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【電験三種・法規】架空電線路と地中電線路|高さ・電線の種類・埋設深さ

電線路の数値は「どんな電線路を、どこに、どの方法で施設するか」と組にして覚えます。一般の低圧・高圧架空電線では、所定の道路横断はどちらも路面上6m以上です。低圧の引込線に使う5mと混ぜないことが、このテーマの第一歩です。

地中の1.2m・0.6mは、直接埋設式の基本となる深さです。管路式を含むすべての地中電線路に、一律に当てはめる数値ではありません。

1.架空と地中では、何から電線を守るのか

架空電線路は、電柱などの支持物で電線を空中に支える電線路です。人や車両との接触、風による揺れ、電線の重さによるたるみなどを考えます。地中電線路は、地中に設ける電線路です。地上から加わる車両・重量物の圧力や、掘削時の衝撃などから保護する必要があります。

例えばビルへ電気を送るルートを見ても、道路に沿う配電線、そこから建物へ引き込む電線、敷地内の地中ケーブルでは確認する条件が違います。「同じ200Vだから同じ高さ」「同じ地中だから同じ深さ」とは判断できません。

省令の正式名称は「電気設備に関する技術基準を定める省令」です。第21条は架空・地中電線の感電防止、第25条は架空電線等の高さ、第47条は地中電線路の保護などの性能を求めています。具体的な施設方法を示すのが、経済産業省の「電気設備の技術基準の解釈」です。

この記事の架空の表は低圧・高圧を対象にしています。特別高圧の電線路は別の規定で確認します。電圧区分が曖昧なときは、先に総則と電路の絶縁を復習してください。

2.架空電線の種類と、裸電線を使える例外

絶縁電線は導体を絶縁物で覆った電線です。ケーブルは絶縁に加えて外装などの構造を持ち、使用場所や電圧に適したものを選びます。裸電線は、絶縁物で被覆されていない電線です。外見に被覆があるから触れてよい、と判断するものではありません。

解釈第65条第1項・65-1表の基本は次のとおりです。ここでは電線の種類を整理し、太さ・引張強さ・支持方法などは別に確認します。

使用電圧 基本となる電線の種類
低圧・300V以下 絶縁電線、多心型電線又はケーブル
低圧・300V超 絶縁電線又はケーブル。ただし引込用ビニル絶縁電線・引込用ポリエチレン絶縁電線を除く
高圧 高圧絶縁電線、特別高圧絶縁電線又はケーブル

同条第1項第1号のただし書には、裸電線を使用できる次の例外があります。

  • 低圧:B種接地工事を施した中性線又は接地側電線として施設する場合。
  • 高圧:海峡横断、河川横断、山岳地の急な傾斜又は谷越えの箇所であり、かつ、人が容易に立ち入るおそれがない場所に施設する場合。

高圧の例外は「河川だからよい」「高いからよい」だけでは成立しません。場所の種類と、人が容易に立ち入らない条件の両方を読みます。また、鋼心アルミより線という導体の構造名だけで、裸電線の使用が認められるわけではありません。絶縁の有無と、使用場所に適用される規定は別に確認します。

接地した中性線に関する例外を、すべての低圧電線へ広げないことも大切です。B種接地の目的や対象は接地工事のA種〜D種で確認できます。

3.一般の低圧・高圧架空電線の高さ

次の表は、解釈第68条第1項・68-1表の整理です。引込線や構内・農事用などの特例によらず、第68条を適用する場合に使います。道路横断、鉄道横断、横断歩道橋の上に当たるかを先に判定し、それ以外のときに表の後半へ進みます。

施設する場所・条件 低圧 高圧
道路横断※1 路面上6m以上 路面上6m以上
鉄道・軌道の横断 レール面上5.5m以上 レール面上5.5m以上
横断歩道橋の上 橋の路面上3m以上 橋の路面上3.5m以上
上記以外で、道路以外の場所 地表上4m以上 地表上5m以上
上記3区分以外で、所定の屋外照明用※2 地表上4m以上 対象外
上記のどれにも該当しない場合 地表上5m以上 地表上5m以上

※1:道路横断6mの区分では、車両の往来がまれな道路と、歩行の用にのみ供される部分を除きます。この区分から外れても高さの制限がなくなるわけではありません。他の該当区分で判断します。

※2:屋外照明用で、絶縁電線又はケーブルを使用し、対地電圧150V以下、かつ交通に支障がないように施設する場合です。「照明用」という用途だけで4mにしてよいわけではありません。

