建築物の構造概論 建築物環境衛生管理技術者

【ビル管理士・構造概論】建築構造の種類と力学(RC造・S造・SRC造・ラーメン構造・荷重と応力)

⚠ 足切り注意科目! 科目4「構造概論」は全7科目中最少の15問。合格には40%以上(6問正解)が必要です。問題数が少ないぶん1問の重みが大きく、油断すると科目不合格で全体が不合格になります。

結論:建築構造は「何でできているか」と「力がどう流れるか」の2軸で理解する

科目4「建築物の構造概論」は15問で配点は少なめですが、足切り(各科目40%以上)に注意が必要な科目です。6問以下(5問以下で不合格)だと他の科目がどんなに良くても不合格になります。

この記事では、建築構造の種類(RC造・S造・SRC造など)と、構造物にかかる力(荷重・応力)の基礎を学びます。

足切り注意! 科目4「建築物の構造概論」

科目4は全科目中最も問題数が少ない15問です。足切りラインは40%(6問正解)。たった6問を下回ると他の科目が満点でも不合格になります。「問題数が少ない=1問の重みが大きい」ため、基本をしっかり押さえることが最も効果的な対策です。

建築構造の種類

構造 特徴
RC造
(鉄筋コンクリート造)
鉄筋+コンクリートの組み合わせ。耐火性・耐久性に優れる
コンクリートは圧縮に強く、鉄筋は引張に強い→互いの弱点を補う
中低層ビル・マンションに多い
S造
(鉄骨造)
鉄骨(鋼材)のフレーム構造。軽量で大スパンが可能
工場・倉庫・体育館など広い空間に適する
耐火性が低いため耐火被覆が必要
SRC造
(鉄骨鉄筋コンクリート造)
鉄骨+鉄筋+コンクリートの最も強い構造
高層ビルに採用される
コストが高い
W造
(木造)
住宅に最も多い。軽量・安価
耐火性が低い。大規模建築には不向き
近年はCLT(直交集成板)で中大規模建築も可能に

RC・S・SRC造の比較図

RC造

コンクリート(圧縮に強い)

鉄筋(引張に強い)

耐火性:高い
コスト:
適する建物:中低層(マンション等)

S造

鉄骨(鋼材フレーム)
軽量・大スパン可能

耐火性:低い(被覆必要)
コスト:低〜中
適する建物:工場・倉庫

SRC造

鉄骨鉄筋コンクリート
最強の組み合わせ

耐火性:高い
コスト:高い
適する建物:高層ビル

試験では○○が頻出

「RC造のコンクリートは引張に強い」→ 誤り(圧縮に強い)。「S造は耐火性に優れている」→ 誤り(耐火性は低い)。構造の特徴を逆にした選択肢が定番のひっかけパターンです。

RC造のポイント(超頻出)

コンクリート圧縮に強い・引張に弱い
鉄筋引張に強い・圧縮で座屈しやすい
→ 互いの弱点を補い合う理想的な組み合わせ
さらに、鉄とコンクリートの熱膨張率がほぼ同じなので、温度変化で剥がれにくい

身近な例:マンションの壁を叩くとコンクリートの硬い音がします。これがRC造です。オフィスビルの鉄骨がむき出しの倉庫や工場がS造。都心の超高層ビル(30階以上)はたいていSRC造で、鉄骨の中にコンクリートを流し込み、さらに鉄筋で補強した最強の構造です。

構造形式

形式 特徴
ラーメン構造 柱と梁を剛接合(がっちり固定)したフレーム構造
壁がなくても自立→間取りの自由度が高い
RC造・S造・SRC造で広く採用
壁式構造 壁で建物を支える構造。柱・梁がない(or少ない)
室内がスッキリ。低層の集合住宅に多い
5階以下に制限される場合が多い
ブレース構造 筋交い(ブレース)で水平力に抵抗
S造の倉庫・工場に多い
トラス構造 三角形に組んだ部材構造。大スパンの屋根に使用
体育館、駅の大屋根

ひっかけ注意:「ラーメン構造は壁で建物を支える構造である」→ 誤り。ラーメン構造は柱と梁の剛接合で支えるため、壁は荷重を負担しません(壁は仕切り壁として使えるが構造上は不要)。壁で支えるのは壁式構造です。

構造形式の力の伝わり方

ラーメン構造
柱+梁で剛接合
→壁不要で自由な間取り
壁式構造
壁で荷重を支える
5階以下限定
ブレース構造
筋交い(斜め材)で
水平力に抵抗
トラス構造
三角形の組み合わせ
大スパン屋根に最適

荷重の種類

建物には常にさまざまな荷重(力)がかかっています。荷重は大きく鉛直荷重水平荷重に分けられます。

荷重の種類 内容
固定荷重(死荷重) 建物自体の重さ(柱・梁・床・壁の重量)。常にかかっている
積載荷重(活荷重) 人・家具・設備機器の重さ。変動する。用途によって値が異なる
積雪荷重 屋根に積もった雪の重さ。地域によって異なる
風圧力 風による水平荷重。高層ビルほど影響が大きい
地震力 地震による水平荷重。建物の重さに比例する

