6,739m3/h
長方形ダクトの内寸が0.80m×0.45m、断面平均風速が5.2m/sだった。風量に最も近いものはどれか。
- 1,872m3/h
- 3,370m3/h
- 5,200m3/h
- 6,739m3/h
- 18,720m3/h
第2問|吸込・吐出の全圧差は560Pa
送風機吸込側の静圧は-240Pa、速度圧は35Pa。吐出側の静圧は+310Pa、速度圧は45Paだった。送風機の全圧上昇に最も近いものはどれか。
- 70Pa
- 480Pa
- 550Pa
- 560Pa
- 630Pa
第3問|2.5m3/s・640Paで電気入力約2.35kW
送風量2.5m3/s、全圧上昇640Pa、送風機全圧効率74%、モータ効率92%とする。伝動損失・インバータ損失を無視した電気入力に最も近いものはどれか。
- 1.18kW
- 1.60kW
- 2.16kW
- 2.35kW
- 3.20kW
第4問|総風量2,000m3/hでも4吹出口は不均衡
同じ室の4吹出口は各500m3/h、合計2,000m3/hが設計値である。実測は610、570、430、390m3/hで、合計は2,000m3/hだった。最初の判断として最も適切なものはどれか。
- 合計が一致するため、室内気流も必ず正常である。
- 送風機回転数を上げ、全吹出口を一律に増風する。
- 送風機回転数を下げ、合計を設計未満にする。
- 総量は合うが個別は+22%から-22%へ偏る。測定条件、ダンパ、枝ダクト、吹出口の閉塞・調整を確認してバランスを取り直す。
- 最大610と最小390を平均すれば500なので、他の2口は確認しなくてよい。
第5問|幹線7,200と末端6,480の差は720m3/h・10%
給気幹線の断面平均から7,200m3/h、全末端の合計から6,480m3/hを得た。意図した分岐・排気はないものとする。評価として最も適切なものはどれか。
- 差は720m3/h、幹線比10%。直ちに全量を漏気と断定せず、同時性・測定誤差・未測定枝を照合し、接合部やダンパ等を点検して再測定する。
- 差は72m3/h、幹線比1%なので無視する。
- 差は720m3/h、末端比90%なので、漏気率90%と断定する。
- 末端合計が小さいため、原因確認前に送風機を10%増速する。
- ダクト漏気は負圧系でしか起こらないため、差は必ず計器故障である。
採点|送風機から末端まで風量収支を閉じられたか
| 正解数 | 判定 | 復習の焦点 |
|---|---|---|
| 5問 | 系統診断は安定 | 年間電力へ拡張 |
| 4問 | 1境界を再確認 | 全圧か末端 |
| 2~3問 | 単位・符号に注意 | m3/sと負圧 |
| 0~1問 | 親記事から復習 | 風量・圧力・分布 |
厚生労働省の技術上の基準は、吹出口・吸込口周辺の定期清掃と必要な補修を示しています。外観清掃だけでなく、風量不足や差が出たときはダクトのき裂・接合、ダンパ、送風機、フィルタ・コイル抵抗を系統図へ記録してください。
間違えた分野の戻り先
- ダクト抵抗・送風機曲線・相似則:ダクト・吹出口・送風機の診断
- 外気量・換気回数・室間圧力:換気量の計算と第1〜3種換気
- AHU内部のフィルタ・コイル:空気調和機(AHU)とFCUの構造
- VAV最小風量と個別空調:空調方式の選び方|CAV・VAV・FCU・パッケージを比較
追加演習
吹出口形式、送風機種類、漏気、吸込口は「ダクト・吹出口・送風機ミニテスト第2回」、相似則、設計法、吹出口選定、軸流式は「ダクト・吹出口・送風機ミニテスト第3回」で確認できます。
公式の確認先
- 国土交通省「建築設備設計基準 令和6年版」
- 厚生労働省「建築物における衛生的環境の維持管理について」
- 厚生労働省「空気調和設備等の維持管理及び清掃等に係る技術上の基準」
- AMCA「ANSI/AMCA Standard 210-25」
- 米国エネルギー省「Fan Systems」
まとめ|6,739m3/hを560Paで押し、末端まで照合する
0.80m×0.45mのダクトを平均5.2m/sで流れる風量は約6,739m3/hです。吸込全圧-205Pa、吐出全圧355Paなら送風機全圧上昇は560Paです。2.5m3/s・640Pa、送風機効率74%、モータ効率92%なら電気入力は約2.35kWになります。
4吹出口の合計が設計どおりでも、610~390m3/hなら個別バランスは崩れています。幹線7,200m3/hと末端6,480m3/hの見掛け差は720m3/h・10%です。回転数を上げる前に、測定条件、枝、ダンパ、接合部、吹出口を順に確認してください。
資料確認日/最終更新日:2026年8月8日
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