例えば、道路上を道路に沿って施設する低圧電線で、横断ではなく、屋外照明等の条件にも当たらないものは、表の最後の5mです。これに対し、道路ではない敷地内の低圧電線で、道路・鉄道の横断や横断歩道橋上の区分にも当たらないものは4mです。「一般の場所は低圧4m」と一括りにしないようにしましょう。

鉄道横断の5.5mはレール面から、横断歩道橋上の3m・3.5mは橋の路面から測る値です。橋の下の道路面から測るのではありません。基準となる面を取り違えると、数値を暗記していても判定を誤ります。

さらに、第68条第2項は水面上の電線について船舶の航行等に危険がない高さを求め、第3項は氷雪の多い地方の高圧電線について積雪上でも通行等に危険がない高さを求めます。表の数字だけを満たせば、どんな水位・積雪でもよいという意味ではありません。

4.低圧引込線の道路横断5mと区別する

配電線から需要場所へ引き込む電線など、低圧架空引込線に適用されるのが解釈第116条です。同条第1項第6号・116-1表では、歩行の用にのみ供される部分を除く道路を横断する場合、通常は路面上5m以上です。

技術上やむを得ず、かつ交通に支障がない場合は3m以上という同表の条件がありますが、単に工事しやすい、費用が安いといった理由だけで選べる数値ではありません。本記事の比較では、この緩和は用いません。

道路を横断する電線 適用する表 通常の最低高さ
第68条による低圧・高圧架空電線 68-1表 路面上6m
第116条による低圧架空引込線 116-1表 路面上5m

この比較の道路は、車両の往来がまれではない通常の車道を想定しています。どちらの表の道路条件にも該当し、他の特例を使わない場合です。問題文に「低圧」とあるだけで5mを選ばず、引込線なのか、一般の架空電線なのかを確認します。

5.地中電線路は工法を先に確認する

解釈第120条第1項では、電線にケーブルを使用し、管路式・暗きょ式・直接埋設式で施設します。「絶縁電線だから地中に使える」「より線なら使える」という判断では足りません。

工法 構造のイメージ 主な確認点
管路式 管にケーブルを通す 管が車両・重量物の圧力に耐えること
暗きょ式 地下の通路やふた付きの構造物等に収める 圧力への強度と、防火措置
直接埋設式 トラフなどで防護して地中に埋める 埋設深さと、衝撃からの防護

トラフはケーブルを収める溝形の防護物です。直接埋設式という名称でも、裸の電線を保護せず土に埋めることではありません。また、トラフは複数の施設方法で使われるため、その名称だけで工法を決めず、全体の構造を見ます。

第120条第2項の管路式では、管が加わる圧力に耐える必要があります。第3項の暗きょ式では、圧力に耐える構造に加え、ケーブルへの所定の耐燃措置又は暗きょ内の自動消火設備など、条文に沿った防火措置を確認します。

1.2m・0.6mは直接埋設式の基本

次の表は、第120条第4項第1号による値です。同項ただし書の規格による施設や、同号ただし書の圧力に耐える施設などの例外は用いないものとして整理しています。

直接埋設式の施設場所 基本の埋設深さ
車両その他の重量物の圧力を受けるおそれがある場所 1.2m以上
その他の場所 0.6m以上

判断するのは「今日、車が通ったか」ではなく、車両その他の重量物の圧力を受けるおそれです。例えば資材置場では、通常の車両通行が少なくても、重量物を置く条件を無視できません。

同号ただし書では、ケーブルの種類や施設条件等を考慮し、加わる圧力に耐えるように施設する場合は、この深さによらない扱いがあります。また、同項ただし書には、対象場所等を限定したJESC E6007(2021)による施設の規定があります。浅くしてよいと自己判断するのではなく、どの例外の条件を満たすのかを確認する必要があります。

深さと衝撃への防護も別々に確認します。第4項第2号では、堅ろうなトラフ等に収める方法のほか、重量物の圧力を受けるおそれがない場所の低圧・高圧ケーブルなら上部を堅ろうな板又はといで覆う方法などを示しています。所定のがい装ケーブルを使う方法もあり、特別高圧では上部・側部の防護条件が加わります。

「管路式でも必ず1.2m」「直接埋設でも0.6mあれば保護不要」は、どちらも誤りです。管路式には管の強度等の確認があり、直接埋設式には深さと防護の両方があります。道路内に施設する場合などは、電気の技術基準以外の適用条件も別途確認します。

6.計算例:取付け高さと電線の最も低い位置

電柱の取付け点が高くても、電線は途中でたるみます。取付け点を結ぶ線から電線までの下がりを弛度(ちど)といいます。次は、水平な地面と同じ高さの支持点を仮定した、位置関係を学ぶための計算です。

