防音は、壁を厚くする前に「どの経路が支配しているか」を見つけます。音源が複数なら対数加算し、時間変動はエネルギー平均し、間仕切りは弱い扉・隙間・貫通を含め、防振は共振と剛結経路まで確認します。
この第1回は、3音源合成70.0dB、LAeq 72.7dB、複合透過損失34.9dB、防振伝達率15.3%、20Hzの固体伝搬診断を扱う独自5択5問です。
資料確認日:2026年8月9日。環境省の騒音評価・低周波音資料、米国CDC/NIOSHの工学的騒音対策資料を照合しました。dB、暗騒音、距離減衰、吸音、質量則の全体は「騒音・振動の診断」で解説し、このページは別の数値と伝搬経路による演習に特化しています。
解く前の3分整理|音源・経路・受音点を混ぜない
| 確認対象 | 今回の式・信号 | 注意点 |
|---|---|---|
| 複数音源 | 10logΣ10Li/10 | dBを算術加算しない |
| 時間変動 | 時間×音響エネルギー | dBの時間平均にしない |
| 複合間仕切り | 面積×透過率 | 弱い扉を無視しない |
| 防振 | 強制/固有周波数 | 共振・剛結を確認 |
| 原因診断 | 音・振動の周波数ピーク | 同じ時刻で比較 |
測定値は、位置、マイク高さ、A/C/Z特性、周波数帯、時間重み付け、平均時間、設備負荷、回転数をそろえます。音響パワーレベルは音源側の量、音圧レベルは距離・反射・室条件の影響を受ける受音点の量です。カタログのLwと現場のLpを同じ量として直接引き算しません。
第1問|66・66・63dBの3音源は約70.0dB
互いに独立した3台の機器を、同じ測定点・同じ評価条件で単独運転した音圧レベルが66dB、66dB、63dBだった。L=10log10(Σ10Li/10)で求める同時運転時の合成値に最も近いものはどれか。
- 66.0dB
- 69.0dB
- 70.0dB
- 129dB
- 195dB
第2問|78dBを15分・66dBを45分ならLAeq約72.7dB
1時間のうち、ある設備騒音が78dBで15分、66dBで45分だった。各区間内は一定とし、LAeq=10log10{(15×107.8+45×106.6)÷60}で求める等価騒音レベルに最も近いものはどれか。
- 66.0dB
- 69.0dB
- 72.7dB
- 75.0dB
- 144dB
第3問|TL50dBの壁でもTL25dBの扉2m2で複合34.9dB
総面積20m2の間仕切りが、TL50dBの壁18m2とTL25dBの扉2m2で構成される。透過率τ=10−TL/10、複合透過率τc=(18τ壁+2τ扉)÷20、複合TL=−10log10τcとする。複合透過損失に最も近いものはどれか。
- 25.0dB
- 34.9dB
- 47.5dB
- 50.0dB
- 75.0dB
第4問|20Hz機器・固有7Hzなら伝達率15.3%
強制周波数f=20Hz、防振系の固有振動数fn=7Hz、減衰比ζ=0.08とする。周波数比r=f/fn、力の伝達率T=√{1+(2ζr)2}÷√{(1-r2)2+(2ζr)2}で求める伝達率と、(1-T)×100で表す理想化した防振率の組合せはどれか。
- 伝達率2.0%、防振率98.0%
- 伝達率7.0%、防振率93.0%
- 伝達率15.3%、防振率84.7%
- 伝達率35.0%、防振率65.0%
- 伝達率84.7%、防振率15.3%
第5問|20Hzが音・支持部・配管で一致したら固体経路を追う
1,200rpmで運転するファンの隣室で「ブーン」という苦情がある。隣室騒音、ファン支持部の振動、接続配管の振動に共通して20Hzのピークがあり、ファン停止で消えた。機械室扉の開閉では隣室値がほぼ変わらない。最初の診断として最も適切なものはどれか。
- 隣室の壁へ薄い吸音材だけを貼る
- 機械室扉だけをさらに重くする
- 利用者へ耳栓だけを配り、設備確認を終える
- アンバランス・芯ずれ・軸受と、防振支持・配管・電線管の剛結短絡を追う
- 20Hzピークを測定誤差として削除する
採点|dB計算から伝搬経路まで追えたか
| 正解数 | 判定 | 復習の焦点 |
|---|---|---|
| 5問 | 防音診断は安定 | 実測スペクトルへ |
| 4問 | 1境界を再確認 | 時間平均か複合TL |
| 2~3問 | 単一値中心の判断 | 対数・経路・共振 |
| 0~1問 | 親記事から復習 | 音源・経路・受音点 |
吸音は主に室内反射、遮音は主に空気音の透過、制振は板等の振動、防振は構造への振動伝達を減らします。NIOSHも機械の整備を先に行い、振動絶縁、配管の防振接続、吸音、囲い、障壁等を経路に応じて使う考えを示しています。耳栓などの保護具だけへ依存せず、可能な工学的対策を優先します。
間違えた分野の戻り先
- dB・暗騒音・距離・吸音・防振:騒音・振動の診断
- 健康影響・職業ばく露・低周波苦情:騒音・振動の健康影響と測定
- ファン回転数・ダクト伝搬:ダクト・吹出口・送風機の診断
- ポンプ・配管の振動経路:配管・弁・ポンプの診断
追加演習
dB差、NC、低周波音、A特性、防振架台は「音・振動の工学と防音ミニテスト第2回」、質量則、床衝撃音、等価騒音レベルの追加問題は「音・振動の工学と防音ミニテスト第3回」で確認できます。
公式資料の確認先
- 環境省「騒音に係る環境基準について」
- 環境省「騒音に係る環境基準の評価マニュアル」
- 環境省「低周波音について」
- 米国CDC/NIOSH「Implement Engineering Controls」
- 米国NIOSH「Industrial Noise Control Manual: Revised Edition」
まとめ|70.0dBから20Hzの剛結経路までつなぐ
66・66・63dBの3音源は合成約70.0dBです。78dBが15分、66dBが45分ならLAeqは72.7dB。TL50dBの壁18m2にTL25dBの扉2m2があると、複合透過損失は34.9dBまで下がります。
20Hz機器と固有7Hzの理想化例は伝達率15.3%、防振率84.7%です。隣室騒音・支持部・配管に20Hzが共通し停止で消えるなら、壁材を追加する前に音源整備、防振支持、配管・電線管の短絡を追います。対策前後は同じ回転数、負荷、測定点、周波数・時間条件で比較してください。
資料確認日/最終更新日:2026年8月9日
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