ポンプは、吐出圧が高いだけでは正常と判断できません。配管流速、吸込・吐出差圧、流量、ポンプ・モータ効率、制御弁の圧力配分、吸込側のNPSHを同じ運転点でそろえます。
この第1回は、流速2.55m/s、揚程32.7m、電気入力5.27kW、バルブオーソリティ0.40、NPSHA 10.6mを扱う独自5択5問です。圧力・水頭・動力を一つの水系統としてつなげてください。
資料確認日:2026年8月31日。国土交通省「建築設備設計基準 令和6年版」、米国エネルギー省のポンプ資料、Hydraulic InstituteのNPSH資料、Siemensの制御弁選定資料を照合しました。系統曲線と相似則の全体は「配管・弁・ポンプの診断」で解説し、このページは別の運転値による演習に特化しています。
解く前の3分整理|流す・押す・絞る・吸い込む
| 確認対象 | 基本式 | 注意点 |
|---|---|---|
| 配管流速 | v=Q÷A | m3/hをm3/sへ |
| ポンプ揚程 | H=ΔP÷ρg | 高さ・速度差の条件 |
| 電気入力 | ρgQH÷ηp÷ηm | 水動力と入力を分ける |
| 制御弁 | 弁損失÷回路損失 | 全開時の圧力配分 |
| NPSH | 吸込絶対水頭-蒸気圧水頭 | ゲージ圧で計算しない |
閉回路の循環揚程は、建物高さそのものではなく、一周の配管・弁・コイル等の損失が中心です。一方、最高点の静水圧やポンプ吸込圧は別に確保します。圧力計の差から揚程を求めるときも、取出口の高さ差・流速差が無視できる条件か確認します。
第1問|内径100mm・72m3/hで流速約2.55m/s
内径を0.100mとみなす円管に72m3/hの水が流れている。断面積A=πD2÷4、流速v=Q÷Aで求める流速に最も近いものはどれか。
- 0.64m/s
- 1.27m/s
- 2.55m/s
- 5.09m/s
- 9.17m/s
第2問|差圧320kPaは水頭約32.7m
同じ高さ・ほぼ同じ管径の取出口で、ポンプ吸込圧-45kPa、吐出圧+275kPaを同時に測定した。水密度998kg/m3、重力加速度9.81m/s2とし、高さ差・速度差を無視したポンプ揚程に最も近いものはどれか。
- 23.5m
- 28.0m
- 32.0m
- 32.7m
- 40.9m
第3問|48m3/h・26mで電気入力約5.27kW
水量48m3/h、全揚程26m、水密度998kg/m3、ポンプ効率70%、モータ効率92%とする。インバータ・伝動損失を無視した電気入力に最も近いものはどれか。
- 2.37kW
- 3.39kW
- 4.85kW
- 5.27kW
- 7.58kW
第4問|制御弁80kPa・他抵抗120kPaでオーソリティ0.40
設計流量・制御弁全開時に、制御弁の圧力損失が80kPa、同じ枝回路のコイル・配管・継手等の損失合計が120kPaだった。単純化したバルブオーソリティを「弁全開時損失÷枝回路全損失」とすると、最も近いものはどれか。
- 0.20
- 0.40
- 0.60
- 0.67
- 1.50
第5問|NPSHA 10.6m、NPSHRとの差は3.1m
開放水槽からポンプが吸い込む。大気圧水頭10.3m、水面はポンプ基準面より2.0m高い。吸込管損失1.4m、液の蒸気圧水頭0.3mとする。速度水頭等を無視したNPSHAと、メーカー提示NPSHR=7.5mとの差の組合せはどれか。
- NPSHA 6.6m、差-0.9m
- NPSHA 8.6m、差1.1m
- NPSHA 10.0m、差2.5m
- NPSHA 10.6m、差3.1m
- NPSHA 14.0m、差6.5m
採点|水系統の入口から吸込余裕まで追えたか
| 正解数 | 判定 | 復習の焦点 |
|---|---|---|
| 5問 | 水系統診断は安定 | 変流量へ拡張 |
| 4問 | 1境界を再確認 | 弁かNPSH |
| 2~3問 | 圧力と入力が混在 | 単位・効率 |
| 0~1問 | 親記事から復習 | 流量・揚程・系統曲線 |
国土交通省の設計基準は、ポンプ形式を吐出量・揚程から選び、負荷傾向を考えて台数分割し、機器周りへ運転・保守に必要な弁、継手、計器等を配置する考えを示しています。実測値は系統図と機器台帳へ結び、流量・圧力・電力・弁開度を同じ時刻で残してください。
間違えた分野の戻り先
- 閉回路・系統曲線・ポンプ相似則:配管・弁・ポンプの診断
- 冷水流量と冷凍機熱収支:冷凍機・ヒートポンプの運転診断
- コイル・二方弁・AHU:空気調和機(AHU)とFCUの構造
- 流体の圧力損失とレイノルズ数:PID制御と流体計算
追加演習
弁全開時損失、付属品、ポンプ周り、配管材料は「配管・弁・ポンプミニテスト第2回」、弁の用途、キャビテーション、腐食、逆止弁は「配管・弁・ポンプミニテスト第3回」で確認できます。
公式・技術資料の確認先
- 国土交通省「建築設備設計基準 令和6年版」
- 米国エネルギー省「Pump Systems」
- 米国エネルギー省「Improving Pumping System Performance」
- Hydraulic Institute「NPSH Margin」
- Siemens「Step by Step Guide: Valve Sizing and Selection」
まとめ|2.55m/sからNPSHA 10.6mまで一続きにする
内径100mmへ72m3/hを流すと流速は約2.55m/sです。吸込-45kPa、吐出275kPaの差圧320kPaは水頭約32.7mになります。48m3/h・26m、ポンプ効率70%、モータ効率92%なら電気入力は約5.27kWです。
制御弁損失80kPa、他抵抗120kPaならバルブオーソリティは0.40です。開放水槽の条件からNPSHAは10.6m、NPSHR 7.5mとの差は3.1mです。流量と弁開度だけでなく、圧力の配分、効率、吸込余裕を同時に見て運転を判断してください。
資料確認日/最終更新日:2026年8月31日
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