第68条による高圧架空電線が、車両の往来がまれではない車道を横断しています。左右の取付け点は路面上7.3mで、道路上にある最も低い位置までの下がりは1.1mです。この状態の高さは6mの基準に対して何mの余裕がありますか。引込線その他の特例は用いません。

7.理解度チェック:条件を読んで4問

各問は五肢択一です。解答では、選ばなかった肢がなぜ違うのかも確認してください。

第1問:低圧の道路横断

交流200Vの架空配電線が、車両の往来がまれではない車道を横断する。引込線ではなく、第68条・68-1表を適用し、他の特例は使わない。同表が求める最低高さはどれか。

  1. (1)路面上3m
  2. (2)路面上4m
  3. (3)路面上5m
  4. (4)路面上6m
  5. (5)レール面上5.5m

第2問:裸電線の例外を読む

第65条第1項第1号による電線の種類の説明として、正しいものはどれか。ここでは他の条文の特例は用いず、太さ・支持方法等の適合は別に確認する。

  1. (1)鋼心アルミより線なら、通常の市街地の高圧架空電線を無条件に裸電線にできる。
  2. (2)高圧の河川横断箇所で、人が容易に立ち入るおそれがない場所は、同号ただし書の裸電線の使用条件に当たる。
  3. (3)低圧なら、B種接地の有無や電線の役割に関係なく裸電線を使える。
  4. (4)使用電圧が300Vを超える低圧架空電線でも、引込用ビニル絶縁電線を同表の通常の電線として使える。
  5. (5)高圧架空電線には、特別高圧絶縁電線を使ってはならない。

第3問:深さだけで判定できる範囲

次の3ルートを確認する。A・Bは直接埋設式で、第120条第4項及び第1号のただし書は用いない。A・Bは深さ以外の条件を満たしている。Cは管路式で、管の強度や施工条件の資料はまだない。正しい判定はどれか。

  • A:重量物の圧力を受けるおそれがある場所。埋設深さ1.10m。
  • B:車両その他の重量物の圧力を受けるおそれがない場所。埋設深さ0.70m。
  • C:埋設深さ0.45m。ほかの条件は未確認。
  1. (1)A・Bとも直接埋設式の深さ条件を満たす。
  2. (2)Aだけが直接埋設式の深さ条件を満たす。
  3. (3)Bは1.2m未満なので、深さ条件を満たさない。
  4. (4)Cは管路式なので、深さにかかわらず電線路全体が適合する。
  5. (5)Aは深さ不足、Bは深さ条件を満たす。Cの適否は、この情報だけでは判断できない。

第4問:道路上と道路以外の違い

第68条・68-1表による低圧架空電線P・Qを比べる。いずれも引込線ではなく、道路・鉄道の横断や横断歩道橋上ではなく、屋外照明用でもない。他の特例は使わない。Pは道路上を道路に沿って施設し、Qは道路ではない敷地内に施設する。地表上の高さはいずれも4.4mである。高さ条件だけの判定として正しいものはどれか。

  1. (1)Pは不足し、Qは満たす。
  2. (2)Pは満たし、Qは不足する。
  3. (3)低圧は常に4mなので、P・Qとも満たす。
  4. (4)低圧は常に5mなので、P・Qとも不足する。
  5. (5)P・Qとも、電線が道路を横断するとみなして6mを適用する。

8.復習の順番と公式確認先

最初に電線路の種類、次に場所、最後に数値と例外を確認しましょう。架空では測る基準面と電線の低い位置、地中では工法・圧力・防護をセットで読むと、数字だけの暗記から一歩進めます。

根拠となる資料と確認箇所は次のとおりです。試験では、試験実施機関が指定する法令の基準日も確認してください。

  • e-Gov「電気設備に関する技術基準を定める省令」:第21条、第25条、第47条(感電防止、高さ、地中電線路の保護)。
  • 経済産業省「電気設備の技術基準の解釈」:第65条・65-1表(電線の種類)、第68条・68-1表(高さ)、第116条・116-1表(低圧引込線)、第120条(地中の施設方法と深さ)。
  • 経済産業省「電気設備の技術基準の解釈の解説」:第65・68・116・120条(各規定の背景と考え方)。

補助資料として、日本電気技術者協会の「電気設備技術基準・解釈の解説〔その5〕電線路に関する規制」も参照できます。掲載時点の解説のため、具体的な適用条件は現行の省令・解釈本文を優先してください。

法令確認日:2026年11月7日。本文・比較表・問題は独自作成です。運営者は資格を独学中の個人です。

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