鉛直荷重と水平荷重

鉛直荷重(上から下)=固定荷重・積載荷重・積雪荷重
水平荷重(横から)=風圧力・地震力
日本は地震国なので、構造設計では地震力への対策が非常に重要です。

応力の種類

応力とは、荷重によって部材の内部に生じる力です。

圧縮応力

部材を押しつぶす方向の力
柱は主にこの力を受ける

引張応力

部材を引き伸ばす方向の力
梁の下面に生じる

せん断応力

部材をずらす(切る)方向の力
ハサミで切るイメージ

曲げ応力

部材を曲げる
梁の上面は圧縮、下面は引張

ねじり応力

部材をねじる
雑巾を絞るイメージ

超頻出ポイント:梁(はり)に荷重がかかると、上面には圧縮応力、下面には引張応力が生じます。RC造の梁で鉄筋が下面側に多く配置されるのは、コンクリートが苦手な引張応力を鉄筋が負担するためです。

身近な例:下敷きの両端を手で持ってたわませると、上面が縮み(圧縮)、下面が伸びます(引張)。真ん中に線を引くと、その線は長さが変わりません。この長さが変わらない面を中立面(中立軸)といい、上が圧縮、下が引張になります。

ビル管理の実務でどう関わるか

実務で役立つ知識

  • 建物の構造種別を把握する:管理するビルがRC造かS造かSRC造かで、劣化の仕方や注意点が違います。S造なら耐火被覆の状態を特に注意して点検しましょう。
  • 改修工事の打ち合わせ:ラーメン構造なら壁を撤去できますが、壁式構造の壁は構造体なので撤去できません。テナント工事で「壁を壊したい」と言われたとき、構造を理解していると的確に判断できます。
  • 荷重管理:サーバールームや書庫など重い設備が置かれる場所は、積載荷重の確認が必要です。設計時の想定を超える重量物を置くと床がたわむ恐れがあります。
  • 構造図面の読解:柱や梁の位置を図面で確認し、どこに荷重がかかっているかを理解できると、設備配置の相談にもスムーズに対応できます。

理解度チェック

【問題1】建築構造に関する記述のうち、正しいものはどれか。

(1)鉄筋コンクリート造(RC造)のコンクリートは引張に強い
(2)鉄骨造(S造)は耐火性に優れている
(3)鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)は高層ビルに適している
(4)ラーメン構造は壁で建物を支える構造である
(5)壁式構造は高層建築に最適である

解答を見る

正解:(3)
SRC造は鉄骨+鉄筋+コンクリートの最も強い構造で、高層ビルに適しています。コンクリートは圧縮に強く引張に弱い。S造は耐火性が低いため耐火被覆が必要。ラーメン構造は柱と梁の剛接合で支えます。壁式構造は低層(5階以下)に制限されます。

【問題2】荷重に関する記述のうち、正しいものはどれか。

(1)固定荷重は人や家具の重さである
(2)積載荷重は建物自体の重さである
(3)地震力は鉛直荷重に分類される
(4)風圧力は水平荷重に分類される
(5)積雪荷重は水平荷重に分類される

解答を見る

正解:(4)
風圧力は風による水平荷重です。固定荷重は建物自体の重さ、積載荷重は人や家具の重さです。地震力は水平荷重(鉛直ではない)。積雪荷重は屋根の上の雪で鉛直荷重です。

【問題3】応力に関する記述のうち、正しいものはどれか。

(1)梁に荷重がかかると、上面に引張応力、下面に圧縮応力が生じる
(2)RC造の梁では鉄筋を上面側に多く配置する
(3)せん断応力は部材を引き伸ばす方向の力である
(4)コンクリートは引張応力に強い材料である
(5)梁の下面に引張応力が生じるため、RC造では下面側に鉄筋を配置する

解答を見る

正解:(5)
梁に荷重がかかると、上面に圧縮応力、下面に引張応力が生じます(上下が逆の選択肢は誤り)。コンクリートは引張に弱いため、引張が生じる下面側に鉄筋を配置して補います。せん断応力は部材をずらす(切る)方向の力です。

まとめ ― 試験で狙われるポイント

この記事の重要ポイント

  • RC造:コンクリート=圧縮に強い、鉄筋=引張に強い→互いに補完
  • S造=軽量・大スパン可能だが耐火性が低い。SRC造=最も強い(高層向き)
  • ラーメン構造=柱と梁の剛接合。壁式構造=壁で支える(低層限定
  • 鉛直荷重=固定・積載・積雪。水平荷重=風圧力・地震力
  • 梁の上面=圧縮、下面=引張→鉄筋は下面側に配置
  • 鉄とコンクリートの熱膨張率がほぼ同じ→RC造が成立する理由

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